「京ちゃん、うまいなぁ」

 「このゲームはコツがあるんですよ。それさえ出来ればもう巻き返せません」


 須賀咲ちゃんです。ただいま桃鉄をみんなでやっています。

 みんなゲームをするタイプではないんだけれども、お姉ちゃんがプレゼントされて持ってきたので、触ってる感じです。

 うう、それにしてもこのゲーム難しいよぉ。私ずっと最下位で、貧乏神がついててまともに動けなくて借金地獄。

 お姉ちゃんは3位だけど、ゴールに辿り着けないからお金がなくて、ちまちま観光名所を回る旅みたいになってる。

 お父さんは最初のうちに何度かゴールに入っていたおかげで、なんとか2位。


 「コツ?」

 「最初は運ですが、とにかくお金は移動系に全部使うんです。

  連続でゴール出来ますし、密集地帯なら振れば確定ゴールです。

  ゴールで貯まった金でまた移動系を買って、残った金で物件を攻めていく感じです」

 「なるほど」

 「このやり方ならある程度は上位に行きますし、貧乏神をつけられても速攻で返せます。

  物件が増えれば増えるほどゴールのお金はどうでもよくなりますので、ある程度勝ち確定になったら物件漁りですね。

  物件買えばまた決算ですごい金額が入るので、最後に高額物件を揃えて守りに入れば終わりです。

  他にも戦法はありますが、とりあえずこれが一番簡単ですね」

 「そうすると資産、移動の差が取り返せないもんなぁ。

  これ、もう勝ち確定?」

 「他の人が全員で協力してキングボンビーかハリケーンボンビーを押し付ければワンチャンありますね。運頼りですが……」


 う、京ちゃんがこっち見てる。

 なにさー。嫁さん見捨てて一人で豪遊してさ!

 もう借金しかないし、買える物件もほとんど京ちゃんが買っちゃってやることないもん!


 「あれ?」

 「おっキングボンビーに変化か」

 「おっきくなった」

 「もーやだー!!」


 ボンビーが巨大になって、次から地獄を見せると言い放つ。

 もう何もできなくて、やりたくなくて、コントローラーを投げてしまおうかと思った、その時!


 「この瞬間を待っていたんだーっ!」


 京ちゃんが移動カードを使って私からキングボンビーを奪い取った!

 え、え!? 何が起こったの!?


 「メカボンビーRXでキングボンビーを退治してやる」

 「そ、そんなこと出来るの?」

 「まぁ見てなって」


 なんだかわからないけれど、窮地を助けてもらったのかな?

 そ、そうだとしたら嬉しいな。えへへ。


 「いけー、メカボンビー!」

 「これ、勝率100%なのか?」

 「いえ、50%くらいです」

 「それ、大丈夫なのかー?」

 「やってみなけりゃいけないでしょ」


 そう言って京ちゃんがこっちを見る。

 ちょ、ちょっとドキッとしたよ! ちょっとだけ!


 「「「「あっ」」」」

 検討虚しく、メカボンビーRXは破れちゃいました。

 怒りのキングボンビーがサイコロ10個で借金を作らせる。


 「まだ、数回なら耐えられるんですが、サイコロが多いと困りますね」

 「早めにボンビラス星に行くのがいいんだっけ?」

 「あそこは勝ち確定状況だと天国ですよ」


 しかし、なかなかボンビラス星に連れて行ってもらえず、サイコロ10個を連発されて京ちゃんの持ち資金はゼロになっちゃった。

 さらに追撃のサイコロ10個で物件を売り払い、その後ボンビラス星で物件を売って資金を作ってました。


 「京ちゃん……」

 「泣くな泣くなしょぼくれるな!

  まだ行けるって!」


 しかし、そんな希望を打ち砕くようにすぐにキングボンビー変化。サイコロ10個を連発されて物件が壊滅。

 残った農林水産も、次に進化したハリケーンボンビーに飛ばされて京ちゃんには何もなくなっちゃった……。


 「京ちゃん……」

 「ぐぬぬ、あー咲にも負けちゃいそうだぜ。

  でも、まだ諦めないぞ!」


 そうは言うけど、残り期間は短く、決着。

 お父さんが1位、お姉ちゃんが2位、私が3位、京ちゃんが4位になりました。





 「おーい、いつまでむくれてるんだよ。

  最下位じゃなくて良かったじゃん」

 「京ちゃん。わざとやってたでしょ」

 「へ? いーや、お金に余裕があるから咲に施しをやろうと思っただけだって!」


 何を言ってもこの返ししか返ってこない。

 表情すら合わせてくれない。私に見られたら嘘だってバレるからだ。

 私はもう、京ちゃんの声だけで嘘だってわかるんだからね!


 「ゲームだと、嬉しい」

 「……おう」

 「でも! 現実でも自分を犠牲にして私を助けるなんてやったら本当に怒るんだからね!」

 「ばっか、そんなことしねーよ」

 「嘘だ。絶対する」

 「……善処するよ」


 大人になっても、指切りげんまん。

 でも、きっと二人とも守らない。京ちゃんは私や子供達が危なかったら命を張って助けるだろうし、私だってそうだ。

 この話は続けても水掛け論にしかならないからここでおしまい!

 それだけ愛されてるってことで終わりにしておこうかな! カン!