夕方少し前
宮永家・リビング

照「やっと着いた…は、良いけど」ハァ

京太郎「…まさか、家に誰も居ないとは。照ちゃんが合鍵持ってて助かった」

照「お父さん、帰ってくるの遅いから」

京太郎「そっか」

照「咲は…わかんないけど」

京太郎「いや、アイツは今日はまだ部活でしょ」

照「そっか」

京太郎「うん」

照「…」

京太郎「…」

照「…」ソワソワ

京太郎「…」ソワソワ

照「…お、お茶でも、飲む?」

京太郎「…い、いいかな?」

照「う、うん…」ゴソゴソ

照「…ごめん。無かった」ショボン

京太郎「そ、そっか…」

照「うん…」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…」ソワソワ

照「…」ソワソワ

京太郎「…えーっと…」

照「…お父さん、帰ってくるの遅いから」

京太郎「…」

照「…咲も、部活だったね」

京太郎「…う、うん…」

照「…」ソワソワ

京太郎「…」ソワソワ

照(…私、何期待してるのバカ)カアアアアア

京太郎(照ちゃんの言わんとしてることって…やっぱ、そう…だよな?…勘違いじゃ…ない…よな?)

照「…」ソワソワ

京太郎「…」ソワソワ

照(つ、付き合って初日に、その…せ…あの、だ、抱き合おうとか、そんなの、まるっきり変態じゃない…)

京太郎(今日いきなり襲ったりしたら…嫌われたり…しないよな?でも女の子ってシチュエーション大事にするって言うし…)

照「…」ソワソワ

京太郎「…」ソワソワ

照(あんまり女の子の方から積極的すぎると引かれるって聞いたことあるし…けど…)

京太郎(もじもじしてる照ちゃんヤバイ…可愛い…襲いたい…)


照(…けど、ずっと貯めこんできた想いが、溢れて爆発しそうなんだよ…!!)

京太郎(もうずっと貯めこんできた想いが、溢れて爆発しそうなんだよ…!!)

照(ねえ、京ちゃん)

京太郎(なあ、照ちゃん)

照(もし、君が私のことを、愛してくれてたって言葉)

京太郎(照ちゃんが俺の事好きだったって言葉)

照(嘘じゃなかったら…)

京太郎(…信じていいんだよな?)

照(ううん。疑うべくもない)

京太郎(…決まってるよな)

照(だったら、君も、私と同じハズ)

京太郎(同じ事、考えてる…そうだよな?)

照京太郎 *1

照(受け止めて…この思い…!!)

京太郎(感じさせてくれ。照ちゃんの、重さを!!)

照京太郎「「あ、あの…!!」」

照「…」

京太郎「…」

照「…何?」

京太郎「…照ちゃん」

照「…うん」

京太郎「…俺、今、ちょっと自惚れてるんだけど」

照「何?」

京太郎「俺、今、照ちゃんとちょっと、同じ事考えてる気がする」

照「…奇遇だね。私も。言ってみて」

京太郎「…こんな、こんな、急にこんな事して…もしかしたら、引かれちゃうかもって…怖いんだけど」

照「…ううん。引かないよ」

京太郎「…照ちゃんと抱き合いたい」

照「…うん」

京太郎「…いいの?」

照「…やっぱり同じ事思ってたから」

京太郎「…引かないの?付き合って、こんな、1日目で…がっつき過ぎって」

照「それだけ京ちゃんが私の事、愛してくれてるって事でしょ?心が通って、次に求めるのは身体に決まってる」

京太郎「照ちゃん…」

照「…それに」

京太郎「…」

照「私の方が、京ちゃんを抱き締めたいって、想い、強いんだから」

京太郎「…どうしてそう思うの?」

照「だって」

照「私の方が京ちゃんの事好きだもん」


京太郎「…むっ!」

照「ふふふ」

京太郎「いーや!俺の方が好きだね!」

照「残念。私だよ」

京太郎「俺だ!」

照「私!」

京太郎「じゃあ証明してみせる!」

照「どうやって?」

京太郎「抱いてだ!」ギュッ!

照「ひゃっ!?」ドサッ!

京太郎「なあ照ちゃん。俺、考えたんだけど、やっぱり言葉だけじゃ、どうしても伝えきれない想いってあるんだ」ギュッ

照「ちょ、ま、待って…」

京太郎「どうしても伝えたくて、知って貰いたくて、今まで何度も考えて、考えてそれでも伝えきれなかった想いが、あるんだ」

照「きょ、きょうちゃ…」

京太郎「それはどうしても、どうしても、どうしても、どうしても!伝えたい想いで。どれだけ君の事愛してるかって、たったそれだけの言葉なんだけど」

照「お、落ち着いて…」

京太郎「どれだけ知恵絞っても…どれだけ悩んでも…どうしても出てこないんだ。だって、この想いは、俺だけの物だったから」

照「京ちゃん!!」

京太郎「伝えたくて、伝えたくて、伝えたくて。けど、叶わなかった。付き合ってまだ数時間程度しか経ってないけど、一生分だって悩んだ気がするのに、考えれば考えるほど無理なんだ…」

