「むー……」


 面白くない。
 それもこれもあのデクノボーのせいだ。


「京ちゃん、お菓子が足りないから買ってきて」

「はぁ!? あれだけあったのにもう食べちゃったんですか照さん!?」

「そう。今すぐ糖分を摂取しないと動けなくなる」

「あーもう! 分かりましたよ! 売店行って買ってくるんで待っててください!」


 昔なじみだか何だか知らないけど、あの須賀とかいうデクノボーがテルとの距離が近いのが気に食わない。
 これで麻雀が強いならまだいいけどへっぽこもいいところだし、テルも何がそんなに気に入ってるのか分からない。
 最近はスミレたちとも仲よさそうだし、デクノボーはちょっと調子に乗りすぎ!
 絶対頭の中じゃ、いやらしいことばーっかり考えてるよ!


「私は騙されないからね。絶対にデクノボーなんかに懐柔されたりしないんだから!」



「……あの照さん。大星が親の仇でも見るかのような目で睨んでくるんですけど、俺何かしました?」

「大丈夫、直ちには影響はないし無害だから」

 デクノボーがこのまま部活にいたら、テルたちがあいつの毒牙にかかってしまうかもしれない。
 というわけで、なんとか追い出せないかと考えた時、天才である淡ちゃんはいい考えが思いついた。

 要は、あいつが悪い人間だっていう動かぬ証拠を私が見つけ出せばいいのだ!
 そうすれば、皆も目が覚めてデクノボーの正体に気づいてくれることだろう。
 ふっふっふ、伝説の傭兵も真っ青の隠蔽力で監視していることもばれていない――


「……なあ大星。さっきから何で俺を見てるんだ?」

「あわっ!? な、なななななんでバレたの!?」

「あ、バカ、大声を出すなって――」

「大星」


 突然の出来事でパニくってる私に誰かが声をかけてくる。
 こっちはそれどころじゃないってのに!


「あんたには関係ないでしょ! こっちは今…………あ……」


 振り返るとそこには明らかーに怒っている先生の姿が。


「ほう、授業中だというのに授業も聞かず、何やら熱心に須賀の顔を見つめていたと思ったら、いきなり叫びだした挙句に教師に向かって『あんた』とはな……」

「い、いやこれは……その……」

「少し廊下で頭でも冷やして来たらどうかね?」

「……はい」


 ううっ、この年で廊下に立たされるなんて……。
 これもデクノボーのせいだ。あいつに気づかれなかったら平和に終われたのに!
 汚いなさすがデクノボーきたない!


「あー……大星?」

「なにさっ!?」

「さっきは悪かったよ、授業中なのに声かけちまって。お詫びと言ったらなんだけど、昼飯奢ろうか?」

「ふんっ! デクノボーの施しは受けないよ! そうやって私のことを丸め込もうとしても『グゥ~……』

「……」

「…………」

「……とりあえず食堂に行こうか?」

「……うん」


 虫の鳴き声を聞かなかったふりはされたけど滅茶苦茶恥ずかしかった。
 腹が立ったから、一番高い定食を選んでやった。ざまーみろ!