http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1344279364/



京太郎「よぉ咲」

咲「・・・」ピクッ

咲(またうるさいのがきた・・・)

京太郎「なんだよ、無視かよ~」

咲「・・・なにか用?」ペラッ

京太郎「いやさ、これから一緒にプール行かね?」

咲「・・・プール?」

京太郎「そそプール。いいだろ?」

咲「・・・」

京太郎「楽しいぜ~。この暑い中冷たい水ん中入るのは」

咲「・・・」

京太郎「ほら行きたくなってきたろ? な、行こうぜ?」

咲「・・・いやだよめんどくさい」ペラッ

京太郎「なんだよなんだよ、付き合いわりぃなあ」

咲「・・・他の人と行ってくればいいでしょ」

京太郎「いやさ、他の奴らはみんな受験だなんだいって、塾にこもりっきりでさ~」

京太郎「お前くらいしか一緒に言ってくれる奴いねえんだよ」

咲「・・・だから私は行かないってば」

京太郎「っだよ。どうせ暇なんだろ?」

京太郎「そんな影で本ばっか読んでないで、ちっとは体動かせよ」

咲「・・・」ピクッ

咲「・・・うるさいなぁ。私の勝手でしょっ」ペラッ

京太郎「なにむくれてんだよ」

咲「むくれてないっ! いいからあっち行ってよ!」

京太郎「へいへい」スタスタ

咲「・・・」ペラッ

咲(ほんっとうざい・・・もう私に構わないでよっ)

京太郎「・・・おい、咲」

咲「!?」

咲「な、なんでまだそこにいるの!」

京太郎「いやいや・・・お前が向こう行けって言ったから、ちょっと離れてやったんだぞ」

咲「そ、そういう意味じゃないから! もうここから消えてって意味!」

京太郎「消えてって・・・ひでえやつだな」

咲「読書のジャマする方が悪いんでしょ!」

京太郎「読書なんてつまんねーだろ。プールの方が絶対楽しいって」

咲「京ちゃ・・・須賀君みたいなバカには理解できないだけだよ!」

京太郎「バカとはなんだバカとは。それにお前だって大して勉強できねーじゃん」

咲「うるさいなぁ! いいからどっか行ってよ!」ブンッ

京太郎「ちょ、石投げんな石・・・!」タタッ

咲「はぁ・・・はぁ・・・」

咲(これだから男子は嫌いなの・・・っ!)


その夜

咲の部屋

咲「・・・♪」フンフン

コツーン

咲「・・・!!」ビクッ

咲「な・・・なに?」ソロォ

京太郎(おーい!)

咲「・・・」

ピシャ!

咲「・・・信じらんない」

コツーン

咲「・・・」

コツーン

咲「・・・っ」イライラ

ダダダッ・・・ガチャ!

京太郎「お、出てきた」

咲「・・・」スタスタスタ

京太郎「お、なんだなんだ・・・」

咲「ちょっとどういうつもり!?(小声)」

京太郎「いや~、一回やってみたかったんだよな。窓に石当てて気づかせるってやつ」ハハハ

咲「バッカじゃないの! それに声がでかいってば!」

京太郎「じゃ場所移すか」

咲「どうして私が須賀君についてかなくちゃいけないの!?」

京太郎「じゃあおまえん家入れてくれる?」

咲「なんでよ! もういいから帰ってよ!」グイッ

京太郎「お、押すなって・・・!」

咲「二度と私の家に来ないでよ!」

ガチャン

京太郎「なんだよプリプリしやがって」



咲「・・・」

咲父「誰か来たのか?」

咲「別に・・・誰でもないよ」

咲父「そうか」

咲「それよりお父さん! ちゃんと服着てってば!」

咲父「わ、わかったよ・・・」

ダンッダンッダンッ

咲父「・・・」

咲父(思春期ってやつなのかなぁ・・・)


ガチャ

咲「・・・」

咲「っ!」バンッ

咲「ああもう、イライラする!」バタバタ

咲「・・・」

咲「・・・はぁ」

咲(・・・こんなの全然私らしくないよ・・・)

咲(・・・今朝読んだ小説の女の子は、中学生なのにもっとおしとやかで優雅な感じだった・・・)

咲(・・・私ももっとスマートに生きなくちゃ・・・)

咲「・・・」

咲「・・・よし、続き書き始めよう」カキカキ


翌朝

咲「・・・」ペラッ

京太郎「よっす、咲」ポンッ

咲「・・・」イラッ

咲(・・・れ、冷静に・・・冷静に)

