淡「キョータロー、短冊かざろー!」

勢いよく飛びついてきたのは現在おもち増量中である高校100年生(自称)
アホの子であり気に入った人間に対してスキンシップ過多になる困った子ちゃんである

京太郎「お前がくっつくと、いろいろ当たるからやめろと言っとるだろーが」

淡「ん~? 淡ちゃんの何が当たるのかなー? 言ってごらんキョータロー」

おもちとか匂いのいい髪の毛とか、柔らかな二の腕だとか言えるわけねーだろ

京太郎「言わねー、で、何の用だ?」

淡「だから七夕だから短冊飾ろうって、聞いてなかったの?」

ぷくーっと両頬が膨れるので、掌で押しつぶす

京太郎「短冊ねー、まあいいけど」

淡「ふふーん、部室に竹があるんだよ、いこいこー」

手を握って上機嫌に先を歩く淡、だからやっこいんだっての

京太郎「おおー、結構大きいな」

淡「でしょー?」

竹が大きいからと淡が得意げにする理由には一切ならんのだが、突っ込んでも疲れるので放置

淡「じゃ、書こっか」

京太郎「へいへい」

願い事ねー、俺の願い事、うーん

淡「よし、できた、かーざろっと」

京太郎「ま、これでいいだろ」

隣り合って飾られる短冊、そこに書かれていた文言は

『京太郎の願いが叶いますように☆』
『淡の願いが叶うように』

……これループしてね?

京太郎「おい、これじゃ何も叶わないんだが」

淡「んー、どーしよ
  あ、そうだ、こんなのはどうかな?」

目の前でクルっと淡が一回転し、きれいな金髪がふわりと宙に舞う
その金糸はまるで天の川のようで

淡「私の願いをキョータローが叶えて、キョータローの願いを私が叶える、完璧じゃない?」

確かに理論的には合ってるけど、それって七夕の必要なくないですか、淡さんや

淡「私の願い事はねー」

いつものように天真爛漫に笑うかと思えば、いつにない真剣な表情で

淡「キョータロー、私と付き合ってください」

『何に?』とここで聞くほど俺も馬鹿じゃない、その眼差しを見ればどれほどの勇気を込めて言ったのか分かる
なら、俺の返答は

京太郎「俺の願い事は、『お前に誓いのキスをさせてほしい』かな」

俺の似合わないくさいセリフに淡はへにゃりと笑って、いつものように輝いた顔に戻る
淡「いいよ、じゃあ恋人のキス、しよっか」

そして俺たちは織姫と彦星が天の上でしているだろう事と同じように互いの距離をなくして重なった


カン