これで連休最後の場所になるが、俺は今鹿児島にある神社を探して右往左往している。

ここに関しては記憶がないから土地勘も何も無い。

ただ地図と目印さえあればいいので、目的地までそれほど苦労はしなかった。


でかい鳥居が見えて来て、それを潜って行く。

途中、人とすれ違った。

ここの巫女さんだろうか?

頑張って本殿までの道程を登っていったら声を掛けられた。

ナイスなおもちをお持ちの方でした。






「あの、参拝の方ですか?」

京太郎「ええ、ある意味墓参りですが。」

「?ここは神社なのですが……」

京太郎「ここに7歳くらいで亡くなった金髪の男の子はいませんでしたか?」

「!!……あの、一体どちら様でしょうか?」

京太郎「須賀です、須賀京太郎です、その反応を見る限り、何か心当たりがあるんですね?」

「……よく似てらっしゃいますね。」

京太郎「そうでしょうね。」

「……どうぞこちらへ。」


本殿の道程とは少しはずれて、普通の家らしき道程へと向かう。






京太郎「あの、何所へ向かうんでしょうか?」

「姫様のところです……」

京太郎「姫様?」

「姫様とは代々本家からの巫女を受け継いでいる神代小蒔のことです。」

京太郎「はぁ……それと、えーっと貴女は?」

「これは私としたことが……」

霞「申し遅れましたが、私、石戸霞と申します。」

京太郎「これはご丁寧に……」

霞「多分、姫様に会えば須賀さんの目的に沿うはずです。」


それだけ話してあとは口を噤んだ。

どうせ着けばわかるのだから。


家に着いたと思ったら石戸さんが家に入っていった。






霞「姫様お客様です。」

小蒔「はぇ?」

霞「お 客 様 で す」

小蒔「はいぃ!」


なんかやり取りがあったと思ったら誰かが家から出てきた。

これまたナイスなおもちをお持ちで……






小蒔「この殿方がお客様ですか?」

霞「はい、ただ姫様というよりは……」

小蒔「寝れば良いのでしょうか?」

霞「はい、お願いしますね。」


神代さんが深呼吸をして目を閉じると、別人になったような気配がした。

神代さんが喋り出す、先ほどとは明らかに違う声で。





小蒔(?)「やあ、よくきたね。」

京太郎「お前か、やっと会えたぜ。」

小蒔(?)「何しに来たの?」

京太郎「なんていうか……そうだな、強いて言うなら墓参りとお礼だな。」

京太郎「お前には引っ張り上げてもらったしな。」

小蒔(?)「気にしないで、僕は君だから、だから引っ張り上げたんだ。」

京太郎「あと、なんで『俺達』と一緒にならなかったか聞いていいか?」

小蒔(京太郎)「まだこの人は安定しないからね……」

小蒔(京太郎)「だからまだ僕が付いててあげなきゃいけないんだ。」

京太郎「……いつ頃まで?」

小蒔(京太郎)「そうだね……君の寿命が尽きる前ってことは無いけど。」

小蒔(京太郎)「この人がお母さんになって、次代の巫女が育ったらかな?」

京太郎「元に戻るのは当分先だなー。」

小蒔(京太郎)「そうだね、早くお婿さん見つけないとね。」

小蒔(京太郎)「あ、でも、もしこの人に手を出したら承知しないからね?」

京太郎「うへ~剣呑、剣呑。」

京太郎「それより、お前は幸せだったか?」

小蒔(京太郎)「存在しない僕にそれを聞く?」

京太郎「それでも聞いておきたい。」

小蒔(京太郎)「……少なくともこの人の傍に居たいと思ってるよ、それだけ。」

京太郎「そっか、それならいいんだ。」

京太郎「最後にお前の墓参りに行くよ。」

「僕にお墓はないよ。」

京太郎「それでも行きたいんだ、お前は俺だからさ。」

「……好きにすると良いんじゃないかな?」

京太郎「好きにさせてもらうさ。」

小蒔「う~ん……」

小蒔「あ~おはようございます~……」

京太郎「神代さん、わざわざ、ありがとうございました。」

小蒔「いえ、私も久しぶりに会えましたので……」

小蒔「と、言いましても、顔や名前も声も、わからないのですが……」

京太郎「きっとまた、会えますよ、その男の子に。」

霞「それでは須賀さん、参りましょうか。」

京太郎「ええ。」


そう言って俺は石戸さんに連れられて本殿に向かい、お参りして帰った。


【重ならぬことを選んだ最後の一人】

京太郎(永水)・小蒔「「リンシャンツモ、スーカンツ、和了です。」」