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はい、こんにちは。原村和です。
清澄高校1年生で、麻雀部の副将を務めています。
麻雀部のメンバーは、3年生で部長の竹井久先輩、2年生で副部長の染谷まこ先輩
同じ1年生で先鋒の片岡優希、大将を務める宮永咲さん。
それと男子の須賀京太郎君の6人です。

えっ?男子1人に女子5人はバランスが悪くないかって?
確かにそうなのですが、みんな仲良くやっているので問題はないですね。
ただ、須賀君が私の胸を時折チラチラ見るのは勘弁していただきたいですね。
思春期の男の子ですから見てしまうのは仕方がないと分かってはいるのですが……
やはりちょっと気になります。

あっ、そういえば須賀君で思い出しましたけど先日こんなことがあったんですよ。
詳しいことは染谷先輩に教えてもらってください。






おー、眼鏡の似合う美少女、染谷まこじゃ、よろしくのぉ。
なに? ワカメ髪のキンクリ少女?
わりゃ、もーちっとデリカシーちゅうもんを身に着けんかい。

ん? 先日の京太郎?
そうなんよ、突然人通りの多い学校の廊下で久に向かって土下座を始めよったんじゃ。
「部長! 俺をインターハイに出れるくらい強くしてください!鍛えてください!!」
ってな。
で続けて「そのためなら靴でもケツの穴でも舐めます! だからお願いします!!」
こう言いよったもんじゃからギャラリーの反応が凄かったけぇ・・・
ククク… 久の奴の慌て様は見てて面白かったがのォ。

この間の京太郎のこと?
アレはびっくりしたじぇ、染谷先輩から詳しく聞いた?
どんな感じって教わったじぇ?
うむうむ…
うん、大体それであってるじぇ。
でも京太郎の眼はマジだったじぇ…
あっ、ケツを舐めるとかじゃなくて、鍛えるの方な。
本当に覚悟を決めた男の顔だったじぇ。





先日の須賀君のこと?
ええ、あれは参ったわ…
だって土下座してあんなこと言われるんだもの!
学校中に「学生儀会長は一年男子を奴隷扱いしてる」とか「竹井久はエロエロSM女王様」とか根も葉もないうわさが広がったのよ!
えっ、「火の無い所に煙は立たない」? …って失礼ね! 
殴るわよ!
はぁ… 挙句の果てに教師まで出てくるんだから本気で慌てたわよ、あの件は…


まぁ、須賀君なりの誠意と本気の表明だったんだけどね。
そんなことしなくてもインターハイが終わった今、須賀君のことを最優先にするのは部の決定事項だったんだけどね。
咲たちの秋季の新人戦… 国麻… 全てを後回しにしてでも須賀君の練習が優先ね。
女子面子の実力が落ちようとも須賀君が楽しめて麻雀に強くなれる環境にする…
インターハイで私たちが優勝できたのは偏に彼が裏方に回って私たちが練習に集中できる環境を作ってくれたおかげ…
彼も卓について麻雀を打ちたかったと思うわ… でもその思いを飲み込んで私たちを支えてくれた…
一番インターハイの優勝カップにふさわしいのは彼かもね。
彼は本当に、大切な… 大切な麻雀部の仲間よ、だから彼にも麻雀を楽しんでほしい、勝利の栄光を味わってほしい
彼の練習に部活の全ての時間を割く、初心者の一番大事な数か月を奪ってしまった私たちができる唯一の罪滅ぼしね…

えっ?
なんで須賀君がいきなり鍛えてなんて言ってきたかって?
それは… 私には分からないわ…
中学からの付き合いがある咲なら分かるかもしれないわね。

はい、なんですか?
えっ、京ちゃんのこと?
京ちゃんは優しくて、家事万能で、誰とも仲良くなれる人だよ!
へっ? 聞きたいのはそういうことじゃない?
じゃあ… 一体何を聞きたいんですか?
いきなり京ちゃんが鍛えてくれって言った理由?
部長が私なら分かるかもしれないって言ってた?
うーん… 私は確かに京ちゃんと仲がいいよ…
でも、心当たりがないんだよねー…
私が京ちゃんと出会ったのは中学2年の時で、それ以降ずっと一緒にいたけど本当に心当たりはないよ…
そういえば私が京ちゃんに会う前に、離ればなれになった幼馴染が居るって京ちゃんから聞いたことがあるなぁ。
もしかしたらその人絡みかも。







おう、なんだ?
えっ、俺が竹井先輩に鍛えてくれって強訴した理由?
咲から小さいころ離ればなれになった幼馴染絡みじゃないかって聞いた?
ハハハ… そこまでバレてるのか… 恥ずかしいな…
ああ、その通りだぜ。
咲たちの応援に東京に行ったときにな、ばったりと出会っちまったんだよ。
俺の幼馴染たちに…
えっ? 一人じゃないのかって?
違うんだなこれが、三人いるんだよ。
そいつらはインターハイの個人戦に出場する選手になってたんだ…
そう、全国クラスの実力者だぜ。
懐かしさと同時に… 悔しさが込み上げてきたんだ。
幼馴染たちはインターハイ出場の栄光を勝ち取った勝者で俺は県予選敗退の負け犬…
で思わず胸にたまってたモノを吐き出しちまったんだ。
そしたらさ、笑っちまうぜ?
幼馴染たちが全員そろって、「なら来年は選手として東京に来いよ、俺たちもまた必ず選手としてくるから」って言いやがるんだ
全く、俺には勿体ない幼馴染だろ?
だから竹井先輩に恥も外聞も捨てて鍛えてくれって懇願したんだ。
幼馴染たちに顔向けできない俺になりたくないからな!

――1年後のインターハイ――


京太郎「待たせたな…」

アカギ「ククク… まさか一年でここまで来るとはな、京ちゃん… 狂気の沙汰だな… だが面白い…狂気の沙汰ほど面白い…!」

傀「御無礼、まさか本当に一年でここまで来るとは思いませんでしたよ」

哲也「京太郎、お前やっぱり凄いな。それでこそ俺たちの馴染みだぜ。ま、それより早く打とうぜ」


『インターハイ男子個人決勝が始まります! 今年は史上初めての二年生四人による決勝です!!』


アカギ「でよ、京ちゃん… 誰が本命なんだ?」

京太郎「はっ? 何のことだ?」

哲也「俺たちが馴染みのこと調べてないわけないだろ? で、誰が京太郎のコレなんだ?」

京太郎「………」

傀「小悪魔系の元学生儀会長に気配りのできる眼鏡っ娘部長、巨乳美女のインターミドルチャンプに元気印のタコス娘… そして中学からの付き合いのある文学少女… より取り見取りですね」

京太郎「………全国大会の決勝しながら話す内容じゃないだろう………」

アカギ・哲也・傀「今だから聞いてるんだよ」

京太郎「……言わなきゃダメか?」

アカギ・哲也・傀「もちのロン」

京太郎「はぁ… わかったよ… 言えばいいんだろ… 俺が好きなのは……」





――カン!――