須賀母「でね、その再婚相手がこちらの岩館さん」

岩館父「どうも、よろしくな京太郎くん」

京太郎「はい、よろしくお願いします」

岩館父「ほら揺杏、お前も挨拶しなさい」

揺杏「う、うん」

揺杏(なんだよ)

揺杏(再婚相手に息子が居るとか言うからどんな奴かと思ったら)

揺杏(イケメンだし性格も良さそうだし、なんかイイカンジじゃん……?)

揺杏(いやいや、何ドキドキしてんだ私。相手はこれから弟になる奴だぞ)

揺杏(でも、これからコイツと三日間二人っきりとか……ちょっと、期待しちゃうじゃん)


岩館父「それじゃあ後はよろしく頼むぞ京太郎くん」

須賀母「二人で仲良くするのよ~」


そう言い残すと二人は俺たちを置いて去っていった。

さて、新しい姉とどう接すればいいか……。


揺杏「京太郎くん、だっけ?」

京太郎「はい。あ、呼び捨てで大丈夫ですよ」

揺杏「じゃあ京太郎ね、私のことは……」

揺杏「まあ姉さんとでも呼び給え」

京太郎「わかりました」

揺杏「あはは、そんなに堅苦しくしないでタメ口で良いよ、姉弟になんだからさ」

京太郎「そうです……そうだな、わかったよ姉さん」

揺杏「うんうん」

京太郎「それじゃ取り敢えず中に」

揺杏「おうよ」






なかなか気さくそうな人で良かったな、これならすぐ馴染めそうだ。

それに、結構可愛い。コレ重要。


揺杏「んー、まだ昼までは時間があるか」

京太郎「何かする?」

揺杏「そうだねー、どうするかは京太郎に任せるよ」

京太郎「姉さんがそう言うなら……」



【午前】


京太郎「取り敢えずお互いのことを話す、とか?」

揺杏「何かお見合いみたいだねー、良いけど!」

京太郎「お見合いって」

揺杏「そんじゃまずは私から行こうか」

揺杏「私は岩館揺杏、春から高2だよ。他は……そうだな、手先が器用で裁縫とか得意かな」

京太郎「ほお」

揺杏「ほら、次は京太郎の番だよ」

京太郎「ああうん、えっと、俺は須賀京太郎。そんで春から高1」

揺杏「他は何かないの?」

京太郎「そうだなー、あ、髪は染めてるわけじゃなくて地毛。あと中学の頃はハンドボールやってたかな」

揺杏「ハンドボールかぁ、珍しいね」

京太郎「そう?」

揺杏「いやわかんないけどさ、高校でも続けんの?」

京太郎「どうだろ、特に考えて無かったかな」

揺杏「ふーん」



京太郎「~で、その同級生が迷子になって」

揺杏「なにそれ、その子面白いね」

京太郎「今度会う?ってもうこんな時間か」

揺杏「そんじゃ昼飯にするかー」


姉さんとの会話は弾みなかなか楽しい一時を過ごせた。

この人となら上手くやって行けそうだな。











やばい。

ちょーやばい。

何がやばいって胸がドキドキすんの。

いやこんなん柄じゃないはずなんだけど、おかしいな。

一目惚れとかありえねーって。

なのに、何でだろ。

ドキドキが止まんなくて。

「ああ、恋しちゃってるなー」って感じ。

まさか自分がこんなに乙女だったとは、爽が聞いたら絶対笑うよなぁ。

でも……この気持も悪くは無い、かな。



京太郎「姉さん?」

揺杏「へっ?どうかした?」

京太郎「いや、ぼーっとしてるから」

揺杏「ああ、悪い悪い」

京太郎「それで、午後はどうする?」

揺杏「そうだねー」



【午後】


揺杏「じゃあ家事でもしよっか」

京太郎「わかった、それなら今日は……」

京太郎「色々買いたい物もあるんで買い物に行きましょう」

揺杏「了解」



京太郎「ええと、あと必要なのは」

揺杏(何か、二人でこうして並んで買い物してると夫婦みたいだなー……って何考えてんだ私はっ!?)

揺杏(あー顔あっつ、こりゃ真っ赤になってるわ、あそこのトマトみたいに)

京太郎「姉さん他に要るものある?」

揺杏「ん?あ、あー無い……んじゃないかな」

京太郎「わかった」



揺杏「そんじゃ私はこれを持って」

揺杏「って、重たっ」

京太郎「ああ、俺が持つよ。姉さんはこっちね」

揺杏「へ?あ、ありがと」

京太郎「大丈夫?」

揺杏「ああ、これくらいなら」

京太郎「それじゃ行こうか」

京太郎(姉さん、何か上の空だけど大丈夫かな……?)

