曇天の灰色の空から、実にウンザリするくらい雨が降る。
その中で由暉子はコンビニの屋根の下、雨宿りをしている。

学校を出た頃はまだ、気になる程でもない小雨だった。
これくらいなら大丈夫かな、と由暉子は早足で駆け抜けるつもりだったが次第に雨脚が強くなり、ここに避難せざるをえなかった。
髪はベタベタと肌に張り付き服は透けて、なんとも恥ずかしいので胸の前に鞄を抱えている。

由暉子「はぁ……」

一向に止まない雨、何度目かのため息。
もういっその事濡れて帰ろうか?
そんな事を考えているとこに聞きなれた声が由暉子の名を呼んだ。

京太郎「あれ、ユキじゃないか?」

振り向いた先には、傘を差した京太郎が立っていた。

由暉子「あっ…京太郎君」

京太郎「ユキ、傘持って行ってなかったか?」

由暉子「そうだったんですが、どうやら持って行かれてしまったみたいで……」

京太郎「そうか、全く困った奴がいるよなぁ…ってそこで買えばいいじゃないか?」

そう言って後ろのコンビニを指差す京太郎。

由暉子「……まだ明日以降も雨が降るって考えると、盗られそうでなんとなく買えないんですよ…」

本当は服が透けてて店の中に入りづらいのだが。

京太郎「そうか……だったら俺の傘に入ってくか?」

由暉子「えっ?」

突然の提案にユキの口から変な声が出る。
もっとも心のどこかで、そう言われたらいいな…なんて由暉子は思っていたが。
実際言われるとなんとも動揺し、由暉子は返事を言いあぐねる。

京太郎「ってやっぱり俺なんかとじゃ恥ずかしいよな、じゃあ俺が傘買ってくるよ」

由暉子「待って下さい!」

チャンスを逃しそうになったところで、由暉子はどうにか声が出た。

由暉子「あの、やっぱり入れてください!」

京太郎「え?でもいいのか…俺と一緒に帰ってる所を先輩達に見られたら」

由暉子「大丈夫です!どうか京太郎君の傘に入れて下さい!」

京太郎「そうか……分かった。じゃあ帰ろうぜ」

由暉子「はい!」

こうして憂鬱な雨の下に由暉子と京太郎の幸せな空間が出来たとさ。

カン