俺は今、岩手に来ている、俺は照ちゃんに勇気をもらった。

だからもうちょっと頑張れる……頑張れる気がした。

そして宮守女子高校に着く、俺が居たときとはやっぱり違うんだな。

ともかく校門を潜って麻雀部に顔を出す。


???「ダレ?」

京太郎「エイスリン先輩?」

エイスリン「?」

京太郎「あ、あの俺、ちょっとここに用事があって。」

エイスリン「オキャクサン?」

京太郎「まぁ、そんなところです。」


本当はお客さんと言うのも憚られる、元々俺はここにいたので客と言うより家人に近いのだが……


塞「あれ?誰?」

エイスリン「オキャクサン!」

塞「そうなの?」





俺を支えてくれた人が居た。


京太郎「須賀京太郎です。」

塞「初めまして、臼沢塞です。」

京太郎「……こちらこそ。」


照ちゃんでわかっていたはずなのにな。

やっぱり辛いな……


塞「あの、どこか具合が悪いんですか?」

京太郎「……いえ、大丈夫ですから。」


シロ「ん……」

塞「あ、シロ。」

京太郎「こんにちは。」






俺が迷った時に道を教えてくれた人が居た。

多分この人も覚えていないだろう、何よりそういうことが煩わしいと思うような人だ。


シロ「ちょっと失礼……」


この人はいきなりこっちにやってきて、こともあろうか俺の背中に登り始めた。


塞「ちょ!?ちょっと!?シロ!?」

シロ「凄くフィットする……」

京太郎「……そうですか。」


体のダル気はどうやっても変わらないようだ。

まったくこの人と来たら……

半ば呆れ気味だったが嬉しかった。

心のどこかに、体の記憶に、少しでも俺のことが残っていたのかと思うと。






胡桃「こんにち……わっ!?」

トシ「おやおや珍しい人が来たもんだねぇ。」

豊音「えー?どうしてシロが男の人に乗っているのー?」


俺と手を繋いでくれる人が居た。


京太郎「その、成り行きで?」

シロ「私の体が彼の体を必要しているの。」

胡桃「!?」

豊音「か、過激だよー!」

京太郎「ちょ!?シロさん!?誤解を招くような言い方はやめて!」

トシ「ちょっと見ない内にとんだことになっていたみたいだねぇ。」

塞「この人は熊倉先生の知り合いなんですか?」

トシ「知り合いと言えば知り合いかねぇ?」

京太郎「!?」

トシ「ただ、最近歳を取ったせいか物忘れが酷くて……」

京太郎「…………」


相変わらずよく分からない人だ。






トシ「ただあんたたちが打てば思い出すかも……」

塞「それじゃあ私が入りますね。」

シロ「ダルいけど仕方ない……」

豊音「私も打つよー!」


この人たちと打つのはいつ振りだろうか。

一緒に卓を囲んだのはいつ振りだろうか。

そんな事を思い出すより先に今を楽しんでおきたいと思ってしまった。


シロ「よろしく……」

塞「よろしくね。」

豊音「よろしくだよー!」

京太郎「よろしくお願いします。」


いつものように打ち、いつものように本気で能力を使って当たりあい。

まるであの日が戻ってきたようだった。






「「「「ありがとうございました。」」」」


トシ「どうだい?何かわかったかい?」

塞「なにか前に打ったことあるような気が……」

シロ「ダルい……」

豊音「京太郎君と打ってると楽しいよー」

胡桃「それで熊倉先生、この人は誰なんですか?」

トシ「ああ、こいつはね、私の放蕩息子みたいなものさ。」

トシ「あとついでに放浪癖もあるねぇ。」

トシ「そんな勘当同然な息子は今まで忘れてしまっていたわ。」

京太郎「ひっでぇ……」


絶対この人は最初からわかっていた。

その上でとぼけて打たせたのだ。

本当に食えない人だ……






豊音「でも、京太郎君と打つのは楽しかったよー。」


そう言って豊音さんは椅子から立ち上がろうとしてふらついた。

気付いたら手を伸ばしていて、豊音さんの手を掴んでいた。

初めて豊音さんと会ったあのときのように。


京太郎「危ない危ない。」

豊音「あ、ありがとー」

豊音「やっぱり京太郎君はいつも私を助けてくれるんだー。」

京太郎「俺の事を思い出したんですか……?」

豊音「だって初めての友達だもん……」

シロ「おんぶ……」モゾモゾ

塞「また!?」

シロ「だって京太郎は『いつでも背中を貸す』って言ってたし。」

京太郎「!?」

京太郎「シロさん……いつから思い出してたんですか?」

シロ「さて、いつからでしょう……」


この人もなんだかんだで食えない人だった……






エイスリン「…………」カキカキ 

エイスリン「キョータロー!コレ!」バッ

そういえばさっきからエイスリン先輩が何か描いてたな。


京太郎「これ……って。」

エイスリン「ミンナ、イッショ!」


俺を含めて宮守のみんなが道を歩いている絵を見せてくれた。

あの時描いてくれた絵と瓜二つだ。

京太郎「そうですね、みんなで帰りましょう。」

胡桃「??」

トシさんがみんなを引き連れて道を行く。

道に怖いものがあるなら胡桃先輩が隠して。

道が無いならエイスリン先輩がそこに道を描いて。

道がわからないならシロさんが道を決めて。

道に穴があるなら塞さんが塞いで。

そうやって道が続いたなら豊音さんに手を引いてもらう。


豊音さんは俺が豊音さんを救ったと思っているみたいだが……


「京太郎君と手を繋げると、ちょーうれしいよー!」


やっぱり、救われたのは、実は俺の方だったみたいだ。


【もう一度、描いて紡いだ道】


京太郎(宮守)・豊音「「もういっこカン(だよー)!」」