京太郎「今日は、土用の丑です」

淡「はい」

京太郎「土用の丑と言えば、うなぎです」

淡「はい」

京太郎「ゆえに、今日の晩御飯はうなぎ」

淡「うなぎ!」

京太郎「の、はずでしたが」

淡「が?」

京太郎「晩御飯用のうなぎが消えていました」

淡「なんと」

京太郎「ホシの目星は大体ついています」

淡「ホシだけに」

京太郎「……」

淡「……」

 「……すみません」

京太郎「お気になさらず」

淡「それで、犯人とは一体」

京太郎「あなたです」

淡「なんと」

京太郎「さあ白状しなさい」

淡「証拠はあるのですか」

京太郎「あります」

淡「それはなんですか」

京太郎「あなたの言動です」

淡「して、内容は如何に」

京太郎『土用の丑って明日でしょ~?だって土曜なんだも~ん』

淡「……」

京太郎「一字一句たがわぬ再現です」

淡「……ごめんなさい」

京太郎「許しません」

淡「後生です」

京太郎「そのお願いが何度目か覚えていますか」

淡「あなたは今までに食べた米粒の数を…」

京太郎「……」

淡「……ごめんなさい」

京太郎「許しません」

淡「そんな殺生な」

京太郎「今日の晩御飯は」

淡「はい」

京太郎「鰻の丼と味噌汁と鰻巻きです」

淡「はい…」

京太郎「ですがあなたは鰻抜きです」

淡「……」

京太郎「わかりましたね」

淡「」うるっ

京太郎「…泣けば許すと思ったら大間違いです」

淡「ぐすっ…うっ、ひっく…」

京太郎「聞いているのですか」

淡「ひっく…は、はい…ぐすっ、きっ…いて、いま…すっ…」

京太郎「ならば泣き止んでください」

淡「じ、自分が悪いのは分かっています…でも、涙が止まりません…」

京太郎「……」

淡「わ、私に気にしないで…お食べになってくださ…ひっく…」

京太郎「……本当に反省していますか?」

淡「」コクコク

京太郎「もう絶対にしないと言えますか?」

淡「」コクコク

京太郎「ならばもう一度謝ってください」

淡「ほっ、本当に…ごめんなさい…でした…」

京太郎「……はぁ」スッ

淡「……ッ!」ビクッ

京太郎「しょうがないので許してあげます」ナデナデ

淡「ぐすっ…本当に…?」

京太郎「はい。次はありません」

淡「うっ、ひっく…ごめんなさい…」

京太郎「謝罪は聞き飽きました」

淡「うぅ……」

京太郎「…お礼なら受けましょう」

淡「…!あ、ありが、とう…」

京太郎「どういたしまして」

淡「……えへへ」

京太郎「…ん、よし。これで手打ちだ。さっさと涙拭いちまえ」

淡「…うん」ぐしぐし

京太郎「んじゃ、あの鰻を半分に切っちまうかー」

淡「うん……あれ?」

京太郎「……どうかしたか?」

淡「丼が小さい…卵の量も二人分には少ないような…」

京太郎「……」

淡「もしかして…最初から…?」

京太郎「……」

淡「…ふふっ……」

京太郎「…何が可笑しいんでしょうか?」

淡「ううん、何でもない……京太郎」

京太郎「なんだ」

淡「……ありがとう」

京太郎「……どういたしまして」



そんな須賀家。


カンッ