憧「何?こんな人気のないところまでに呼び出して」

京太郎「ちょっと他の人に聞かれたくなくて……お前に頼みたいことがあってさ……」

いつになく酷く赤面してボソボソとした声で京太郎は口を開いた。
人に聞かれたくないこと。二人きりで。
――告白……かな。
そう考えると私の中で自然と自分の顔が赤くなるのがわかった。そんな顔が見上げるのが嫌で俯いた。
しばらく、黙って次の言葉を待つが中々来ない。京太郎の方を覗き見れば口をもごもごとさせていた。

憧「もうハッキリ言いなさいよ。最後まで笑わないで聞いてあげるから」

背中を押すつもりでそんな言葉をかけて笑った。笑ったつもりだった。でもちゃんと笑った顔になっているのか自信がなかったけど。

京太郎「あのさ、穏乃のことなんだけどさ」

京太郎の口からは私がいつも一緒に遊んでいる女友達のシズの名前が出た。
何で?こんな時に?そう思ったが言葉にならなかった。私の口がパクパクと魚のように動いただけだった。

京太郎「穏乃って好きな人とかいるのかな?」

憧「………………」

そうか――
そうなんだ。
こいつ、あいつが好きなんだ。

憧「こんど聞いておく……」

ついさっき燃え上がった胸の中のものは急激にその行き場を失って荒れ狂っていた。
顔の表情を隠し、湧き上がる心を抑えその場は平静を保った。
正直今はどうしていいかわからなかった。
でも――
でも何だろうこの胸の中のドロドロしてる嫌なモノは……。

憧「ごめん、私用事あるからもう行くね」

そう言ってその場から逃げるように背を向けて歩き始めた。
そして角を曲がりアイツの目の届かないところにきたところから走り始めた。ここには一秒だっていたくない。
嫌だ。
何かが嫌だ。

憧「なんで私じゃないの………」

吐き出したくなる気持ち悪さの中、私は呟いた。

続かない