―― 淡の荷物を詰め込んでも、部屋の中にはまだ余裕があった。

とは言え、流石にこの部屋の中に五人目の入居者が来るとは思っていなかったのだろう。
莫大だと思っていた収納スペースは大分、埋まるようになっていた。
流石にコレ以上、同棲する相手が増えるといろいろと対策も考えなきゃいけないよな。
元々、一室は完全に収納用になってたけど…もう一部屋くらい収納用にしてしまおうか。

京太郎「(…どの道、殆ど部屋使ってないしなぁ…)」

俺達の部屋は複数のダブルルームの壁をぶちぬいて作った特別製だ。
勿論、ぶちぬいただけじゃなくてある程度のリフォームはして貰っているが、部屋の数は一つや二つではない。
けれど、その部屋の数を有効活用出来ているかと言えば、答えは否だった。
そもそも寝具が置いてある部屋が3つはあるけど、俺達が使っているのはその中の一つだけだし。
結局、寝る時にヤる事はヤっちゃうんだから、キングスサイズベッド一つで大抵事足りるんだよなぁ。

京太郎「(…しかし、淡とこんな事になるなんてなぁ…)」

正直、そんな事になるなんてまったく思ってはいなかった。
流石に嫌われているってほど鈍感じゃないが、ファーストコンタクトは最悪に近いものだったしなぁ。
俺にも淡にもそういうものは芽生える余地がないとそう思っていた。
普段からして、恋人って言うよりも悪友とかおもちゃって感覚の方が強いし。
一生そのままだなんて…漠然と思ってた。

京太郎「(…正直、この前のアレが原因だよな…)」

それが俺の中で変わったのは、淡が『憧と同じようにグチョグチョにするの?』と聞いてきた時だった。
あの時、俺は確実に淡を女として…いや、メスとて見てしまっていたのだから。
想像の中とは言え、自分が犯す淡の姿を見た俺は…彼女の事を意識し始めるようになったのだ。
それが先日の淡の告白で表面化し…結局、俺と淡は恋人同士となったのである。

京太郎「(まぁ…嫌じゃない…けどさ)」

淡はちょっと馬鹿だけど、可愛いし…んで、甘えん坊だ。
最近は俺の事をろくに手放さないくらいに全身で甘えてくる。
メデューサは個人主義な分、寂しがり屋だと聞くが、その性質が淡にも強く現れているのだろう。
或いは、そんな淡だからこそメデューサになったのか。
まぁ、どちらにせよ、俺にとって大事な事は… ――

―― ピンポーン

京太郎「ん?」

瞬間、聞こえてきたインターフォンの音に俺は思考を止めた。
そのまま視線を動かせば、部屋に備え付けられた受話器が赤く自己主張を繰り返している。
チカチカと点滅するそれに反応するのは部屋の中で俺しかいない。
仕方なく重い腰を椅子からあげて、俺は受話器を取った。

京太郎「もしもし?」

春「あ、須賀くん」

京太郎「あぁ、春か」

春「…遊びに来た。時間ある?」

京太郎「おう。今日は特に何かする予定があった訳じゃないし大丈夫だ」

京太郎「今、開けるな」

春「うん…待ってる」

受話器の向こうから聞こえてきた声は春のものだった。
最近、お互いに忙しくて聞けなかったその声に俺は内心、嬉しさを覚える。
今日は特に何かする予定があった訳じゃないし、何より春には色々と聞きたい事もあったからな。
俺自身、黒糖の一件から会えていなかった彼女に会いたいという気持ちはあったのである。

京太郎「(…ま、ちょっと身体は重いけど)」

その辺はまぁ、俺の甲斐性で何とか出来る範囲だ。
わざわざ来てくれた彼女を追い返すほど大層なものじゃない。
正直、ここから入り口の扉までの距離さえも長く感じるくらいだが…気合を入れて頑張ろう。

京太郎「もしもし?」

春「あ、須賀くん」

京太郎「あぁ、春か」

春「…遊びに来た。時間ある?」

京太郎「おう。今日は特に何かする予定があった訳じゃないし大丈夫だ」

京太郎「今、開けるな」

春「うん…待ってる」

受話器の向こうから聞こえてきた声は春のものだった。
最近、お互いに忙しくて聞けなかったその声に俺は内心、嬉しさを覚える。
今日は特に何かする予定があった訳じゃないし、何より春には色々と聞きたい事もあったからな。
俺自身、黒糖の一件から会えていなかった彼女に会いたいという気持ちはあったのである。

京太郎「(…ま、ちょっと身体は重いけど)」

その辺はまぁ、俺の甲斐性で何とか出来る範囲だ。
わざわざ来てくれた彼女を追い返すほど大層なものじゃない。
正直、ここから入り口の扉までの距離さえも長く感じるくらいだが…気合を入れて頑張ろう。

京太郎「まぁ、実害はないから気にしないでくれ」

京太郎「とりあえず俺に巻き付いてたらそれで良いみたいだしさ」

春「…その注文は結構、難しいと思う」

…だよなぁ。
会いに来た相手に魔物がずっと巻きつきっぱなしなんて俺だって気になって仕方がないし。
とは言え、無理矢理、引き離そうとしても、淡の力が強すぎてなぁ…。
下手に抵抗すると余計に強く締め付けられて文字通り身動きがとれなくなるからこのままでいるしかない。

