―― …でどうしてこうなったのか。

今の俺はベッドのシーツを服の代わりにまとっている状態だった。
スベスベとした肌さわりのそれは薄いが心地よく、また暖炉のお陰で寒さは感じない。
暖炉前に干された服が乾く気配はまだないが、不快感はまったくなかった。
だからこそ、そこで俺が気にしているのはまったく別の事で… ―ー

智葉「……」プイッ

京太郎「(…完全に避けられてるよなぁ)」

いや、そもそも避けられない方がおかしい状況だというのは分かっている。
今の俺達は少なくとも以前のように心を通わせたパートナーと言う訳ではないのだから。
俺が彼女を怖がっている所為で、俺達の関係は今までにないほどぎくしゃくしている。

京太郎「(…でも、さっきまでは普通だったのに…さ)」

彼女の対応がおかしくなったのは俺が服を干してからだ。
まるで今更、俺が男である事を意識してしまったように急に距離を撮り始めている。
…まぁ、普通、半裸の男の側には近寄りたくないものだろうけれども…さっき彼女は俺に告白してくれた訳で… ――


京太郎「(…俺の自惚れじゃなきゃ…気を遣ってくれているんだろうな)」

きっと俺の側に近寄ったら俺が怯えてしまうとそう思っているんだろう。
…そして、それは決して彼女の勘違いなどではない。
確かに俺は今の智葉さんに近づいてこられるのは怖いし、緊張する。
…でも、だからって言って…このままで良い訳がないんだ。

京太郎「…智葉さん」

智葉「え…?あ…なんだ?」

京太郎「こっち来ませんか?そこは寒いでしょう?」

智葉「ば、バカを言うな。これくらい全然、余裕だ」

京太郎「でも…」

智葉「君は自分の事だけ考えていれば…くしゅんっ」

京太郎「…」

智葉「…」

智葉「…き、聞かなかった事にしてくれ」カァ

…いや、ごめんなさい、それは無理っす。
だって、そのくしゃみは間違いなく智葉さんの身体も冷えているって言う証なのだから。
それを知って、見なかったことに…聞かなかった事にするほど俺も落ちぶれちゃいない。

京太郎「智葉さん」スクッ

智葉「ば…馬鹿!来るな…!」アトズサリ

京太郎「…寒いんでしょう?」

智葉「そ、そんな事はない。…私は魔物なんだから」

京太郎「…魔物だからって言って、何も感じない訳じゃないでしょうに」スタスタ

智葉「く、来るなと言っているだろう…!」

京太郎「…じゃあ、智葉さんが来て下さい」

智葉「う…」

俺の言葉に後ずさる智葉さんの動きが止まる。
その顔に浮かぶのは逡巡の色。
普段の彼女からは想像も出来ないそれはとても深いものだった。
恐らく今の智葉さんは俺からは想像も出来ないくらい悩んでいるのだろう。

智葉「…だ、ダメだ」

京太郎「智葉さん」

智葉「そ、そもそも…お前は私が怖いんだろう?」

智葉「それなのに…そんな風に近くに呼んだら…」

京太郎「…大丈夫ですよ」

智葉「…え?」

勿論、俺は智葉さんの事が怖い。
でも…だからと言って、それは決して制御出来ないものじゃないんだ。
相手が今まで一緒に戦ってきた智葉さんだからこそ、そして今の彼女が俺の知る智葉さんとそれほど変わらないこそ…今の俺はそれを抑え込める。
いや…抑えこまなきゃいけないんだ。
だって…これだけ気遣ってもらって…護ってもらって…それなのに火の近くにも寄らせてあげられないなんて…そんなの情けなさすぎる。


智葉「あ……あ…」

京太郎「智葉さん…」スッ

智葉「っ!や、やっぱりダメ…ひゃうっ!」ガタッ

京太郎「っ!智葉さん!」

瞬間、後退りした彼女が椅子に足が引っかかる。
よほど弱っていたのか、余裕がなかったのか、智葉さんの身体はそのままバランスを大きく崩した。
グラリと揺れる体幹は最早、彼女の意思で戻せるようなものではない。
それを何とかしようと伸ばした俺の腕が、彼女の手を掴んで… ――

―― ポロッ

京太郎「…え?」

けれど、その瞬間、彼女の首がポロリと取れた。
まるでそこだけ何ら身体と結びついていなかったようにポロリと転がり落ちていく。
あまりにも非現実的過ぎるその光景に俺はパニックに陥った。

京太郎「さ、さささささ智葉さん、首が…!!!」アワワ

京太郎「い、いや…ち、違う…!そうじゃなくって…そうじゃなくって…!」

京太郎「きずぐすり…い、いた、いいきずぐすりの方が良いか!?」

京太郎「後、包帯…それで…それで…何とか…!!」

―― …なる訳がない。

そんな事、一々考えなくても分かる事だ。
一体、何処の世界に堕ちた首が治る薬があるというのか。
どんな万能薬だって、今の智葉さんは治せない。
いや…治せるはずがないのだ。
だって…智葉さんは今、俺の目の前で死んでしまったのだから。

京太郎「そん…な…」ペタッ

…俺はまだ何も答えを出していないんだ。
智葉さんの告白にも…これからどうするのかも。
ウジウジと悩んで…思考を堂々巡りにさせて…先延ばしにして…。
結局、俺の答えを何も聞かないまま…彼女は… ――

京太郎「智葉…さん…」

パートナーだった女性の名を呼ぶ声と共に俺の目尻から涙が漏れ出す。
それは…悲しみと後悔の涙だ。
自分にとって大事な人を喪ってしまったという悲しみ。
もっと早く、彼女に答えを返してあげればよかったという後悔。
そして何より… ――

京太郎「(…あぁ…そうか…俺は…)」

智葉さんの事が…好きだったんだ。
それは…まだ異性に対してのものか、友人に対してのものなのかは分からない。
だけど、俺は彼女の事を失い難いものだと…どんな事があっても…俺が護るって…そう思っていたのである。
…今更…だ。
本当に…本当に今更。
喪ってから…智葉さんが死んでから…こんな事気づいても…意味がないって言うのに…。
俺は…俺は本当に…大馬鹿だ…!!!!!

智葉「…京…太郎…」

京太郎「…え?」

智葉「京太郎…逃げろ…」

…きっと俺はおかしくなってしまったのだろう。
既に首と胴体が完全に分離してしまった彼女の声が聴こえるはずがない。
俺に逃げろと告げるそれは間違いなく幻聴だ。
そんな事は…分かっている。
だけど…!

京太郎「っ!出来る訳!ないでしょう!!!」

なにせ、この部屋には間違いなく彼女を殺した誰かが、或いは何かが潜んでいるのだ。
それを前にして尻尾を巻いて逃げ出すなんて出来ない。
それが例え、本当に智葉さんの声だったとしても、彼女が俺に逃げる事を望んでいたとしても。
智葉さんの…俺の大事な人のかたきを討たなければ気が済まない…!

京太郎「俺は…智葉さんを一人にはしたくない…!」

京太郎「…例え…ここで死んだとしても…俺は…!」

京太郎「智葉さんの…パートナーなんだから…!」

智葉「あ…ぁ…」

京太郎「…死ぬ時は一緒ですよ、智葉さん」

…分かっている。
智葉さんの命を奪ったものがなんであれ、それは百戦錬磨の彼女にまったく反応させなかったものだ。
ありとあらゆる能力で智葉さんに劣っている俺が、一矢報いられるはずがない。
だけど…それでも…それでも…ここで逃げ出したら…智葉さんが一人になってしまうんだ。
ただ躯をココに残して…ただ朽ちていくだけになってしまう。
そんなの…絶対に許せるはずがない。
ここで力尽きたとしても俺は智葉さんを一人にさせたくはないんだ…!

智葉「…馬鹿…だ。君は…君は本当に大馬鹿だ」

京太郎「…分かってます。俺は…智葉さんが死んでから…ようやく自分の気持に気づいたような大馬鹿です」

京太郎「だけど…だからこそ…馬鹿だからこそ…この意地だけは譲れない」

京太郎「…だって…俺は…俺は…」

京太郎「智葉さんの事が…好き…だったんだから」ポロッ

智葉「~~~~~~っ!」

そうやって言葉を漏らすだけでも喪失感が胸を突く。
本当に得難いパートナーを喪ってしまった悲しみは…本当に大きい。
こうして言葉にするだけで…感情の堰が壊れてしまいそうになるくらいには。
だけど…今はそうやって泣きわめいている場合じゃない。
智葉さんのためにも…そして俺の為にも…ここは…!

智葉「…京太郎」

京太郎「…え?」

そんな俺の前で智葉さんの身体がゆっくりと動き出す。
未だ首のない不気味なその身体は俺の肩をがっちりと掴んだ。
それに驚きのような声をあげたのもつかの間。
万力のような力で俺を捕まえた智葉さんの腕は俺をベッドへと押し倒した。

智葉「…君が…君が悪いんだぞ…君…がぁ…♥♥」

京太郎「さ…智葉…さん?」

智葉「私は…我慢しようとしたんだ…♪君の事を思って…抑えなきゃって…思っていたんだ…ぞ…♥」

智葉「それ…なのに…そんな…そんな…嬉しい事を言われたら…」

智葉「我慢…出来なくなるに…決まっているだろぉ…♥」スッ

京太郎「……え?」

瞬間、馬乗りになった彼女の身体からあの不気味な鎧が霧散する。
これまで戦ってきた敵を彷彿とさせるその消え方は、智葉さんの魔翌力によって作られたものだからだろう。
今更ながら気づいたその事実に、けれど、俺は驚きの声をあげた訳じゃない。
俺が驚いたのは…そんなものとは比べ物にならないものだったんだ。

京太郎「さ、智葉…さん…頭…が…」

智葉「…ふふ…っ♥」

ベッドに転がり落ちた智葉さんの頭は今、俺を見つめていた。
その瞳をたっぷりと潤ませ、頬を上気させながら。
…勿論、智葉さんが死んでいるならば、そんな風にはならない。
じゃあ…智葉さんは…生きているって事なのか…?

智葉「京太郎…っ♥京太郎…嬉しい…嬉しいぃ…♥」スリスリ

京太郎「う…ぁ…!」

しかし、その考えが纏まるよりも先に、智葉さんの身体が俺へと擦り寄ってくる。
一糸も纏わぬ彼女の身体は思いの外、魅力的なものだった。
出るべきところは出て、締まるべきところは締まるメリハリの効いたスタイル。
そんな身体が禁欲生活続きの男に押し付けられているのだから、どうしても反応してしまう。

智葉「あ…はぁ…♥京太郎の…オチンチン…大きくなってる…ぅ♪」

京太郎「う…っ」カァァ

智葉「私で…興奮…してくれたんだな…♥」

智葉「魔物の…君のメスの身体で…♪」

智葉「発情して…エッチしたいってそう思ってくれているんだな…♥」ブルッ

瞬間、智葉さんの身体がブルリと震えた。
それはさっきまでのように寒気を訴えるものではない。
興奮混じりのそれは…きっと自分の言葉に反応してしまっている所為だろう。

京太郎「い、いや…こ、これは…!」

智葉「いいんだぞ…♥ずっと…ずっと我慢してたんだろう…?」

京太郎「…え?」

智葉「私は…君の事なら何でも知ってるんだ…♥」

智葉「君は今まで…私達に遠慮してオナニーもしてこなかっただろう…?」

京太郎「そ、それは…」

智葉「ふふ…♪誤魔化しても…無駄だぞ…♥」

智葉「ちゃぁんと…私には分かってたんだからな…♥」

智葉「毎日毎日…美味しそうな匂い…プンプンさせて…♥♥」

智葉「私の事…誘ってたんだからぁ…♪♪」スリスリ

京太郎「く…ぅ」

ドロドロに蕩けた声と共に智葉さんが再び身体を動かす。
押し倒した俺の上で微かに身動ぎするようなそれは俺の股間を重点的に刺激するものだった。
濡れた服を脱ぎ、下着一枚になった俺にその刺激は強すぎる。
智葉さんの声が今まで聞いた事もないくらいエロいのもあって、口から情けない声が漏れてしまった。

智葉「その上…あんなに優しくされたら…誰だって…君の事…好きになってしまうだろぉ…♥」

智葉「魔物なら誰だって…君を見ただけで子宮うずいちゃうような須賀京太郎専用メスマンコになってしまう…♪」

智葉「ううん…♪私は…もう…なってしまったんだ…♥」

智葉「君の…京太郎の童貞チンポ欲しくて…♥」

智葉「こうして君に襲いかかる…淫乱で貪欲な…魔物に…もうなってしまったんだぞ…♥♥」

京太郎「はぁ…はぁ…っ」

それでも智葉さんはその口から淫らな言葉を放つのを止めない。
まるで俺を興奮させきってしまおうとしているようにドロドロとした欲情まみれの言葉を漏らし続ける。
そして、俺はその言葉にさえ抗う事は出来ない。
耳の奥から脳を犯すような彼女の淫語は、まるで魔法のように興奮で一杯にさせてくる。

智葉「だから…もう我慢しなくて良いんだぞ…♥」

智葉「私が…ちゃんと君の事を護ってやるからな…♪」

智葉「そんな欲求不満を抱える生活からも…ちゃぁんと…♥」

そう言って俺を撫でる智葉さんの手はとても優しいものだった。
何時もの強くて頼りがいがあって…そしてだからこそ、守ってあげたいと思う辻垣内智葉らしい手。
それにトラウマで強張った身体が微かに力を抜く。
まるでこの人ならば大丈夫だと…受け入れるようなその反応に俺を見る智葉さんの顔が微笑むのが分かった。

