す、須賀咲ちゃんです。今日はピンチです。

 いや、ピンチというとおかしいんだけど、こう、友達が来るのが久しぶりで喋れる気がしない!

 今日来るのは優希ちゃんと和ちゃん!

 高校時代の同級生だよ! 三人とも大学は違うところに行ったんだ。

 この二人と離れて女の子の友達が出来るか心配だったよー。……ちなみに、出来ませんでした。

 大学時代は本当に京ちゃんしかいなかったんだもん……。

 二人とも、子供と楽しそうに遊んでる。

 子供のみんなを笑顔にする力ってすごいよね!


 「子供はやっぱり可愛いですね。

  自己主張が激しくて、泣くのも笑うのも全力みたいです」

 「元気さなら負けないぞー!

  って言いたいけど、咲ちゃんが毎日こんなことしてると思うと信じられないじょ」


 えっへん! ……無い胸を張ったとか言わない!

 ふふ、子供の相手っていうのはものすごく体力を使うんだ。

 それでも私は実際に子供を産んだお母さんですから!

 京ちゃんや優希ちゃんみたいに運動が得意な人より扱いはうまいんだ。

 やっぱり、お母さんだもん! 

 「のどちゃんは最近どんなんだじぇ?」

 「どうもこうもないですね。

  そろそろ誰かを捕まえないと行き遅れ一直線です」

 「私も男友達ならいるんだけどなー。

  恋愛とかそういう関係にはならないじょ」


 出た出た出ました女子会特有のガールズトーク!

 昔は和ちゃんもオドオドしてたけれども、大学を女子大にしてしまったのが運の尽き、がっつり『イマドキの女の子』にされてしまいました。


 「のどちゃん女子大の時に捕まえなかったのかー?」

 「当時は色々と教えてもらってパンクしていましたよ。

  ええ、淑女がこんなことをするものじゃない、って思っていました。

  今考えてみればどんなに正しいことを言っていたか……」

 「へー、女子大って清楚なイメージがあるのに?」

 「清楚?」


 優希ちゃんそれ地雷! やばい。スイッチ入っちゃった。

 こうなると和ちゃん長いんだよ……。なんとか短めにしないと!

 「女子大なんて男を喰らうことしか考えてない女の子たちの集まりですよ」

 「へ、そうなのか?」

 「ええ、女子大が掲げる言葉は『良妻賢母』。ゆーき、良妻賢母になる最低条件ってわかりますか?」

 「えー、大和撫子みたいによくおしとやかに、ってことならわからないじぇ」

 「違います!

  『良妻賢母』の最低条件は! 『夫』がいることなんですよ!!」


 あー、出た出た。酔った和ちゃんのいつもの台詞。

 優希ちゃん、私は手を出さないからね! 立場上ガソリンみたいなもんだし!


 「良妻賢母を目指す女子大生が学ぶことは男の落とし方です。

  どの角度で顔を覗き込めば一番可愛いか、どういう仕草が男に受けるか、どういう反応が男が喜ぶか、女の子が調べつくしてくるんですよ。

  もし女子大生と合コンなんかして経験があったら、それは全部演技ですからね?」

 「こえーじょ……」

 「彼女らは必死なんです。有名大学との合コンのセッティングも必死、男のレベルだって女の子のステータスです。

  一度ロックオンされたら強引に連れ込む勢いで攻めてきますよ」

 「女なのに女子大のイメージがかわったじょ……」

 「私はそれを恥ずかしがって、品がないと思って遠ざけていました。

  ……その結果が今の私ですよ。クリスマスのケーキに例えたらアウトですよ」

 「ま、まぁまぁ。お嫁さんはともかく、小学校の先生にはなれたんだろ?」

 「そうですけど、やっぱり女の子としてのお嫁さんは昔からの憧れなんです」


 じー、っとこちらを見てくる和ちゃん。いや、確かに私は結婚しているけど、そんなに恨まれても……


 「漫画みたいに幼馴染と結婚なんて羨ましいです」

 「私の初恋もブレイクしていったじょ。

  咲ちゃん悪い子!」

 「もー!

  そんなことより、和ちゃんも優希ちゃんは仕事場にいい人はいないの?」


 無理やり会話の流れを断ち切る!