春「でも、努力する」

京太郎「悪いな。あ、ともかく入ってくれ」ズリズリ

春「うん…お邪魔します」

まぁ、それよりも今は春に入ってもらう方が先決だよな。
折角、来て貰った相手と入り口に留めておくのも失礼な話だし。
正直、巻き付いた淡の身体が重すぎて歩みが遅いが…床を擦るように動けば移動できないって程じゃない。
とは言え、何時もどおりって訳じゃないから、淡と二人っきりの時間は何も出来なくなるんだよな。
まぁ、こうして淡とただ抱き合っているだけの時間っていうのは俺も嫌いじゃないから良いんだけど。
ってそれはさておき… ――

京太郎「適当なところに座っててくれ」

京太郎「今、お茶出すからさ」

春「…寧ろ、須賀くんの方が座って」

京太郎「いや…でもさ」

春「流石にそんな状態の須賀くんを働かせられない…」

京太郎「…ごめん」

…正直、格好悪いと思うが、今の俺が動くよりも春に任せた方が良いのは確かだ。
勿論、一番はこの瞬間だけでも淡に離れてもらう事なんだが…淡はさっきから完全にトリップしてしまっている。
どうやら髪と言う自由に動かせる感覚器官が増えた分、こうして抱きついているだけでもかなり幸せらしいんだよな…。
それはそれで嬉しいんだけど、幸せ過ぎて時折…いや、割りと頻繁に意識が『あっち』へと飛んじゃうのはちょっと困りものだ。

春「…ううん。気にしないで」

春「それに…お土産もあったから…私がお茶入れたかったし」

京太郎「お土産?」

春「…うん。後のお楽しみ」

京太郎「むむ…それなら仕方ないな…」

そういやさっきから手にビニール袋を持っているけど、その中にお土産が入っているのか?
正直、チラッとしか見ていないし…それにそれほど透けてる訳じゃないからわからないんだよなぁ。
まぁ、ちょっと気になるけれど、別にいますぐ知りたいって訳じゃないし。
ここは春の言葉に甘えて、素直に座って待っていよう。

春「…はい」スッ

京太郎「おぉ、ありがとうな」

春「どういたしまして」

そんな俺に春がお茶を運んできてくれる。
それに一つお礼を言いながら俺はそれを受け取った。
瞬間、ふわりと漂う緑茶の香り。
美穂子が吟味してくれたそれは、しかし、何時もと少し違っていた。

京太郎「…もしかして何か入れたのか?」

春「…鋭い」

春「…入れたのはコレ」スッ

京太郎「それは…」

春が袋から取り出したのはラベルも何もついていない小さな瓶だった。
手のひら大の大きさ程度のそこには茶色い砂のような『何か』。
一つ一つがきめ細やかでとても綺麗なそれはもしかして… ――

春「黒糖」

京太郎「おぉ。って事はちゃんと通販出来るサイト見つかったのか?」

春「うん。少し遅れたけれど…でも、ちゃんと反応してくれた」

京太郎「そっかー…良かったな、春」

春「…ありがとう」ニコ

京太郎「お、おぉ…」

って、いきなりそんな風に笑うなんて…。
くそ…ちょっと不意打ちでドキっとしちまった…。
普段、無表情って言っても良いくらい顔の筋肉動かないのに…笑うとすっげぇ儚くて綺麗なんだよなぁ。
迷宮の時も思ったけど、笑顔の春はちょっと反則だと思う…。

春「…須賀くんには本当に感謝してる」

京太郎「いや、俺は何もやってないだろ」

俺がやったのなんてアイデアを出したくらいだ。
実際、忙しくてまったくサイト探しなんかを手伝えていないんだから、改めて感謝されるような謂れはない。
少なくともこうして黒糖が見つかったのを知らせてくれただけでも俺にとっては十分過ぎる。
ましてやお土産まで持ってきてくれたんだから、こっちの方が申し訳なくなるくらいだ。

春「…ううん。須賀くんは一杯してくれた」

春「少なくとも…私はそう思ってる」

春「だから、今日はお礼と…そして布教しようと思って」

京太郎「布教?」

春「うん…須賀くんにも黒糖の事好きになって欲しかったから」

春「…だから、お土産も…」スッ

京太郎「お、おぉ…」

春の手によってビニールから出てきたのは見事に黒糖づくしだった。
色々な形に固められた純黒糖に、黒糖ジャム。
黒糖蜜に、黒糖ナッツ、くるみ黒糖、アーモンド黒糖…。
その他、色々な黒糖商品に思わず呆れとも感嘆とも吐かない声が出てくる。
春が黒糖好きなのは知ってたけど、まさかここまでとは。
正直、予想外と言っても良いラインナップと熱心さである。

春「私も既に試食してるけど…この黒糖はレベルが高い…」

春「昔ながらの製法でやっているからすっごい手間は掛かってるけど…サトウキビの甘さと匂いをとても引き出している…」

春「特にさっぱりとした後味はそれだけ頻繁に灰汁を取った証でもあるから…黒糖にとても愛情をかけているんだと思う…」

春「黒糖と一口に言っても色々あって…これは風味を味わうタイプなんだけど…そっちでもとても工夫がしてあって……」ハッ

京太郎「…ん?」

そこまで語った瞬間、春の動きがピタリと止まった。
そのままゆっくりと顔を俯かせる彼女にはさっきのような笑顔はない。
寧ろ、枯れていく華のようにシュンと項垂れ、申し訳無さそうにしていた。
一体、どうしてかは分からないが、どうやら春は何かを後悔しているらしい

