「変わらないものはない」、それは誰の言葉だったか。

私は高校に入ってから大きく変わった。
嫌ってたはずの麻雀を再開して、同性の友達が増えて、インターハイではお姉ちゃんとの拗れた仲もちょっと前進して。

それなのに、彼だけは変わらないって勝手に信じてた。

和ちゃんの胸をチラ見して、優希ちゃんにからかわれて、私の手を引いてくれる。
そんな日常が続くんだって、何の根拠もなく。

だから京ちゃんが誰か女の子と付き合ってるんだって噂を聞いて「裏切られた」って思った。

なんだかんだでずっと一緒にいて、絶対自分が一番近いんだって思いあがってた。
京ちゃんはエッチでおバカさんで、でもとっても優しくて、だから誰かが好きになってもおかしくないのに。

最初に疑ったのは麻雀部の仲間たち。
思い返せばみんな京ちゃんと距離が近い。
優希ちゃんはもちろん、和ちゃんに部長、染谷先輩までなんだか怪しく見えてきた。

でも観察してみたら違うみたい。
京ちゃんは他の特定の誰かと帰ってる様子もないし、誘ったら本屋にも付き合ってくれた。

だとするとなかなか会えない相手……遠距離恋愛?

まさか私達が優勝を目指してた間に、京ちゃんは東京で恋が芽生えたりなんか。
なんてことだろう、信じられない。まさか男漁りにインターハイまで来る人がいるなんて。
そんな軽い女と付き合っちゃだめだよ京ちゃん、きっと騙されてるよ!

ジト目で京ちゃんを見てたら、何を勘違いしたのか私の頭を撫でてくる。
こんなことで騙されたりしないんだから、えへへ。

それにしても京ちゃんが付き合ってるって噂の相手、本当に誰なのか?
絶対突き止めて思いとどまらせないと。そう、京ちゃんの幸せのためにこれは必要なんだよ!

ふんすと気合を入れて、私は京ちゃんとつないだ手を握りしめる。


~周囲~
「あー、またあの二人いちゃついてる。爆発しないかな」


『宮永咲の迷走』、カン