時は…20XX年…

世界では、「麻雀」が一世を風靡していた

老若男女問わず、麻雀の持つ深い駆け引き、熱さに惹かれ

そして、溺れていったのである…

その中で、



常識では在り得ない「非常識」を惹き付ける、特殊な「チカラ」を持った者が

現れるようになった。






『能力者』






中でも、その拳を以って、牌を惹き付け、牌を操る

神に愛されし拳の持ち手

そんな者たちの事を



「神拳使い」と呼んだ


















弩ッ!!!!!!!!!







「くっはあ!!!!」








能力者の戦いは

卓上だけに在らず

それぞれが持つ闘気、全てを以ってイメージすら戦いのリングにする

在り得ないなんて在り得ない。

空間全てが闘気に支配され

次元すら包み込む

熱気!!!!

気迫!!!!

そして

立っていた者だけが勝利を手にするのである。









「くッ…【拳王】…ッ!!!」









「拳王に後退は無い…在るのは前進制圧のみ…」




帝王は静かに言った。

自分に言い聞かせているようだった

戒めを

自惚れから出た言葉とは思えなかった


それ以外は許されない定めであるかのように…

















今日も何処かで

誰かの拳が唸り

誰かの拳が砕ける













ここからは、

1つの物語






星の定めに翻弄される

少年少女の物語















「あら?入部希望者?珍しいわねぇ」

部室のドアを開けるなり、彼女は微笑んでそう言った


久「私はここの部長、竹井久よ。よろしくね、お二人さん?」

まこ「わしは染谷まこ。よろしく頼む!」

メガネを掛けた少女も声をかける。

京「よろしくお願いします!俺は須賀京太郎!こっちは宮永咲です!」

咲「ちょ、ちょっと京ちゃん?私まだ入るって決めてないよ…」

京「まぁいいじゃんか。」

久「そうよ、試しに一回打ってみてから決めてもいいんじゃない?」

咲「う…ん、そういう事なら…」












まこ「さて、どう思う?部長殿?」








唐突に、それでいて自然に、彼女は言った。





久「そうねぇ…まこも分かった?」






まこ「まぁ何となくじゃが…」






久「あたしもそうよ。」

 「じゃあ単刀直入に」




 「どの程度まで『使える』かしら?宮永さん?」







空気が変わる









咲「!?」



京「(……)」








一気に冷めた空気は、咲の眠らせていた気を醒めさせた




咲「どうして、解ったんですか。」

京「……え!?何々!?何の話!?」







突然の話に着いて行かない者も居るのは当然のことだ




久「…能力、よ。使えるんでしょう?宮永さん?」

咲「…『読んだ』んですね。」

久「まぁ、正確には読めないけどね?でも、」

 「貴女、相当なのを持ってるでしょう?」



能力は、生まれた瞬間によってその性質が決まる。

それが開花するかは別として、だが。

性質によって、得意とする能力の種類も変わってくるのだが

例えばそう、先ほどの竹井久、染谷まこの様に

『人の気を読む』

事に特化した者も居れば

『打ち倒す』事に特化した者も居る




性質を活かした戦いが出来る者程強い。

能力を使った戦いの神髄は、自らを知り、敵を知ること。

どれほど強い能力を持っていようが

無知は力には成らない。

無知は力を縛る

無知は、罪。




久「さて、じゃあやりましょう。見極めるのなら、卓を囲むのが一番早いわ。」






 「優希」






優希「はいは~い!だじぇ!!」






少女が現れる。

片手に食べ物…タコスだろうか

持ったまま席に着く






久「優希、食べきっちゃいなさい。汚いわよ?」



優希「ごめんなさいだじぇ!」




一気に頬張ってから飲み込む





瞬間



優希「東場は、優希ちゃんのテリトリーだじぇ!」





フワッ




空気が揺れる






『空間』が揺れる






久「和」







和「はい。」




また、少女が一人席に着く



スゥ…



空気が落ち着いた




いや





『空間』が落ち着いた




コレらが何を意味するのか




本来落ち着くはずのない所が揺れ、落ち着いた




すなわち




『非常識』である



彼女達もまた、能力の使い手






始まる戦いは




道標となるか




墓標となるか



ー様子を見させてもらうかー




最初に動いたのは








京「よ~しテンパったァ!!!!」タンッ






須賀京太郎


あまりにも、無謀


この能力者が支配する空間において


あまりにも、無謀

だが



和「(彼には使わなくてもいいでしょう。いえ)」



優希「(使う必要が無いじぇ。)」


彼はターゲットですら無かった


それどころか


同卓に居ることすら


意識はされていない


なぜなら


この卓で見ても分かるように


危険と判断される闘気は3つのみ


宮永咲


片岡優希


そして、原村和


当たり前だ


能力者の戦いに


無力な者は


居ても居なくても関係は無いのだ





優希「ロン!!」


咲「きゃあああああああっ!」


その瞬間



衝撃が咲を襲う



京「咲!?」



優希「いえーい!優希ちゃんの会心の一撃!!」



京太郎「一体何が!?…こ、これが能力者同士の戦い!?」



和「そうです。須賀さん。優希は東場において強力な支配力を持ちます。」

 「東場は彼女の独壇場ですよ」

 「東風戦なら尚更」



京「…成程」ボソリ



それからは一進一退


原村和の空間支配は圧倒的であった


全てが無難に動く


全てが安定している


全てが調和している


能力者の戦いにおいて


勝負が傾かないのは大きなポイントである


誰もが逆転の可能性を秘め


誰もが勝てない可能性を秘める


平こそ

もっとも勝負を乱すのである






咲「(くっ…もう限界が近い…原村さんも…次が最後!!)」

和「(どうやら宮永さんも次が最後みたいですね…私も同じですが)」

駆け引き、というには単純すぎるように見える




能力者同士の戦いで


お互いが互角に疲弊することは


お互いがお互いを読み合い


常に紙一重の戦いをしてきた証。


お互いが強者である証なのだ。




剛ッ!!!!!!!


一瞬である


一瞬のうちで


早かったのは…



宮永咲!!!!!



咲「(決まった…!!!!)」


和「(しまっ…!!!)」




刹那




ガッ!!!!!!!


咲「ッ!!??」


咲の表情が乱れる


同時に


和「(隙!?)そこです!!!!!」


ドガッ!!!!


咲「くっ…は!!!」


ドサッ


久「ん~惜しかったけど、これは和の勝ちね。」





戦いは終わった


僅かな疑問を残しながら




















咲「(さっきのは…北斗五指烈弾…)」

 「(かなり加減はされてた…けど)」

 「(あの部室の中に…神拳使いが居た…!?)」


















久「やれやれ、貴方が誘ってきたわりには中々嫌なことするじゃない?」

 「性格悪いわねぇ~」



 「須賀くん?」






京「いえ、そんな事無いですよ」




少年は思い出していた

はるか遠い地で

皆で過ごしていたあの頃を

その時誓った事を







京「柔の北斗との約束です。」

 「北斗の者を集め、北斗を残す為の、ね。」




 「北斗は変わってしまいました。」

 「剛の北斗がああなって」

 「残された調和の北斗は忘れようとしていた」







 「それではダメなんです。」