霞「自覚はあるの。…まるで蛇のよう」
霞「本当よ? 私だって、こんなになっても巫女だもの。思い違えたりしないわよ」
霞「蛇、蛇…大蛇。オロチ。フフ…八ツ俣かしらね」
霞「ねえ、京太郎さん」
暗い密室、閉ざされた檻。鎖、手錠。……京太郎。
京太郎「霞、さん……」
霞「さしずめ貴方はスサノオかしら? いいえ、きっと生贄でしょう」
霞「大丈夫、食べたりしないわ。呑み込んだりもしないの。愛してるもの」
京太郎「あ、う」
霞「蛇とは竜。竜とは流れ。或いは川。かつての大蛇は氾濫する流れの化身だった。すべてを飲み込んだ」
霞「此度は英雄などいない。貴方はこのまま、溺れるの」
霞「愛も、恋も、肉も、骨も。私の全てに溺れるのよ」
霞「ずっと」
霞「ずーっと」
霞「私に溺れ続けて。愛しい京太郎さん…」
京太郎「あ、ああ。あああ」
霞「いつまでも一緒よ。フフフ…」
完
最終更新:2016年10月10日 00:27