京太郎「背景に溶け込んでかなり立ったが潮時だ」

京太郎「このままこの立ち位置に居るだけじゃ世界から消されちまうな

京太郎「ずっと一人でネト麻も飽きたし、とりあえず外に出るか……」



教師「今日は家庭科の授業をやるどー!!」



京太郎「家庭科実習って高校になってもやるのかよ……サボっていいか?」

咲「まぁまぁ、そう言わないで。お料理できて困ることはないからね」

咲「それに自分でお料理ができるようになったら、とっても面白い発見があったりするよ!」

京太郎「それはお前が料理できるからそう思うんだろ?」

咲「え?いや、そういうわけじゃ……」

京太郎「全くできねぇ奴からしたらこんな授業面白くともなんともねーよ」

京太郎「適当に作って、ぱぱっとやって終わらせるか」ハハ

咲「……もー」ハァ


―――――――――


女子A「す、すごいよ須賀くん!これすごく美味しい!」

京太郎「そっ…そーか?」

男子A「ああ!宮永のが一番かと思ったけど、お前のが断然美味しいよ!」

京太郎「よせよ、照れるだろ」

京太郎「……」ニヤリ

咲「っ!?」ガーーン



京太郎「ハハッ、あの咲の顔面白かったな」

京太郎「まさか!?って顔してたし俺に負けるなんて夢にも思わなかったんだろう」

京太郎(……でも俺に料理の才能があるってのはちょっと自分でも驚いたな。したことなんてなかったけど)

京太郎(ひょっとしたらこれは何かにつかえるんじゃねーか?)


嫁田「オッス、天才料理人」

京太郎「うるせーよ。何か用か?」

嫁田「そう邪険にすんなって、お前にいい情報持ってきてやったぞ」ピラッ

京太郎「何だこれ?」

嫁田「たまたまネットで見つけたんだけど、この大阪のお好み焼き屋で腕の立つ料理人募集してるらしいぜ」

京太郎「なんで大阪なんだよ?」

嫁田「ここ見ろよここ。時給爆弾価格一万円だってよ」

京太郎「!?」ガタッ

嫁田「すごくねーか?よっぽど腕の立つ奴しか募集しねーみてーだけどさ」

京太郎「……」

京太郎(大阪お好み焼き上重……か)ピラッ


――――――――――――


京太郎「と、いうわけで面接を受けに来ました!」

漫「んー……」

京太郎「この須賀京太郎、必ず力になれると自負しています。どうでしょうか!」

漫「せやけど、ジブン実績なんもないやん?過去になんか料理大会で優勝した経験もないみたいやし」

漫「……あ、そか!ちょっとここで一品作ってみてや」

京太郎「ここで?」

漫「せや。私の舌唸らせたら雇ってやってもええで」


漫「……うーん」

京太郎「どうですか?」

漫「美味い、美味いんやけどなぁ……何か違うわ」

漫「堪忍な兄ちゃん。今回は不採用ってことでええ?」

京太郎「あ、はい」


―――――――――
――――――――


京太郎「ったく、せっかく学校サボって大阪まで行ってきたのに無駄骨じゃねーか、金返せよ!」ギギギギ

嫁田「ギブギブ!というか受かるかどうかまでは言ってない……」

咲「や、やっぱり京ちゃんたまたまだったんだよあの時は」

京太郎「んだとぉ咲?」グリグリ

咲「きゃふっ!?」

咲「だ……だって、お料理はかけた時間と経験が物を言う技能だよ?生まれつきお料理が上手な人なんていないよ!」

京太郎「うっ……」

京太郎(やけに説得力あるな……)

京太郎(まぁ、だけどまだすっぱり諦めたくなねーな……まだまだ)