智葉「君が欲しくて…もうグチョグチョになってる…このオマンコで…な…♥♥」

京太郎「あ…ぁっ」

瞬間、俺の股間に何かねっとりとしたものが絡みつく。
何処かジャムを彷彿とさせるようなドロリとしたそれはとても熱く、そして何より淫らなものだった。
下着に護られているにも関わらず、触れたムスコがジンジンとした疼きのような感覚を覚えるのだから。
まるでそれそのものが媚薬のような淫らな粘液は、きっと彼女の愛液なのだろう。

智葉「ふふ…♥そんな物欲しそうな声をあげなくても大丈夫だぞ…♪」

智葉「ちゃぁんと…君が童貞を失うところを見せてやるからな…♥♥」スッ

その言葉と同時に智葉さんは上体を起こした。
俺をベッドに縛り付けるようであった彼女の身体が離れた事で、俺も幾分、自由になる。
本来ならば、その間に俺は全力で逃げなければいけないのだろう。
でも…。

智葉「ほら…ここが…そうだ…♥」

智葉「これから…君のオチンポをジュポジュポして…♪」

智葉「君の事を虜にしちゃう…君専用のオマンコだ…♥♥」

京太郎「…っ!」ゴクッ

智葉さんは今、俺に対して馬乗りの状態になっている。
そんな姿勢で足を開き、股間に指を這わせれば…そりゃ丸見えになってしまう。
微かに生えた陰毛の茂みが愛液でテラテラと光っているのも。
思いの外、ぷっくりとしてボリュームのある大陰唇が物欲しそうにヒクヒクしているのも。
そして何より…その奥にある桃色の粘膜から愛液がとまらず垂れ流しになっているところも。
まるで俺に対して隠すものなどなにもないと言うように…智葉さんは自分の恥部を俺に晒している。

智葉「これからこの淫らな穴が全て君の…君の性欲処理のためだけのものになるんだ…♥♥」

智葉「私は分からないが…きっととても気持ち良いぞ…♥」

智葉「だって…ここは…その為だけの穴なんだから♪♪」

智葉「君の精液を絞りとって…幸せになる為だけの魔物のオマンコぉ…♥♥」

智葉「君も…ここに挿入れたいんだろう?」

智葉「ずっとずっと…挿入れたかったんだろう?」

智葉「だから…こんな邪魔なもの…とっとと脱いでしまおうな…♥」スッ

京太郎「…っ」

その言葉と同時に智葉さんの手は俺の股間を這う。
それだけ…そう、ただそれだけにも関わらず、俺の下着はすっぱりと切り裂かれてしまった。
まるで鋭利な刃物で切られたように一枚の布になった下着に最早、拘束力はない。
既にガッチガチに勃起してしまった俺のムスコが飛び跳ねるように下着の奥から現れる。

智葉「ふぁ…あぁあああぁっ♥♥♥」

智葉「これが…これが…京太郎の…オチンポ…ぉ♪♪」

智葉「な…なんて逞しくて…凶悪な形をしているんだ…♥♥」

そう言いながらも智葉さんの声音と表情はうっとりとしたものになっていた。
まるで最高のご馳走を見つけたようなその蕩けっぷりはそれだけ俺のモノに魅入っているからなのだろう。
実際、あの霧を吸い込んでからムスコのサイズは一回りどころか二回りほど大きくなってしまっている。
今だって俺の腹に築きそうなくらい長く、そして反り返った逸物は凶悪と言われても仕方がない。

智葉「こ、こんな…こんな凶悪で私の初めてを奪われるんだな…♥♥」

智葉「こんなに美味しそうで…気持ちよさそうなオチンポで…私は京太郎のモノになるんだな…♪♪」

智葉「すご…ぃ…すごいすごいすごい…♥♥」ブルッ

智葉「なんて…なんて幸せなんだ…♪」

智葉「想像…しただけで…軽くイキそうになったぞ…♥♥」

けれど、智葉さんはその凶悪な代物に気圧されたりはしない。
それどころか、凄いと幸せだとそんな肯定的な言葉ばかり漏らしている。
イキそうになったとまで漏らす彼女の顔も、淫らな陶酔を浮かべていた。
どうやら智葉さんは本気でこの凶悪なムスコに喜んで…いや悦んでくれているらしい。

智葉「はぁ…もう…もぉ…良いだろう…?」ハァ

智葉「ずっと我慢…してきたんだ…♥」

智葉「君のオチンポを…はぁ…この処女マンコでジュルジュルしたかった…っ♪♪」

智葉「私の…一番大事な部分まで…君に知って欲しかったんだ…♥」

智葉「その気持ちは今…魔物になって…最高潮に達している…♪♪」

智葉「だから…挿入れるぞ…っ♥もう…挿入れちゃうぞ…♥♥」

智葉「相思相愛セックスするから…♥♥グチョグチョマンコで君のものになるからぁ…♪♪」

京太郎「っ…ま、待って…!」

そこで冷静になるのは、何も下着を恐怖心からだけじゃない。
確かに俺は未だに魔物が怖いし、苦手意識も持っている。
だが、それ以上に、このままセックスしてはダメだと…やっぱり思うのだ。
俺はまだ智葉さんに対して、何の答えも返せてはいないんだから。
せめて、それを彼女に伝えてからじゃないと俺は… ――

智葉「ふふ…却下だ…♥♥」

―― ズジュッ

京太郎「うあああっ…!」

けれど、その意見は智葉さんに無情にも却下される。
代わりに俺にもたらされたのは彼女の粘膜による熱い歓迎だ。
媚薬のようなドロドロとした粘液にあふれた穴にムスコの先っぽが入っていく。
その度にジュルジュルと淫らな音を立てる彼女の穴は…本当に気持ちの良いものだった。

京太郎「(締め付け…凄…い…!)」

京太郎「(まるで…思いっきり手で握られているみたい…なのに…)」

京太郎「(ドロドロの粘液で滑って…ドンドン入っていく…)」

京太郎「(その上…分厚いヒダがグチュグチュって絡みついて…)」

京太郎「(無理…だ…!こんなの…ぜってぇ…)」

京太郎「(我慢なんて…無…理ぃぃい…!)」

魔物の穴は俺の知るどんなオナニーよりも気持ちの良いものだった。
それそのものが男の搾精の為に発達した器官は童貞には到底、耐えられるものじゃない。
頭の中が快感でオーバーフローし、背筋がぐっと浮き上がる。
そこにはもうダメだ、なんて自身の射精を止めようとする意識はない。
ただただ、久方ぶりの最高の快楽を味わおうとする本能があるだけだ。

京太郎「で…るうう…!!!」

智葉「ふぁあああっ♪♪」

そのまま放たれた精液の勢いは今までのものとは比べ物にならないくらいだった。
まるで精液の勢いを制御する蛇口が壊れたような激しい勢いに身体の奥で快楽がのたうつ。
あまりの気持ちよさに頭の奥が危険信号を発するが、今更、白濁液が止まる訳がない。
今までの禁欲生活で溜まった鬱憤を晴らそうとするようにそれは俺の中から智葉さんの中へと飛び出している。

智葉「んひいいいいいいいいい♪♪♪」

そしてその度に智葉さんの身体もガクガク揺れ、口から嬌声が漏れだしていた。
まるで俺以上の快楽に襲われているようなはしたなく、淫らな姿に、俺の興奮はさらに高まってしまう。
こんなにも綺麗で格好良くて、そして淫らなメスが俺の射精を悦んでくれている。
そう思うと身体の奥が熱くなり、幾らでも射精出来そうな気になってしまうんだ。

京太郎「はぁ…はぁ…」

けれど、その射精だって何時までも続きはしない。
俺の身体は魔物とのセックスにだって耐えられるものになっているが、精液は無尽蔵と言う訳じゃないのだから。
長く長く続いた射精の快感が終わった後には、まるで魂を抜かれたような脱力感が襲い掛かってくる。
呼吸をするのも億劫なくらいダルくて…けれど、それ以上に幸せな感覚に俺の身体は今、支配されていた。

智葉「きゅ…ふぅ…ぅぅん…♪♪」ドサ

それは智葉さんも同じなのだろう。
甘い声をあげながら俺へと再び倒れこんできた彼女の身体には力がなかった。
まるで俺に全てを預けようとしているような重さにも何処か心地良いものを感じる。
それはきっと智葉さんのスタイルが魅力的だからだとか、その肌がスベスベしているとかじゃないんだろう。
俺が智葉さんの事を受け入れているからこそ、俺への信頼を示すようなその重さも愛しく思えるんだ。

京太郎「さと…はさん…」

智葉「イ……た…ぁ♪♪思いっきり…イッたぁ…♥♥」

智葉「京太郎のザーメンで…オマンコマーキングされて…ぇ♪♪」

智葉「初メスイキ…経験…しちゃったぁ…♥♥♥」

俺の呼びかけに答える智葉さんの顔も、とてもだらしないものだった。
その瞳から涙を漏らし、半開きになった口元からはよだれが漏れている。
普段、俺以上にしっかりしている彼女とは思えないほどはしたないその顔に俺の心は揺らいだ。
今ならば…もしかしたら脱出出来るかもしれない。
俺の射精でイッたらしい智葉さんの身体にはまったく力が入っていないんだから。
外見通りの重さしかない今ならば、頑張れば逃げる事が出来るはずだ。

京太郎「……ごめん…なさい」

智葉「…ふぇ…ぇ…♪♪」

けれど、俺の手が伸びたのは彼女の身体ではなく、ベッドに転がった首の方だ。
未だ脱力感が抜けきっていない俺の腕は鈍いが、それでも時間を掛ければすぐ脇にある智葉さんの首を持ってくる事は出来る。
智葉さんの身体もまたそれに対してピクンピクンと跳ねるだけでまったく抵抗を示さない。
結果、彼女の首は今、俺の顔に触れそうなくらい近くにまで近づいていた。

京太郎「…俺…俺…智葉さんに…言わなきゃ…いけない…事…が」

智葉「きょうた…ろぉ…♥♥」

京太郎「智葉…さん、俺…智葉さんの…事…が…」

智葉「…ダメ…だ…ぞぉ…♥」

京太郎「…え?」

智葉「ただでさえ…興奮…してた…のに、幸せ…だったのにぃ…♥」

智葉「その上…京太郎と…こんなに…近づいてしまったら…♥♥」

智葉「私…私…また…また…あぁ…っ♪♪♪」

―― ズヂュゥウウゥ

京太郎「あ…がっ…っ」

瞬間、智葉さんの腰が大きく俺に対して踏み込んでくる。
射精した時から止まっていたその腰は、再び俺のムスコを飲み込んでいくんだ。
さっきまでまるで動けるような状態じゃなかったのに、どうしていきなりこんな風に動けるのか。
そんな疑問を思える暇もなく襲いかかってきた快楽に俺は悲鳴のような声をあげた。

智葉「京太郎の事…欲しく…欲しく…なるぅ…♥♥」

智葉「もっと…もっともっともっともっともっとぉ…っ♪♪」

智葉「もっと…京太郎のモノになりたい…っ♥♥京太郎を…私のモノに…したいぃ…っ♥♥♥」

京太郎「ああああっ!」

そんな訴えと共に智葉さんの腰が俺へと密着する。
それと同時に俺のムスコへの刺激に新しいものが追加された。
ぽってりとした分厚い肉ヒダの奥から俺の先端に何かが吸い付いてきている。
ちゅっちゅとバードキスを繰り返すようなそれは…もしかして… ――


智葉「どう…だ…?私の子宮口…は…ぁ♥♥」

智葉「君のオチンポが欲しくて…私と同じ淫乱になってる…ドロドロの…入り口ぃ…♥♥」

智葉「君が…中途半端なところで射精するから…キュンキュン…しちゃってるんだぞ…ぉ♪♪♪」

智葉「京太郎の精液の味を…早くここで味わいたいって…もう痛いくらい…うずいてるぅ…♥♥」

京太郎「うあ…ああっ」

そう言いながら智葉さんは腰をその場でグラインドさせる。
左右へと重心を揺らすようなその僅かな動きに、けれど、俺のムスコは堪らないほど感じてしまう。
射精直後のチンポにとって、子宮口に吸い付かれたまま肉ヒダに押し付けられるのは刺激が強すぎる。
その僅かな動きでさえ身体が跳ね、口から声が漏れてしまうくらいに。

京太郎「ま、待って…智葉さん!ちょっと休憩…っ」

智葉「ふふ…♪そうは言っても…君のココは硬いままだぞ…♥♥」

京太郎「そ…れは…っ!」

智葉「まだまだ満足していないんだろう?」

智葉「大丈夫…♥♥私が必ず…満足させてやるからな…♪♪♪」

―― グジュゥゥ

京太郎「ひ…あ…あぁ…っ」

そうしてピストンに俺の身体はまったくついていけなかった。
智葉さんの身体を止めようにも、一回一回注ぎ込まれる快楽に身体から力が抜けていく。
まるでそれが幸せで堪らないのだと言わんばかりのその反応。
それに智葉さんが淫らな笑みを浮かべ、ペロリと舌なめずりをするのが分かった。

智葉「可愛い…♪京太郎…本当に可愛い…♥♥」

智葉「感じて…くれているんだな…♥♥私の身体で…♪♪♪」

智葉「こんな…首が外れてしまう…女の身体で…こんなにも蕩けてくれているんだな…っ♥♥」

智葉「嬉しい…♥私は…本当に…嬉しいぞ…♥♥」

智葉「だから…もっと…もっと…蕩けさせてやるからな…♪♪」

京太郎「さと…は…さん…っ!」

智葉さんの動きはドンドンと容赦の無いものになっていく。
まるで一往復毎に少しずつコツを掴んでいっているように、男の急所を責めてくる。
元々、締め付けが強かった肉穴は今、緩みと締め付けを繰り返し、チンポをリズミカルに刺激していた。
まったく予測出来ないその変化だけでもやばいのに、彼女の肉ヒダもジュルジュルと俺の粘膜を舐め上げていく。

