思い出したかのように小ネタシリーズー『かえりみち』
京太郎「…で、なんか部活から追い出されるみたいにして出てきた訳だけど…」
照「…」
京太郎「照ちゃん、この後…」
照「一回、うちに帰る」
京太郎「だよ、ね」
照「うん。お父さんにも一回会っておきたいし、咲にだって…」
京太郎「だよな。せっかくここまで来たんだしな」
照「うん…」
京太郎「…一緒に行こう。送ってくよ」
照「ありがとう」
京太郎「はは…まさかそんな事は無いと思うけど、万が一地元で迷子になられてもアレだしな」
照「…」
照「そ、そんなことは…無いと」
照「…思うよ」ボソッ (←小声)
照(今朝迷ったけど…流石に思い出したし)
京太郎「ん?」
照「なんでもない。行こう」
京太郎「おう」
照「…」
京太郎「…」
照「…」
京太郎「…照ちゃん?」
照「…ね、ねえ、京ちゃん」
京太郎「…ん?」
照「…手、つないでもいいかな」
京太郎「…へ?」
照「やっぱり迷子になるの、怖いから」
京太郎「…」
照「一緒に、歩いて行きたいの」
京太郎「…」
照「…だ、駄目…かな」
京太郎「ん。そうだな。じゃあ、手、繋ごうか」
照「うん。ありがとう」
京太郎「…ってかさー」
照「うん?」
京太郎「俺も照ちゃんの家、うろ覚えしー」
照「ええ!?けど、咲の家だし…」
京太郎「いやあ参った参った。咲の家だろ?ここしばらく行ってなかったしなー」
照「嘘だっ!」
京太郎「ホントだって」
照「嘘くさい。だって、今朝先と一緒だったし」
京太郎「さーね?」
照「むう…」
京太郎「だから、さ」スッ
照「…ん?」
京太郎「照ちゃんが、俺の手引っ張ってってくれない?」
照「…」
京太郎「…駄目?」
照「…いいの?」
京太郎「んあ?」
照「私、実は帰り道、うろ覚えかも」
京太郎「俺も覚えてないし、おあいこだ」
照「道間違えるかも」
京太郎「ま、寄り道みたいなもんでしょ。地元だし」
照「迷子は情けないよ?」
京太郎「なんとかなるさ。ついでに面白いもん見っけたりしてな」
照「変なトコに行っちゃうかも」
京太郎「照ちゃんとなら、怖くない」
照「怖い人に会ったらどうする?」
京太郎「照ちゃんの腕、引っ張って逃げる」
照「何処に行く?」
京太郎「何処へでも」
照「そっか。なら、いいや」
京太郎「おう」
照「京ちゃんに手、引っ張ってもらえるなら、それでも良いな」
京太郎「最終手段ですよ?」
照「わかってる」
京太郎「ん。じゃあ、行くか」
照「うん」
照「帰ろう」
京太郎「行こう」
照「私の家へ」
京太郎「照ちゃんの家へ」
照「…」
京太郎「…」
照「…ふふっ」
京太郎「…なんて、あはは、やっぱ照ちゃんも文学少女だ。咲にノリがそっくり…」
照「えいっ!」ギュッ
京太郎「…っ!」」
照「…」ギューッ
京太郎「…」
照「…」ギューッ
京太郎「て、照…ちゃん?」
照「私の前で他の子の話題出した罰」
京太郎「…」
照「…妹の咲だからって、許さないよ。私は嫉妬深いんだ」
京太郎「…」
照「だから、罰。京ちゃんはこのまま私をぎゅっ…と抱きしめる事」
京太郎「…」
照「じゃないと拗ねるから」
京太郎「…」
照「わかった?京ちゃん」
京太郎「…」
照「…京ちゃん?」
京太郎「…」
照「あれ?京ちゃ…」
京太郎「それ…」
照「…え?」
京太郎「もう罰でもなんでもねーよな」ギュッ
照「ひゃっ!?」
終わり
最終更新:2012年09月28日 21:31