――――――――
―――――――
――――――


咲「あ、あの……」

久「ん?どうしたの」

咲「最近京ちゃん部活来てませんけど……何か部長聞いてませんか?」

久「あら?咲は須賀くんから聞いてるもんだと思ってたけど、違うのね」

咲「??」

久「須賀くんボランティアの料理分野選考で最終審査通ったとかで、今世界飛び回ってるんだって」

咲「……え?」

久「世界の恵まれない子供たちに料理振舞ってるらしいわよ。今頃ブラジル辺りにいるんじゃないかしら」

咲「えええええええええええええ!!?」



京太郎「美味いか?美味いだろ?」

ブラジル人「トモダチ、オイシイネ!」

ブラジル人「トモダチ、ズットココイテ!」

京太郎「ごめんなー、ずっとここに居たいけど、まだ行かなきゃいけないとこあんだよ」

京太郎「またいつか料理作りにくるよ。絶対だ」

ブラジル「ゼッタイ、ヨロシク!」


京太郎「ただいま戻りましたー」

まこ「おう、おかえりんさい。長旅ご苦労じゃったな」

久「そうねぇ、大変だったでしょ?ホントにお疲れ様」

京太郎「いやいやそんな、俺も世界中の子供たちと仲良くなれたんで行ったかいがありましたよ!」

京太郎「みんなが俺の料理を美味しいって言って食べてくれる姿見たら疲れなんて吹き飛んじゃいました」

まこ「ほぉー、ええのう……」ウンウン

久「ま、今日は咲達も帰ったことだし……あなたも家に帰ってゆっくり休みをとりなさい」

久「幸い明日から連休だし疲れをとること、いいわね?」

京太郎「はーい」


――――


京太郎「これはブラジルのあいつで……カナダのあいつと……アフガニスタンのヤツで……これはポルトガル子か」

京太郎「何書いてあるか全く読めねーけど、部屋に全部飾っとくか」

京太郎「さーて、世界一周旅行も終わって実績も出来たことだし明日からは何しよっかな」

教師「須賀ー、ちょっといいか?」

京太郎「ん?もうそろそろインタビューとか記者の方は……」

教師「ああ、いやいやそうじゃない。とにかく放課後にちょっと残っておいてくれ。」

京太郎「はぁ……」


―――――――


京太郎「……俺を宮守の高校で麻雀部の専属料理人としてスカウトしたいってことですか?」

トシ「もしウチに来てくれたら、勿論学費は全額免除だよ」

トシ「卒業後はそっちの方面に推薦状も出そうと思ってるんだけど……どうだい?」

京太郎「因みに……なんで俺なんですか?他にも良い料理人は」

トシ「あんたの料理を食べた人みんなから"元気が出た!"って聞いたもんでね」

トシ「大会終わって元気なくしてるみんなに、あんたの料理で元気にさせてやってほしんだよ」

京太郎(そんな理由で!?……って言うのはヤボなんだろうな)

トシ「どうだい?受けてくれたら嬉しいんだけども……」

京太郎「………えっと」

京太郎「ありがたいお話しですが……お断わりします」

トシ「……理由を教えてくれるかい?」

京太郎「実はもう、あなたからこのお話を頂く前にスカウトされてまして……そっちに行くことが決まったんです」

京太郎「わざわざ長野まで来ていただいたのにすいません」ペコリ

トシ「いや、こっちも調べもしないで来てすまないねぇ。そういう事なら仕方がない」

トシ「ちなみに差支えなければどこの高校からか教えてもらっても?」

トシ「臨海女子、か。流石に手が早いねぇ」

トシ「そりゃあ世界中で話題になった須賀くんを臨海が引き抜かないワケがないか」

京太郎「はぁ」

トシ「あの子たちにあんたを会わせてみたかったけど……今回は諦めることにするよ」

京太郎「はい、すいません」

京太郎「またご縁があればその時はどうぞよろしくお願いします」




久「あっちでも頑張りなさいよ?これ差し入れ」

京太郎「ありがとうございます部長。お世話になりました」

まこ「次帰ってきた時はウチの店で料理頼むけぇ!」

京太郎「はは、努力します……」

和「須賀くん、ずっと応援してますからね。たまには連絡ください」

京太郎「ありがとな和。頑張るよ」

京太郎(咲と優希は見送りに来てくれなかったな……まぁいいけど)

京太郎(……臨海女子か。どんなトコなんだろ)


