「お姉ちゃん!」
耳障りな音がした。
もう、聞くことはないと捨て去ったはずの過去と同じ調べ。
「待って、待ってよお姉ちゃん!」
這いすがるようにアレは私の腕を掴んだ。
だから、追い払うために手を振るい、見るのも嫌だけど、仕方がなく振り返る。
「おねぇ「私に妹はいないッ!!」」
拒絶の言の葉に怯み、縮こまる。
やっぱりどうしようもなく不快だ。
「照さん……咲は……」
「京ちゃんは黙っていて、これは私とコレの問題だから」
私の言葉に彼は悲しそうな、苦しそうな、何かを伝えたいのにどうすれば良いのか分からないような、そんな複雑な表情を浮かべた。
やっぱり、私はこの愚かな妹を許せない。
昔は、あの頃は皆一緒だった。
それを終わらせたのは愚妹の咎。
一度の大きな過ちが私の中の愛を憎しみ、嫌悪へと反転させた。
京ちゃんと出会ったのは私の方が先なのに、彼を京ちゃんと呼んだのを真似され、一番近くにいた、いられたのは私だったはずなんだ。
どうしてお前が彼の側にいる。
何でお前はいつも迷惑をかけるのか。
「私に妹はいない、話すこともない、目障り、消えて」
「…………」
「照さん!」
「京ちゃん、もうあの頃には戻れないよ……本当は分かってるんでしょ? それでも何かを私に言いたいなら、ソイツの居ないところでなら聞いても良いよ」
京ちゃん、京ちゃん、京ちゃん、もう、そんな子は放っておけば良いんだよ。
私を選んで、私と一緒にいて、昔のように、咲と知り合う前みたいに、私だけの京ちゃんに…………
カンッ!
最終更新:2016年11月23日 21:34