春「…ごめんなさい…」

春「私ばっかり…ベラベラと黒糖の事話してしまって…」

…そうか。
春はあんまりそうやって自己主張しないタイプだもんなぁ…。
何かを語るなんて、きっと殆どした事がないんだろう。
…或いはこの申し訳無さを見るに、以前、それをやって引かれてしまった記憶でもあるのか。
どちらにせよ、今の彼女が自分を責めている事くらいはハッキリと分かる。

京太郎「(…そんな春に何を言ってやれば良いのかな)」

必要なのは元気づける言葉だと思う。
でも、春は今までずっと自分を押し殺して来たんだ。
友達付き合いなんて殆どした事もない彼女に下手な言葉は届かないだろう。
かと言って、誤魔化すような嘘を言って、慰めるのも失礼な話だし…。
ここは… ――

京太郎「俺はさっきみたいに一杯、話す春が見たいな」

春「え?」

京太郎「言っただろ、俺に対して遠慮するなって」

京太郎「春の事、もっと知りたいってさ」

春「…ぁ」

京太郎「だから、もっと聞かせてくれよ、黒糖の事」

京太郎「そんだけ好きなんだろ?」

春「……うん」

おずおずと、でも、しっかりと頷く春にはさっきのような後悔はなかった。
どうやら俺の言葉を春は信じてくれたらしい。
少なくともそうやって信じてもらえるだけの信頼関係が俺達にはあったって事なんだろう。
そう思うとちょっとこそばゆい気もするけれど…でも、それ以上に嬉しいな。

春「…じゃあ…あの…まずは黒糖がどういうものかから始めても…良い?」

京太郎「おう。そういううんちく大好きだからな」

春「…ありがとう」

それから始まった春の話は俺が思っていた以上に情熱的なものだった。
黒糖に対する並々ならぬ思い入れを感じさせる知識の山に若干、圧倒されそうになる。
だけど、そうやって嬉しそうに自分の知識を語っているのは春なんだ。
普段、殆ど表情を変えない春が目に見えてうんちくを語るその姿に俺も少しずつ黒糖と言う食べ物に引き込まれていく。

淡「…くぅ」

とは言え、俺とは違って、淡はまったく興味がないんだろう。
俺に抱きついたままの彼女はいくつか黒糖を味わった後、そう寝息を立てて眠ってしまった。
対面座位のような形で俺へとしがみつきながら安らかに寝息を立てるその姿を俺は落ちないように抱きしめておく。
その間にも春との間で黒糖談義は進み、そして日も暮れていって… ――

春「……あ」

京太郎「もう夜だな」

春が小さく声をあげた頃にはもう彼女が来てから数時間が経過していた。
日もどっぷりと沈み、普段からうすくらい街の空がもう真っ暗になってしまっている。
もう少ししたらきっと美穂子たちも帰ってくるだろう。

京太郎「折角だし晩飯も食っていったらどうだ?」

春「え…でも…」

京太郎「人数多いから一人くらい増えても大丈夫だしさ」

京太郎「それにこんなに美味しい黒糖のお土産貰って手ぶらに返す訳にはいかないだろ?」

実際、春の選んだ黒糖は俺が今まで食べてきたものとは比べ物にならないものだった。
俺のイメージする黒糖は甘ったるくて、一口でいいやってなる感じなのに、彼女のお土産にはそれがない。
寧ろ、甘さは大分すっきりとしていて、口にする度に何とも言えない匂いが口の中に広がる。
甘いと言うよりも『美味しい』その黒糖を俺も淡も夢中になって食べていた。
春が持ち込んでくれたお菓子はかなりの量だったが、その殆どがなくなっているくらいである。

春「…美味しかった?」

京太郎「あぁ。すげぇ美味しかったよ」

京太郎「だから、今度は俺が春に美味しいものをご馳走したい」

春「…うん。私も…ご馳走…されたい」

春「須賀くんが美味しいって思うものを教えて欲しい」

京太郎「おう、任せろ」

京太郎「頬が堕ちるような美味しいもの食べさせてやる」

そう言う春の表情は、大分、柔らかくなっていた。
最初はおっかなびっくりな感じで語っていたのに、もう今は緊張なんて何処にもない。
寧ろ、俺の部屋に訪れた時よりもその表情はリラックスしているように見えた。
さっきの黒糖談義に付き合った事で、彼女との距離がきっとまた近づいたのだろう。
そのお祝いって訳じゃないが…今日は折角だし豪勢にいこうか。

春「…須賀くんは……」

京太郎「ん?」

春「須賀くんは…どうしてそんな風に私に良くしてくれるの?」

京太郎「んー…そうだなぁ…」

…まぁ、キッカケはどう考えても同情心だよなぁ。
あんな暗い過去見てしまったんだから、放っておけないってそう思って…。
でも…命賭けで竹林の中、突っ込んで春のところへと飛び込んだ時は…多分、もう違ったんだと思う。
その頃にはもう放っておけないって言うだけじゃなくって…春の事をもっと身近な存在だと思っていたんだ。
ただ命を助けられた恩人ってだけじゃない。
短い間だったけど…一緒に危険を乗り越えた仲間であり、そして一緒に笑った友人だったんだ。
そんな俺の根底にあるのはやっぱり… ――

京太郎「…前も言ったけれど…一番は下心…かな」

春「…下心?」

京太郎「おう。春って可愛いからさ」

京太郎「特に笑顔とかマジやばいし、さっきもちょっとドキッとしてた」

春「そ、そう…」カァ

あ、ちょっと赤くなった。
まぁ、赤くなったって言っても頬に朱が差したかな?程度の微妙なものだけれど。
でも、そうやって照れを見せる春なんて今まで見たことなかったからすっげえ新鮮。
何より照れてるのかちょっと視線を逸らす姿も可愛くて…思いっきり胸の中で抱きしめたくなる。

京太郎「まぁ、前も言ったけど、良くされた、なんて気にするなよ」

京太郎「利用してやったってくらいで丁度、良いんだ」

京太郎「俺は狼で、そういうのに漬け込むタイプだからな」

京太郎「何せ、智葉達はそうやって俺が恋人にしてきたからな」ゲスカオ

春「……」

京太郎「…ってあれ?」

…なんのリアクションもない。
もしかして…これ外した?
地雷踏んじゃって…好感度だだ下がりって奴ですか!?