―――――――
――――――


智葉「キミが、須賀くんだな?」

京太郎「はい……えーと、あなたは」

智葉「辻垣内智葉だ。臨海女子麻雀部部長の」

智葉「これから互いによろしく頼むよ」

京太郎「ええ、こちらこそ」

智葉「早速で悪いが、じゃあ何か一品作ってもらおうかな」

京太郎「……今からですか?」

智葉「ああ。部員のみんなに美味しい料理を頼む」

智葉「なんせこれだけメディアで騒がれてる料理人だからな。期待してるよ」

智葉「美味いな……それ以外の言葉が出てこない」

ハオ「はい、私もここまで美味しい料理を食べたのは初めてですね」

京太郎「ありがとうございます!」

ネリー「そこまでかな?確かに美味しいとは思うけど」ガツガツガツ

智葉「そう言いながら一番がっついてるのはお前だがな」

ネリー「だって美味しい物は仕方ないじゃん。ねーメグ?」

ダヴァン「クッソまずいじゃんデス……カップ麺のがオックセンマンうめーデス」

ハオ「は?」

智葉「いや、それはないな」

ダヴァン「こんなモン料理と呼べるのカ……否!呼べませんヨ!」

ダヴァン「明華なら分かってくれるはずデス!ネ!?」

明華「………」

ダヴァン「明華?」

ネリー「どうしたの?なんで泣いてるの?」

明華「……それが」

明華「あまりに美味しすぎて、その………」

智葉「ん?……っ!?」

ネリー「あーーーー漏らしてる明華ーー!!」

京太郎「えっ」

明華「お、大きな声出さないでください!」

明華「うう、恥ずかしい……」

ネリー「おーもらしおーもらし!」ヤーイヤーイ


京太郎「これ、ハンカチです」

明華「え?」

京太郎「俺がここの掃除しときますんで、厠で身支度整えてきてください」

京太郎「一人でいけますか?」

明華「は、はい……」グスッ

明華「……あの」

京太郎「ん?」

明華「来て早々すいません……ご迷惑を」

京太郎「いえいえ、いいんですよ慣れてますし」

明華「え?」

京太郎「俺の料理食って漏らす奴結構いたんで、そこら辺は大丈夫ですよ」

京太郎「ひでぇ奴は大漏らして2mぐらい座高あがってましたし」ハハハ

明華「は、はぁ……」


―――――――


智葉「美味しかったな、須賀くんの料理」

ハオ「はい!今度是非とも今度教わりたいですね」

ネリー「げっぷ」オエーー

ダヴァン「帰りにカップ麺でお口治しシマース」


明華「本当に今日はお世話になりました」フカブカ

明華「なんとお礼を申しあげたらいいか……」

京太郎「いいですって、俺の料理にも責任はあったんですし」

明華「お礼に私にできることならなんでもします。どうぞ仰ってください」

京太郎「……」

京太郎「……ん?今なんでもって言いました?」

京太郎「じゃあ……」



京太郎「一日、デートしてくれませんか?」

明華「……デート?」

明華「デートと言うのは、男女が二人で街へ繰り出すという行為の事ですか?」

京太郎「ま、まぁそうなるのかな」

明華「いいですよ」ニコッ

京太郎「はは、やっぱりダメ……え?いいんですか」

明華「ええ」

京太郎「……えと、そんな簡単に決めていいんですか?いや嬉しいですけど」

明華「まだ会って一日も経っていませんが、あなたはとてもいい人と私は思いました」

明華「だから私でよければ喜んでデートをさせてもらいますね」


京太郎(おおおおおっしゃーーー!ダメ元だったけど言ってみてよかったぜ)

京太郎(デートを機会にもっとお近づきになれたら嬉しんだけどなー)


京太郎(さて、と。今日は明華さんとデートの日だ)

京太郎(なにしろあんな美人と歩くんだから、バッチシ決めて行かないとな!)



京太郎(まだ三十分あるな……ちょっと早く来過ぎたか)   <Lalalalalalala…♪

京太郎(髪型とか変じゃないよな?寝ぐせ立ってたりしたらカッコ悪いからな) <A Lalalalalalai♪

京太郎「……」  <Vavavavavavavan…♪

京太郎(……うるせぇな、誰だよ)クルッ


明華「Lalalalalala~♪」クルクル


京太郎「…」

京太郎「ん?」ゴシゴシ

京太郎「……あれ明華さんだよな?」ゴシゴシ



京太郎「明華さん」

明華「Lalalala……?」

京太郎「まだ朝早いのでやめましょう。とても力強い唄とは思いますが、ここじゃちょっと迷惑ですよ」

明華「そ、そうなのですか?すいません……欧州に居たころはどこでも歌えたので」

京太郎「ここは日本ですからね。さ、行きましょう」



京太郎「それじゃあ早速、オススメのデートスポットお願いします!」

明華「えっ?」

京太郎「俺、一昨日こっち来たばかりなんで住んでる周辺以外分かんないんですよ」

京太郎「普通は男がするもんですがすいません、リードお願いできませんか?」

明華「……え、えと」

京太郎「?」

明華「その……私、そういうの分かりません」

京太郎「……マジ?」

明華「マジ?です」

京太郎(弱ったなぁ、完全に明華さん頼りだったのに……これなら辻垣外さんにでも聞けばよかったな)

京太郎(電話で誰かに聞いてみるか)ピポパ

京太郎「ちょっと待っててくださいね」prrrrrr


トシ『もしもし?』

京太郎「あ、もしもし?熊倉さんですか?俺です、須賀です」

トシ『おやどうしたんだい?何か用事でも』

京太郎「はい!あの、東京のデートスポットでどこかいいとこありませんか?」

トシ『……』

京太郎「熊倉さん?」

トシ『よく分かんないけど、私は雷門とかぐらいしか分からないよ』

京太郎「雷門ですか?」

トシ『こういうのは豊音に聞いた方がいいと思うんだけどねー』ボソッ

京太郎「え?」

トシ『いや、なんでもないよ。それじゃあ切るからね』 オカシイヨー デバンガナイヨー ダルイ ファック!ファック!!

