ねえ須賀くん、どうして私があなたのことを名前で呼ばないか知らないでしょうね

それは自分で勘違いしないためなんです

優希や咲さんのように名前で呼んでいたら、私はあなたが親しい存在だと思ってしまう

あなたも距離が近づいたと思って私のことを口説き始めるかもしれない

そうなったら、拒否できる自信がないんです
のぼせ上がって「はい」ってきっと言ってしまう

その先にあるのが恋の終わりだと知っていても、甘い毒に酔ってしまいそうで

だから、名前では呼べないんです

だってあなたが私に持っているのは恋心じゃなくて憧れなんですから

体でしばらくの間は繋ぎとめられるかもしれない
でも、破局は時間の問題です

だってあなたは本当は私より優希や咲さんの方が好きでしょう?

見ていれば分かります
私とは無意識に距離を取るのに、二人には自分から触りにいくんですから

だから、あなたが私を好きなんていうのは勘違いなんです

そして、私はその勘違いを少しでも長引かせようとしているひどい女なんです

勘違いしている間は須賀くんが私を見てくれるから

目の前で須賀くんが優希や咲さんに取られることに私は耐えられないから

そんな理由で私は今日も親友を傷つけているんです

ごめんなさい、ごめんなさい

あと少しの間だけあなたのことを好きでいさせてください
いつか優希や咲さんを応援できる私になりますから

その時が来たら名前で呼ばせてください、友達として


カン