春「…須賀くん…ううん、京太郎」

京太郎「あ、はい」

春「…これ」スッ

京太郎「…え?これって…」

春から渡されたのはメモリーチップだった。
既に俺のCOMPに4つ刺さっているのと同じ形のそれはきっと彼女の個人情報の塊なのだろう。
そんなものを俺に渡すと言う事は…もしかして…春… ――

春「…私も仲間に入れて欲しい」

京太郎「いや…でも、春…」

春「…大丈夫。大体、京太郎が何をやっているのかは分かってる」

春「…分かってて、覚悟の上で…そう言ってる」

京太郎「…………春」

…あぁ…そうだな。
春の目はもう完全に覚悟を決めたものだ。
本気で俺の仲間になりたいと…俺の助けになりたいとそう思ってくれているんだろう。
でも…だからと言って『はい、次からお願いします』なんて簡単にはいかない。

京太郎「それが危険な事だって分かっているのに、なんで仲間に入れて欲しいなんて言うんだ?」

春「…私には何もないから」

春「こんなに良くしてくれている貴方に…私は何も返せてない…」

春「私の初めての友達なのに…私、貰ってばかりで…」

春「だから…時々不安になって…眠れなくなる」

春「もし…京太郎に嫌われたらどうしようって…何時も…考えちゃう…」

京太郎「……」

それはきっと彼女が友達付き合いと言うものを知らなかったからだろう。
春は特殊な環境にずっと置かれ、その中で自分を殺すしかなかったのだから。
人に言われるがまま動く事をアイデンティティにしていた彼女にとって、何も相手にシてあげられないというのはきっと不安なのだ。
不安で不安で…だからこそ、こうして俺の仲間になりたいと言ってくれている。

春「…本当は…ちょっと京太郎の恋人になるのも考えた」

春「私に下心あるって…京太郎はそう言ってくれたから」

春「…時々、胸も見てるから…誘惑したらエッチしてくれるかもって…」

京太郎「う…ご、ごめん」

春「…ううん。大丈夫」

春「私、嫌じゃなかったから」

春「それに…京太郎にそうやって見られる度に…ドキドキしてた」

ど、ドキドキ…?
いや、まてまて…冷静に…冷静になるんだ。
何もドキドキしてるからって、俺の事が好きとかそういうのに即座に繋がったりしないだろう。
ここで早とちりしてしまっては話の腰を折る事にもなるし、とりあえず思考の端に追いやって…。
とりあえず今は春の言葉をしっかりと聞く事に集中しよう。

春「だから、もしかしたら…私、京太郎の事好きなのかもしれないって…そんな事も思って…」

春「…京太郎が私を恋人にしてくれるなら…側にいられるならそれで良い…とかも…考えた」

春「だけど、そんなの辻垣内さん達に悪いし…ただでさえ恋人多い京太郎が逆に大変になりそうだから諦めて…」

春「でも…京太郎は今日だって私の話…嫌な顔一つせずに聞いてくれて…」

春「私がして貰った事だけが…ドンドン増えていく」

春「私がした以上の事を…貴方は何時も…私にくれる」

春「…だから…もう私にはこれしかない」

春「女としてですら京太郎の役に立てないなら…力で役に立つしかない」

京太郎「…春」

春「…だから、お願い」

春「私が不安にならないように…側にいさせて」

……分かった、なんて気楽には言えない。
勿論、俺は春の気持ちに答えてやりたいとそう思ってるし…俺は彼女の我儘は全て叶えるとそう約束した。
だけど、今の春が口にしているのは決して健全ではない感情だ。
今まで寄る辺をなくしていた彼女がようやく得た友人に寄りかかっているだけなのである。

春「…何でもするから…せめてチャンスだけでも下さい…」

春「お願い…します」ペコ

京太郎「…………」

…だからと言って、頭まで下げる春を無碍になんて出来ない。
こうして言葉一つだけでも彼女が思いつめているのが伝わってくるんだから。
ここでダメだなんて言ってしまったら…きっと春は自分の事を責めるだろう。
もしかしたら、自分は何もしてあげられないからって、俺を避けるようにだってなるかもしれない。
そんな予想さえ思い浮かぶ春の様子に俺は小さく肩を落とした。

京太郎「…分かった」

京太郎「だから、顔をあげてくれ」

春「…本当?」

京太郎「あぁ。つっても…チャンスをやるだけな」

京太郎「まだ確定って訳じゃないぞ?」

春「…うん。それで十分」

春「ありがとう、京太郎」ニコ

京太郎「う…」

あーもう…なんでそこでそんなに嬉しそうに微笑むかなぁ…。
…いや、勿論、それだけ内心、不安だったんだろうけどさ。
だけど…だからって、そんな風に笑われると俺も勘違いしそうになるというか…。
春が俺の事を好いてくれているんだって…そんな風に思いたくなってしまう。

