京父「京太郎、父さんと母さんから大事な話があるから来なさい」

京太郎「んー、わぁった。……で、何?」

京父「お前も今で15だな。来年には16だ。そろそろ将来の結婚相手とか考えた方がいい年頃だ」

京太郎「は? いやいやまだ15だぜ? まだまだ先じゃん」

京母「そんなことないわよ。将来設計っていうのは早いうちにしておいた方がいいんだから」

京太郎「んなこと言われても、まだ彼女さえいないってのに」

京父「いや、それはかえって好都合だ」

京太郎「息子に彼女いないのが好都合って言う親はどうよ」

京父「そんなモテない京太郎のためにお父さんとお母さんは許嫁を用意していましたー! イェーイ。……褒めてもらってもいいぞー」

京太郎「……へ?」

京母「許嫁よ、許嫁。安心して、貴方もよく知ってる可愛い子だから。……胸はないけど、そこは貴方が揉んで育ててあげなさい」

京父「さーそれじゃあ気になるその子の名前を発表するぞー。母さん、一緒に言おうか」

京母「そうね、大事なことだしね」

京父母「せーのっ」

京父「宮永照さんだ」
京母「宮永咲ちゃんよ」

京父「……ん?」

京母「……お父さん、今なんて」

京父「照、宮永照」

京父「……おまえは?」

京母「咲、宮永咲」

京父「……んん?」

京母「ええっと?」

京父「……界さんと酒の席でそう話たんだが、おまえにも言ったよな?」

京母「……ママさん会でそういう話になったってこと、言ったわよね?」

京父母『聞いてない』

京父「えっいやおまえ、てっきりもう言ったもんだとこっちは! おまえも知ってるから『許嫁についてそろそろ話そう』って言った時に頷いたもんだと!」

京母「だからそれが『ああ咲ちゃんのことね』って思って話そうとしたの! あなたこそなんでそんな勝手に許嫁なんて大事なもの決めて!」

京父「なっ、それはおまえも同じだろう!? なんだママさん会で決められる許嫁って!」

京母「酒の席で決めるあなたに言われたくないわよ!」

ギャーギャー! ギャーギャー!

京太郎「」

……………………

prrrrrrr

ガチャッ

?『はいもしもし?』

京太郎「あ、霞姉さん? お久しぶりです。京太郎です」

霞『あら、どうしたの? 電話なんて珍しい』

京太郎「いや実はこないだの誕生日に凄いことがあってさその愚痴っていうか、なんていうか、吐き出させてくれないかなーと」

霞『ふふっ、しょうがない子ね。いいわ、お姉さんに話してみなさい」

京太郎「それがさ……」

京太郎「……ってことがあってさ。いや驚いたよ本当に」

霞『……』

京太郎「……霞姉さん? 聞こえてる? もしもーし」

霞『……ふふっ』

京太郎「……ええと、どうかなされましたかな、霞お姉様?」

霞『京太郎は覚えてるかしら? 実はこっちにはね? 一枚の紙があるんだけれど』

京太郎「かみって、神様の方じゃないですよねー……。ちり紙とかの方の紙ですよねー……」

霞『そうね、その紙よ。問題はその紙の内容なんだけど……読み上げていいかしら?」

京太郎「……なんか凄い嫌な予感がするのでお断りするって言うのは……」

霞「却・下」

京太郎「デスヨネー」

霞『ええと、『ぼく、すがきょうたろうは、おとなになったらじんだいこまきちゃん、いわとかすみちゃん、うすずみはつみちゃん、かりじゅくともえちゃん、たきみはるちゃんをおよめさんにすることをちかいます』って書いてあるわね』

京太郎「」

霞『あら、ご丁寧に拇印まで押されているわね』

京太郎「」

霞『まあ、子供のころの約束だから京太郎はそんなに気にしなくていいわよ』

京太郎「だよな! うん、子供のころの可愛い遊びみたいなもんだよな!」

霞『私たちは全員本気ってことは覚えておいてちょうだいね?』

京太郎「」

……………………

prrrrrrr

京太郎「……もしもし」

??『ヲーッホッホッホッホ! 随分沈んだ声ですわね京太郎! 龍門渕の血が泣きますわよ!』

京太郎「……相変わらずのテンションですね透華さん。いや、声も沈みますよ。実は最近……」

京太郎「……ってことがありましてね、それはもう胃がキリキリと」

透華『……』

京太郎「……あの、透華さん? なんかもうこの時点で動悸が止まらないんでそっと携帯切っていいですか?」

透華『許すと思いまして?』

京太郎「デスヨネー」

透華『ハギヨシ! 例のモノをこちらに……ああ、もうありますの? こほん、それでは京太郎? よぉっく、注意深く耳を傾けるのよ?」

きょーたろー(5才)『あのねー、ぼくねー、おっきくなったらとーかちゃんとけっこんするー」

とーか(6才)『まあ、うれしいですわきょーたろー! いっしょにりゅーもんぶちをもりたてていきましょう! あかちゃんはなんにんほしいのですか?』

きょーたろー『うんとね、ハンドボールができるくらいー!』

とーか『まあ、しょうらいがたのしみですわね! そうですわ! いまここでちかいのことばをのべてしまいしょう!』

きょーたろー『ちかいのことばってなーにー?』

とーか『けっこんするふたりがかみさまにそのことをちかうのですわ! えーと、すこやかなるときもーやめるときもー……』

京太郎「……」

透華『音声データが残っていますわね。私の生涯の宝ですわ』

京太郎「……子供のころのたわい無い約束……ですよね?」

透華『ですわね』

透華『私『も』本気ですけど』

京太郎「」

カンッ