咲「・・・スゥ」

咲「・・・」ペラッ

京太郎「なんだぁ・・・今度はガン無視かよ」

京太郎「昨日はひどいことしてくれたよなあ・・・せっかく花火やろうと思って誘いにきてやったのに」

咲「・・・」ペラッ

咲(花火とか・・・ほんとガキっぽい・・・)

京太郎「今日こそ花火やろうぜ。木村も来てくれるってよ」

咲(木村君・・・あのいかにもって感じの不良男か・・・)

京太郎「どうだ? くるだろ?」

咲「・・・」

咲「・・・」ガタンッ

京太郎「なんだ・・・便所か?」

咲「・・・」キッ

京太郎「に、にらむなよ・・・」

咲「・・・」スタスタスタ

京太郎「・・・はあ、女の気持ちってのはわからねえなあ」

---------------------

咲(女の子の前で『便所』なんて・・・ほんとデリカシーないやつ・・・)

咲「・・・」ブツブツ

咲「・・・」ピタッ

咲(まあ・・・せっかくここまで来ちゃったし、おトイレも済ませちゃおう)スタスタ

・・・ジャー

咲(よしっと・・・)

スタスタスタ

咲(ん・・・?)


「―――でさぁ、その先公がマジうざくってぇ」

「わかるぅ~」


咲(うわ・・・クラスの林さんたちだ・・・)

咲(どうしよう・・・あまり顔を突き合わせたくない・・・)

咲「・・・」


「そういえばさぁ、今日の須賀君見たぁ?」


咲「・・・」ピクッ


「見た見たぁ! 髪ちょっと短くしてきてたよねぇ!」

「ちょ~かっこよかったぁ!」


咲「・・・」イラッ

咲(・・・あ、あんなやつのどこがかっこいいんだろ・・・)

咲(・・・デリカシーないし、バカだし・・・)

咲(・・・この女共もバカばっかりだ・・・ほんと見る目なし・・・)

咲「・・・」

咲(・・・髪切ってきたんだ。気づかなかった・・・)

咲(ってなにやってんだろう私・・・)

咲(こんなやつらに怯えてどうする・・・早く教室に戻って本の続きを・・・)


「んでさぁ、須賀君にいつも付きまとってる、あの・・・」

「あぁ~、宮永だっけ? うざいよねぇ」

「そうそう、須賀君もなんであんな地味女なんか気にかけるんだろぉ・・・」

「なんかぁ、小学校からの幼馴染らしいよ?」

「うわ、なんかそれちょ~むかつくんですけどぉ」

「あいつ自身、それ鼻にかけてるとこあるよねぇ」

「わかる! ヘンに優等生ぶってんよね」

「そんなに須賀君や先生に気に入られたいのかねぇ」


咲「・・・」


教室

ガラッ

咲「・・・」スタスタ

京太郎「なんだよ、遅かったじゃん。調子悪かったのか?」

咲「・・・」

京太郎「あ、もしかして便秘だったり」ククッ

咲「・・・!!」ブンッ

ボコォッ

京太郎「ぐへぁ!」

ドンガラガッシャーン!

「な、なんだなんだぁ!?」「え、なに今の音?」

咲「・・・っ」ダダッ

京太郎「・・・いてて・・・」

京太郎「・・・さ、咲・・・?」キョロキョロ

京太郎「あ・・・鼻血」


タッタッタッ

咲「はぁ・・・はぁ・・・」

咲「・・・っく・・・はぁ・・・」

咲(最低・・・最低さいてい・・・っ!!!)

咲「・・・っ・・・はぁ・・・」

咲(あの女共も・・・須賀君も・・・みんな最ッ低・・・!!)

咲(誰が付きまとってるって!? いっつも私にちょっかい出してくんのはあいつでしょ!!)

咲(幼馴染とか・・・こっちから願い下げだよ!! 誰が好き好んであいつなんかと・・・!!)