京太郎「(…とりあえず…その辺の事は後回しって…え?)」

そう自分に言い聞かせながら俺はCOMPを起動し、チップを読み込ませる。
瞬間出てきた画面を操作し、俺は春のデータを開いた。
スリーサイズや種族、現在の心拍数などが完全に赤裸々になったそのデータに一瞬、思考が止まりそうになる。
…まるで俺に隠す事なんて何もないと言わんばかりの情報の山に、俺は出来るだけ目を寄せないようにしながら、重要な部分まで画面をスクロールさせた。




名前  滝見春
Lv   36
種族  きつねつき
タイプ ほのお
特性2 もうか(HPが1/3になった時、ほのおの威力が1.5倍になる)


HP 230/230
MP 40/40

こうげき40
ぼうぎょ60
とくこう100
とくぼう80
すばやさ70

技1 おにび 消費4 ほのお 変化 命中85 鬼のような火で相手を火傷にする
技2 はじけるほのお 消費4 ほのお 特殊 威力70/命中100 当たると弾ける炎で相手を攻撃する
技3 ミストボール 消費5 エスパー 特殊 威力70/命中100 霧状の毛で相手を包み込み、攻撃する 相手のとくこうを下げる事がある(50%)
技4 めいそう 消費2 エスパー 変化 とくこう、とくぼうを一段階あげる


狐憑きとは、妖狐や稲荷から生まれる魔物娘『狐火』に取り憑かれた人間の女性だ。
姿形は人間の頃とは変わらないが、身に宿した狐の魔力により、魔物娘化してしまっている。
意識や思考、そして嗜好もまた魔物娘と同じであり、特に狐系の魔物娘と似たものを好む傾向にある。
また彼女達と交わり、その愛情を受ける男性はその身体に狐の尻尾や耳のような炎が見える事があるという。
姿形は人間の女性と変わっていないように見えても、やはり魔物である事には変わりはない。

この種のユニークな特性として種族を変えるという点があげられる。
非常に稀ではあるが素質に優れた狐憑きは完全に狐の姿へと変貌してしまう事がある。
そうやって変貌した狐憑きは基本的には妖狐になる事が多いが、稲荷になった事例も報告されている。
条件については現状は調査中である。



京太郎「(…とりあえず一つ言える事は…)」

ステータスで見れば最初の憧よりも少し、強いくらいだ。
だが、ほのおタイプは既にいる仲間の誰ともかぶっていない。
今までは智葉に格闘を持たせて突破するしかなかった鋼も突破出来るのはかなりの魅力だ。
智葉のサブウェポンはかなり幅が広いから、格闘の分、別の技をもたせられるというだけでも有利になる。

京太郎「(打たれ弱さは少し気にする必要があるけれども…)」

しかし、その辺りは美穂子によって補強出来る要素だ。
何よりすばやさは結構なものだし、レベルさえ足りていれば相手より早く攻撃も出来るケースも多いだろう。
ぼうぎょは低いがとくぼうはそれなりにあるし、特殊寄りの相手ならばそれなりに耐えてくれるはずだ。
相手を火傷にする事が出来れば、物理型相手でもそれなりにやれるかもしれない。
サブウェポンであるエスパーは憧と被ってはいるものの、十分に仲間にするメリットはあるだろう。
そんな春に俺は… ――

春「……どう?」

京太郎「…あぁ…もう…負けたよ」

京太郎「……次から頼めるか?」

春「…うん」

これだけ能力持ってくれている上に…彼女は大分思いつめているんだ。
正直なところ、俺に春を拒む理由なんて無いと言っても良いくらいである。
そんなつもりで仲良くなった訳じゃないって気持ちが抵抗するけど…しかし、それは他の恋人達にも言える事ではあるし。
もう既に巻き込んでしまっている子が大勢いる以上、それは今更な感傷だろう。

京太郎「まぁ、一体、次が何時になるかはわからないけどさ」

春「私は何時でも大丈夫」

春「何か予定がある訳じゃないから」

京太郎「そっか。分かった」

…ただ、折角、こうして話が纏まったんだし、出来るだけ早い内が良いだろう。
あんまり時間を置き過ぎると春の中でも決心が鈍っていくだろうし。
春に迷宮がどんなところなのか知ってもらう意味でも、そろそろ探索を再開するべきだ。
まぁ、それはさておき。

京太郎「…じゃあ、改めて、これからよろしくな」スッ

春「…うん。よろしく」グッ

さて、改めて握手もした事だし…これから智葉たちにどう説明するかも考えないとな。
まぁ、淡の加入の時だって、彼女達から反対意見は出なかったし多分大丈夫だとは思うんだけれど。
それに新しいフォーメーションや連携なんかも考えなきゃいけないよな。
迷宮の中でも外でも案外、リーダーって言うのはやる事が多いのである。

春「……あ、ところで京太郎」

京太郎「ん?どうした?」

春「とても大事な事を聞きたい」

京太郎「あぁ。大丈夫だぞ」

まぁ、それよりも今は春の事だな。
迷宮へと潜る事になったとは言え、彼女は迷宮の事を何も知らないんだから。
何時もよりも心なしか真剣そうな眼差しで俺へと口を開く彼女にも知りたい事は一杯あるだろう。
ここで情報開示を惜しんで春を不安にさせるメリットなんてまったくないし、出来るだけそれに応えてやらないと。