―― そんな智葉さんに男の俺が勝てるはずがない。

京太郎「さと…はさん…また…射精…る…っ」

智葉「あは…ぁ♪射精るんだなっ♪♪またあの気持ち良いのくれるんだなぁ…♥♥」

智葉「良いぞ…♥♥私の中に…射精してくれ…っ♪♪♪」

智葉「君の精液で私の子宮を満たしてくれっ…♥♥♥」

京太郎「で…も…!」

幾ら智葉さんが魔物だと言っても妊娠のリスクはある。
でも、俺達にはまだやらなければいけない事がある上に、俺もまた責任をとれるような男じゃないのだ。
そんな状態で大事なパートナーである智葉さんに対して不誠実な真似はしたくない。
そう伝えようとした俺の上で、しかし、智葉さんは跳ねるようにその腰の動きを強くしていった。

智葉「良いと言っているだろう…♥♥」

智葉「私の全部は…君のものだ…♥♥」

智葉「君だけの性欲処理道具だ…♪♪」

智葉「責任とかそんな重いものは考えなくて良い…♪♪♪」

智葉「そういうのは全部、私が背負ってやるからな…♥♥」

京太郎「さ……と…は…!」

智葉「そうだぞ…♪それが君のメスの名前だ…♥♥」

智葉「今、君がセックスして…今にも射精しようとしているメスの名前だ…♥♥」

智葉「君の事が好きで好きでたまらなくて…膣内射精をオネダリしてる…はしたない私の名前だ…♪♪♪」

京太郎「あ…あああぁぁっ」

耐えられない。
耐えられる…訳がない。
射精しちゃいけないのに、こんな不誠実な事しちゃいけないのに。
智葉さんの腰の動きを止める事も、彼女を説得する事も今の俺には出来ない。
心も身体も、ただ本能に流されるようにして射精へと向かっていく。

智葉「ふふ…♪もう…限界みたいだな…♥♥」

智葉「それじゃ…奥に挿入れるぞ…っ♪♪♪」

智葉「またさっきのクチュクチュで…君の精液を絞りとってやるからな…♥♥」

京太郎「ま…って…」

智葉「待たない…っ♥♥♥」

―― ズッジュゥゥゥゥ

京太郎「~~~~~~~っ!!!」

瞬間、俺へともたらされた締め付けは過去最高のものだった。
ともすれば俺のムスコが潰れてしまいそうなくらいの圧倒的膣圧。
厚い肉ヒダ同士が触れてしまいそうなその圧力と共に俺のチンポが飲み込まれていく。
ジュルジュルと愛液を滑るように、その奥にある快楽神経を刺激するように。
導かれていった膣穴の一番、奥で俺は子宮口に吸い付かれて… ――

京太郎「ぐ…うううううぅぅ」

―― 二度目の射精。

それは最初のそれとまったく遜色ない勢いで俺の中から始まった。
下半身全てが溶け出すような圧倒的な勢いに俺の身体がガクガク揺れる。
それを堪えようと噛み締めた歯の奥から声が漏れるくらいに…それは激しい。
そしてその激しさはまた比例するように俺の快楽へと繋がっていくんだ。

智葉「んああああっ♪♪射精てる…ぅっ♥♥熱いの一杯射精てるぅぅううっ♥♥♥」

そしてそれは智葉さんも同じなのだろう。
一度目の時と同じく…いや、それに以上にその身体を幸せそうに震わせているんだから。
その口から漏れ出る淫語も、とても気持ち良く、そして幸せそうなものだった。
きっとこんな淫らな智葉さんを知っているのは俺だけだろう。
そんな優越感すら射精の快楽に押し流される中で、智葉さんはその身体をビクンと跳ねさせた。

智葉「なんだ…これ…はぁ…っ♥♥さっきと…全然…違うぅ…♥♥お腹熱くて…子宮…ドロドロ…にぃ…っ♪♪♪」

智葉「ひあ…ぁああっ♪♪イくぅぅっ♥♥イっくぅぅぅっ♥♥♥」

智葉「種付け射精でイくっ♪♪子宮でメスイキしゅるううううぅぅっ♥♥♥

京太郎「さ、智葉…さ…んん!」

イくとそう告げながら智葉さんの身体は動き始めた。
まるで理性のタガが外れ、身体が本能に突き動かされているようにピストンを開始する。
さっき以上に容赦の無いその動きに射精中のチンポが追いつけるはずがない。
敏感になったチンポが肉ヒダに思いっきり扱かれるその感覚は、本当に精液を搾り取られているようだ。

智葉「止まら…にゃいぃっ♪♪イクくのも…身体も止まらにゃいのぉ…っ♥♥」

智葉「らめぇ…♪♪こんにゃの…気持ち…良しゅぎるのにぃ…♪♪♪」

智葉「わらひ…京太郎の事…しゅき過ぎへぇ…♥♥」

智葉「せええき…欲しくて…んにゃああっ♪♪♪」

まるで発情期の猫のような甲高いイキ声。
しかし、それをあげても尚、智葉さんの身体は止まる気配がなかった。
いや、そうやってイく度に理性のタガが外れているのか、その腰の動きはさらに激しく、淫らになっていく。
グチュグチュと四方八方に射精中のチンポを押し付けるその動きに、俺の中から精液が絞り出されていった。

智葉「こんにゃ…美味しくって…気持ち良いの…みゅりぃ…っ♪♪」

智葉「しきゅう…覚えたぁ…っ♥♥」

智葉「かんじぇんに…しきゅぅ覚えちゃっらぁ…♪♪♪」

智葉「わらひのオマンコ…このオチンポのモノらってぇ…♥♥」

智葉「君のオチンポの…虜になっひゃったぁ…♥♥♥」

智葉「イく度に…美味しくれ…気持ちよくなりゅはんしょくちんぽぉっ♪♪♪」

智葉「こんにゃの…誰でも…しゅきになるぅ…♪♪虜…になりゅよぉぉ…♥♥」

京太郎「あぁ…う…あぁぁぁ…っ」

その間にも智葉さんはどんどん昂っていく。
まるで俺の精液を燃料にしているように熱く、そして淫らに。
最早、呂律すらろくに回っていない彼女の顔は涙とよだれで悲惨な事になっていた。
まさにチンポの虜と、そう言って過言ではないアへ顔のまま、淫らな言葉を漏らし続ける。

―― それでもやはり延々と射精し続ける事は出来ない。

まるで快楽地獄に突き落とされたような淫らで気持ちの良いセックス。
だが、それでも尚、ないものを出す事は出来ない。
一回目よりも深く、そして長く続いたとは言え、俺の射精も止まってしまう。
しかし、それで止まるほど智葉さんの性欲は甘くはない。

智葉「は…ぁ…♪♪オチンポ汁…ドロドロ…ぉ♥♥」

智葉「精液まみれのオチンポ…おいひい…♪♪♪」

智葉「しゃぶるぅ…♪♪もっと…オチンポをオマンコでペロペロしゅりゅぅ…♥♥♥」

智葉「硬くておいひい…京太郎のオスチンポ…ぉ…♥♥」

智葉「らいすきな人のオチンポで…たくしゃんイくぅぅん…♪♪♪」

…いや、それはきっと俺も同じなのだろう。
あり得ないほど長く続いた二回の射精を経ても尚、俺のムスコはまったく収まっていなかった。
いや、それどころか、満足出来ないとばかりに熱くたぎり、大きくなっているようにさえ思える。
俺の身体そのものはもう気持ちよすぎて指一本すら動かせないくらいなのに。
まるで俺の身体から元気を吸い上げたように、そこだけは未だ反り返っているんだ。

智葉「しゅきぃ…♥♥きょうたろぉ…らいしゅきぃ…♥♥♥」

智葉「君の…じぇんぶが…しゅきらぁ…♥♥」

智葉「顔もぉ…身体もぉ…匂いも…っ♥♥性格も…優しさもぉ…しょの…迷いすら…もおぉ♪♪♪」

智葉「じぇんぶ…ぅっ♥じぇんぶ愛してる……ぅ♥♥♥」

京太郎「…はぁ…はぁ…」

そんな俺の上で智葉さんは愛の告白と共に腰を振るい続ける。
相変わらずオスの精液を搾り取ろうとするようなそれに俺は答える余裕すらなかった。
身体の中を巡る快楽は余韻だけでも恐ろしいのに、俺は今も尚、智葉さんに犯されているのだから。
時間経過によって発生する活力を全て肉穴から吸い上げられているような状態で、返事を返せるはずがない。

京太郎「(で…も…)」

その心と身体の大半が快楽漬けにされても尚、今の状況に否と答える気持ちは俺にはあった。
勿論、こうやってただ彼女にされるがままになっている方が楽である。
多分、このまま快楽に流され続けたとしても智葉さんは俺を責めないだろう。
寧ろ、今の彼女ならばそんな俺に悦び、そしてより気持ち良くしようとしてくれるはずだ。
でも…そんな彼女だからこそ、俺はこのままじゃいられない。

京太郎「…はぁ…は…ぁぁ…」スッ

そんな俺の気持ちに応えてくれたのだろう。
深く息を吸うのが精一杯な中、俺の手は何とか動いてくれた。
それはナメクジが這いずるような緩慢な動きでしかない。
けれど、それでも俺の手は再び智葉さんの首に届いて…そして… ――

京太郎「…ん」

智葉「え……?」

そのままほんの数センチを引き寄せ、彼女の顔にキスをする。
それは勿論、唇同士にするそれではない。
自由に動かない俺の手が、そんな細かい動きを出来るはずがないのだから。
俺の唇が触れたのは涙でベトベトになっている彼女の頬。
でも、それで良いんだ。

智葉「きょうた…ろぉ…♥♥♥」

京太郎「……はぁ…はぁ…」

今の俺には深くは語れない。
そうやって頬にキスした途端から、また吐息が漏れだすのだから。
けれど…それでも俺の気持ちは短い間ながらもパートナーとしてやってきた智葉さんに伝わったのだろう。
俺の目の前で目を見開いた彼女は驚きに固まり…そして涙を漏らしてくれたんだから。

智葉「京太郎っ♥♥京太郎っ♥♥京太郎京太郎京太郎ぉぉっ♥♥♥」

それはきっと快楽による涙でも、悲しみによる涙でもない。
俺の答えを知った彼女が心から喜んでいるからこそ出る涙。
甘えるように俺の名前を呼ぶ今の智葉さんがその証拠だ。
…なんだ、俺も頑張れば結構やれるじゃないか。

智葉「らめ…だぁ…っ♥♥幸せしゅぎて…気持ち良しゅぎて…訳…分かんにゃいぃ…♥♥♥」

智葉「頭のにゃかグチャグチャで…っ♪♪あぁ…れも…れもぉ…っ♥幸しぇぇ…♥♥♥」

智葉「京太郎のラブラブセックしゅぅ…♥気持ちよすぎて…わらひ…馬鹿んにゃるぅ…♥♥♥」

智葉「じゅっとじゅっと…セックスらけしちゃう…馬鹿メスになっへしまうぅぅ…♥♥」

既にセックスの快楽に囚われた智葉さんがそれを拒めるはずがない。
何処か不安そうに声を漏らしながらも、彼女の腰は休まず動き続けていた。
けれど、それはさっきのように俺のチンポを扱き上げるようなピストン運動じゃない。
その最奥に俺のムスコを受け入れてのグラインドだった。

智葉「わらひ…今、しきゅぅで考えちゃっへるぅ…♥♥」

智葉「子宮が…オチンポ欲しいって…っ♥♥京太郎が欲しいってぇ…♪♪♪」

智葉「キュンキュンするの…逆らえ…にゃい…っ♪♪」

智葉「私…飢えてりゅぅ…♥♥お腹…飢えちゃってるんだ…ぁ♥♥♥」

智葉「京太郎の精液の味…ぃ♥♥ザー汁ぶっかけ味わっちゃったかりゃぁ…♪♪♪」

智葉「子宮が…もっと…もっと京太郎の精液…ぃ♥♥」

智葉「相思相愛しゅぺるま飲みたいって…しゃけん…でるぅ…♥♥♥」

智葉「すま…ない…京太郎ぉ…♥♥」

智葉「これじゃ…君がしゃっきより…気持ち良く…ない…のにぃ……♪♪♪」

智葉「わら…ひぃ…もぉ…もぉ…んひいいぃぃいっ♥♥」

そう言葉を漏らしながら智葉さんは背筋を震わせた。
恐らく最も彼女の中で敏感な子宮口への刺激にまた深いアクメを感じてしまったのだろう。
膣内もまた強く俺のムスコを締め付け、子宮口はジュルジュルと鈴口へと吸いついてきていた。
まるで射精をオネダリするようなそれは、勿論、気持ちの良い。
少なくとも、搾精行為に思えるほど気持ち良すぎたピストンに比べれば、今の方が素直にそう思えた。

京太郎「(それに…お陰で少し余裕が出来た)」

今だってきっと普段の俺であれば喘ぐ事しか出来なくなるくらいに気持ち良いのだろう。
実際、激しいピストンとは違い、膣肉を味わうような今のグラインドに足がピーンと力が入っている。
何もかも奪い尽くすような快楽がないだけで、俺はこっちでも容易くイってしまう事だろう。
だが、この短期間でそれ以上の快楽を味わい続けた俺にとって、この穏やかで蕩けるような快楽は決して耐え切れないものじゃない。
ゆっくりとではあるが呼吸も整い、身体にも力が戻ってくる。

京太郎「(…なら、俺はやるべき事は一つだよな)」

そう思って動かした手は相変わらず感覚が鈍いものだった。
けれど、それでもナメクジのような速度しか出せなかった時に比べれば大分マシである。
少なくとも、ベッドに力尽きていた腕は今、あっさりと智葉さんの身体に到達したのだから。