咲「・・・っ・・・はぁ・・・」

咲「地味・・・? 優等生ぶってる・・・?」

咲「どこが!? そんなの嫉妬でしょ! 私はあんたたちとは根本的に出来が違うんだ!!」

咲「たくさん本読んでるし、授業も真面目に受けてるし、それで推薦までもらった・・・!」

咲「毎日彼氏がどうだの言って、くだらないことに時間を費やしてるあんたたちとはワケが違うの!!」

咲「・・・っはぁ・・・はぁ・・・」


「ねぇお母さん、あのお姉ちゃんなに怒ってるの~?」

「こら、見ちゃいけません!」スタタッ


咲「・・・」

咲(・・・もう頭の中ぐちゃぐちゃだ・・・)

咲(・・・あんなことしたんだもん・・・もう教室には戻れない・・・)

咲「・・・はぁ」

咲(たまにはここら辺散歩して、頭でも冷やそう・・・)


スタスタ

ニャー

咲(・・・猫だ)

咲(・・・いや無視無視・・・)スタスタ

ニャァ

咲「・・・」チラッ

スタタッ

咲「・・・よしよし」サワワッ

咲「・・・」サワサワ

ニャン

咲「・・・」

咲(・・・今までは、学校終わったら家に帰って本読むことしか頭になかった・・・)

咲(・・・道端の野良猫なんか、気にもかけなかった・・・)

咲「・・・」

咲「・・・ごめんね、また今度」

ニャァ!

咲「・・・ふふっ」


スタスタ

咲「・・・」

咲(・・・街並みが違って見える・・・)

咲(・・・今までは灰色や緑の塊でしかなかったものが・・・ちゃんと形と色を帯びてる・・・)

咲「・・・私、少し視野が狭かったのかも・・・」

咲「だから小説書いてても、いつも地の文でつまづいちゃうんだ・・・」


ワーワー

咲「・・・」

咲(そっか・・・もう小学生の下校時間・・・)

咲「・・・」

咲(・・・私にも、あんな頃があったんだよね・・・なんて、まだそんな歳でもないか)

ワーワー

咲(・・・あの頃は、まだ須賀君とも仲良かったっけ・・・)

咲(・・・今となっては、ただうざい人でしかなくなっちゃったけど・・・)

咲「・・・」

咲(・・・でも・・・)

咲(・・・私も少し、やりすぎたかも・・・)

咲「・・・大丈夫かな・・・須賀君」

咲(無意識の内に、手元にあったカバン振り回しちゃったから、けっこうダメージでかいはずだけど・・・)

咲(・・・キーホルダーとか一切つけてないから、大怪我にはなってない・・・はず・・・)

咲「・・・」

咲「だ、大丈夫だよね・・・」オロオロ

咲「・・・っ」

---------------------

カァアア・・・

京太郎「咲のやつ・・・家にも帰ってなかったな」スタスタ

京太郎「どこ行ったんだろ・・・っと、いてて」

「・・・」

京太郎「・・・あ」

咲「・・・ぁ」

京太郎「・・・」

咲「・・・」

咲「そ・・・そそそその・・・」

京太郎「なにドモってんだよ」

咲「ど、ドモってなんかないよ!」

京太郎「ふーん、まあいいけど」

咲「・・・」

京太郎「・・・なんで俺んちの前にいたわけ?」

咲「・・・あ、あの・・・さっきはその・・・」

京太郎「・・・へえ、少しは反省してくれちゃってんだ」

咲「・・・っ」

京太郎「・・・別にいいよ。ちょっとほっぺた切っただけだし」

咲「だ、大丈夫なの・・・?」

京太郎「・・・痛だっだああああああっ!!」ガクッ

咲「・・・き、京ちゃん!?」

京太郎「・・・って言ったらどうする?」

咲「・・・も、もうっ!!」

咲「・・・その分だと大丈夫みたいだね」

京太郎「めっちゃ痛いけどな?」

咲「・・・」キッ

京太郎「なんで俺が睨まれるんだよ」

咲「・・・」

京太郎「・・・あのさ、俺の方もゴメンな」

咲「・・・え?」

京太郎「いや、さっきのこと。俺が便秘とか言ったから怒ったんだろ?」

京太郎「咲はそういうの嫌いだったもんな。ちょっとからかいすぎたよ。反省してる」

咲「・・・べ、別にいいよ・・・」

京太郎「ほんと?」

咲「そういってるでしょ!」

京太郎「怒鳴んなって」

咲「・・・」

京太郎「あ、それとこれ」スッ

咲「・・・え、これって」

咲(わ、私が書いてた小説・・・!? な、なんで!?)