揺杏(やべー、二人で買い物とかやべー)

揺杏(重い袋持ってくれるのとかもうね)

揺杏(あー、これがデートだったらなぁ……)








京太郎「ただいまー」

揺杏「ただいまっ」

京太郎「結構たくさん買い物したし疲れたな」

揺杏「それじゃあアナタ、ごはんにする?お風呂にする?それともわ・た・し?なんて言ってみたり……」

京太郎「じゃあ姉さんで」

揺杏「へっ!?」

京太郎「自分で言ったんだからそんな驚かなくても……」




【夜】


揺杏「疲れただろうしお風呂入ってきなよ、私が夕飯の用意しとくからさ」

京太郎「いやでも」

揺杏「いーのいーの、あの袋結構重かったでしょ?このくらいはお姉ちゃんに任せときなって」

京太郎「じゃあ風呂入ってくるよ、ありがと姉さん」



京太郎「上がったよ―」

揺杏「お、丁度よかった。今できた所だよ」

京太郎「おお、美味そう!」

揺杏「でしょー?さあ冷めないうちに召し上がれ」

京太郎「そんじゃあ、いただきます!」


京太郎「あー美味しかった、姉さん料理上手いんだね」

揺杏「そうかな?」

京太郎「うん、美味しくってつい食い過ぎちゃったよ」

揺杏「そっかそっか」

揺杏(まあ、最高の隠し味が入ってるからねー……なんて)





京太郎「布団の準備しないとな」

京太郎「姉さんの部屋は空き部屋で良いよな?」

揺杏「あ……」

京太郎「ん、どうかした?」

揺杏「いや……えっと」

京太郎「へ?でも俺の部屋だと布団二組は入らないけど」

揺杏「い、一緒でいいからっ」

京太郎「姉さん?」

揺杏「あぁ、いや京太郎が嫌なら良いんだ、ゴメン」

京太郎「……わかった、それじゃあ一緒に寝よう」

揺杏「う、うんっ」









俺の部屋に布団を敷いて二人で寝る。

女の子と同じ布団で寝るなんて否が応でも意識させられる。

横をチラリと見ると姉さんと目が合った。


揺杏「あ……」


何故か頬を染めてそっぽを向く姉さん。

うーん、どうしたもんかなぁ。


京太郎「あのさ」

揺杏「何?」

京太郎「なんで一緒に寝ようなんて?」

揺杏「……」


沈黙。

これからどうするべきかと困っていると姉さんの顔がくるりとこちらを向き、急接近した。


揺杏「ん……」


姉さんの桜色の唇が俺に触れる。

突然のことに思わず戸惑い、姉さんの顔に視線を向けるとそこには頬を紅潮させ潤んだ瞳を此方に向ける少女がいた。


京太郎「姉さん……?」

揺杏「……好きだ、京太郎」

京太郎「好きって、え?」

揺杏「今日会ったばっかなのに何言ってんだこいつって感じかもだけど、好きなんだ」

揺杏「ゴメン、気持ち悪いよな、私やっぱり隣の部屋で」


そう言って起き上がる姉さんの腕を咄嗟に掴む。


揺杏「京太郎?」

京太郎「変じゃないよ。俺も姉さんのこと、好きだから」

京太郎「だから、一緒に寝よう」

揺杏「……うん」









腕の中でモゾモゾと何かが蠢く感覚で目が覚める。

そう言えば昨夜は姉さんを抱きしめたまま寝ちゃったんだっけ。

もう朝だけど、このままもう一眠りしたい気分だなぁ。

どうしようかな?




【朝】

うん、このまま寝よう。

それにしても姉さんの抱き心地、最高だ。



揺杏「うぅん……」

揺杏(朝?)

揺杏(なんか、抱きしめられてて気持ちいな)

揺杏(このままもう一眠り……って、目の前に京太郎の顔がっ!?)