京太郎「智葉…さん」

智葉「きょうたろ…ぉほおぉぉおぉおぉぉっ♥♥♥」

そのまま彼女の腰をガッシリと掴み、腰にぐっと力を入れる。
快楽によってドロドロになっていたその場所は俺の命令に従い、智葉さんの身体を突き上げてくれた。
瞬間、ギュルルと締め上げる肉穴の感覚から察するに、今の一回で智葉さんはまたイッてくれたんだろう。


智葉「お…おぉぉ…ぉ♥♥」

京太郎「智葉さんが動けない分…俺が…俺が動きます…から…っ」

智葉「ま、まっへぇっ♪♪今は…今ひゃぅぅぅぅぅんっ♥♥♥」

再びの突き上げに智葉さんの口から甘いアクメ声が飛び出す。
今までのものよりもさらに甘く、そして蕩けたそれは俺のピストンで感じてくれているからなのだろう。
いや、ただ感じてくれているだけじゃなく、智葉さんは間違いなくイッてくれているんだ。
まだ不慣れな俺の…きっと不格好で力も弱いそれで。
智葉さんは…俺のメスはこんなにあっさりとアクメしてくれている。

京太郎「智葉さん…っ!智葉さん…っ!!!」

智葉「りゃめらぁっ♪♪今、じゅんじゅんしたらっ♥♥しゅぐイくぅぅぅっ♪♪子宮アクメしゅるぅぅっ♥♥」

京太郎「今までだって…山ほどイッてたじゃないですか…!」

智葉「違…うぅっ♥♥これじぇんじぇん違うんらぁっ♪♪♪」

智葉「自分でしゅるのと全然、違うぅぅっ♥♥アクメ幸せしゅぎて…わ、わらひぃ…っ♥♥♥」

智葉「らめぇ…っ♪♪まだしゅきに…なりゅぅ…♥♥」

智葉「イく度に…きょうたろぉの事…どんどんしゅきになっひゃうぅ…♥♥♥」

京太郎「っ!」

きっと俺も少しずつおかしくなってきているんだろう。
智葉さんのその言葉に胸の奥が大きく疼いた。
もっともっとこの人に俺の事を好きになって欲しい。
俺なしでは生きていけないようなだらしなくもはしたないメスになって欲しい。
そんな欲求を満たそうと俺の本能は滾り、腰により力が入っていく。

京太郎「なってください…!」

京太郎「俺の事好きで好きで堪らないメスにでも…なんでも!」

京太郎「俺…全部受け止めますから!」

京太郎「智葉さんの気持ちも…全部…俺が…!」

智葉「あ…あぁ…あぁあああぁぁぁっ♥♥♥」

瞬間、感極まったように智葉さんの腰が大きくエビ反りになった。
今にも俺の身体から崩れ落ちそうなそれに、しかし、足だけは俺へとしっかり絡ませている。
まるで意地でもこのセックスを中断したくはないと言うようなそれに、俺の身体も答えた。
腰を抑えていた手は彼女のお尻を包むようなものになり、智葉さんを逃がすまいとしている。

智葉「わらひ…いやらしいんだぞ…っ♥♥魔物…なんだぞ…ぉ♥♥♥」

京太郎「知ってます!」

智葉「意外と…嫉妬深いかも…しれにゃい…ぃっ♥♥」

京太郎「構いませんっ」

智葉「もひかしたら…京太郎が他にしゅきな人が出来る…かもぉ…♥♥♥」

京太郎「それでも俺の一番は、初めては智葉さんです!!」

智葉「~~~~っ!!!!」

その言葉にもう迷いはなかった。
確かに智葉さんは淫らな魔物で、嫉妬深い人なのかもしれない。
でも、俺の大事なパートナーは…もうそんな事では評価が覆らないところまで踏み込んでいる。
俺にとって智葉さんはもう魔物ではない。
どんな彼女になっても、俺の中で智葉さんはずっと智葉さんなんだ。

智葉「…きょうたろぉ…きょうた…ろぉおっ♥♥♥」

俺の名前を呼びながら、エビ反りになっていた智葉さんの身体がゆっくりと戻ってくる。
そのまま俺の胸へとポスンと堕ちた彼女の身体は俺の上で淫らに腰を振るう。
ピストンする俺の動きに合わせて、チンポを膣ヒダへと押し付けるようなそれはとても気持ち良い。
特に雁首の部分が肉ヒダに引っかかれる時など、声をあげそうになるくらいだ。

智葉「キス…してくれぇ…♥♥さっきのと違う…本物の…きしゅぅ…♥♥♥」

智葉「恋人同士のキス…ぅ♪♪私…と…私…とぉ…♥♥」

それを何とか堪える俺の前に智葉さんの顔が差し出される。
今もイッているのか震えたままの手で何とか自身の首を持ち上げる彼女。
その顔はさっき以上に涙とよだれでベトベトになり、淫猥と言っても良い有り様になっている。
けれど、俺にとってそれは何よりも魅力的な恋人の顔なのだ。
躊躇うはずなどなかった。

智葉「んふうううぅぅぅぅううっ♥♥♥」

がっつくように触れた彼女の唇は思った以上に柔らかいものだった。
プルプルと瑞々しいその感触は、俺の唇にこれでもかと吸いついてきている。
自分のものとは比べものにならないほど魅力的なその感触に、けれど、俺は我慢出来ない。
もっともっとと智葉さんを求める自身の欲求のままに舌で唇を押し開けていく。

智葉「ふぁぁ…っ♥♥ん…おぉおおっ♪♪♪」

そのまま入った彼女の口腔は淫らな声とそして唾液に満たされていた。
最早、垂れ流しに近いそれらは俺の舌へと絡みつき、甘い感覚を広げる。
何処かフルーツ缶のシロップに似たそれは幾ら舐めていても飽きなさそうだ。
だが、俺の目的は彼女の唾液を味わう事じゃない。
俺が欲しいのはその奥…智葉さんの舌なんだ。

智葉「きゅふ…ぅぅん…♪♪♪ふぉ…お…ほぉ…っ♥♥♥」

そうやって彼女の中を進む俺の舌が触れたのは熱く粘膜だった。
ドロドロとした唾液まみれのそれは、嬌声と連動するように震えている。
恐らく、今も続けているピストンによって彼女はイッているのだろう。
それでも尚、俺を求めるように突き出されたそれに、俺は一も二も無く絡みついた。

智葉「はむぅ…♪♪ちゅる…ぅ♥♥ん…ふぅぅ…♥♥♥」

それはきっと俺たちのやっているセックス以上に不器用なキスだった。
お互いがキスなんて初めてで技巧も何もないのだから。
ただ、触れ合い、絡み合うだけのそれは百戦錬磨の魔物からすれば鼻で笑われるものなのかもしれない。
でも…それでも、俺達にとってはそれで十分だった。
それで十分過ぎるくらいに幸せだった。

智葉「ふぅ…っきゅぅぅぅっ♪♪♪くぅん…っ♥♥ふぉ…お…おぉぉんっ♥♥♥」

そしてそうしてキスする間にもセックスの方はエスカレートしていく。
まるで絡み合う舌に対抗心を燃やしているようにお互いが激しく、そして淫らになっていくのだ。
いや、動きだけじゃない。
より深く、より硬く、より熱く、チンポが滾り。
より甘く、より柔らかく、より淫らに智葉さんの膣穴が蕩けていく。
まるで性器を通じてお互いが一つになっているような錯覚さえ覚えるような心地よさ。
それに俺が耐えられるはずがなかった。

京太郎「さとは…さん…!もう…射精…る…っ!」

智葉「ん…っ♥♥ふひゅぅぅぅっ♥♥♥」

俺の声に智葉さんは答えなかった。
まるで野暮な事は言うなと言わんばかりに激しく俺へと吸いついてきている。
…或いはそれは早く射精して欲しいと言う智葉さんなりのオネダリなのか。
どちらかは分からないが…さりとて、今更、止まれるはずがなかった。

京太郎「(射精る…!智葉さんの中に…射精る…!!射精す……!!!)」

なにせ、それは今までのように主導権を相手に握られての射精とは違うのだ。
俺の意思を持って、自分から彼女を求めて…そして求められての射精。
文字通り思いを通わせたそれに俺の心は完全に支配された。
射精したい。
射精して智葉さんを俺のモノにしたい。
そう叫ぶ本能のままに俺の腰は大きくつきだし、彼女の最奥を叩いた。

智葉「ふっきゅうううぅぅぅぅぅぅぅぅっ♥♥♥」

瞬間、放たれる三度目の射精。
それに悲鳴のような声をあげながらも智葉さんは俺の口を離さなかった。
まるで一分一秒が惜しいと言わんばかりに蕩けた舌を動かし、キスを貪る。
淫らな魔物の本性をそのまま顕にしたような淫らなそれに、俺はついていけなくなっていた。

京太郎「(し、下が…下が…やば…いぃ…っ)」

智葉さんの子宮は上の口よりもよっぽど貪欲だった。
射精するのチンポを今度こそ逃がすまいとするように肉ヒダに締め付けさせ、ぴったりと俺のチンポに吸い付いている。
射精した分をそのまま吸い上げていくその貪欲さは、恐ろしいくらいに気持ち良い。
快楽に慣れていたはずの身体がガクガクと揺れてしまうくらいに。

京太郎「(やば…い…本当の膣内射精…気持ち良すぎる…!)」

さっきはこの感覚が始まるよりも先に智葉さんの身体が動き出してしまった。
けれど、今の彼女は動きだすところか、意地でも離すまいとばかりに俺へと抱きついている。
お陰で一部の隙もないほど埋め尽くされた肉ヒダからも、その名前通り吸い付いてくる子宮口からも逃げられない。
今の俺はただ彼女に精液を捧げ、快楽に浸るだけの存在になっていた。

智葉「お…ほぉう…♪♪んむ…ひゅ…うぅぅ…♥♥♥」

そんな俺の前で嬌声とも喜声ともつかない声をあげながら智葉さんは小さく笑った。
何処か幸せそうな、満足そうなその笑みに、俺は少しだけ安心する。
射精が始まった途端、ろくに動けなくなるような情けない男への幻滅はそこにはなかった。
あるのはただ思い通わせたセックスを悦んでいるメスの顔だけ。
俺の射精を身震いするくらい感じて、長く深くアクメしている…俺の恋人の顔なんだ。

智葉「きょうたろぉ…♥♥♥」

その顔は俺の唇から離れても途絶える事はなかった。
三度目の射精によって精魂尽き果てた俺の手が彼女の臀部から堕ちると同時に彼女は自分の頭を俺の胸に起き、頭を撫でてくれた。
まるで今も射精の快楽に翻弄され続ける俺を励ますようなそれに、俺の意識が白く染まっていく。
大きすぎる快楽を処理するのに疲れきった脳が休もうとしているようなそのホワイトアウトに俺は逆らえない。
未だ射精と快楽が続いている中、俺の瞼はゆっくりと閉じて… ――



―― そのまま俺の意識はディスプレイの電源が切れたように黒く染まり、眠りの中へと落ちていった。



―― 目が覚めた時、俺を迎えたのは木組みの天井だった。

京太郎「…あれ?」

普段、見ているホテルの天井とはまったく違うそれに俺は疑問の声を漏らす。
一体、ここは何処なんだろうか。
寝ぼけた頭で数秒考えても答えは出てこなかった。
しかし、起き上がるにも身体は気だるく、ろくに言う事を聞いてくれない。
こんなに疲れてるのはハンドボールの合宿で死ぬほど扱かれて以来だ。

京太郎「っしょっと…」

それでも何とか上体を起こした俺の視界に入ってきたのは火の消えた暖炉とグチャグチャになったテーブルだ。
まるでその上で何かがのたうちまわったようなそれに俺は首を傾げる。
しかも、なんか部屋の中に精液とその他色んな匂いが篭ってるし…これは… ――

京太郎「……あ」

そこで俺の頭は昨日…いや、ここ数日間あった出来事を思い出す。
確か俺と智葉さんは弘世さんに負けて一旦、退却している最中だった。
けれど、その途中、雨に降られて逃げこんだ小屋の中で…その、まぁなんやかんやあってしまい。
結局のところ…俺と智葉さんは恋人同士になったのである。

京太郎「(いや…それだけならまだしも…さ)」

お互い今まで我慢して溜まっていたのだろう。
その交わりは一回どころか一日でも終わらなかった。
流石に寝ている間にはしなかったが、起きる度にお互いを貪るように求め続けたのである。
そこのテーブルクロスがやけに乱れているのもその一環だ。
確か、途中で智葉さんをあのテーブルの上に押し倒して犯していたんだっけか。
…うん、こうして冷静になった今、若さに任せて結構無茶苦茶をやったような気がしなくもない。

京太郎「(それより…智葉さんは…?)」

ここ数日間、それこそ離れる暇もないくらい交わり続けた愛しい人。
その姿を探して俺は辺りを見渡した。
それは決して欲情の為ではなく、彼女の事が心配だったから。
…ベッドシーツの中でムスコがガチガチに勃起しているのは朝勃ちの所為だ…多分。

京太郎「(…何処か行ったのかな?)」

ついこの前まで嬌声と愛の言葉で満ちていた小屋の中はシィンとしている。
物音一つしないそれは俺以外の誰かがいない所為なのだろう。
智葉さんが特に理由もなく俺を置いていくとは思えないし…何かあったのだろうか?
そう思ってベッドから降りた俺の目に入ってきたのは…… ――

京太郎「…え?」

智葉「…」

―― 土下座だった。

それはもうなんとも見事な土下座だった。
どんな無茶を要求されてもついつい許してしまいそうな完璧な形。
見ているこっちが申し訳なくなりそうな恋人の土下座に俺は果たして何を言えば良いのか。
伏した彼女からは何の反応もないだけにまったく分からなかった。