京太郎「たぶんお前がカバン振り回したときに飛び出したんだろ。ほら、チャック開いてるし」

咲(ほ、ほんとだ・・・)

京太郎「・・・よかったな」

咲「・・・よ、読んだ?」プルプル

京太郎「・・・え?」

咲「これ読んだの!?」

京太郎「読ん・・・い、いや読んでない読んでないっ」

咲「いま読んだって言おうとしたでしょ!?」

京太郎「ち、違うって・・・」

咲「読んだのか読んでないかだけ正直に言って!!」

京太郎「・・・読みましたすみません」


ボカッ

京太郎「いでっ!」

咲「はぁ・・・はぁ・・・」

京太郎「な、なにも殴ることないだろ!!」

咲「ぜ、全部読んだの!?」

京太郎「いや、最初の数ページだけ・・・」

咲「ほんと・・・?」ジリジリ

京太郎「ほんとだって! だってめっちゃつまんねえんだもんこれ!」

ボガッ!

京太郎「いだっ!!」

咲「・・・ふんっ」

京太郎「なんで殴るんじゃーーー!!」

咲「も、もっとオブラートに包んで言ってよ!!」

京太郎「知らねえよ!!」

咲「はぁ・・・はぁ・・・ほんと最低!」

京太郎「知るかっつーの・・・」

咲「・・・誰にも言いふらさないでよ」

京太郎「なにを?」

咲「わ、私が小説書いてる・・・なんてこと」

京太郎「い、言わねえよ」

京太郎(・・・誰も読みたがらねえだろうしな)

咲「・・・っ」ガサゴソ

京太郎「・・・まあ、とりあえずあがってくか?」ガチャ

咲「い、いいよ別に・・・」

京太郎「・・・」


グイッ

咲「ち、ちょっと・・・!」

京太郎「いいから入れって、ほら!」

咲「て、手ぇ放してってば!」

京太郎「ほい」

咲「きゃっ!」ドテッ

咲「・・・も、もう! いきなりなにすんの!?」

京太郎「だって、咲はこうでもしないと素直になんねえだろ?」

咲「・・・っ」

咲「そ、そういうのがデリカシーないっていうの!」

京太郎「へいへい、そうでございますか」

京太郎「まあ、早く靴脱げよ」

咲「む・・・」

咲「お、お邪魔します・・・」

京太郎「おう、素直でよろしい」

京太郎「ちょっとそこで待ってろ。麦茶持ってくる」


ガチャ

咲「・・・っ」

咲「・・・」キョロキョロ

咲(小学生の頃は、よく遊びにきてたっけ・・・)

咲(あんま変わってないなあ・・・昔と・・・)

咲「・・・」

咲(あ・・・)


ガチャ

京太郎「おまたせ~」

咲「き、京・・・須賀君! それどっか仕舞ってよ!」

京太郎「ん? ・・・ああ! これか」ヒョイ

咲「な、なんでそんなもの出しっぱなしにしてんの!!? 信じらんないよ!!」

京太郎「いや、まさか女の子を家にあげるとは思ってなくてな・・・はは、こりゃ失敬」ササッ

咲「さ、最ッ低!!」

京太郎「まぁとりあえずこれでも飲んで落ち着こうや」コトコト

咲「ま、まったくもう・・・」

京太郎「ほれ」スッ

咲「い、いただきます」ゴクゴク

咲(・・・わぁ、昔と変わってないなぁ・・・この味)