 和ちゃんは小学校の先生、優希ちゃんはサラリーマン、会社に相手くらいいないのかな。


 「私はさっきも言った。恋愛扱いしてくれる人がいねーじょ。

  咲ちゃんから京太郎を取れなかったのが境目かなー」

 「先生って意外と年を行った方が多くて……」

 「のどちゃん嘘はいけないじょ」

 「……ええ、未だに初恋引き摺っているせいで望みが高いんですよ!

  まったく妥協できません! まずいのはわかってます!」


 恋愛じゃない結婚は妥協とは言うけど、優希ちゃんはコロッと結婚しそうだけど、和ちゃんは不味いんじゃないかな……。

 しかし和ちゃんがここまで引きずるほどの初恋って誰なんだろ。

 小学校中学校の先生とか?

 ……え、京ちゃん? まさかー! 高望みとは思えない物件だよ!

 変なことで落ち込みやすくて、面倒臭くて、がさつで、女心わかってくれなくて

 背高くて、顔はかっこよくて、体ががっしりしていて、やるときはやってくれるけど

 高望みって意味じゃ京ちゃんはないよねぇー。

 ……私にとっては京ちゃんしかありえないけどっ!

 「んじゃ、女子会下ネタトーク行くじょ」

 「咲さんしか経験ないじゃないですか」

 「だから咲ちゃんから夫婦の夜の営みについて聞くんだじぇ」

 「のろけを聞くだけじゃないですか。

  普通はこっちも相手がいるから下ネタトークをするのでは?」

 「和ちゃん……本当に女子大で汚れちゃったね」

 「ええ……」


 もうここまでくると早く終わらないかなーとすら思えるよ!

 こればかりはコミュ症とか関係ないと思うんだ!


 「ちなみに咲ちゃん。頻度は?」

 「え”……、週に三回くらい。子供もいるしね」

 「京太郎はたまに隠れてやってるんじゃないのか?」

 「自慰と性交渉は違うって聞きますね」

 「たまーに隠れて一人でしてると思うよ」


 そりゃ別腹だって言うけど、咲ちゃんおこだよ!

 隠してるつもりなんだろうけど、女の子はわかるんだからね!


 「大学時代なんて、爛れてそうでしたね」

 「そ、そんなことないし」


 家でゴロゴロばっかりしてたけど、そんなに爛れては……。

 い、いや付き合いも長くなると出かける場所もなくなるから家デートが増えちゃうだけだもん!

 「やっぱりみんなエロエロだじぇ」

 「そりゃそうだよ。女の子だって興奮するもん」

 「ちょっと安心しました」


 なんとか女子会もお流れの流れになりました。……お酒が入ったのが不味かったね。

 ううぅ……旦那との情事を事細かに話すとか。


 「でも安心したじぇ。

  咲ちゃんと京太郎がうまくいってて」

 「え?」

 「まぁあれだけラブラブなら心配する必要はないと思いますが、それでもちょっと心配だったんです。

  子育てなんかの愚痴も含めて聞こうと思ったんですけど、大丈夫みたいですね」


 もしかして私のことを心配して今回の女子会を開いてくれたの?

 わざわざ仕事の休みを合わせてきてくれるなんて……持つべきものは友達だね!

 なんか弄られてばっかで納得いかないけど!


 「うまくいかなかったら奪いに行くからなー」

 「あ、今日はレズ成分出し忘れました。また今度倍にしてやりますね」


 ちょ、最後に何を爆弾発言残しているの!?

 和ちゃんなんて何やってんの!? そんなことしなくていいんだよ!

 和ちゃんは男がいいの!? 女がいいの!?

 私はノンケだからね!?

 え、昔は頬を染めてた? あ、あれはその、人と話すのに慣れてなくて……。


 「咲、みんなは帰ったのか?」

 「あ、京ちゃん。

  京ちゃんも参加すればよかったのに」

 「いやぁ……、女子トークに男がいるのはキツいだろ……」

 「夢壊れると思うよ!」


 全く、男の子って女の子に幻想を抱くんだから!

 京ちゃんはしっかり私が見てないといけないよね! カン!