京太郎「さ、智葉さん…え、えっと…とりあえず顔をあげてください」

智葉「…ダメだ」

京太郎「ダメって…」

智葉「私は君に謝罪しなければいけない」

謝罪?
そんな事される理由なんてなかったと思うんだけど…。

智葉「しょ、衝動に任せてあんな真似をして…本当にすまなかった…!」

智葉「腹を切れと言われれば、今すぐ切る」

智葉「指を詰めろと言われば喜んで詰めよう」

智葉「だから…だから、どうか…どうか嫌いにだけはならないでくれ…」

京太郎「……」

その声は震えるようなものだった。
理由は分からないが、今の智葉さんは冷静らしい。
いや、冷静過ぎるくらい冷静なようだ。
自分のやってしまった事を悔み、心から謝罪している。
…とは言え、俺自身、それを責めるつもりは毛頭ないというかなんというか。
そもそも俺も途中からノリノリで智葉さんをセックスしてた訳で。
今更、謝られてもちょっと困ってしまう。

京太郎「…智葉さんの事を嫌いになるはずないじゃないですか」

智葉「だが…」

京太郎「そもそも智葉さんは俺が恋人にそんな格好をさせて喜ぶような男だと思ってるんですか?」

智葉「…それは…違う…が…」

京太郎「じゃあ、早く顔をあげてください」

京太郎「じゃないと色々と悪戯しますよ」

智葉「い、悪戯って…」

京太郎「だって、智葉さん全裸で土下座してますし…美味しそうなお尻が丸見えで」

智葉「き、昨日、山ほどやっただろう…!」

京太郎「幾らやろうが、智葉さんのお尻を見たら俺は何時でもその気になれる自信があります」

ここ数日ヤりっぱなしで分かったが、俺の性欲は本当に底無しらしい。
智葉さんが求めれば求めるほど、勃起し、精液が何処からか溢れだしてしまう。
そんな俺の前で全裸土下座なんて魅せられて冷静でいられるはずがない。
ただでさえ朝勃ちしてたムスコがさっきからピクピク震えて、今すぐ智葉さんを犯せと言っているようだ。

智葉「~~~っ!ば、馬鹿……!!」

京太郎「じゃあ、俺を馬鹿にしない為に早くこっち来てください」

智葉「…分かった」

そこで渋々、智葉さんは顔をあげる。
何処か不満そうなその顔には、けれど、昨日までのような欲情の色はなかった。
どうやら智葉さんはもう完全に衝動を克服したらしい。
こっちは完全に性欲に目覚めてしまっただけにちょっと勿体無い気もするが… ――

智葉「ふぁぁああっ♥」

京太郎「…ん?」

智葉「…ハッ…!な、何をそんなに大きくしているんだ馬鹿!!」

あーそう言えば位置関係的に丁度、顔をあげたら目の前にムスコが来る事になるのか。
昨日、アレほど美味しそうに俺のチンポをしゃぶってくれてただけに気にしなかったけど。
殆ど元に戻っているらしい智葉さんの前にこれを突きつけるのはちょっとまずいかな。

京太郎「いや…一応、起きたばっかりですし。それにまぁ寝起きに恋人の裸見たら誰だってそうなりますって」

智葉「だ、だからと言って…そんな…そんな…」

京太郎「すみません。まぁ、少しほっとけば収まりますよ」

智葉「そ、そんな美味しそうなのをほっとける訳あるか!!!」

京太郎「…え?」

智葉「…あ」カァァ

…どうやら完全に元に戻ってるって訳じゃないらしい。
人間だった頃の智葉さんならそんな事口が裂けても言わなかっただろうしなぁ。
…でも、羞恥心は残ってるのに、心はエロいとか、なんとも美味しい状況だ。
…これはちょっとムクムクと悪戯心が出てきたかもしれない。

京太郎「しゃぶります?」

智葉「そ、そんな時間あるはずないだろう」

智葉「私達はこの迷宮に入ってから既に数日が経っているんだ」

智葉「外との時間の流れがどれほどの差になるか分からない以上、一旦戻らなければ」

智葉「きっと美穂子や塞も心配しているだろうし…」

とは言え、智葉さんの言うとおりだな。
流石にコレ以上、ここでイチャイチャするのは時間の無駄だ。
智葉さんもこうして落ち着いたみたいだし、今の間に一回戻らなければ。
何時またこの前みたいに再発するか分からない以上、動ける時に動くのが得策だろう。

京太郎「そうですね。じゃあ、我慢するようにします」

智葉「…え?が、我慢するのか?」

京太郎「まぁ…そりゃ我慢しなきゃいけないでしょう」

智葉「そ、そうか…我慢するのか…仕方ないな…」ショボン

…あー!もう!なんだこの可愛い生き物は!!!
自分で言っておいて、我慢されると落ち込むとかもうね!もうね!!
思わず抱き上げてベッドに押し倒したくなったぞ…!!!
でも、ここでそんな事したらこの前の二の舞いだし…ここは我慢だ、我慢するんだ京太郎…!!

京太郎「…帰ったらまたしましょうね」

智葉「~~っ!」カァ

智葉「………………」コクン

京太郎「あーもう智葉さんは可愛いなああああ」ナデナデ

智葉「ば、馬鹿…!あんまり撫でるな…!」バッ

京太郎「…え?」

まさかのマジ拒否である。
アレ…?これ俺、もしかしてやっちゃった?
調子に乗りすぎて嫌われてしまった奴か?
…やべぇ。ど、ど、どうしよう。

智葉「…そんなに落ち込むな。一応、理由があるんだ」

京太郎「理由…ですか?」

智葉「あぁ。君のCOMPを見てみれば分かる」

COMPを…?
確かにアレは智葉さんの生体情報とリンクしてて、詳細に彼女のデータを表示してくれる便利な代物だけど。
でも、だからってそんな理由まで一々、表示してくれるんだろうか?
まぁ、疑問に思っててもしかたがないか。
とりあえずCOMPは…っと…あったあった。
よし、久しぶりに起動…。



京太郎「…あれ?」



【パートナー】
名前  辻垣内智葉
Lv   12
種族  デュラハン
タイプ あく/はがね
特性1 せいしんりょく(相手の攻撃で怯まない)
特性2 めいこうのやいば(武器を使った攻撃の威力が1.2倍になる)


HP120/120
MP16/16
こうげき100
ぼうぎょ80
とくこう45
とくぼう50
すばやさ80

ひっかく 消費0 ノーマル 物理 威力40/命中100 敵一体を爪で攻撃する
にらみつける 消費0 命中100 相手一体の防御力を一段階下げる 
メタルクロー 消費2 はがね 物理 威力50/命中95 攻撃が当たった時50%の確率で自分のこうげきを一段階あげる
れんぞくぎり 消費2 むし 物理 威力40/命中100 連続で使用すると威力が倍増する(最大160まで)連続使用毎に消費MP1増加(最大3まで)


補足:デュラハンについて

魔界に生息する胴体と首が離れているという異様な姿を持つ魔物の騎士。
その特徴から「首なし騎士」とも呼ばれる。

彼女達は人間の男性の精を糧としているが積極的に男性に襲いかかる事はなく、非常に理知的である。
彼女達は胴体の中に摂取した精を蓄え、自らの首で蓋をする事によって必要最低限の精で活動する事が出来る。
しかし、デュラハンである彼女達の首はすぐにはずれてしまう。
すると、溜め込んでいた精が漏れる他、胴体の中に押さえ込んでいた彼女達の感情、本音、欲望なども全て漏れだしてしまう。
その為、首が乗っている彼女達は理性的ではあるが、首を落とした途端、素直で好色な本性を顕んする。


京太郎「これって…」

智葉「…私の種族の情報制限を解除した」

智葉「今のそこには私の全てが映っている」

京太郎「でも…良いんですか?」

京太郎「これは出来れば人に見られたくないものじゃ…」

智葉「今更、君に隠すものなどあるものか」

智葉「ここ数日間の間に、そりゃもう恥ずかしくなるくらい色々見せたんだからな」カァ

京太郎「智葉さん…」

……ゴメンナサイ、そんな可愛い顔をされると、ちょっとムスコがまた元気になってしまいそうというか。
勿論、感動したり嬉しいって気持ちもあるんですが、それがすぐさま性欲に結びついてしまう有り様でして…。
俺ももう完全に魔物のオスになってしまったんだな…ってそれはさておき。

智葉「と、ともかくだ。私の首には気をつける事だ」

智葉「これが落ちたら、私はまた魔物の本性を露わにしてしまうんだからな」

智葉「それは君にとっても本意ではない事だろう?」

京太郎「まぁ…そうですね」

こうして智葉さんと恋人になったとは言え、俺の目的は変わっていないのだ。
俺は未だこの迷宮を攻略し、咲を救出する事を諦めてはいない。
そういう意味で智葉さんにこの前みたいなエロ甘状態であり続けられるのは困るだろう。

京太郎「でも、首を外してもらわなきゃ俺はもう智葉さんをエッチ出来ないんですか?」

智葉「な、何を言うんだ、君はっ!!」カァ

京太郎「いや、だって、その辺、気になるじゃないですか」

智葉「…君が魔物が苦手だという話は一体、何処にいったんだ」ハァ

京太郎「魔物は相変わらず苦手ですよ」

京太郎「でも、俺はそれ以上に智葉さんが好きなだけです」

智葉「も…もう…君って奴は本当に…」カァ

京太郎「はは。智葉さんのお陰で色々と吹っ切れましたしね」

多分、智葉さんに襲われなかったら俺はこんな風に気軽に好きだなんて言えなかっただろう。
いや、下手をしたら今もウジウジと悩んで、智葉さんと距離をとっていたかもしれない。
そう思うと、そうやって素直に好きだと言える自分が何となく誇らしく思える。

京太郎「で、どうなんです?」

智葉「べ、別に…精は長く活動する為に溜め込んでいて損はないし…」

智葉「それに…パートナーである君がそういった事に気を取られ、注意力散漫になるのも良くない」

智葉「ま、また…私達の関係をより深め、意思疎通を円滑なものにする為にもそういう事は必要だろうし…」モジモジ

京太郎「…つまり?」ニヤニヤ

智葉「…あぁ、もう…分かっている癖に…!」カァァ

京太郎「いやぁ、分かってても、恋人の口から聞きたいんですよ」

それにまぁ今の智葉さんは昨夜とは違う意味でイジメ甲斐がある。
ここ数日間、俺は殆ど智葉さんにさんざ良いように弄ばれてきた訳だし。
これくらいの仕返しは許して欲しいと思う。

智葉「……じゃない」

京太郎「え?」

智葉「私も!君とセックスするのは吝かじゃない!これで良いか!!!」マッカ

京太郎「えぇ。良いですよ」ニコニコ

智葉「うぅ…こ、この…調子に乗って…」

京太郎「でも、智葉さんそういうの嫌いじゃないでしょう?」

智葉「な、何の事だかさっぱり分からないな」メソラシ

そうやって目を逸らしてもなぁ。
ここ数日間で俺は智葉さんから数えきれないほどの淫語を聞いてきたんだ。
今の彼女からは想像も出来ないそれらを聞いてきた俺が今更、誤魔化されるはずがない。
さっきのCOMPに浮かんだ説明から今の智葉さんが意地を張っているだけだと理解しているんだから尚の事。

智葉「そ、それよりほら…今は時間が惜しいんだ」

智葉「早く戻るぞ!」

京太郎「ふふ…了解です」

とは言え、あんまりここでイジメすぎてまた首が外れるようになったら大変だ。
現実の状況を確認するためにも、ここは早めに準備をして迷宮から脱出しよう。

京太郎「(…それにまぁ)」

智葉「…行こうか」

京太郎「えぇ」

そう言葉をかわし、俺達は自然と手を繋いだ。
お互いの指を絡ませ合った…所謂、恋人繋ぎで。
まるで俺達が恋人という関係に変わったのだとそう確認するようなそれに胸の中が踊った。
きっと俺たちはずっとそうやって手を繋いで、これから一緒に居られる。
そんな確信のまま俺たちは広い草原の中を進んで… ――



―― 二時間後、弘世菫の迷宮から無事に脱出出来たのだった。



【リザルト】

迷宮第二階層探索報酬にて6000円を手に入れました。

イベントを乗り越え、辻垣内智葉の好感度が50になりました  →  <<まさか君とこんな関係になれるなんてな…>>

辻垣内智葉が完全にデュラハン化しました。

ヒロインはこのように一定以上の好感度がある状態でイベントを起こすと進化し、ステータスが上昇します

また追加でさらに強力な特性を得る事が出来ます

迷宮は深部になればなるほど強力な敵が出現します

ヒロインとの絆を強くし、乗り越えていって下さい



京太郎「はぁ…つっかれたぁ…」

智葉「お疲れ様だ」

京太郎「智葉さんの方もお疲れ様です」

そうお互いを労いながら俺たちが歩くのは夜の東京だ。
迷宮から帰ってきた後、色々と調査や報告を済ませ、解放されたのがようやく今である。
まぁ、今回は新しい階層という事もあって現実との時間の流れの差など色々と調べる事があったのは分かっているし…何より… ――

智葉「……すまないな、私の検査の所為で、こんなに遅くまで」

京太郎「いえ、こればっかりは仕方ないですよ」

今回は完全に魔物…いや、デュラハン化した智葉さんの身体に異常がないか調べる検査もあったのだ。
疲れてはいるものの、大事な恋人の身体を蔑ろには出来ない。
俺は先に帰っても良いとは言われたものの、付き添いのような形で残っていた。
それも今日一日で終わったのだから、次からはもっと早く解放して貰えるだろう。