京太郎「前はよくこうして家に遊びに来て、麦茶飲んでたよな」

咲「・・・う、うん」

京太郎「あの頃の咲は純真でかわいかったなあ・・・」

咲「・・・まるで変態みたいだよ、京ちゃん」

京太郎「だって本当のことじゃん。今の咲はブスッとしてばっかでさ」

咲「はいはい、そーですか!」

京太郎「な?」

咲「今のは京ちゃんが原因でしょ!?」

京太郎「・・・京ちゃんって、また呼んでくれるようになったのか?」

咲「あ・・・えっと、その・・・」アセアセ

京太郎「恥ずかしがんなよ。須賀君、とか堅苦しく呼ばれるよりは全然いい」

咲「・・・うん」

京太郎「・・・なあ、咲」

咲「・・・なに?」

京太郎「・・・俺たち、また昔みたいに戻れねえかな・・・」

咲「・・・」

京太郎「・・・咲?」

咲「・・・それは無理だよ」

京太郎「・・・」

咲「私たちは・・・変わりすぎちゃったもん」

咲「趣味や性格、人付き合いだって変わってきた」

咲「それに京ちゃんはもうすぐ受験でしょ? そしたら高校だって違くなるし、こうして会う機会だって減ってくる・・・」

咲「私たち・・・いつまでも子供じゃいられないんだよ」

京太郎「・・・そうだな」

咲「・・・うん」

京太郎「・・・」

咲「・・・」

京太郎「・・・咲ってどこの高校行くんだっけ」

咲「えっと・・・清澄ってとこ」

京太郎「・・・そっか」

咲「・・・?」

京太郎「・・・じゃあさ、俺もその高校受けることにする!」

咲「え、ええ!?」

咲「な、なんで・・・?」

京太郎「・・・俺たち、昔のようには戻れなくてもさ・・・」

京太郎「・・・」

京太郎「それでも俺は、咲のできるだけ近くに居たいんだよ・・・ダメか?」

咲「・・・き、京ちゃん・・・」

咲「・・・もう! 勝手にすれば!?」プイッ

京太郎「ああ、勝手にさせてもらうぜ」

咲「・・・ふん、でも京ちゃんなんかが受かるのかなぁ」チラッ

京太郎「・・・っ」ギクッ

京太郎「・・・さ、咲さん? 頼みがあるんだけど・・・」

咲「・・・なに?」

京太郎「・・・頼む、俺に勉強を教えてくれ!!」

咲「・・・あれ、昨日は私のこと大して勉強できないとか馬鹿にしてなかったっけ?」

京太郎「あ、あれはその・・・」

咲「ふん・・・まあいいよ、教えてあげる。その代わり・・・」

京太郎「・・・な、なんだ?」

咲「・・・」

咲「・・・わ、私の小説・・・また書くから、そのときは読んで・・・くれる・・・?」

京太郎「・・・なんだそんなことかあ」ホッ

咲「そ、そんなことって・・・!」

京太郎「そんくらいならお安い御用だぜ! 原稿用紙10枚でも20枚でも持ってきやがれ!」

咲「・・・あ、ありがとう」

咲「・・・じ、じゃあさ! まずはこれを・・・」ガサゴソ

京太郎「げっ・・・それはさっきの・・・」

咲「む・・・なにその顔は・・・?」

京太郎「いやぁ・・・だってそれめっちゃつまんn」

ボカッ

咲「それはわかってるの! だから全部読んでもらって、ダメな個所とか指摘してもらいたいというか・・・」

京太郎「・・・で、でも俺ド素人だぜ?」

咲「いいの! 誰か他の人に読んでもらうってことが大事なんだから!」

京太郎「そういうもんかな・・・」

咲「そういうもんなの! ・・・ってもうこんな時間か」

京太郎「ああ、帰るのか?」

咲「・・・うん。お父さんも心配するだろうし」

京太郎「・・・咲」

咲「・・・なに? 京ちゃん」

京太郎「今日の9時、中央公園に集合な」

咲「え・・・それって」

京太郎「ああ、昨日できなかった花火の続き」

京太郎「お前のせいでできなかったんだぜ・・・もちろん来てくれるよな?」

咲「・・・うん、いいよ」

京太郎「ただし・・・」

咲&京太郎「「「木村は呼ばない・・・!」」」

咲「・・・っぷ」

京太郎「はははっ」




京太郎「・・・おまたせ~!」

咲「遅いよ!」

京太郎「ごめんごめん・・・ってお前・・・」

咲「お、お父さんがね・・・! 浴衣着てったらどうかって・・・去年買ったやつがあったから」

京太郎「・・・」

咲「・・・ど、どうかな・・・似合ってる?」

京太郎「・・・似合ってる」

咲「ほ、ほんと!?」

京太郎「けどそれお前・・・前んとこ逆だぞ。それじゃ死人じゃねえか」

咲「ぁ・・・」カアア

京太郎「あいっかわらずどっか抜けてるよなあ、お前」

咲「う、ううううるさいなあ!! あっち向いててよ!!」

京太郎「ま、まさかここでやる気かよ・・・!?」

咲「き、京ちゃんがそういうこと言うからじゃん!!」

咲「・・・で、できたよ」