京太郎「はい!ありがとうございました!」


京太郎「ってことで雷門に行きましょう」

明華「はぁ……」


――――――――


京太郎「うお、実物初めてみたけど結構デカいな」

明華「……」

京太郎「どうですか明華さん?これが日本の雷門ですよ!」


明華「こんな所より私の家に来ませんか…?」

京太郎「へっ?」

明華「お互い分からないのに無理に歩き回る必要もないです。家でゆっくりするのもデートですよ」ニコッ

京太郎「…そ、そうですね」

明華「それではご案内しますね」

――――――


京太郎「……って」

京太郎「家じゃなくて"寮"じゃないですか!しかも"女子寮"!」

明華「何か問題が?」

京太郎「大アリですよ!普通こういう所って男子禁制じゃないですか!」

明華「そ、そうなんですか……普段殿方と接する機会無いもので」

京太郎「…」ハァ

京太郎「今日の所は帰ります」

明華「え?」

京太郎「次までにデートスポット調べときますんで、その時またお願いします」

京太郎「来たばっかとはいえ下調べしなかったら俺が悪いですからね……」

明華「え、えと」オロオロ

京太郎「すいません、それじゃあこれで」

明華「……」

明華「分かりました……」

明華「……」ギュッ


京太郎(くっそー、バシッと決める筈がなぜこんなことに)

京太郎(相手が年上だからって甘えちゃダメだな……自分から動かないと)


――――――
―――――


智葉「それじゃ、今日も頼むぞ」

京太郎「はい!任せてください!」

京太郎「……」チラ

明華「…?」

明華「…」ニコッ

ネリー「なんでネリーのことチラチラ見てるの?いくら美味しくてもお金ならあげないよ」

京太郎(貴様ではない)

ダヴァン「どーせ、今回もクソマズイ料理作るんでショ」ハァ

ハオ「それは聞き捨て成りませんねメグ。訂正してください」

ダヴァン「ヤなこったでス」

智葉「す、すまないな……」

京太郎「いえいえ」ハハ

明華「今日も美味しいお料理ありがとうございます」

ネリー「モッキュモッキュ」ガツガツガツ

ハオ「ネリーも美味しいって言ってるようですよ」

ダヴァン「……」

ダヴァン「ハァ」コト

ネリー(スプーンを置いた…?)

ハオ「メ、メグ!」


ダヴァン「ガツガツガツガツガツ!!」

ネリー(いや違う……スプーンに持ち替えたっ!?)

ダヴァン「ンー!!エクセレンッッ!!」

ダヴァン「こんなウマイ料理アメリカでも食べたことないでス!」

ハオ「……」

ハオ「随分前と態度が違うようですが?」ニヤニヤ

ダヴァン「ウ……」

ダヴァン「……スイマセンでしタ」フカブカ

京太郎「はは、いやいいですよ。エクセレント頂いたんでそれでチャラにします」

ダヴァン「やさしいですネ京太郎は」

ダヴァン「サトハ、私も考えを改めることにしましタ!」

智葉「……」ウッ…オエッ

ダヴァン「サトハ?」

智葉「な、なんでもないぞ……なんでも」

智葉「……まずっ」ボソ

京太郎「!?」ビクッ


?「……今なんて?不味い?」イラッ

ダヴァン「聞き捨てならないですネ……その言葉」

智葉「あ、いや違う!その……」

ダヴァン「せっかくキョータロウが丹精込めて作ってくれた料理をマズいとは……見損ないました智葉」

ハオ「あなたが言えた義理ですか…」

ダヴァン「だまラッシャイ!とにかく智葉、私はあなたを許しまセン!」

明華「流石の私も……ちょっと嫌な気持ちになりました」

ネリー「もー、喧嘩しないでよご飯がホントにマズくなっちゃうじゃん」

智葉「すまん……ちょっと頭を冷やしてくるよ」


ダヴァン「全く、ホントにサトハは!」

ハオ「だからあなたは人の事を言えないでしょうメガン」

ダヴァン「心を入れ替えたんでス!もう過去の私は消え去りましタ!」

京太郎「全部俺の力不足です。すいません」

明華「え?い、いやそれは違うのでは……」

京太郎「次はみんなに美味しいって言ってもらえる料理作るようにします……」

京太郎「それが俺がここに呼ばれた理由ですから」グスッ

ネリー「え?なんで泣いてるの……」

ハオ(メグはともかく勧誘の第一人者であるサトハに言われたら、そうなりますよね)

ハオ「安心してください京太郎。きっと智葉も本心から言ったわけじゃありませんよきっと」

ハオ「少なくとも私は美味しいと感じました」

ネリー「うん、それは同意かな」

京太郎「はは……ありがとうございます」