京太郎「それに俺は智葉さんとこうして夜の街を歩くのも嫌じゃありませんし、何より憧れてましたんで」

智葉「…憧れていた?」

京太郎「えぇ。可愛い恋人作って夜の街を散歩…なんて素敵じゃないですか」

まぁ、夜の街とは言っても、昔のようにムーディなそれではない。
日本の中で最も霧が深いこの東京は昼夜を問わずあちこちから喘ぎ声が聞こえてくる街なのだから。
正直、俺が昔憧れていたのとはまったく違うシチュエーションである。
だが、想像していたよりも遥かに綺麗で素敵な恋人が側にいてくれているお陰で、その差がまったく気にならない。


智葉「…ホントに君って奴は…」

京太郎「呆れました?」

智葉「呆れた…なんて言えるはずないだろう、まったく…」

そう言いながらも魔力灯に照らされた智葉さんの顔は嬉しそうに笑っていた。
微かに紅潮しているその頬は俺の言葉が思いの外、効いている証か。
もし、そうなのだとしたら智葉さんってば結構チョロい人なのかもしれない。
まぁ、例えチョロくてもそれは俺の前専用だろうから、寧ろ喜ばしい事なんだけど。

智葉「…こら、また頬が緩んでる」

智葉「ちゃんとしておかなきゃ何かあったのかすぐにバレてしまうぞ」

京太郎「バレちゃダメですかね?」

智葉「べ、別にダメって訳じゃないが…その…やっぱり恥ずかしいし…」

智葉「わ、私が自分から二人に言うまで少しだけ待って欲しい…」モジモジ

京太郎「……智葉さん、その首落としちゃダメですか?」

智葉「だ、ダメに決まってるだろう…!」カァア

残念だ。
まぁ、もうすぐホテルってところで流石に智葉さんを襲うつもりはないけれど。
俺達が迷宮に入って、もう3日も経っているのだから。
その間、音信不通だった事を福路さんや臼沢さんは心配しているだろう。
とりあえず一段落ついた事だし、二人を安心させる為にも顔を出してあげないとな。

―― スゥゥ

京太郎「たっだいm」

憧「遅い!!!」

京太郎「うぉお!?」ビクッ

そう思ってホテルの自動ドアを潜った先にいたのは臼沢さんじゃなくて新子さんだった。
その腰に手を置いて、胸を反らせるその様はまさに怒り心頭という有り様である。
だが、一体、どうしてこんなに新子さんに怒られているのか、俺にはまったく分からない。

憧「アレから何日経ってると思ってんの!?」

京太郎「え、えっと…」

憧「迷宮の中で何があったのか知らないけど、帰ってこれるなら帰ってくるって先に連絡しなさいよ、この馬鹿!」

京太郎「す、すみません…」

憧「しかも、何!?その匂い!!」

憧「そんなやらしい匂いプンプンさせて…どうせ迷宮の中でいやらしい事一杯やってたんでしょう!!!」

京太郎「う…」

憧「さいってー!ホント…さいってー!」

京太郎「…あ」

……ひとしきり罵った後、新子さんは去っていった。
…とりあえず怒っていたのは分かったけど…一体、なんだったんだろうか?
俺の知らない間に何かあって機嫌でも悪かったのかな…?

塞「あんまり怒らないであげてね」

京太郎「臼沢さん…」

塞「あの子、ずっとココで待ってたからさ」

京太郎「え?」

塞「須賀君達が帰ってくるのを…この数日間ずっとココで…ね」

塞「多分、あの子なりに凄い心配してたんだと思うよ」

塞「時間が経てば経つほどソワソワして落ち着きなくなって…」

塞「最近は祈るような顔してたからね」クスッ

……そっか。
アレだけ機嫌が悪かったのは、安心したのと…俺が何をやっていたのか気づいたからなのだろう。
そりゃあ、それだけ心配して待ってた相手が、実は女の子とイチャイチャしてました、なんて分かったら怒るよな。
寧ろ、あの程度で済ませておいてくれて御の字だと言って良いくらいかもしれない。

塞「まァ、なにはともあれ二人共お疲れ様」

塞「…色々あったみたいじゃない?」ニヤー

智葉「う…いや…その…」

塞「経緯は良く分かんないけど、良かったじゃん」

塞「最近の智葉はずぅっと須賀君大好きオーラだしっぱなしだったしねー」ケラケラ

智葉「さ、塞…っ!」カァァァ

…そうだったのか。
やべぇ、それなのに俺、全然、気付かなかったなんて…どれだけ鈍感だったんだか。
智葉さんもそういうの貯めこむタイプだし…結果論ではあるけれど、あそこで負けてよかったのかもしれない。
少なくとも、取り返しの付かない事態…なんていうのは避けられた訳だしな。

塞「まァ、智葉はちょっとお硬いところもあるけど、とても良い子だからさ」

塞「友達としてはこれからも末永く仲良くしてあげて欲しいな」

京太郎「勿論です。一生、大事にするって誓いましたから」

智葉「き、京太郎…っ!」マッカ

塞「へー。だーいぶアツアツなんだ」ニヤー

塞「じゃあ、アレかな?二人の部屋、シングルじゃなくてダブルにしちゃう?」

京太郎「あ、良いですね、それ」

塞「でしょ。ダブルは良いよー。恋人と四六時中一緒にいられるし」

智葉「四六時中…一緒…」ゴクッ

塞「部屋のサイズも大きいから色んなプレイが出来るしね」

智葉「い、色んな…プレイ…」カァァ

塞「…どーする、智葉。恋人クンは乗り気みたいだけど?」

智葉「……この商売上手め。好きなようにすれば良いだろう…」プイッ

塞「ふふ、まいどー♪」

塞「じゃあ、二人の荷物を移動させるからちょっとまってね」

塞「…あ、そうそう。ホテルマンのお約束としてこれは言っとかないと」

智葉「…なんだ」

塞「さくやは おたのしみでしたね」

智葉「ば、馬鹿!早く行け!!!!!」プシュゥゥ



という訳で拠点パートに入ります@2
コミュが見たいヒロインの名前をどうぞ



―― …まぁ、そんな風に部屋が一つになっても俺たちの雰囲気は変わらない訳で。

智葉さんがもうちょっとエロさをガンガン出してくる種族ならばまた違ったんだろう。
だが、彼女はデュラハンという魔物の中でも特に理知的と言われる種族なのだ。
こうして一緒の部屋で暮らすようになっても、それほどベタベタとはしない。
無論、夜は色々と言い訳しながらセックスはしているけれど、あの日から智葉さんが首を外す事はなかった。

京太郎「(…勿論、今の智葉さんも大好きだけどさ)」

京太郎「(ちょっと勿体無い気がするんだよなぁ…)」

今、こうして俺に接してくれている智葉さんが完全に無理をしているとは思わない。
だが、智葉さんが種族的に自身の気持ちを抑えこみがちなのは確かなのだ。
今のところその片鱗は見せていないが、何かを我慢している可能性はある。
そう思うと智葉さんの首を外してみたいという欲求が、やっぱりどうしても俺の中に生まれるんだ。

智葉「京太郎、そこの表現は間違っているぞ」

京太郎「あ…すみません」

…まぁ、そんな事を考えている暇はないんだけどな。
今の俺は前回の報告書を書いている真っ最中なのだから。
自分の分もあるというのに智葉さんに手伝ってもらっているのに気もそぞろになっている訳にはいかない。
…そうは思いながらも、俺は数回目のミスを彼女に指摘されていた。

智葉「…少し休憩するか」

京太郎「いや…でも…」

智葉「私が休憩したいんだ。付き合ってくれ」

京太郎「…はい」

そんな俺の迷いが智葉さんにも伝わっているんだろう。
作業を初めて一時間も経っていないのに、彼女は休憩を言い出した。
それは間違いなく、俺の事を気遣ってくれているからだろう。
普段の彼女ならこんな短期間で集中力を切らすはずがない。
寧ろ、俺なんかがついていけないくらいに強く集中し、あっという間に報告書を書き上げるタイプなのだ。

京太郎「…すみません」

結果的に恋人の足を引っ張っている自分の情けなさについつい謝罪の声が漏れる。
無論、そんな言葉を智葉さんが聞きたいと俺も思っている訳じゃない。
さっきも俺が気にしすぎないように智葉さんの方から気を遣ってくれている訳だし。
きっとこうやって謝罪する事そのものが彼女の気持ちを無駄にする行為なのだろう。

智葉「謝らなくても良い。人には自分のペースと言うのがあるのだから」

智葉「それに、君の場合、ただ君の命令に従うだけの私よりも書くことが多いのは事実だしな」

智葉「中々、筆が進まないのも致し方のない事だ」

智葉「それに…例の件、未だに悩んでいるんだろう?」

京太郎「…はい」

迷宮から帰った俺達は政府への簡易報告を行った。
その際、弘世さんのタイプが智葉さんの天敵である【かくとう】混じりのものである事が発覚したのである。
並の魔物であれば打ち負ける事のない智葉さんを一撃で沈めた火力。
そして何より智葉さんよりも早く踏み込んだあの反応速度は尋常じゃない。
そんな相手を倒さなければいけないとあって…政府から俺に対して新しいパートナーを選ぶように要請が出ているんだ。

智葉「まったく…私の事は気にしなくても良いと言っているだろうに」

京太郎「俺が嫌なんです」

俺は出来ればずっと智葉さんと一緒に迷宮を進んでいきたい。
それは決して彼女が恋人だから、ではなく、智葉さんを心から信頼しているからだ。
最高のパートナーと、そう呼べる彼女以外に俺の前を預けるつもりにはなれない。
例え、それが最悪と言っても良いほど相性が悪い相手であっても、俺の命を預けるのは智葉さんだ。
少なくとも、俺にとってはそうであってほしい。
でも… ――

京太郎「(…それは俺のエゴだ)」

京太郎「(智葉さんからすれば、そんな相性の悪い相手と戦いたくないのかもしれない)」

京太郎「(こうして自分の事を気にしなくても良いと言っているのは…俺に気を遣っているんじゃなくて本心なのかもしれない)」

…そう。
結局のところ、話はそこに戻ってしまうんだ。
智葉さんがパートナーと言う立ち位置を奪われて良いと思っているのかいないのか。
それが普段の彼女からは察する事が中々、出来ない。
だからこそ、俺は智葉さんの首を外したい、などという事を思ってしまうんだ。
決してエロい意味だけではないのである。


京太郎「(…せめて智葉さんが嫌だとそう言ってくれれば話は済むんだけど…)」チラッ

智葉「」コポコポ

京太郎「(…智葉さんが言う訳ないよなぁ…)」

俺の恋人は理知的過ぎるくらいに理知的な人だ。
俺が本心を言ってくれと頼んでも、そのまま言葉にはすまい。
そんな彼女を前にして俺のエゴを押し通して良いのか。
俺には未だ分からないままだった。

京太郎「(でも…何時迄も悩んじゃいられない)」

京太郎「(この報告書を書き上げたら間違いなく俺は選択を迫られるだろう)」

京太郎「(その時…どう答えるべきか)」

京太郎「(それを結論づける為にここは……)」

京太郎「(…どうにもならない…よな)」

京太郎「(少なくとも俺じゃ実力で智葉さんの首を奪うなんて出来ない訳で)」

京太郎「(何らかの策を弄するにも、俺の恋人は野性的と言っても良いくらいに勘に優れているだろう)」

京太郎「(そんな人に何かしても見破られるだけだし…下手をすれば嫌われてしまうかもしれない)」

京太郎「(そう思うと…やっぱり何もしないのが一番…なのかな)」

京太郎「(でも、そうなると智葉さんの本心は聞けない訳で…)」

京太郎「(結局、自分で悩んで決めなきゃいけないっていうのは代わりがないんだ…)」

智葉「ほら、お茶だぞ」スッ

智葉「…ってどうかしたのか?」

京太郎「いえ…何でもないです」

智葉「…そうか。それなら良いんだが…」

智葉「まぁ…無理はするなよ。私にならば何時でも相談して良いからな」

京太郎「…はい。ありがとうございます」



【System】
好感度の変化はありませんでした


―― そうやって悩んでいる間に時間は過ぎていって…。

京太郎「…あー」

報告書提出当日。
俺は一人、重い足取りで政府の施設へと向かっていた。
そんな俺の隣に智葉さんはない。
自分がいたら気を遣わせてしまうから、と今日の同行は辞退されてしまった。

京太郎「どうすっかなぁ…」

もしかしたら智葉さんと一緒に歩いている最中に結論が出ていたかもしれない。
だが、今の俺は一人で…だからこそ、俺の胸の中に強い迷いが浮かび上がる。
結局のところ…俺はどうするべきなのか。
未だそれが見えてこない自分に自嘲と共にため息を漏らして… ――

美穂子「あら?」

京太郎「あっ」

そこで出会ったのは福路さんだった。
何処かの買い物帰りなのかその手に買い物袋をもった彼女と視線が合う。
そのままニッコリと笑って手を降った彼女はトテトテと可愛らしい足取りで俺に近づいてきてくれた。

美穂子「こんにちは、須賀君」

京太郎「えぇ。こんにちは、福路さん」

美穂子「今日は一人なの?」

京太郎「えぇ…まぁ…ちょっと」

福路さんが訪ねているのは「智葉さんと一緒じゃないのか?」という事なのだろう。
そう尋ねられてもおかしくないくらいに、ここ最近の俺達はベッタリだ。
だが、現実、今の俺の側に智葉さんはない。
そう思うと胸の中にズシンと重いものがのしかかるのを感じる。

美穂子「…もしかして何かあったの?」

京太郎「寧ろ、何もなかったから困っているというか…」

美穂子「え?」

せめてまだ何かあれば俺も決心がついたのかもしれないが…アレから今まで何もなかった。
何時も通りに報告書を書いて、何時も通りにいちゃついて、何時も通りにセックスしたくらいである。
平和で淫らなその生活は、何も問題がなければ心から喜ばしいものだっただろう。
しかし、平穏な日々が続いていたからこそ、俺の心は固まらず、こうしてウジウジと悩みつづける事になっていた。

美穂子「…私で良ければ聞きましょうか?」

京太郎「いや…でも…」

美穂子「こんなところで会ったのも何かの縁ですもの」

美穂子「それに須賀君も智葉さんも私の大事な友だちよ」

美穂子「そんな人達に何かあったのだとしたら見過ごせないわ」ニコッ

京太郎「福路さん…」

智葉さんはともかく…まだ店員と客以上の関係になれていないと思っていた俺まで友達と言ってくれるなんて。
この人は天使か何かなのか?
そんな天使の手を煩わせたくはないけれど…でも、一人でウンウン唸ってたところで答えは出ないのは分かってるんだ。
もう時間もないし…ここは福路さんの手を借りるべきだろう。

京太郎「じゃあ…申し訳ないんですがお願いして良いですか?」

美穂子「えぇ。じゃあ…あのお店に入りましょうか」

福路さんが指さしたのは大通りにある喫茶店だった。
扉にOPENの札が掛かっているそこにはガラス越しに何組かのカップルが見える。
この霧が出てきてからは色々といかがわしい喫茶店も出来たらしいが、あそこにはそういう雰囲気は感じない。
恐らくこのご時世珍しい正統派な喫茶店なのだろう。


カランカラン

パァン

美穂子「あれ?」

京太郎「…え?」

そう思って扉を開けた俺たちを迎えたのは火薬の匂いと破裂音。
それがクラッカーによるものだと理解した頃には俺達に紙吹雪が舞い降りていていた。
とりあえず歓迎されている事だけはわかるが、一般的な客に対する反応ではないだろう。
これは一体…?

