須賀咲ちゃんです……。子供が風邪を引いちゃいました。

 息子が引いてしまい、うつらないように娘は隔離。お母さんが面倒を見てくれています。

 子供が風邪を引いた、それだけで宮永家は大事件!


 「よしよし、ちょっと我慢してくれ……。

  ね、熱が38度もある!」

 「本当か、京ちゃん!

  いますぐすいのみと氷嚢買ってくる!」

 「咲は病院の診察券を取ってきてくれ。

  ……やっぱ俺が行くから咲はここで見ていてくれ」

 「さすがに迷わないよ!

  で、でもわかった」

 「京ちゃん。私はどうしたらいい」

 「え。照さんは、その」

 「わかった。関西から麻雀仲間の看護士を呼んでくる」

 「照さんそれはやりすぎですっ!」


 え、お姉ちゃん関西からここまで呼ぶのはさすがに引くよ! それに看護士呼んでどうする気!?


 「て、照さんは咲と一緒に見ていてください」

 「わかった。なんでもする」


 な、何にもしないでほしいなぁ……。

 とにかく京ちゃん! 早く行ってきて!




 「すいのみと氷嚢。あとはレトルトのおかゆとプリンを買ってきた!」

 「お父さんありがとう! じゃあどいてて!」

 「え、おじいちゃんとしてちゃんと見るぞ」

 「お父さん、邪魔」

 「て、照まで」


 こういう時、やっぱり私か京ちゃんに甘えたいと思うから、二人には準備をしてもらって、私は背中をさすってあげる。

 悔しい。本当に悔しい!

 母親として、この子たちのためならばなんだってできる。命だって投げ捨てられる覚悟だ。

 誰だって親バカになるもん。

 せめて辛さだけでも変わってあげたいのに、それすら出来なくて歯痒い。

 今できることは氷嚢をタオルに包んで熱を冷ますのと、定期的にすいのみで水をあげること。

 息子の前で何時間も正座して、うとうととしていても水を求められたらすぐにすいのみを差し込んであげる。

 それに加えて、汗をかいてきたらすかさず拭いてあげる。

 水がなくなったので補給しようと思っても、息子が不安そうに私の指を掴むので離れられない。


 「咲、私が水を入れてくる。氷嚢もタオルも変えよう」

 「うん」

 「咲も休んだほうがいい」

 「もうちょっとで京ちゃんが来るから、それまではやる」


 疲れた、などということはなく、辛さは感じない。

 一番感じる辛さは、心にくる。

 胸が痛い。変わってあげたい。少しでも楽にしてあげたい。

 じっとなんてしてられない。




 京ちゃんが帰ってきて、京ちゃんとお父さんと息子が一緒に病院へ。


 「咲。家のことは私がやるから寝なさい」

 「すごく心配だけど、任せたよ」


 その間に私は小休憩で仮眠。

 息子が心配で寝られないかと思ったら、逆に「帰ってきた時のために体力を残さなければ」と思い、すぐに寝付くことができた。

 親って、すごい。子供が関わるとなんでもできる。

 二時間くらい張り付いて看護することだって、全然辛くない。

 とりあえず今は、寝よう。




 気づけば京ちゃんが帰ってきて、また息子をベッドに寝かせていた。

 京ちゃんが先ほどまでの私の位置に座って、すいのみと汗拭きを繰り返していた。


 「京ちゃん」

 「起きたか、咲」

 「どうだった?」

 「普通の風邪。薬を飲んで寝てれば治るはずだ。

  しばらくは俺が見てるから、咲は家事を終わらせちゃってくれ。

  照さんが仕事増やしてるぞ」

 「……あー。わかった。

  その、大丈夫、なんだよね?」

 「ああ。絶対に大丈夫だ。俺に任せろ」


 京ちゃんに言われて決意!

 自分の頬を叩いて気合を入れ直し、洗濯物や食事や掃除などをまとめてこなしちゃいます!


 「ほら、ちょっとでいいからおかゆ食べで」


 京ちゃんがなんとかご飯を食べさせようとしている。


 「あーん。よしよし。いい子だ!

  もうちょっと食べられるか? よーし、いい子いい子!

  これだけ食べられたら薬を飲もうな。イチゴ味だから大丈夫。

  もし薬もちゃんと飲めたら、プリンを食べていいぞ。

  あ、ダメだダメだ。プリンはちゃんと全部終わってから!」


 普段、子供と接する時間が短いのに、すごく手馴れてる。

 ちょっと嫉妬しちゃうな。でも、カッコイイよ。


 「全部終わったな!

  お、プリンはお母さんに食べさせてもらいたいってさ」

 「甘えん坊だねー。

  よしよし。ほら、アーン」

 「一気に食べちゃダメだぞ」

 「はいはい。少しずつね。

  もう一個。アーン」


 これも二人の共同作業。

 言葉がなくてもわかる。京ちゃんも私と同じ思いだったんだ。

 そしてそれは、私たちのお父さんお母さんが通った道なんだろうね。





 「熱は下がりました。

  もう元気になりましたよ」

 「よかったなー!」

 「二人とも、頑張った。少し休むべき」

 「ただ、その……」

 「あー、もしかして、アレかな?」

 「アレ? どうやら、風邪を引けば構ってもらえると覚えてしまったみたいで」

 「はっはっは! 親なら誰でも通る道だ。

  甘やかしちゃダメだぞ!」

 「今、咲が叱ってます。

  まぁほどほどにですけどね」

 「それならその間に別室に預けられてた娘……と私に構うべき」

 「? そうですね、照さんも一緒に行きますか」

 「よし」



 「もー! 仮病なんて覚えちゃダメなんだからね!」


 親は子供の仮病くらい見透せるんだからね! カン!