京太郎「だって、この想いを表現出来る言葉が存在しねーんだもん」

照「…」

京太郎「…けど、たった一つだけ、伝える方法があったんだ。それは凄く単純な事で。方法で」ギュッ

照「…」

京太郎「…こうして、抱き合ってたら…伝わるんだ。伝えられるんだ。照ちゃんの鼓動と、俺の鼓動」

照「…」

京太郎「…生きてるって、こういう事、言うんだよな」

照「…」

京太郎「…抱き合って、照ちゃんの体温と、俺の体温を、伝え合うんだ。体温っていう、今までに生きてきた証そのものを」

照「…」

京太郎「生きてきた証と生きてきた証をくっつけて、お互いに、伝え合って…」

照「…」

京太郎「…好きだ」

照「…私も」

京太郎「…はは。やっぱ、違う。いつもの『好きだ』って想いより、ずっと強い」

照「…私も、だよ」

京太郎「…」

照「京ちゃんの想いが、頭じゃなくて、心に直接伝わってくる感覚」

京太郎「…」

照「あったかい感覚」

京太郎「…」

照「愛おしいって感覚」

照「『京ちゃんが好きだ』って感覚と、『私が京ちゃんを好きだ』って感覚」

京太郎「…」

照「そして優しい感覚。……ねえ、京ちゃん」

照「好き」

京太郎「好きだ」

照「好き」

京太郎「好きだ」

照「大好き」

京太郎「大大好きだ」

照「大大大好き」

京太郎「大大大大好きだ」

照「…愛してる」

京太郎「…俺も」

照「…けど、やっぱり私の方が好きな気持ちは大きいかな」

京太郎「いーや。これはどう考えても俺のが大きいって」

照「…くすっ」

京太郎「…ははっ」

照「じゃあ、試してみよっか」

京太郎「良いよ」

京太郎「じゃあ…」

京太郎(キスを…)スッ

照「あっ!!ちょ、ちょっと待って!!」

京太郎「…へ?」ピタッ

照「…お、お願いがあるの。その前に」

京太郎「…?」

照「い、一回離して…」

京太郎「…あ、ああ…」スッ

照「…」

京太郎「…どうしたの?」

照「そ、その…大変申し上げにくいんですが…」

京太郎「はあ」

照「…歯を」

京太郎「…ハオ?」

照「…歯を、磨いてきてもよろしいでしょうか」

京太郎「…」

照「…い、行ってくるね!」トタタタタ

京太郎(…気にしてたんだ。ゲロのこと…)

照「あ、あとね!京ちゃんは、私の部屋で待ってて!2階の、奥の部屋だから!!」

京太郎「おおう…そういえば、ここリビングだもんな。万が一途中で誰か帰って来たら…」ブルブルッ





同時刻
清澄高校

咲「…ふう」

和「…」

咲「…はあ…」

優希「…」

咲「…」クスン

和「…どうしたんですか?」ヒソヒソ

優希「…駄目だった…か」ヒソヒソ

和「駄目だった…って…!咲さんまさか!?」

優希「ばっ!の、のどちゃん!声が大きいじょ!」

和「って!優希!貴女こそなんでそんな、咲さんを応援するような発言を…」

和「…」

優希「…気付いた?」

和「…すみません。私が軽率でした」

優希「ううん。いいの。それより、ごめんな」

和「…別に、私は何も…本当に、何の力にも…」クスン

優希「良いよ。のどちゃんのお陰で私は元気になれる」

和「…」

優希「咲ちゃんも優希ちゃんも、フラれたじょ」

和「…」

優希「…けしかけたの、悪かったのか…な」グスン

和「…」

優希「けど、あの時は…私、だって、このままだったら照さんに取られるって…!ヒック」

和「…」

咲「…優希ちゃん」

優希「…咲ちゃん」

和「咲さん…」

咲「…あはは。二人共大きい声出し過ぎ」

優希「あ…」

和「…うかつでした」

咲「あはははは…」クスクス

和「…」

優希「咲ちゃん…その…ご、ごめん…」

咲「…ううん。いいの」

優希「…」

咲「私、お姉ちゃんに負けちゃったから」

優希「…」

咲「二人、付き合うって」


優希「そうか」

咲「…うん」

和「…」

咲「つ、つき…あう…って…」グスッ

優希「そうかああああああ!」グスッ

咲「うわああああああああああん!!」

優希「ああああああああああああああああん!!」

和(やれやれ…)

咲「ええええんえんえんえん!!付き合うって!二人!付き合ってさ!」

和(参りましたね。これは…)

優希「そっか…そっかぁ…!!」

和(まさか、一気に二人共…ですか。慰めるのに骨が折れそうです)