「おめでとうございます!あなた方が当店1万人目のカップルです!」

京太郎「え?か、カップル…?」

「はい!そんなお二人に今日は当店から様々なサービスをご用意させていただきました!」

美穂子「あ、ありがとうございます」ペコッ

そ、そこは頭を下げるところじゃないですよ、福路さん!!
いや、そうやって頭を下げる天然気味なところは可愛いけれど!!
可愛いけれど、今はまず誤解を解かないといけない…!
俺と福路さんはカップルじゃないどころか、俺にはもう相手がいるんだ。
智葉さんにこんな事バレてしまったら洒落にならない…!!!

「まずはこちらをどうぞ!」スッ

美穂子「これは…?」

「来店時の瞬間をプリクラにしたものです」

「よろしければ記念としてお使いください」

美穂子「まぁ、わざわざご丁寧にありがとうございます」

「いえいえ。あ、では、一万人目のカップルとなったお二人には特別席にご案内させて頂きますね」

京太郎「と、特別席…?」

……嫌な予感がする。
それもちょっとなんてレベルじゃなくてかなり。
今すぐこの場から逃げ出さなければ、とんでもない事になってしまいそうだ。
けれど、意味が分かっているのかいないのか、福路さんはウキウキと先に進んでいる。
…流石にその状態で逃げ出す訳にはいかないだろう。

「はい。こちらです!」

美穂子「わぁっ」

京太郎「わ、わぁ…」フルエゴエ

俺達が案内されたのは純白のアーチがかかった席だった。
白バラでこれでもかとばかりにデコレーションされたそのアーチには大きく「私達!最高に幸運で幸せなカップルです!」と書いてある。
…一体、どんな自己紹介なんだ。
いや、まぁ、今の魔物ならばこういう直接的なものを好むのかもしれないけどさ!!
実際、俺だって隣にいるのが福路さんじゃなく智葉さんだったら喜べたと思うよ、きっと!!!!

「では、こちらメニューになります」

「あ、ジュースとケーキは特別仕様になっていますから期待してくださいね」

美穂子「はい。楽しみにしています」

「ふふ。では、ごゆっくりどうぞ」

美穂子「ふふ、どんなのが来るんでしょうね、ちょっと楽しみです」ニコニコ

京太郎「そ、そうですね…」ズーン

…なんだかなし崩しにとんでもない事になっていっているような気がする。
とりあえず…ケーキとジュースだけは絶対に頼まないようにしよう。
あの意味深な笑み…絶対に何かあると確信出来る

京太郎「…てか、福路さん良いんですか?」

美穂子「え?何が?」キョトン

京太郎「いや、ここに来たって事は俺とカップルだと勘違いされてるって事なんですが…」

美穂子「カップル…………ふぇ…ぇぇぇ!?」カァァ

…あぁ、気づいてなかったのか。
まぁ、そりゃ気づいてたらこんなにノリノリで進む訳ないよな。
福路さんからしてみれば俺は友人の彼氏な訳だし。
世の中にはそういう略奪愛を楽しむタイプもいるみたいだが、天使な福路さんにそんな事はないだろう。


美穂子「ど、どどどどどどうしましょう!?わ、わ、私、とんでもない事を…!!」

京太郎「え、えっと、とりあえず冷静になってください、福路さん」

美穂子「でも、こんな…私…智葉さんにも須賀君にも悪い事をしてしまって…」ジワッ

…うん、人間、自分より慌てる人がいると冷静になるって言うけどさ。
流石に泣かれたりするとどうしていいか分からなくなる。
あぁ…くそ、こんなになる前に福路さんを無理にでも止めるべきだったな…。
まぁ…後悔しても仕方がないか。
それよりも今は…泣きそうになっている福路さんに何をするか…だよな。

京太郎「(と、とりあえず女の子を泣かせる訳にはいかないよな)」

京太郎「(フォローとか色々あるけど…まずは…」

京太郎「な、泣かないで下さい」スッ

美穂子「ありがとう…須賀君…」

美穂子「優しいのね…」ニコッ

京太郎「いや、女の子を泣かせたくないだけですよ」

京太郎「それに福路さんは智葉さんの大事な友人ですから」

京太郎「もし泣かせたなんて知られたらそれだけで俺がドスの錆になっちゃいます」

美穂子「もう…智葉さんはそんな暴力的な人じゃないわよ」クスッ

ふぅ…とりあえず笑ってくれたって事は今すぐ泣き出すのは回避出来たって事か。
それは嬉しいが…福路さんの心が完全に晴れたって訳じゃなさそうだな。
あくまで山は越えたってだけでその顔には未だ自己嫌悪が浮かんでいる。
それなら… ――

京太郎「まぁ、折角ですし、ケーキと飲み物を頼んでから出ましょうか」

美穂子「え…?でも…須賀くんと智葉さんに悪いわ」フルフル

京太郎「だけど、福路さんはケーキ楽しみにしてたんでしょう?」

美穂子「それは…」

京太郎「それに、流石に何も注文せずに出る訳にもいかないですしね」

京太郎「それを食べるまでの間、俺の相談を聞いてくれれば、それで良いですよ」

美穂子「…分かったわ」

そうやって頷く福路さんの顔にはケーキに対する期待が現れていた。
やはり落ち込んでいる女の子にケーキの力は偉大なのだろう。
しかも、特別仕様ともなれば期待を浮かばせないはずがない。
…まぁ、問題はそれがいったい、どんな特別仕様なのかってところだけど。
出来るだけ普通のものでありますように…!!

京太郎「(さて…それはさておきっと…)」

祈りながらも注文は終わった。
後は福路さんに対して俺の悩み事を打ち明けるだけ。
…でも…一口に悩みと言っても色々あるんだよなぁ。

新しく俺に迎え入れろと言われているパートナー事をどうするか。
智葉さんの気持ちをどうやって聞き出せば良いか。
また今とは直接関係はないが戦闘で傷つくだけの智葉さんに対してもっと色々出来ないかっていう事もある。


この中で相談出来るのは恐らく時間的に一つだろう。
なら…この中で選ぶべきは…… ――


京太郎「実は…最近、迷宮探索に行き詰まってまして…」

美穂子「探索に?」

京太郎「はい。今、攻略してる迷宮の主が智葉さんとは少し相性の悪い相手で…」

京太郎「それで…政府からはまた別にパートナーを迎え入れた方が良い…と」

京太郎「相手も用意するから…とそう言われてしまって…」

美穂子「…それが須賀君は嫌なの?」

京太郎「嫌…と言うよりは…その…智葉さんの存在が俺の中で大きすぎて…」

京太郎「その人の事をちゃんと信頼出来るかも…分からないんです」

京太郎「これから迷宮を一緒に探索して…命を預ける事にもなるのに…それは致命的だって分かってて…」

京太郎「でも、智葉さんだけじゃこの先進むのは難しくて…だから…」

美穂子「…須賀君」

京太郎「俺…分からないんです…自分の気持ちも…智葉さんの気持ちも…」

京太郎「智葉さんは自分に遠慮するなと言ってくれました」

京太郎「でも…それが本当に智葉さんの本心なのか…気を遣ってくれているのかも分からなくて…」

京太郎「俺…俺…どうしたら良いんでしょうか…?」

美穂子「……」

―― 沈黙の帳が降りた。

分かってる。
こんな事相談しても何の意味がないって事。
智葉さんが主導権を委ねてくれている以上、決めるべきは俺なのだ。
こんなもの福路さんに漏らしても、彼女が困るだけ。
少なくとも、俺がこんな事を相談されたらしっかりしろ、とそんな事しか言えないのだから。

美穂子「…ねぇ、須賀君」

京太郎「はい…」

そんな俺の目で福路さんは漏らすように俺の名前を呼んだ。
何処か強張ったその顔を俺は直視出来ない。
呆れられたか、或いは幻滅されているのか。
どちらにせよ、初めて見る福路さんのその顔は俺の事を良く思っていない証だろう。
次にどんな言葉が出るのか、覚悟しておかなければいけない。
そう思う俺の前で福路さんがゆっくりとその唇を開いた。

美穂子「…それ私が立候補したらダメかしら?」

京太郎「え?」

美穂子「あ、あの…だから…京太郎君のパートナー…」モジ

…え?福路さんが俺のパートナーに?
い、いやいや…ちょっと待ってくれ。
どうしてそんな話になるんだ?


美穂子「えっと…とりあえずコンプ…?とか言うのにこれを入れてくれるかしら?」

美穂子「多分、口で説明するよりも見た方が早いと思うから」

京太郎「え?あ…はい」

良く分からないが、福路さんがしろと言うのであれば断る理由はない。
彼女が差し出したデータチップのようなものを受け取り、COMPにインストールする。
数秒後、画面に浮かんできたのは智葉さんのとはまた別のアイコン。
そこには【福路美穂子】と書かれていた。

美穂子「それが私の能力。…見てくれる?」

京太郎「…分かりました」

福路さんが見せたいのはこの先なのだろう。
そう思って画面をタッチした俺に見慣れたステータス画面が表示される。
けれど、そこに浮かんだのはやっぱり俺の恋人のものじゃない。
俺の目の前に座っている福路さんのものだった。

名前  福路美穂子
Lv   1
種族  ???
タイプ ノーマル
特性1 いやしのこころ(ターン終了時、控えにいる仲間の状態異常を三割の確率で回復する)

HP60
MP5

こうげき20
ぼうぎょ110
とくこう20
とくぼう110
すばやさ30

技1 おてあて 消費1 ノーマル 素早く応急手当をし、控えにいる味方のHPをLv+20回復する
技2 しっぽをふる 消費0 ノーマル 相手の防御力を一段階下げる

京太郎「…これは…」

完璧なサポート型。
自身で戦う事などまったく投げ捨てているステータスだ。
こんな能力ではどう足掻いても一人で勝つ事は出来ない。
最悪、使い潰しにされるのが関の山だ。

美穂子「…私なら智葉さんを最大限活かしてあげられるわ」

…だが…確かにそうだ。
福路さんを使い潰せば、智葉さんにも勝機が見えるかもしれない。
最大限、美穂子さんでサポートをすれば智葉さんはより強くなれる。
何より防御型の福路さんは速攻型の弘世さんに対して決して相性が悪い訳じゃない。
もし、ひこうタイプの技を覚えられればくさ/かくとうの弘世さんに四倍のダメージを与える事だって可能だ。
ただ… ――

京太郎「それで…良いんですか?」

京太郎「こんな能力で迷宮に来ても…福路さんが傷つくだけです」

美穂子「えぇ。分かっているわ」

京太郎「それに…さっき言った通り、俺は貴女の事を信頼出来ないかもしれない」

美穂子「でも…それなら須賀くんは智葉さんを信頼するだけで済むでしょう?」

京太郎「っ!」

こともなさ気に言われたその言葉は自分が犠牲になる事を受け入れているものだった。
最初から傷つき、勝利の為の捨て石になる事を覚悟しての言葉。
穏やかな彼女から放たれたとは思えないそれに俺は言葉を失った。

美穂子「須賀くんの悩みも解決するし、智葉さんも自分の居場所を奪われたくて済む」

美穂子「悪くない提案だと思うの」

京太郎「だからって…だからってそんなの…あまりにも酷すぎるじゃないですか」

美穂子「あら、何が酷いの?」

京太郎「それは…」

確かに本人がそれを受け入れている以上、俺がなにか言うのは筋違いな話なのかもしれない。
だが…幾ら信頼していないとは言ってもそうやって人を使い潰すような戦い方は間違っている。
けれど、既に覚悟を固めた表情をしている彼女にそれが伝わるかどうか…。

美穂子「…それにね。私…怖かったの」

京太郎「え?」

美穂子「最初、智葉さんが須賀くんのパートナーになるって聞いた時も怖かったの」

美穂子「彼女が久さんのようにいなくなるんじゃないかって…不安で…」

美穂子「でも…私は見ないふりをしてたわ」

美穂子「彼女が決めた事だから…外野が口を出すのはおかしいって…」

美穂子「それよりも私に出来る方法で最大限サポートするのが一番だって…」

京太郎「…福路さん」

美穂子「でも…今回、三日も二人の消息が分からなくなって…」

美穂子「私…怖かった…。本当に…怖かったの…」ブルッ

美穂子「また…私の知らないところで大事なものを喪ってしまうんじゃないかって…」

美穂子「そんな…そんな事を思って…ずっとずっと眠れなかったの…」

…福路さんの声は悲痛なものだった。
新子さんと同じく福路さんも俺たちの事を心配してくれたのだろう。
…そして同時にそれ以上に怯えていたんだ。
一度喪った仲間や友人の存在から未だ立ち直れていない彼女の心に…また黒い影を産んでしまうくらいに。


