「はあ、枕ですか?」

「うん、そうだよ。私の推薦だけだと弱いみたいでね。あちらはユキちゃんに興味があるそうだから、寝てくれたら牌のお姉さんに決めるって言ってたぞ★」

 ユキちゃんははやりのポストを狙っているし、きっと食いつくよね。汚れてくれると嬉しいな。
 はやりの影響力も増えるし、向こうも満足で皆幸せだよ。ユキちゃんも枕でポストが入ったと思うから問題ないよね。
 ふふふ、まあ、本当は枕なんてしなくても次期牌のお姉さんはユキちゃんで確定しているんだけど。

「それでどうかな?」

「……お断りします!」

「えっ!?」

 断る?
 この子拒否するって言ったの?
 何で、牌のお姉さんだよ。ユキちゃんはそれを目指してアイドルになったんだよね。それなのにどうして?

「はやりの聞き間違いかな? ユキちゃんは牌のお姉さんになりたくないの?」

 絶対になりたいはずだ。
 この業界にはポストを得るためなら体を使う子ばかりだし、そういう覚悟がないはずないよね。
 ああ、駆け引きかな。
 安売りしない、はやりの反応から裏を読もうとしているとか、もっと美味しい話を出せとかそういうことか。

「牌のお姉さんにはなりたいですけど、枕をしてまでなる気はないですね」

 ほら、やっぱり本音では成りたいんだね。
 でも、あんまり枕はしたくないと、ユキちゃんは我儘だな。

「そうなんだ。実はユキちゃんに興味がある人って一杯いてね。幾つかの番組でレギュラーにしても良いってよく聞くんだよ」

 これで食いつくかな?
 もっと餌が欲しいとか欲張りなんだから。

「……はやりさんだから言いますが、実は私には婚約者がいます」

「はやぁ!?」

「夢を叶えるまで待ってると言ってくれた京太郎くんや応援してくれている先輩たちを裏切りたくないので枕はしません」

「…………」

 婚約者?
 待ってるって何?
 身持ちが固いのは心に決めた男がいるから?
 はやりにはいないのに、こんな小娘に結婚を約束している人がいる?
 そんなの許さない、絶対に許さない……

「そう、分かったんだぞ★」

 牌のお姉さんには絶対にさせない。
 はやりのコネを使って干してやるんだから!
 ふふ、ユキちゃんの夢は潰してあげる。その婚約者も失えば良いよね。ふふ、あは、アハハハッハッハッハ!!


カンッ!