ガスッ

京太郎「げふっ!?」



京太郎「寝起きでぼーっとしてたのはわかるけど何も膝蹴りを入れんでも」

揺杏「ゴメンナサイ」

京太郎「いってえ……」

揺杏「マジゴメンって」








京太郎「痛みも引いたしそろそろ何かしよう」

揺杏「ごめんね、ほんとに」

京太郎「いやもういいからさ、んで何する?」

揺杏「京太郎に任せるよ」


【午前】

京太郎「じゃあ何かして遊ぼうか」

揺杏「それならトランプとかあるけど」

京太郎「二人で?」

揺杏「おう、二人で遊べるゲームも結構あるよ」

京太郎「じゃあトランプにしようか」

揺杏「よーし、爽達と散々やったからな、私の腕を見せてやるよ」

京太郎「俺だって簡単には負けないからな?」



揺杏「いやあ、また私の勝ちかぁ」

京太郎「全然勝てねえ」

揺杏「ん?簡単には負けないんじゃなかった?」

京太郎「こんなに強いなんて考慮しとらんよ……」

揺杏「まあ、あいつらとやってたら嫌でも上手くなるからねー」

京太郎「すっげえ悔しい」

揺杏「お姉さんはいつでもリベンジを待っているぞ?」

京太郎「くっそぉ」


揺杏「午後はどうしようか?」

京太郎「んー、そうだなあ」



【午後】

京太郎「どっか出かけようか」

揺杏「デート?」

京太郎「デート」

揺杏「よっしゃあ!大好き京太郎っ」

京太郎「おわっ!?くっつくなっ」




姉さん手を繋いで街を歩く。

普通のつなぎ方では無く指を噛みあわせた俗にいう恋人繋ぎ。

鼻歌交じりに隣を歩く姉さんの嬉しそうな笑顔に思わず顔を綻ばせていると姉さんが問いかけてきた。


揺杏「そう言えばどこ行くの?」

京太郎「どこだと思う?」

揺杏「いやわかんないから」

京太郎「っと、わざわざ教えるまでもなく着いた」

揺杏「ここ、手芸屋?」

京太郎「正解、姉さん裁縫とか得意って言ってたから喜ぶかなって」

揺杏「あーもう、可愛いなあこいつぅ」

京太郎「ちょっ、こんなとこで抱きついてくんなっ」


京太郎「で、品揃えはどう?」

揺杏「なかなか良いねー……おっ、これはユキの衣装に使えそうだ」

京太郎「姉さんが楽しそうで良かった」

揺杏「ああ、連れてきてくれてありがとな京太郎」


揺杏「いやぁ、帰るのすっかり遅くなっちゃってゴメンね」

京太郎「気にしなくていいよ」

揺杏「そう?」

京太郎「ああ、それでこれからどうしようか?」




【夜】

京太郎「よし、出来上がりー」

揺杏「おお」

京太郎「昨日は姉さんが作ってくれたからな、今日は俺がご馳走する番」

揺杏「なかなか美味しそうじゃん?」

京太郎「自信作なんだ、さあ食べて」

揺杏「わかったよ。あむっ……うん、美味しい!」

京太郎「それは良かった」


揺杏「あー、美味しかった」

京太郎「姉さん、口元に付いてる」

揺杏「へ?」


布巾で姉さんの口元を拭ってやる。

うん、綺麗になった。


京太郎「はい、取れたよ」

揺杏「ぁ、ありがと」


そう俺に礼を言う姉さんの顔は真っ赤だ。

可愛いなぁ。





京太郎「今晩はどうする?」

揺杏「え?」

京太郎「布団」

揺杏「あー」

揺杏「その、今夜も……」

京太郎「今夜も?」

揺杏「一緒が、いいな……だめ?」


答える姉さんは恥ずかしいのか顔が真っ赤だ。

そんな姉さんを見てついついからかいたくなってしった。


京太郎「そうかー、今日は一人で寝たかったんだけど」

揺杏「あ……それなら今日は別でも……」


姉さんの表情が寂しげな表情に変わる。

いちいち反応が可愛い。


京太郎「なんて、嘘だよ。駄目なわけないだろ」

揺杏「嘘?」

京太郎「だから今日も一緒に寝よう」

揺杏「ばかっ」

ボコッ

京太郎「いたっ!?ごめんって」


殴られた。

ちょっと調子に乗りすぎたかなぁ。




鳥のさえずりで目を覚ます。

春だなぁ。

それじゃあ起きて……。

っと、姉さんが抱きついてて起きれねえな。

いや姉さんを起こしちゃえばいいんだけどさ。




【朝】


まあ、起きますかね。

早く起きないと母さん達帰ってきちゃうし。

ということで。


京太郎「姉さーん、朝だぞー」

揺杏「んぅ……朝?」


目を覚ました姉さんはとろんとした瞳で俺を見つめてくる。


京太郎「ほら、さっさと起きて」

揺杏「えぇ、まだ眠いんだけど」

京太郎「良いからはよ起きろ、それか俺が起きれるように手を離せ」

揺杏「えー、やだぁ」


そう言って二度寝に入ろうとする姉さんを何とか起こそうとする。


揺杏「むー、それじゃあチュー」

京太郎「はい?」

揺杏「おはようのチュー」


何言ってるんだこの姉、寝ぼけてるのか。


揺杏「しないなら寝るもん」


完全に寝ぼけてるなこれ。

こうなったら仕方がないか。

まあ、嫌じゃないしな。


京太郎「わかったよ……んっ」

揺杏「んぅ……ふぇ?」


ぼーっと俺を見つめていた姉さんは突然目を見開くと顔を真っ赤にして飛び出していった。

まあ起きてくれたようで何より……かな?



俺たちが起きてしばらくしてから母さん達が帰ってきた。

二人は俺達が馴染んだ様子を見て満足したらしい。

まあ二人が思ってる姉弟よりも深い仲になっちゃったけど、気付いてないみたいだし良いか。

そして別れ際。


揺杏「三日間、楽しかったよ」

京太郎「俺も」

揺杏「一緒に暮らすの、その……楽しみに、してるから」

京太郎「うん」


そうして姉さん達は一足先に北海道へと発って行った。

姉さんとの北海道での生活、楽しみだなあ。


《岩館揺杏編 カンッ!》