春「…黒糖は持って行っても大丈夫?」

京太郎「……お、おう。大丈夫だぞ」

春「…そう。良かった」ニコ

そんな俺の意気込みを春は見事に裏切ってくれる。
ある意味ではすっげえええ春らしい質問ではあった訳だけれど、もうちょっと聞くべき事ってないのかなぁ…。
…まぁ、でも、そうやって安心したように微笑む春の顔を見てるとそれでも良いかって気がしてくるから不思議だ。
それにそういう春だって分かってて仲間にするのを決めたのは俺の方だしな。
彼女から質問が出ない分は現地で教えてあげるか、或いはこっちでフォローすれば良い。
そんな事をおもった瞬間、部屋の入口から鍵を開く音が聞こえて… ――




―― 大きな袋を持って帰ってきた美穂子達に俺は春の加入を告げたのだった。




System

滝見春の好感度が30になりました

PTインボーナスによりさらに10あがり、40になりました → <<…私……京太郎の事…>>

おや…滝見春の様子が…?





→コミュ:久




―― まぁ、春の為に迷宮に行こうと言っても、そうそう簡単に行ける訳がない。

何せ、迷宮は決してテーマパークでもなんでもないのだ。
中には俺達に敵意を持った化け物がわんさかいる以上、準備を怠る訳にはいかない。
前回の探索では結構、消耗もしてしまったし、回復薬などの補充も必要だ。
その他、探索に必須な消耗品の買い出しなども決してサボって良いものではない。
だから、俺は春が仲間になった次の日、それらの補充に街へと出たのだけれど。

久「ふふーん♪」

俺の腕は今、久によってしっかりと固められていた。
両腕でガッチリと俺の腕を挟み込むその力は決して強くはないが、そう簡単に緩みそうにもない。
まぁ、俺にとって久は大事な恋人な訳だし、無理矢理振り解こうとは思わないけれども。
しかし、そうやって胸を抱きしめられると…その、色々と危なくてですね?

京太郎「(久の格好って基本、露出度高めなんだよなぁ…)」

流石に迷宮で出会った時のように局部だけをリボンで覆った極端な格好はしていない。
しかし、こうして俺の隣を歩く彼女はホットパンツにキャミソールと言う出で立ちだった。
特にキャミソールは胸元も開いているデザインというのもあって、ちょっと激しく運動すればおっぱいがボロンと零れ落ちそうなくらいである。
下着を身に着けていればそんな事も起こらないだろうが、腕から伝わってくる感触から察するに今の久はノーブラだ。
ノーブラゆるキャミと言う状態で腕を挟み込まれたら、そりゃあ毎日、彼女とセックスしてる俺だって興奮してしまう。

久「…ご主人様、ドキドキしてる?」ニマー

京太郎「そりゃするに決まってるだろ…」

まったく…この小悪魔め。
絶対、俺がドキドキするの分かってて、てこの格好してきてるだろ…。
一緒に買い出しに行くって言った時から怪しいとは思ってたけど…正直、こんな薄手で来るとは思ってなかった。
……まぁ、それでも久を帰らせようとしない辺り、俺も結構、アレかもしれないけれど。
正直、こんな格好で抱きつかれた時点で、何処でどうやってオシオキしてやろうかって風に意識が切り替わってしまった。
この辺りはご主人様としての悲しい性と言う奴なのかもしれない。
まぁ、それはさておき。

久「ふふ。じゃあ…先にホテル行っちゃう…?」

久「私はそれでも構わないわよ…♥」

久「実際…それ期待してこの格好してきてる訳だしね♪」

京太郎「却下な」

久「えー…」

勿論、ホテルに連れ込んで性的にオシオキしてやりたいっていう気持ちはある。
何も知らない他人が見ても淫乱なの丸わかりな久にそんな格好をして良いのは俺の前だけなんだって身体に教えこんでやりたい。
けれど、今日は迷宮の準備をしなきゃいけない日なのだ。
久へのオシオキはやる事が全部終わってからにしたい。

久「私、もうアソコグチョグチョなのにー…♥」

久「乳首だって…ピンピンして…キャミの上からでも分かっちゃうでしょぉ…♪」

京太郎「だからこそ、オシオキの為に却下してるんだろ」

久「ぶーぶー」

不満そうに久がそう声をあげるけれど、それを聞き入れてやる訳にはいかない。
春の加入によって、「もうちょっとゆっくりしても良いかな?」って状況が一気に変わってしまったのだから。
既に美穂子たちには明日からの出発を予定として伝えているし、やるべき事は先に済ませておかなければ。
流石に久とエロエロしてた所為で買い出し出来ませんでしたテヘペロなんて顰蹙を買うってレベルじゃ済まないし。
下手をすれば逆に俺が全員からオシオキされかねない。

京太郎「ま、ちゃんと大人しく出来たら後で可愛がってやるよ」

久「…後って何時?」

京太郎「多分、夜かな?」

久「それって何時もと同じじゃないのよ…」

京太郎「じゃあ、なしな」

久「う、うそうそ!ごめんなさい!嬉しいです!!」ギュー

久「夜でもなんでもエッチして欲しいですぅっ!!」スリスリ

京太郎「はいはい、じゃあ荷物送るの頑張ってくれよ」

久「はーい…」

こうして俺が久を連れて出ているのは彼女の転移能力がとても便利だからだ。
迷宮の中以外でも座標さえ分かっていれば彼女のロッカーはどこでも出現出来る。
そこに荷物を放り込んで後でそこから取り出す、と言う形ならば重い荷物を運んで数軒、店を回ったりしなくても済む。
正直、一家に一人は欲しいレベルで久の能力は便利だと思う。
これが清澄時代にあったら俺の人生また別物だっただろうなぁ…。

