<さきにゃん・久猫編>

「暇ねー」

久はただただ広いだけの庭でのんびりと寛いでいた。
今日はまだ親友の美穂子も散歩に出てないのか来ていない。
あまりに暇で自分の尻尾を動かしては手で触る行為を繰り返す。

「京太郎は帰ってこないし…何しようかしら」

久が思い出すのは自分の主人である少年、京太郎だ。
時間を見るとそろそろ帰ってくるはずなのだが未だに久の耳に彼の足音が聞こえてこない。
何処かで道草を食ってるか部活が長引いているのだろう。

(飼い猫になって生活は安定したけど……時間が余ってしょうがないわね)

久は元々自由気ままな野良猫だった。
何時もご飯を探しあちらこちらへ…そんな生活を数年ほどしていたが限界が訪れた。
さきにゃんは、人間と同じ姿をし知恵を持つその為、ゴミを漁るようなまねも出来ずご飯を
探すのも一苦労だ、その上希少な生物な為、売ろうとするものや捕まえて自分の物に
しようとする者が後を絶たなかった。
あらゆる罠や人に追い回され怪我をし倒れている所を京太郎に助けられ今に至る。

「まだかなーまだかしらねー♪」

久は自分の首に付いている首輪の鈴を手でチリーンと鳴らした。
そしてその音を聞き、しまりない顔でニヤニヤと笑う。
これが自分が京太郎の物だと言う証で確かな絆を感じれる宝物なのだ。

「ただいまー」

「!」

そうこうしていると京太郎が帰ってきた。
久はネコミミをピーンと伸ばし立ち上がると玄関へと早足で向かう。
いつもは余裕を持って行動する久だがこの時ばかりは別だ。
愛しの主人が帰ってきたのだ、出迎えなければならない。

「ひさーカピー何処だ?」

「私はここn…へぶ!」

「きゅーー♪」

久が京太郎の声に返そうとし足を一歩前に出すと足元を何かが駆け抜け久は転んだ。
転ばした犯人はもう一匹のペットであるカピパラのカピーであった。
久を悠々と追い越し、久の前で京太郎に優しげに撫でられていた。

(……あのカピパラめ、わざとね!)

久は痛む顔を押さえながらカピーのほうへとキッと視線を向ける。
カピーは久のほうへと視線を合わせて軽く笑った様に見えた。

(ふっ………まだまだ甘いな)

何となくそんな事を言われた気がした。

「上等……!今日こそは決着付けてあげるわ!」

「きゅー!!」

「…仲いいな」

久がカピーに飛びかかり撫で繰り回す。
そんな久の行動にカピーは足をジタバタさせ逃げようとするが逃げられない。
京太郎はそんな2人を見てくすりと笑って着替える為に自室に向かった。






  • 夜-

「ん~~~っ♪」

「相変わらずスキンシップが激しいな」

夕食を終え京太郎がリビングでのんびりとしていると久が擦り寄り京太郎へと抱き付く。
京太郎はソファーに座りテレビを見ながらソレを受け入れ久の頭を撫でる。
久はごろごろと口に出し胸板に頭をすりすりと擦った。

「はぁ~幸せね」

「そりゃよかった」

そんな事を言う久の頭をポンポンと軽く叩いた後腰に手を回しぎゅーと抱きしめる。
女性特有の柔らかさと良い匂いに少しばかりクラっとした。

「はふぅ…落ち着くわね、野良の時なんかこんな時間とれなかったし」

「やっぱり大変なんだな」

「大変ってものじゃないわよ、食べ物もトイレもお風呂もないし…」

「あー……確かに考えられないな」

良くも悪くも便利な環境で慣れてしまい、前までの生活がありえないと思ってしまうほど大変だったのだと理解した。
久は改めて京太郎への感謝の気持ちが湧き出てきた。

「ん~~♪」

「んっ……何してるの?」

気づけば久は京太郎と口づけを交わしていた。
少しばかり動揺する京太郎に久は意地悪い笑みを浮かべゆっくりと京太郎を押し倒す。

「感謝の気持ちに食べようかなと」

「……感謝で食べられるのかよ!」

「よいではないか~♪」

「あ~~れ~~」

久は慣れた手つきで京太郎の服を剥ぎ取っていく。

「あっ…♪ん~~♪」

「――だ、―出す―」


(やれやれ)

カピーは自分用のプールで仲良くする2人を呆れ気味に見ていた。
そんなこんなで須賀家の一日が終わっていく。





  • 1ヵ月後-

「さぁ!いくわよ!」

「「「「にゃー!」」」」

一ヵ月後、久は外出許可書を手に入れ外へと1人で出れるようになった。
※さきにゃん等が1人で外出するには国認定の専用許可書がいる。事故防止の為だ。
久は外に出れるようになると辺りの猫を一人で纏め上げボスとして降臨した。

「向かうは清澄高校!」

「「「「にゃー!」」」」

今から向かえば丁度お昼休みの時に到着できるだろう。
京太郎に会って思いっきり甘えるのだ。

「今日も絶好調ね♪」

久はウィンク1つし猫の群れと共に駆け出した。

カンッ