須賀咲ちゃんです!
……須賀! 咲ちゃんです!
え、えへへ、ぅひひひ。
宮永咲ちゃんは須賀咲ちゃんに進化した!
というわけで、新婚ホヤホヤの須賀咲ちゃんです。
半年ほど前に結婚式を挙げ、京ちゃんと同棲生活を始めました!
京ちゃんはお仕事、私は近所のスーパーでパートをしています!
「須賀さん。これお願いできる?」
「は、はひ」
「須賀さんは頑張り屋さんねぇ。
おばちゃん嬉しいわぁ」
ぅひひひひ。同じパートの人たちに『須賀さん』と呼ばれるたびにニヤけが止まりません!
「須賀さんは新婚さんなんだっけ?」
「は、はい。半年くらい前に結婚しました!」
「あらあら。若いっていいわねぇ」
そ、それにしても他のパートさん達によく絡まれる気がする。
みんなニコニコしながら話しかけてくれるので、人見知りの私でも安心できます!
本当、優しい人が多くて私は恵まれているなぁ。
「旦那さんも若いの?」
「は、はい。
中学校からの付き合いで」
「あら! 本当!?
まー、ロマンチックじゃない!
羨ましいわぁ」
「中学生の頃からの付き合いでそのまま結婚だなんて!
いやぁ、須賀さんは愛してもらっているわねぇ」
「あ、あいして……」
「照れちゃって!
もー、須賀さんかわいい!
旦那さんにいじめられたら、おばちゃんに言うのよ?」
「やぁねぇ。
新婚さんよ? 毎日よろしくやってるに違いないじゃない」
「そういえばそうね。夜にいじめられちゃってる、とか?」
「「キャー!」」
よ、夜にいじめられ……は、恥ずかしいぃぃぃ!
確かにいじめられるほうが好きだけど、京ちゃんが疲れている時は私が頑張ったり……って違う!
「須賀さん顔真っ赤!」
「私の娘にしたいわぁ」
も、もみくちゃにされるぅぅぅ。
「でも旦那さんが働いているなら、須賀さんは早く元気な子供を産みたいんじゃないかしら?」
「ちょっと、それはセクハラじゃない?
それにまだ若いし、お金の問題もあるでしょう」
「あ、ごめんなさいね。
須賀さんが可愛いから、ついいじめちゃうわ」
「もう少し二人っきりの新婚生活を楽しみたいもんね?」
「こ、子供……ぁぅぅ」
そ、そう言えばそうだよね。
その、あの、夫婦になったってことは、いつでも子供を作っていいってことで……。
私のお父さんも、京ちゃんのお父さんも、お金のことは気にしなくていいって言ってたし。
わ、私としても京ちゃんとの愛が形になるのはやぶさかじゃないかなっていうか……。
「こ、子供は欲しい、です。はい」
「それなら、須賀さんも早く子供が欲しいってアピールしなきゃ!」
「うふふ。それならいい方法があるわよー。
男なんて言葉で言うよりもっと単純なんだから!」
「そうよね!
パッとして、ガッとヤって逃げられなくすれば一発よ!」
「ふ、ふえぇぇぇ」
ど、どうしよう。みんなノリノリだよぉ。
でも効果的なアピール方法があるなら、聞いてみたい、かも。
あ、あくまで一般的な方法を聞くだけで、実行するとは決まってないし。
「まずは……ね?」
え、本当にそんなことするの!?
みんなやってるの!?
……
…
「ただいまー」
今日も疲れた……。
新入社員だから覚えることがいっぱいあるし、まだまだ怒られることも多い。
でも、こうして毎日頑張って咲を養うって決めたのは自分自身だ。
何より、帰ってきた時にトテトテと出迎えてくれる咲がいるだけで俺は頑張れる。
……本人には絶対言わねーけど。
そう言えば、今日は出迎えがないな?
聞こえなかったのかな? ま、まさか倦怠期には早いだろうし。
「咲?」
「な、なぁに。京ちゃん」
何だ、出迎えてくれてるじゃないか。
? 何でそんなところに隠れているんだ。
そんな壁から顔だけ出すように隠れるなんて。
いやぁ、それにしても咲のエプロン姿はいいなぁ、って……!?!?!?
「さ、咲。お前、その!?」
「うぅぅぅぅぅ」
うん。
これ。
裸エプロンじゃねーか! ありがとうございます!!
「……」
「ち、違うの!?
こ、これはパートの人たちがこうした方がいいってね!?」
「……」
「そ、その。私はパートだし、きょ、京ちゃんが喜ぶなら少しくらい頑張ろうかなって」
ほう。
「そ、それに。こ、子供も欲しいかなって」
ほう。
「か、勘違いしないでよね!?
別にこの格好をしたくてしてるわけじゃ、その」
何を勘違いしろって言うんだ。
「咲」
「な、なぁに」
「いただきます!!」
「きゃぁぁぁ!?
その、晩御飯出来てるし! お風呂も沸いてるし!」
「咲にする!」
「ご、ごーいんだよ!」
「咲も強引な方が好きじゃん」
「そ、そうだけど。や、ひゃう。
きょ、京ちゃ……んっ」
えぇい。うるさい口は塞いじゃいましょうねー。
じゃあ俺は咲とよろしくやってるから! カン!!
最終更新:2015年11月04日 21:45