美穂子「私…もう嫌…」

美穂子「あんな風にまた失うんじゃないかって不安に思うのは…嫌なの…」

美穂子「だから…だから…お願い…」

美穂子「私の事を盾にして良いから…どう使ってくれても良いから…」

美穂子「須賀くんたちの仲間に入れてくれないかしら…?」

…多分、福路さんの心は硬いのだろう。
それが恐怖からの逃避であろうとなんであろうと…彼女の心は決まっている。
それに対して…俺はなんと答えるべきなのか…。

京太郎「…分かりました」

美穂子「須賀くん…っ」パァ

京太郎「ただし…です」ビシッ

美穂子「え?」

京太郎「…はっきりと言っておきます」

京太郎「俺は福路さんの事を使い捨てにするつもりはありません」

美穂子「でも…」

京太郎「…例え戦闘には向かなくても…完全サポート型でも…」

京太郎「俺は人を使い潰すような戦い方をしてまで生き残りたいとは思っていません」

京太郎「ましてや…自分お悩みを解決する為に福路さんを犠牲にして良いとも」

そう。
確かに俺は福路さんを仲間にする事に了承した。
でも、それは決して彼女を犠牲にする為なんかじゃない。

京太郎「俺が福路さんを仲間にしたいと思ったのは…貴女の気持ちを認めたからです」

京太郎「例え怖くても俺たちの助けになりたいって」

京太郎「そう思ってくれた貴女の事を信用出来そうだからです」

京太郎「決して美穂子さんを使い潰しにする為じゃありません」

美穂子「……」

俺の宣言に福路さんは何も言わなかった。
目を閉じた彼女からは俺の決定にあきれているのか、それともよろこんでいるのかも分からない。
ただただ沈黙だけが流れる中、福路さんはゆっくりと口を開いた。

美穂子「…良い…の?」

京太郎「え?」

美穂子「…私…そんな風に大事にされて…本当に良いの?」

美穂子「私…本当に戦う力なんて何もなくて…」

美穂子「二人の盾になるくらいしか出来ないのに…」ポロ

京太郎「…良いんですよ」スッ

…きっと福路さんも怖かったんだろう。
幾ら覚悟を決めたと言っても福路さんはこの前まで普通に生きてきた女子高生なのだから。
どんな風にしても構わないとそう言いながらも…内心、どんな風に戦わされるか恐れていたんだ。

京太郎「…俺がそうしたいんです」

京太郎「そうやって…福路さんとも信頼を作っていきたいんですよ」

京太郎「だから…そんな風に不安に怯えなくて大丈夫ですよ」

京太郎「…俺とそして智葉さんが必ず貴女の事を護りますから」

美穂子「…は…い」ニコ

…よし。とりあえず泣き止んでくれたみたいだ。
にしても…これからが大変だな。
智葉さんにも事の経緯を説明しなきゃいけないし…美穂子さんをどう護るかも考えなきゃいけない。
でも…さっきのようにウジウジと考えているよりは気持ちも楽だ。
智葉さんだって顔も知らない相手が増えるよりも福路さんの方が良いだろうしな。


「お待たせしましたー」

京太郎「お、来ましたね」

美穂子「えぇ。そうね」

なんだかまるで待っていたようなタイミングじゃないか。
もしかして…こっちの話が一段落するまで待っててくれたのかな?
もし、そうなら込み入った話であっただけに有り難… ――

「こちらお客様専用のケーキとなりまーす」ドン

京太郎「う、うわぁ…」

…それはもう色々とおかしいな代物だった。
まずサイズからしておかしい。
俺達が頼んだのはケーキはショートサイズだったはずだ。
なのに俺達の目の前にあるのは小さなホールサイズのケーキが二個。
しかも、その上にはチョコレートで俺と美穂子さんがキスしてるシーンが描かれている。
…うん、この技術は素直に凄いと思うがもうちょっと別の場面で活かそうぜ…。

美穂子「ってあれ…?スプーンが一つしかないんですが…」

「勿論、食べさせ合って下さい」ニコッ

ですよねええええええ!!
ここまで恥ずかしいケーキをドンとおけるような店なんだ。
そりゃ食べる為のスプーンは勿論、一個だよな!!

「そしてこちらはお客様専用のジュースになります」ドンッ

美穂子「あれ…?これストローが絡んでますけど…」

「それは顔を突き合わせて一緒に飲む為のものですからっ」

美穂子「え…で、でも、これじゃ…」

「ふふふ…キスしているみたいでしょう?」ニッコッ

美穂子「~~っ!」カァァ

「では、ごゆっくり~」パタパタ

まあ、こっちに関しては大まか予想の範疇というべきか。
世界がおかしくなる以前も極一部の店ではあったと聞くし。
それにまぁストローはあくまでも飲むのを補助する道具だし、使わなくても大丈夫。
問題は… ――

京太郎「あー…その、ケーキの方は俺は結構ですよ」

京太郎「福路さんだけで食べて下さい」

美穂子「そ、その申し出は有り難いのだけれど…その…流石にこのサイズは厳しいわ」

京太郎「…ですよねー」

女の子の胃袋は決して異次元でもブラックホールでもないのだ。
科学的にも所謂、別腹は存在するらしいが、それは決して女の子がもう一つ別に胃袋を持っている訳じゃない。
幾ら小さいと言っても、ホールケーキ二つは厳しいだろう。


美穂子「だから…あのね…こ、これは仕方のない事なの」カァ

京太郎「え?」

美穂子「ケーキを無駄にしない為に…必要な事だから…」スッ

美穂子「あ、あーん…」

京太郎「……oh」

なにこれ、どうしたら良いの?
おもちの大きい美少女が俺の口にケーキを運んでくれているんだけど。
まさに夢のような光景なんだが…俺には彼女がいる訳で。
流石に彼女にしてもらった事もないような事を福路さんにして貰う訳には… ――

美穂子「…須賀君…?」シュン

京太郎「あーんっ!!」

だからって目の前で落ち込まれたらそりゃ食べるよな!!
例え、彼女持ちでも食べるしかねえよ、チクショウ!!!
あぁ…智葉さん…これは浮気でも何でもないんです…。
全て勘違いした店がこんな馬鹿でかいケーキを出してきたのが悪いんです…。
だから、今は…今だけは許してください。

美穂子「…美味しい?」

京太郎「えぇ」

…悔しい事にケーキはすげぇ美味しかった。
あまり甘いのは好きではないが、これならパクパク食えそうである。
もしかしたらこれくらいの量なら思った以上に簡単になくなるかもしれない。

美穂子「良かった」ニコー

京太郎「…ぅ」

…そう思った俺の前で綻ぶように笑うのは色々と反則だと思う。
今の俺には彼女がいるから良いけれど、そうでなければ一発で誤解されてもおかしくはない表情だ。
…つーか、彼女がいても不覚にもドキっとしてしまったくらいだし。
…特に意味はないけれど、後でこの店のケーキを智葉さんのお土産にしよう。
うん。深い意味はないけれど…一応。

美穂子「じゃあ、今度は須賀くんの番ね」スッ

京太郎「…え?」

美穂子「わ、私だって結構、恥ずかしかったんだもの」

美穂子「次は須賀くんが私にあーんして?」

…これお土産ケーキ一個で足りるかなぁ…?
いや、うん。何もないけど…何もないけどさ!!
……一個じゃ俺の良心が収まらないかもしれないし、一応、二個買っておくか。

<<オマケ>>

「お疲れ様でしたー」

京太郎「えぇ…ホント、色んな意味で…」

「え?」

京太郎「何でもありません。それでお会計は?」

「本日のお会計は結構です」

美穂子「良いんですか?」

「はい。初々しいお二人の姿を見て他の方も大分盛り上がったみたいですから」

美穂子「う、初々しいってそんな…」カァ

「ですが、そろそろお二人もステップアップするべきだと思うんです」

美穂子「すてっぷあっぷ?」キョトン

「はい。付きましてやこのローターを粗品として…」

京太郎「要りません」

「じゃあ、おみやげに媚薬入りケーキ…」

京太郎「要りません」

「仕方ないですね。じゃあ、今日のお二人の様子を取ったビデオを後で自宅に送らせていただきますので住所を…」

京太郎「すみません、マジで勘弁してください」

―― 福路さんの加入は思いの外、あっさりと智葉さんに受け入れられた。

それは元々、俺のパートナーが増える事をなんとも思っていなかったのか。
それともただ押し隠しているだけなのかは分からない。
そんな自分が少し情けないが…俺は福路さんの提案に頷いたんだ。
俺がやるべきは智葉さんの真意に怯える事じゃなく、これから二人が上手くやっていけるように努力する事。

京太郎「(まぁ、その辺りは大丈夫そうだけれど)」

美穂子「智葉さん、よろしくお願いします」ペコッ

智葉「あぁ。こちらこそよろしくな」

美穂子「は、はい」カチカチ

智葉「…なんだ。緊張しているのか?」

美穂子「え、えぇ…その…少し…」

智葉「大丈夫だ。美穂子の側には私も…そして京太郎もいるんだ」

智葉「彼に任せておけば間違いはないさ」

京太郎「あ、あんまりハードルをあげないで欲しいんですが…」

実際、俺はこの前、水タイプにはがね技を使わせるというミスを犯してしまったのだから。
智葉さんの言うように完全無欠な指示を出せるって訳じゃないのだ。
福路さんが初めての冒険だと言う事もあって、大げさに言っているのかもしれないが、それでもこっちへのプレッシャーが強すぎる。

智葉「ふふ。そうは言っても、私は君が後ろにいて、そして指示を出してくれているお陰で戦えているも同然なんだ」

智葉「それに…恋人に期待するのはイケナイ事なのか?」ジイ

京太郎「…卑怯ですよ。そんな事言われたら期待に答えるしかないじゃないですか」

智葉「あぁ。そうだとも」クスッ

智葉「ただ…こうして迷宮に三人で潜るのは初めての試みだ」

智葉「色々と予期せぬ不具合や起こりうる可能性はある」

智葉「美穂子にも色々と迷惑をかけてしまうもしれないが…」

美穂子「大丈夫です。私も覚悟はしてきました」

美穂子「どんなことになっても弱音は口にしません」

美穂子「どんな命令でも…須賀くんの指示ならば従います」

京太郎「…え?俺の?」

美穂子「え?リーダーは須賀くんじゃないんですか?」

京太郎「いや…俺はそんな大層な代物じゃないんですけど…」

そもそもそういう人を引っ張っていく素質ってのが俺にはない。
どちらかと言えば、俺は周りに流されやすく、優柔不断な奴だからなぁ。
それよりも即断即決で何時も俺の事を導いてくれている智葉さんの方がよっぽどそれらしい。


智葉「ふふ。そうだな。私達のリーダーは京太郎だ」

京太郎「ちょっ、さ、智葉さん!?」

智葉「仕方ないだろう。まさかリーダーが人の指示を受けて動いていますとは言えないし」

智葉「何より私達を集めたのは間違いなく君なんだ。リーダーは京太郎以外にはあり得ないだろう」

美穂子「えっと…その…勝手に思い込んでた私が言うのも変だけど…」

美穂子「でも…私もリーダーはやっぱり須賀くんだと思うわ」

美穂子「須賀くんは認めないかもしれないけど…私達の中心は貴方だから」

美穂子「自信持って…ね?」ニコ

京太郎「うぅ…」

…なんか自信と言うよりもプレッシャーの方を強く感じてしまいそうなんだが。
けれども、美少女二人にここまで言われて出来ません、なんて言えない。
ましてや片方はついこの間思いを通わせたばかりの恋人なのだ。
そんな智葉さんの前で情けない姿は見せたくない。

京太郎「分かりました。分かりましたよ」

京太郎「リーダー謹んでやらせていただきます」

智葉「ふふ。その意気だ」クスッ

智葉「大丈夫だ。私達も出来るだけ君の事をサポートするからな」

美穂子「私は…戦闘力はないけれど、それ以外は頑張るから」

京太郎「…えぇ。頼りにしています」

実際、今回の探索が成功するかは福路さんがどれくらい成長出来るかに掛かっているんだ。
彼女が思いの外、成長出来なければ、或いは俺が二人の能力を使いこなせなければ、アタッカーである智葉さんがポテンシャルを限界以上に発揮出来なければ。
俺たちは間違いなく弘世さんに負けてしまうだろう。

京太郎「(でも…なんでだろうな)」

京太郎「(初めての試みだって言うのに…不安はない)」

京太郎「(なぜだか、この二人と一緒ならば出来るって…そんな気持ちが沸き上がってくるんだ)」

京太郎「(それが美少女に囲まれているが故の虚勢か、はたまた彼女が出来て調子に乗っているのか)」

京太郎「(俺には分からない…)」

京太郎「(けど…少なくとも…俺はそれを嘘にしたくはない)」

京太郎「(だから…)」

智葉「…さぁ、リーダー。指示を」

美穂子「須賀くん。お願いします」

京太郎「えぇ。…まぁ…指示といえるほど大層なものではないですが」

京太郎「初めての試みが多いのでまず第一は無理をしない事」

京太郎「そして…お互いを信頼し、何かあったら助けあう事」

京太郎「これだけは必ず護って下さい」

智葉「あぁ。分かった」

美穂子「……えぇ。勿論よ」

京太郎「…では…」スゥ

京太郎「今より迷宮攻略を開始します」