「やったぁー! 一抜けだ!」

 「京ちゃんが一位か。

  おっと、俺も一抜けだ」


 須賀咲ちゃんです。家族みんなでババ抜きをしています。

 さっきから勝つのは京ちゃんとお父さんばかり……ビリは私とお姉ちゃんとお母さんでループ。

 ぐぬぬ、麻雀だと真逆なのに……。

 今回はお母さんも一抜けし、私とお姉ちゃんの一騎打ち。


 「咲は顔に出るからなァ」

 「照は無表情なのに、嘘をつきたい時だけ営業スマイルになるのがいけない」

 「お父さんは黙ってて。

  これは姉妹で京ちゃんを賭けた戦い」

 「賭けてないからね!?

  なんでナチュラルに人の旦那を盗ろうとしてるの!」


 油断も隙もないよ!

 で、でも勝った後に言い出さないだけマシなのかも……?

 いや、よく考えたらこう考えさせられること自体がおかしいよ!


 「あっはっは。

  咲。負けられないな」

 「いやいや、界さんは止めてくださいよ」

 「お父さんは自分の娘を何だと思ってるの!?」


 どこの世界に姉妹丼を推奨する父親がいるの!


 「咲。何も賭けないと人は真剣になれない」

 「私に得が一個もないよ!?」

 「不合理に身を委ねてこそギャンブル。

  狂気の沙汰ほど面白い」

 「お姉ちゃん、私の部屋の『アカギ』持って行ったでしょ!」

 「咲だって前に精液麻雀がどうとか言ってなかった?」

 「あ、あれは夫婦だからいいの!」

 「親の前でなんて言い争いをしてるんだ」

 「前に真似をしてみたら公式戦で負けちゃった。

  私じゃあの人には届かない」

 「何やってるんですか照さん!?」

 「照!?」

 「お姉ちゃぁぁん!?」


 あ、アレか! ものすごいドヤ顔で決めようとした裸単騎待ち!

 お姉ちゃんにしては珍しいことをするな、と思ったけれど!

 しかも負けてたし! 一応プロでしょ! え、冗談だよね!?


 「チャンピオンはエンターテイナーでなければならない」

 「たぶん照さんにそういうキャラは求められていないと思います」

 「照に無表情で言われると本気なのか冗談なのかわからんなー」

 「あれはあれで考えがあったんだけれども、失敗した(´・ω・`)」


 文句を言いながらも、私が二枚。お姉ちゃんが一枚。ジョーカーは私。


 「これがババ抜きの面白いところですね」

 「ここにいる『ババ』はもう抜かれちゃったけどな。

  なぁ母さん」


 あっ……。

 お父さんが首を絞められながら隣の部屋に連れて行かれちゃった……。


 「お母さん、仕事は続けられる程度にヤっちゃっていいよ!」

 「さ、咲ィ!?」


 ま、お父さんだし。


 「咲。今あなたは追い詰められている」

 「見ればわかるよ!」

 「ふ、ふふふ。これで京ちゃんは借りていく」

 「まぁまぁ。咲、落ち着いて。

  照さんも買い物くらいなら付き合いますから」

 「え、本当!?」

 「京ちゃぁぁぁん!?」


 何堂々と浮気宣言してるのぉぉぉ!?


 「本気でいく」

 「照魔鏡まで使う!?」

 「しまった。トランプのオカルトなんて持ってないから意味がない」

 「それに照魔鏡のデメリットを考えるとジョーカーを引きそうですね」

 「お姉ちゃん……」


 なんか哀れになってきたよ。

 もう私はお姉ちゃんがわからないよ!

 あのテレビの中のかっこいいお姉ちゃんはどこにいるんだろう。


 「隙あり」

 「あ」


 とかなんとか言ってる間にサクッと取られちゃった。

 でも、そっち側は確か……。


 「と、隣か……」

 「まだそのネタ引っ張りますか」

 「裏ドラに関しては私もお姉ちゃんも支配の外なんだから諦めなって……」

 「ま、まだ終わってない!

  こ、この裸単騎には魔法がかけてある!」

 「アラサーアニオタ独女め……」

 「咲! それ以上はいけない!」


 こうは言うけど、京ちゃんがいなかった時の私の未来の姿を見ている気がしてつらいよ!


 「はい、終わり」

 「う、うううううう」


 自分からフラグを建てて行ったせいでお姉ちゃんの負けでした、とさ。

 我ながら勝てると思わなかった。

 涙目でうずくまるお姉ちゃん。

 みなさん。これが日本代表トップ麻雀プロ(アラサー)の私生活です。


 「ほら、京ちゃんとお姉ちゃん。出かけるよ」

 「咲?」

 「もう遅いけど、三人でデートしよ?」

 「咲……」

 「ほら、照さん。行きましょう」

 「京ちゃん……」


 涙目のお姉ちゃんぺろぺろ……じゃない! なんでもない!

 ま、お姉ちゃんも普段頑張っているし、一番お金を入れてくれているし、ご褒美は必要だもんね?


 「京ちゃんはちゃんと女の子二人を楽しませるように!」

 「はいはい。お姫様方」

 「お姫様。えへへ」

 「さぁ京ちゃん。お姉ちゃん! 行くよ!」


 私が自分から外デートを提案するなんて珍しいんだからね?

 じゃ、行こう!

 ……そういえば?


 「お父さんの呻き声も止まったね」

 「それ、界さん大丈夫なのか!?」


 いや、お父さんの安否とかどうでもいいし。

 ……あれ、お父さんもお母さんも家にいない?

 まさかとは思うけれど、ヤっていいとは言ったけどそうじゃないよ!? カン!