<許婚・美穂子>

「……いや、それぐらいは俺が」

「いえいえ、ここは私が」

4校合宿を行なっている宿の一角で京太郎と美穂子が押し問答をしている。
何やら京太郎は顔を赤くし必死に取られまいと頑張っていた。

「何してるの?」

「だじぇ」

「不可思議な事してますね」

「な、なんでもないから!気にすんな!!」

「んーっ!」

騒ぎに近寄ってきた咲と優希に和の3人を京太郎は慌てて追い返そうとする。
こんな所と奪い合ってるものを見られたら恥ずかしくてしょうがない。
出来れば美穂子には諦めて欲しいのだが彼女の顔を赤くし一生懸命籠を引っ張っている。
この混沌の状況に京太郎はもう渡してしまおうかと思ったが美穂子がコレを洗ってる姿を誰かに見られるとまずい。

「「「「じー」」」

「なんでもないから!離れてな!な!」

「これは…私が、婚約者だから…ぐすん」

「ぶふっ」

そうこうしていると美穂子が涙目になり爆弾発言をかました。
折角バレないように籠の中にある下着を隠していたのに台無しである。
京太郎はだらだらと汗を流しギギギと音を鳴らしながら咲達へと向いた。

「…婚約者、……ちょっと準備してくる」

「…部長呼んで来るじぇ」

「…裁判ですね」

「ひどくね…お前ら」

3人がバラバラに行動し始めるのを見て京太郎は諦める。
こうなってはどうしうようもない。

「ごめんなさい…京太郎君」

「いいですよ、隠し切れないと知ってましたし」

「んっ…」

京太郎と美穂子意外居なくなった洗面所で京太郎は泣く美穂子を抱きしめた。
そして美穂子の顎に手を当て無理矢理自分へと顔を向けさせるとキスをした。







「それでどういうこと?」

「えーと……許婚です、ハイ」

「……んっ」

京太郎と美穂子は一室で正座をさせられる。
久やら咲達やらいろいろな人達が集まり2人を見ていた。
……京太郎を見下ろす久とその後ろの華菜が何だ怖かった。
逆に美穂子は京太郎を庇うように京太郎の腕を掴み抱きしめた。
あぁ…自分の許婚は天使やと少しばかり現実逃避した。

「なるほど…親御さん達の取り決めね」

「すぐに別れるし!」

「えっ……別れるの?」

「えぇーい!須賀キャプテンを泣かせるな!」

「お前だろ!泣かせたのは!!」

池田の言葉に美穂子は涙ぐみぐすぐすと泣き始める。
京太郎はため息をつき美穂子を抱きしめ、あやす。
それを華菜がすっごい目で睨むが無視する。

「絶対に放しませんから」

「うん」

もとより悲しませる気などない。

カンッ









「だー!イチャイチャするなし!」

「………」

華菜がイチャイチャとしている京太郎と美穂子に注意してるのを見て久は静かに考える。

(これってチャンスよね)

そう思いニヤリと笑う。
親友と気になる男子…この2人がくっついてくれたのだ逃すつもりはない。
あとは手段と美穂子の説得…インターハイでの日程での既成事実。
既に手に入れる手段は考えた。

「人生悪待ちね~♪」

「……(久め、何か企んでるな)」

ニヤニヤ笑う久を見てゆみは疲れたようにため息をつく。
少しばかり友人を間違えたらしい。

更にカンッ