久「でもさ」

京太郎「ん?」

久「私、まさかこうやってご主人様と買い出し行く事になるとは思ってなかったなぁ…」

京太郎「お前、それずっと俺をこき使うつもりだったって事か?」

久「テヘペロ♪」

京太郎「やっぱり久は今日のエッチなしな」

久「じ、冗談!冗談だってば!!」

まぁ、流石にそれは俺だって分かっているけれども。
しかし、今の笑顔はちょっと腹がたったというか。
見事に小憎たらしい笑みだっただけに少しは意地悪もしてやりたくなる。

久「ただ…私って色々と忙しかったじゃない?」

京太郎「そうだなぁ…学生議会長に麻雀部の部長…ついでに顧問みたいな真似だってしてた訳だし」

久「そうよー。超大変だったんだから」

久「ご主人様をこき使うのも当然の話よねっ」

京太郎「……」グニー

久「い、いひゃいいひゃい…」

そんな久の頬を挟まれているのとは別の手で引っ張ってやる。
まぁ、流石に本気で怒ってる訳じゃないからそれほど力も入れてはいないけれどさ。
あくまでもこれは怒っていると言うポーズであり、本気で久の事を痛めつけてやろうだなんて思っていない。
その手に久が痛いとそう訴えるのも同じくただのポーズなのだろう。

京太郎「…」パッ

久「はぅぅ…こ、この…ご主人様のドS…」

久「乙女の頬に傷がついたらちゃんと責任とってくれるの…?」

京太郎「あぁ。ちゃんと責任取って一生、奴隷としてこき使ってやるよ」

久「えへへ…高校時代の仕返ししちゃうんだ…♥」

久「ご主人様ったら…ホント、しつこいんだから…♪」

久「そんなんじゃ私以外にモテないぞっ」

京太郎「…」グニー

久「いひゃいぃぃ…」

少なくとも本気で痛がってたら、また俺を怒らせるような事は言わないだろうしなぁ。
まぁ、久が馬鹿な事を言って、俺にオシオキされるって言うのが半ばお約束になっている、と言うのもあるんだろうけれど。
それだって嫌がってなければ、お約束になるまで長くは続かないだろうしなぁ。
何だかんだ言ってMな久はこうして俺に頬を引っ張られるのも楽しんでいるのだろう。

久「うぅ…私にはモテてるって言ってあげてるのに…」

京太郎「そんなの分かりきってるから良いんだよ」

久「えへへ、ご主人様の自意識過剰…っ♥」

京太郎「自意識過剰じゃなければご主人様なんてやってられねぇっての」

まぁ、どっちかって言うと自意識過剰って言うよりは開き直った感じだけどなぁ。
正直、最初の頃は二股じゃねぇか、どうしようって悩みまくってたし…嫌われたくないってビビりまくってたけれども。
久のお陰…と言うか、久の所為で、完全に開き直って好き放題やるようになった。
勿論、未だに皆に嫌われたくはないと思っているし、皆が嫌なことをするつもりはないけれども。
しかし、自分が『ご主人様』である事を受け入れ、意識して振る舞う事になったのは久の件が原因だった気がする。

京太郎「…何だかんだ言って、久に影響受けてるんだよなぁ…」

久「え?」

京太郎「いや、俺がこうして開き直る事が出来たのも久のお陰みたいなもんだしな」

京太郎「割りと感謝もしてるんだぞ」

久「…ご主人様」

高校時代もそうだったよな。
久…いや、部長がいなかったら、俺はきっと麻雀部にいつかなかったと思う。
たまたま旧校舎に迷い込んだ俺を熱心に俺を誘ってくれた彼女がいなかったら和達との出会いもなかったはずだ。
まぁ、その分、色々とこき使われもしたし、麻雀でも負かされまくった訳だけれども。
しかし、部長が部長でなければ、俺はきっとここにいなかったはずだ。


久「…高校時代は?」

京太郎「ん?」

久「高校時代は…私の事、嫌いじゃなかった?」

京太郎「嫌いな訳ないだろ」

京太郎「寧ろ、麻雀に出会わせて貰って、東京にまで連れてきてもらって…感謝してるよ」

久「…ホント?」

京太郎「あぁ。ホントだって」

京太郎「久相手に嘘なんて吐くはずないだろ」

久「…でも、私…ご主人様の事、思いっきりこき使ってたし…」

久「初心者で一番楽しい時期なのに…皆の為だからって蔑ろにして…」

そこで言葉を区切った久はそっと顔を俯かせた。
俺から逃げるようなその顔に浮かんでいるのは後悔だろう。
俺の事を雑用として使っていたし、それが当然だと言っていたけれど、やっぱり気に病んでいたのだろう。
久は結構、図太いように見えて繊細な女の子なんだから、その辺を開き直る事なんてそうそう出来ないんだ。

京太郎「(そんな久になんて言ってやれば良いんだろうなぁ…)」

勿論、俺は彼女の事を恨んでなどいない。
そもそも俺達のやっていたのは遊びとは言え、立派な部活なのだ。
大会前ともなれば初心者に構っていられなくなるのも当然の事だろう。
入ったばかりの一年が雑用をやらされるのも運動系ならばごくごく当たり前だ。
正直、中学の時はもっと理不尽な目にもあっただけに、まったく気にしていないというのが正直なところだった。

