京太郎「オレと別れてくれ。和」

和「忙しいスケジュールの合間を縫って久しぶりに会えたっていうのに随分な話題ですね。

 理由を教えて頂けますか?」

京太郎「………勤め先の会社が潰れたんだ。で、オレは今めでたく無職ってわけ。

   親父の会社も今大変らしくてとても頼れる状況じゃないし、仕事先も見つからない。

   だからまぁ、そういう事だ。」

和「………意味がわかりません。京太郎君の状況は理解出来ましたが、

 それが別れる理由にはならないじゃないですか」

京太郎「今は貯金を崩してなんとか生活してるけどこれから先仕事が見つかるかどうかもわからない。

   片や和はプロ麻雀士として順調で、タイトルも狙えるようになった。

   もう、俺とお前じゃ釣り合いが取れないって事だよ」

和「京太郎君は相手の肩書で付き合うかどうかを決めるような男性ではないでしょう。

 それも理由にならないじゃないですか」

京太郎「………!! わかるだろ!? オレはもう自分の事も満足にできなくなったんだ!!

   今のオレじゃもう和にラーメンを奢る事だって出来ない。

   給料三か月分の指輪を買う事だって出来ないんだ。

   もうオレじゃ、和を幸せに出来ないんだよ!!」

和「………わかりました。」

京太郎「…わかってくれたか。まぁ、和ならきっとオレなんかよりいい男がすぐに見つかるさ。

   じゃあな。今までありがとうな」

和「つまり京太郎君は経済的な不安から私との婚姻生活に支障をきたすと考えて

 私と別れる事を提案したのであって、私になんらかの落ち度や浮気をしていたわけではないんですね」

京太郎「? あ、あぁ…そういう事だよ。だからさっきも言った様にオレじゃ和を幸せに出来ないから…」

和「わかりました。では私が京太郎君を幸せにします」

京太郎「ふぁっ!? いや、あの聞いてた!?だからオレ金が無いから…」

和「今の私の年収は2000万をざっと超えています。

 よほどの贅沢をしない限りは何の問題もありません」

京太郎「…オレにヒモになれってのか?和、オレにだって男としての意地が…」

和「京太郎君は料理は出来ますよね?」

京太郎「え?あ、あぁ…そりゃ凝った物は作れないけど」

和「洗濯掃除、買い物…は高校時代で散々見ましたので問題ありませんね。では、家事全般の方をお願いします」

京太郎「主夫!?いや待て和、それだと逆プロポーズって事になるぞ!?」

和「? 夫になるわけでもない人にこんな事を話しませんよ」

京太郎「いや、でも…和の両親がなんていうか」

和「私は既に成人してますし経済的にもとっくに自立しています。両親は私の希望通りの進路を歩く様に

 仰っていましたし結婚相手も私自身が決めます。」

京太郎「………和はオレでいいのか?」

和「くどいですよ。何があっても最終的にこの私の傍にいればいいのです」

京太郎「やだこの人漢っぽい!?」

和「他に質問はありませんか?」

京太郎「え…いや………もうないです、ハイ」

和「わかりました。では、不束者ですがこれからもよろしくお願いします」ペッコリン

京太郎「いや、こっちこそ…っていうかこっちが不束者ですがよろしくお願いします」ペッコリン

※ ※ ※

京太郎「あれからもう五年か……いや、ホントにあの時はぶったまげたなぁ」

 「ねーねー、ぱぱー。ママとのプロポーズってどうやってやったの?」

京太郎「あー…どうだったかなぁ。ハハ…あ、ほらママテレビに出てるぞ。」

「わー!ママー!がんばれー!!」

京太郎(言えるわけねぇ…情けなさ過ぎて……)ズーン

カンッ