和「…けど、まあ」

咲優希「「うわああああああああああああああああん!!」」

和「…二人共、狡いです」ジワッ

和「…そんなに泣かれたら、私も、なんだか悲しくなってくるじゃないですか!」ギュッ

和「…」グスッ

咲優希和「「「うわああああああん!!」」」

和(恋に破れた友人達と一緒に泣ける私は、幸せものです)

和(こんなにも綺麗で眩しい恋の行く末を、2つも見届けられたのですから)

咲優希和「「「ああああああああああああああああああああ!!」」」

和(願わくば…)

和(私も、いずれ)

和(貴女達とその想いを共有出来れば)

和(恋心っていう感情…)

和(…それまでは、この中で私が一番子供ですね)

咲優希和「「「うああああああああああああああああああああああああああ!!」」」




宮永家・照の部屋…の、ベッドの上

照「…」チョコン

京太郎「えーっと…」チョコン

照「…あ、あの」

京太郎「…はい」

京太郎(…なんで俺ら、正座してんだろ)

照「ふ、不束者ですが、よろしくお願いします」ペッコリン

京太郎「こ、こちらこそ、お願いいたします…」ペッコリン

照「…」

京太郎「…」

照「…ど、どうしよっか」

京太郎「ど…どうするって…と、取り敢えず?」

照「と、取り敢えず…」

京太郎「…服脱がしていい?」

照「…」

京太郎「…」

照「…じゃあ、私が京ちゃんの服脱がす?」

京太郎「…なんか、恥ずかしいなそれ」

照「…うん」

京太郎「…」

照「…」

京太郎「…歯よく磨けた?」

照「うん。京ちゃんは何してた?」

京太郎「えーっと…ガム食って、口臭予防して…照ちゃんの部屋見てた」

照「あんま見ないで。その…帰ってくるの久しぶりだったし、埃とか溜まってる…お父さんも咲も掃除あんまりしてくれなかったみたい」

京太郎「そっか…」

照「うん…」

京太郎「…」

照「…あ」

京太郎「…ん?」

照「…ゴム」

京太郎「あ」

照「どうしよ」

京太郎「…買いに行こう」

照「…」

京太郎「いや。その…ね?ほら、いろいろと」

照「…確か、近所に怪しい自動販売機が有ったはず…」ノロノロ

京太郎(しまらねえ…!圧倒的…っ!!しまらねえ…っ!!)





同時刻
白糸台高校

菫「ただいま」

淡「あ!帰って来た!」

誠子「お疲れ様です!」

菫「ああ。尭深、GPSありがとう。返すよ」

尭深「お役に立ちました?」

菫「ああ」

淡「…どうでした?」

菫「なんだ淡。お前キャラ割れたのに変えないのか?」

淡「何の話だか私には分かりかねますが!!」

菫「冗談だ」

淡「なんて性格の悪い…」ワナワナ

菫「まあ、今更だしなぁ」

淡「だからそういう事を言わないの!!」

菫「あ?」ギロッ

淡「なんでもございません…」シュン

誠子「あの…弘世部長…」

菫「ん?」

誠子「それで…その…」

尭深「結果…」

菫「…?淡から聞いてないのか?」

誠子「それが、弘世部長が帰ってくるまでは秘密ですーの一点張りで…サバイバルナイフ突きつけても」

尭深「お茶かけて髪の毛収穫するって脅しても口を割らなかった」

菫「お前らもさらっと…」

淡「この人ら、本気かどうかいまいち判断付かないんで真剣に怖かったんですからね!」

菫「まあ、お前らも全然喋らんからキャラ掴めんしなぁ…」

誠子「ひどっ!?」ガーン

尭深「今更!?」ガーン

淡「自分はなんか暴君化してるくせに!」ガーン

菫「はっはっはー。淡後で面貸せ」

淡「いやだーーー!殺されるー!!」

誠子「で、部長」

尭深「詳細はよ」

菫「おお、そうだった」

淡「うううう…よくよく考えたら、本当にあの金髪小僧如き恐れるに足らずだった。何しろここは魔境…暴君と天然と殺し屋とお茶お化けの統治するゴッサムシティ…」ブツブツ

菫「…概ね成功さ」

誠子「よっし!」

尭深「いえー」ピース

菫「…だがなぁ」

誠子「…?何か問題が?」


淡「だったらあの須賀京太郎って雑魚殺しに行きましょうか!先輩たちで!私見てるだけでも!」

尭深「淡うるさい」

菫「…ん。まあ、問題っつーか…ははは…な?」

淡「…?」

菫「…あのボンクラに、まともなオツキアイが出来るのかなっと」クスッ

誠子「ああ」

尭深「ああ」

淡「ああ」

菫「…ま、後は、我々の預かり知らぬところではあるけどね」

淡「…そっか。それくらい、か」

菫「なんだ?何か不満でも?」

淡「…ん。いや、そんな不満があるってわけではないんですが…」

菫「…?」

淡「貸しもあることだし、こっち来た時はプリン奢らせないとなーって」

菫「…はっ。好きにしろ」

淡「…ふふっ。ええ。彼女さん諸共に♪」