全ての復讐は、失うことから始まる。
ザ・ブライド/??「やめてっ!やめてええええええ!!」
オーレン/智葉「ボスを裏切ったお前が悪い...粛正だ」
ヴァニータ/ダヴァン「エグリコムヨウに、撃ツベシ、撃ツベシッ!」
バド/ネリー「言わんこっちゃないよ、だから言ったのに、さ!」
エル・ドライバー/美穂子「許せない、貴女を絶対許さない!!」
寂れた教会、ミンチになった人間、そして激しい暴行を受ける花嫁。
友達も夫も、腹の中に宿っていた子供もみんなそろって奪われた。
??「どうして?貴方は...私にそんなことしないって、信じてた...のに」
ビル/京太郎「君は知っていた筈だ...」
京太郎「俺はサドか?いや、違うね」
京太郎「行動を起こし、今こうしている瞬間においても」
京太郎「俺は...」ガチリ
??「お腹の中には、貴方の赤ちゃ...」
一発の銃弾が、最後に残った彼女の命をも奪う。
だが、彼女は、
生きていた。生きていたのだった。
四年もの間、花嫁は病院のベッドの上で眠り続けていた。
??「...」
そして、彼女は遂に目覚めた。
手足の自由を取り戻した最強の暗殺者、The Bride。
彼女は誓った。
自分から全てを奪った毒蛇暗殺団のメンバーへの報復を...
一人目のターゲットは、自分が求めた幸せを手に入れていた。
ダヴァン『来ナッ、来ナ...!!』
花嫁はただ刃を交え、情を交わさず彼女の命を奪い去った。
ニッキー/??「ママ?」
??「大きくなってまだ許せなかったら、待ってるわ」
ただ最後に、見せるつもりのなかった過ちを悔いながら...彼女は歩く。
443 : 名無しさん@お腹いっぱい。2016/06/21(火) 02:07:19.68 ID:eayRdxDt0
二人目のターゲットは日本に君臨するヤクザの親分になっていた。
花嫁はハンゾウソードを携え、東京へと向かう。
ソフィー/ハオ「うぎゃあああああああ!!」
智葉『ブライド...!』
青葉屋のホール、冷ややかに睨み据えたその視線の先...
??「勝負はまだ、ついちゃいませんよ...」
鮮やかに舞う片腕、そして最強に挑みかかる最凶。
ゴーゴー宮永「こんにちは」
??「ゴーゴーですね?」
ゴーゴー宮永「ビンゴ。貴方が有名なあのブラック・マンバ?」
??「噂が一人歩きしているようですね」
にらみ合う二人の暗殺者達が火花を散らす、その五秒前...
??「ゴーゴー、ボスを守る義理があるのはわかります」
??「でも、あえて言います、そこをどいて」
ゴーゴー宮永「それがお願いのつもりなら、片腹大激痛」
ゴーゴー宮永「このゴーゴーボールの錆にしてあげる」
花嫁とゴーゴーの死闘は、ゴーゴーの惜敗により幕が下りた。
そして、青葉屋の大虐殺が始まった。
智葉『...』
智葉『お前らぁ...ヤッチマイナァアアアアっ!!』
花嫁が舞い、また一人、また一人と命を落とすクレイジー88。
そして迎えた、二人目への復讐。
降り積もる雪の中、煌めいた一閃がオーレンの頭蓋を切り落とした。
復讐は続く、全ての相手が倒れるまで
ネリー「うぐっ、がはっ」
ネリー「ぐ、ぐるじ、い...息が...息が」
三人目の相手は、花嫁が手を下す前に息絶えていた。
彼女を葬ったのは、かつての愛した男の愛人にして...
美穂子「さて、最後の苦しみにもだえているあなたに」
美穂子「さっきの答えを聞かせてあげましょう」
死んだとしても、変わることのない不倶戴天の仇敵、
美穂子「今は、最高に後悔しています」
美穂子「勇敢な彼女の最期を看取ったのが、」
美穂子「あなたのような...薄汚い卑怯者だったことに」
そして、最後の一人と対峙する二人の暗殺者
??「なぜ、パイ・メイに目を抉られたの?」
美穂子「あの人のことを、クソジジイと呼んだからですよ」
美穂子「でも、最後には、私はあの人のことを殺しましたから」
煌めく刃の先から、肌色の蛇が左目に飛びかかった。
自分の敗北する瞬間が、彼女が最後に見た景色。
発狂する最後の一人の命を天に任せ...
遂に、彼女は最後の一人に手をかける。
B・B/??「ママ」
??「ど、どうして?」
動揺する花嫁に優しく触れたその手が、彼女の決意に罅を入れる。
明かされる真実と、どうしようもなくすれ違ってしまった夫婦の悲哀。
男は子のために生き方を変えられず、女は子のために母になった。
最後の復讐は、誰よりも近く、誰よりも短く、誰よりも激しいものだった。
唸る刀の旋律が、あまりにも早い別離を刻一刻と刻む。
そして、死が二人を分かつ時がやってきた。
刀は鞘に収まり、無防備な胸に炸裂する五つの刺撃。
五天衝爆心拳、最悪にして最強の武の極みが彼を死に追いやった。
京太郎「君は、善人だ。素晴らしい人間だ、最愛の女だよ」
京太郎「でも、たまに最低の女になる」
死の際に二人で笑い合ったその笑顔を胸に、彼は五歩の後息絶える。
??「ううううっ、うああああああ~~~~~!!!」
バスルームで慟哭する花嫁の傍らでも、最愛の娘が涙を流していた。
復讐は何も産みはしない、それでも、花嫁はこれから先も歩いて行かなくてはならない。
ゴールの見えない真っ暗な道を、娘という希望の光と共に。
そして、犯した罪を受け入れるために...。
復讐は、まだ続いている。 完
最終更新:2016年08月06日 12:35