犬猿の仲。という言葉がある。

 例えば、彼女らのことを指すのだろうか。


 「キョウタロウ!」

 「キョータロー!」

 「あーあー、うるせーうるせー!」


 須賀京太郎にまとわりついて離そうとしない二人。

 白糸台の大星淡と臨海のネリー・ヴィルサラーゼだ。

 高校インターハイの最中になんやかんやで京太郎と淡、ネリーは仲良くなった。

 一般的な男女関係として、『友達』に分類されるはずだ。

 だが、気づけば大岡裁きの如く両方から手を引っ張られている。


 「呼び方真似するな!」

 「なっ、そっちが真似してるんでしょ!」

 「いや、なんかニュアンス違うからわかるよ。

  だから喧嘩すんな」

 「「キョウタロウ・キョータローは黙ってて!」」

 「……はい」

 「かませの癖に!」

 「なっ! かませって何さ!」

 「散々勿体ぶったラスボス候補(笑)だったのにスピンオフでやられたじゃん」

 「むきーっ!

  あれは淡ちゃん本気じゃなかったし!」

 「私はまだ本気出してないから」

 「そんなこと言って余裕ぶってパウチカムイ(笑)にやられたじゃん!」

 「あ、あれは違う! 違う!」

 「あー、もー、うるせー」

 片方と遊ぼうとすれば片方が来る。

 京太郎が伝えていないはずなのに、だ。

 本人たちにそれとなく聞いてみたところ、どちらかと遊ぶことが決定すると自慢の電話を入れるらしい。

 その結果、三人で遊ぶことになる。


 「(こいつら本当は仲良いんじゃねーか……?)」


 そう思っても口には出さない。

 以前同じことを言ったら数時間の間罵倒された。女の子の怒りは理不尽だ。


 「だいたい、キョータローはそんなロリ体型に興味ないし!」

 「思わぬ性癖暴露!?」

 「ぐぬぬ」

 「っていうか淡。

  お前急激に胸が育ったけどどうしたんだ」

 「なんか育った」

 「ヤダ怖い」

 「……ふふーん」


 最初こそ余裕を失っていたネリーだが、すぐに冷静さを取り戻す。


 「その代わり、キョウタロウは『魔物貧乳娘に好かれやすい』っていう属性を手放したね!」

 「あわーっ!?」

 「(いやいや、そんなんないから……)」

 「貧乳だったら一年生魔物貧乳娘大将戦に参加できたのに、残念だね。

  参加資格すらない。

  ネリーが残り二人を倒して終わりだよ」

 「ま、まだ負けるとは限らないじゃん!」


 半泣きになりながらも対抗する淡。

 どうやら今日は淡が劣勢らしい。

 「その辺にしとけ、ネリー」

 「キョウタロウ、私の勝ち?」

 「淡ちゃん負けてないもん!」

 「ネリーがやりすぎるなら、今日は淡と遊ぶぞ」

 「そ、それは……」

 「へへーん。淡ちゃんの勝ち!」

 「淡も反省しろよなー、もー」

 「私なんて胸おっきくなっただけじゃん!」

 「そ、そうだけど」

 「キョウタロウ、目がいやらしい!」

 「いてててて!」


 何で魔物二人に懐かれてしまったのか、なんやかんやの理由はあった。

 しかしなんやかんや言いつつも最後には収めて三人で遊ぶことになるのだ。


 「(やっぱりこいつら、仲良いよな?)」

 「キョータロー! 早く行こ!」

 「キョウタロウ! お金は男が払って!」

 「あっ、そういうのよくない!」

 「ネリーはお金にがめついよ」

 「でも、さらっとお金を払ってくれる男の人ってカッコイイよね」

 「それは、そう、かも……」

 「えへへー、うそうそ!

  でもデートには期待してるよー!」

 「はいはい」


 ネリーが真っ赤になっている。淡はいつもの笑顔を振りまいている

 まぁ、この三人で遊ぶのも非常に楽しいし、『犬猿の仲』に付き合うのも悪くない、かな。


 カン!