京太郎「おう、それじゃさっそく始めるとするか」

咲「う、うん・・・」


パチパチィ・・・

京太郎「夏といったらやっぱりこれだよなあ・・・」

咲「そうだね」

京太郎「虫よけ買ってきたから、よかったら使えよ」

咲「・・・京ちゃんってヘンなとこだけ気が利くよね」

京太郎「ヘンなとこは余計だよ!」

京太郎「あ、使い終わったら必ず返せよ?」

咲「う、うん・・・でもどうして?」

京太郎「いや、お前ならスプレー缶に花火向けるとかやりかねねえし」

咲「そ、そんなことしないってば!!」

京太郎「ははっ、ジョークジョーク」


パチパチィ・・・

京太郎「・・・」

咲「・・・」

京太郎「・・・もうすぐ終わっちまうな」

咲「・・・うん」

京太郎「・・・明日はプール行こうぜ」

咲「でも学校・・・」

京太郎「終わった後でもいいだろ。な?」

咲「うん・・・」

京太郎「・・・んで、明後日は・・・」

咲「・・・明後日は勉強」

京太郎「ええ~」

咲「ええ~、じゃないよ! 今のまんまじゃ、清澄どころかどこにも受かんないよ!」

京太郎「へいへい・・・」

咲「・・・絶対サボっちゃダメだからね」

京太郎「わぁってるよ・・・」

咲「・・・あ、もう終わっちゃった」

京太郎「ちぇ・・・つまんねえの」

咲「またやればいいじゃん」

京太郎「それはそうだけどよぉ・・・」


パンパーン

咲「・・・あれ・・・この音」

京太郎「・・・花火大会でもやってんのか?」

京太郎「・・・お、こっからなら見える」

咲「ほ、ほんと?」

京太郎「おう、なんなら肩車してやろうか?」

咲「イヤだよ!」

京太郎「・・・まあそもそも体重的に無理だけどな」

咲「その一言は余計だよ!」

京太郎「でもどうするよ。お前その恰好じゃここよじ登れないだろうし」

咲「仕方ないよ・・・ここで音だけ聞いてる」

京太郎「・・・咲」

咲「・・・」

京太郎「あ、そうだ・・・咲、こっち!」

咲「えっ?」

咲「ぶ、ブランコ!?」

京太郎「ああ、勢いつければかろうじて見えるんじゃないか?」

咲「そんなうまくいくかなぁ・・・」

京太郎「モノは試しだ・・・早く乗れよ!」

咲「うぅ・・・こんな歳でブランコ押してもらうことになるとは思わなかったよ・・・」

京太郎「よし、いくぞーーーーーーーー! それっ!」グイッ

咲「わわっ・・・き、京ちゃん強いってば!」

京太郎「こうでもしねえと見れねえだろ? それもういっちょ!」グイッ

咲「きゃああああぁっ!!!」

京太郎「どうだー? 見れたかー?」

咲「こ、怖くて目ぇ開けらんないよぉ!!」

京太郎「・・ったく、ヘンなとこで乙女属性発現させるんだからよぉ」


パパパーン!

京太郎「お、でっかいのきたぞ!」

咲「うぅ・・・み、見えない・・・」

京太郎「・・・ダメかあ・・・」

咲「あ、れ・・・」


パパパーンッ!

京太郎「お」

咲「み、見えた! 京ちゃん見えたよ!!」

京太郎「っておまっ・・・危ねえよ!」ダダッ

咲「わわわぁああっ!!!」

ズザーッ!

京太郎「いてて・・・っ」

咲「き、京ちゃん・・・大丈夫・・・?」

京太郎「ああ・・・なんとかな・・・」

咲「・・・ご、ごめんね。私のせいだね・・・」

京太郎「なに言ってんだよ。お前も無事で俺も無事」

京太郎「ついでに花火も見れたんだろ? なら万事オッケーじゃねえか」

咲「なにそれ、適当すぎだよ・・・」

京太郎「んで、花火はどうだった?」

咲「うん・・・いろんな色が混ざり合って、輝いて・・・とっても綺麗だったよ!」ニコッ

京太郎「そっか・・・」

咲「・・・ありがとう、京ちゃん」

京太郎「だからもういいって・・・」

咲「ううん・・・今日はこんなに楽しませてくれて、ありがと」

京太郎「・・・咲・・・」

咲「えへへ・・・」

京太郎「・・・お、お前にしちゃ素直だな」

咲「む・・・そういう言い方しかできないの?」

京太郎「・・・うっせ」

咲「まったくもう・・・素直じゃないのは京ちゃんの方じゃん」

京太郎「うっせうっせ」

咲「はいはい、もう黙りますよーだ」

京太郎「・・・」

咲「・・・」

京太郎「・・・」

咲「・・・」

京太郎「さ、咲・・・」咲「き、京ちゃん・・・」

京太郎「・・・な、なんだよ・・・」

咲「・・・そ、そっちこそ・・・」

京太郎「・・・じ、じゃあせーので行くぞ」

咲「・・・お約束だね」

京太郎「・・・ああ、いいか?」

咲「・・・うん」

京太郎&咲「せーの・・・っ!」




      「「好きだよ・・・!」」





カン