「お姉ちゃん!」

 耳障りな音がした。
 もう、聞くことはないと捨て去ったはずの過去と同じ調べ。

「待って、待ってよお姉ちゃん!」

 這いすがるようにアレは私の腕を掴んだ。
 だから、追い払うために手を振るい、見るのも嫌だけど、仕方がなく振り返る。

「おねぇ「私に妹はいないッ!!」」

 拒絶の言の葉に怯み、縮こまる。
 やっぱりどうしようもなく不快だ。

「照さん……咲は……」

「京ちゃんは黙っていて、これは私とコレの問題だから」

 私の言葉に彼は悲しそうな、苦しそうな、何かを伝えたいのにどうすれば良いのか分からないような、そんな複雑な表情を浮かべた。
 やっぱり、私はこの愚かな妹を許せない。

 昔は、あの頃は皆一緒だった。

 それを終わらせたのは愚妹の咎。
 一度の大きな過ちが私の中の愛を憎しみ、嫌悪へと反転させた。

 京ちゃんと出会ったのは私の方が先なのに、彼を京ちゃんと呼んだのを真似され、一番近くにいた、いられたのは私だったはずなんだ。
 どうしてお前が彼の側にいる。
 何でお前はいつも迷惑をかけるのか。

「私に妹はいない、話すこともない、目障り、消えて」

「…………」

「照さん!」

「京ちゃん、もうあの頃には戻れないよ……本当は分かってるんでしょ? それでも何かを私に言いたいなら、ソイツの居ないところでなら聞いても良いよ」

 京ちゃん、京ちゃん、京ちゃん、もう、そんな子は放っておけば良いんだよ。
 私を選んで、私と一緒にいて、昔のように、咲と知り合う前みたいに、私だけの京ちゃんに…………


カンッ!