京太郎「(…でも…久はそれを信じてくれるだろうか?)」

彼女は今までずっと負い目を俺に対して秘め続けていたのだから。
恋人になって何度も閨を共にしても、今日までその片鱗さえ彼女から出てくる事はなかったのだ。
その間、ずっと自分を責めていた彼女が、「元々運動系でしたし、恨んでません」だけで納得出来るとはあまり思えない。
今の彼女に必要なのはきっと自分を許せるだけの理由だ。
だから…ここは… ――

京太郎「その分、こうしてこき使ってるから良いんだよ」

久「…ふふ。こうして一緒に買い出しに行くのが?」

京太郎「おう。高校時代の俺と同じく買い出しで荷物持ちだからな」

京太郎「罰としては丁度良いだろ」

久「うぬぬ…ご主人様ったらひっどーい」

俺の言葉に返す久の表情は明るいものだった。
さっきまで悩んでいたなんて感じさせないような表情。
しかし、だからこそ、何処か演技めいたものを感じさせるのは…きっと俺の気のせいではない。
勿論、まったく俺の言葉が届いていなかった訳ではないが、やはり負い目を全て消す事は出来なかったのだろう。

久「…………一緒に買い出しすら行けなくてごめんね」ポソ

京太郎「…久」

久「よーし。じゃあ、仕方ないから思いっきりこき使われてあげますか」

久「私はご主人様の奴隷だもんねっ」

京太郎「…おう」

けれど、そんな彼女に俺はコレ以上、何かを言う事は出来ない。
それはもう彼女の中で終わってしまった事なのだから。
ここでさっきの話題を掘り返しても、俺に気を遣わすまいと明るく振る舞う彼女の気持ちを無駄にするだけ。
もう俺に出来るのは彼女の言う通り、こき使って、その負い目を軽くしてやる事だけだ。

京太郎「(まぁ…こき使うと言っても能力があるから荷物を持つ必要もないんだけれど…)」

しかし、それが彼女を少しでも救ってくれるとそう信じるしかない。
『ご主人様』だの言われながらも、あまりにも無力な自分。
そんな自分に対して自己嫌悪を覚えながら俺は久と買い物を済ませて… ――


―― そんな俺の横で久はずっと作ったような明るさを顔に貼り付けて過ごしたのだった。



System
竹井久の好感度が45になりました → <<……これくらいしか出来なくてごめんね>>




迷宮前準備のコーナー

<<所持アイテム>>
きずぐすり 3/9   一体のHPを20回復する   売価150円
いいきずぐすり 1/6 一体のHPを50回復する  売価350円
すごいきずぐすり 4/4 一体のHPを200回復する 売価600円
どくけし 7/9  一体のどく・もうどくを治療する  売価50円
まひなおし 3/9 一体のまひを治療する 売価50円
やけどなおし 3/9 一体のやけどを治療する 売価50円
げんきのかけら 1/3 一体の戦闘不能状態を回復する(HP50%回復) 売価750円
げんきのかたまり 1/1 瀕死になったパートナーを完全回復する、売却不可
ミックスオレ 1/5 一体のHPを80回復する※戦闘中使用不可 売価175円

※げんきのかけらは売却する事により、次回から購入出来るようになります


<<販売アイテム>>
きずぐすり@3  300円    一体のHPを20回復する  現在3/9
いいきずぐすり@2 700円  一体のHPを50回復する   現在1/6
すごいきずぐすり@2 1200円 一体のHPを200回復する  現在4/4
まんたんのくすり@1 2500円 一体のHPを最大まで回復する 現在0/2
どくけし@3    100円    一体のどく・もうどくを治療する現在7/9
やけどなおし@3 100円   一体のやけどを治療する 現在1/9
まひなおし@3 100円     一体のまひを治療する  現在3/9
おいしいみず@2  100円  一体のHPを50回復する※戦闘中使用不可 現在0/5
ミックスオレ@2 350円 一体のHPを80回復する※戦闘中使用不可 現在1/5

オッカの実@1 20円 効果抜群のほのお技を一度だけ半減する
ウタンの実@1 20円 効果抜群のエスパー技を一度だけ半減する
ヨプの実@1 20円 効果抜群のかくとう技を一度だけ半減する

媚薬ケーキ@1 5000円 魔力供給出来るようになったパートナー一人の好感度を10上昇させる
媚薬クッキー@1 3000円 魔力供給出来るようになったパートナー一人の好感度を5上昇させる


<<開発可能アイテム>>
がくしゅうそうちver4 → ver5 がくしゅうそうちの対象に選べるパートナーが増えます(要25000円)
半減実 → 別属性を半減する実を開発し、販売可能にする事が出来ます(要5000円)



現在の所持金は36895円です


System
げんきのかけらを売却しました(+750)

がくしゅうそうちを完全改造しました(25000円)

きずぐすりを三個(900円)
いいきずぐすりを二個(1400円)
まんたんのくすりを一個(2500円)
どくけしを二個(200円)
やけどなおしを三個(300円)
まひなおしを三個(300円)
おいしいみずを二個(200円)
ミックスオレを二個(700円)

オッカの実(20円)
ウタンの実(20円)
ヨプの実(20円)

を購入しました

現在の所持金は6085円です




アイテム
幸せタマゴ  レベルアップを二倍にする(要20枚)



現在のハートのウロコの枚数は19枚です
どうしますか?


大星淡は新しくじしんを覚えたい…
 Lじしん 消費7 じめん 物理 威力100/命中100 相手は地面に潜っている状態で命中し、威力が二倍になる


しかし、技がいっぱいだ


どれを忘れますか?

1…2…ポカン


大星淡はじならしを忘れた


そして…


新しくじしんを覚えた