早朝

??「……っ…」

京太郎「……」首を動かして状態確認

霞「…zzz」

初美「……zzz」

京太郎「…とりあえず抜け出すか」

ゴソゴソ…

京太郎「朝ごはんとお弁当…良子義姉さんも大事な試合があるし、霞さん達は今日帰るしな…人数分作らないと」

京太郎「朝ごはんとお弁当ができたぞ」









京太郎「何をしようか」

カピー「パカパカ(どうした?」

京太郎「いや、何をしてるのかなって」

カピー「パカパカ(見ての通り、大人しくしてるのだ」

京太郎「姫様達が居るからか?」

カピー「パカパカ(違う、マンゴーの為だ」

京太郎「本当に欲望に忠実だな」

京太郎「あのさカピー、妹尾さんと仲良くなるにはどうしたらいいんだ?」

カピー「パカパカ(あの歩く幸運と仲良くなりたいのか?主、私に神託を聞くのがつるぺたか爆乳なのかはどうにかならないのか?」

京太郎「き、気のせいだろ」

カピー「パカパカ(まあいい…あの女と仲良くなりたいと言っても十分だろ」

京太郎「そうか?」

カピー「パカパカ(果実の譲渡まで済ましてる相手だ…あとはどうにでもなるだろ」

京太郎「……」

京太郎「う?ん…」

カピー「パカパカ(あーもう面倒だな。あのラーメン女の事だな」

京太郎「ラーメン?いや、ダヴァンさんの事だけど」

カピー「パカパカ(強制力が一つあるし、ラーメンを食べに行けばいい。東京なら?ラーメンと?ラーメンとかがお勧めだな。もしくは主の手料理とかでもいいぞ」

京太郎「なんだそれ?」

カピー「パカパカ(胃袋を制すれば勝つということだ」














サイドストーリー 義姉とはやりのお話☆

合宿後

健夜「それで話って何かな?」

良子「一応、スケジュールがあるんですが…」

はやり「すぐ終わるから大丈夫だよ☆あのね…二人はなんで未来の記憶があるのかな☆?」

健夜「未来の記憶?何を言って…」

はやり「誤魔化してもダメだよ☆私、聞いたんだから」

良子「…盗み聞きですか」

はやり「偶々、聞こえたんだよ☆それに岩手の人達も記憶があるんだね☆」

健夜「仮にそうだとしても貴女には関係ないです」

はやり「それがあるんだよ☆私ね、京太郎と結婚したいんだ☆」

良子「はっ?」

健夜「えっ?」

はやり「だからね、未来の記憶にしがみついてる貴女達が邪魔なの☆」

健夜「何を言ってるのかわかってるんですか?」

良子「貴女の父親は京太郎の…」

はやり「京太郎はそれを赦すって言ってくれたから良いんだよ。それにね…貴女達も京太郎に隠してるよね?」

健夜「っ…!」

良子「っ…!」

はやり「記憶に縋って京太郎を手にいようとするなら私は貴女達を認めない」

健夜「それは貴女に記憶がないから…」

はやり「関係ないよ。私は今の京太郎が好きなんだ。あったか解らない記憶の京太郎なんかに恋い焦がれなんかしない」

良子「私達も今の京太郎が…!」

はやり「本当かな☆京太郎の中に都合の良い京太郎を本当に見てないのかな」

健夜「…」

良子「それは…」

はやり「話はそれだけだから、それじゃあね☆」

スタスタ…

はやり「ああ、忘れてた☆これも言っておかないと☆」

はやり「********♪」

はやり「それじゃあね☆」





















霞「これは?」

京太郎「お弁当ですよ」

霞「いや、それはわかるけど…」

京太郎「折角岩手に来たのにおもてなしができてなかったから」

霞「ありがとう…大変だったんじゃないの?」

京太郎「そうでもないさ。作りがいがあって楽しかったよ」

霞「ふふふ…京太郎らしいわ」

京太郎「なんだそれ」

霞「いえ、貴方は変わらないと思っただけよ」

京太郎「?」

霞「なんでもないわ。それより私達も全国に行くから、その時に御礼しないとね」

京太郎「いや、今回は俺が頼んだから…」

霞「それもそうだけど、お弁当は頼んでないわ」

京太郎「それもそうだけど…」

霞「なら御礼しない。期待しててね」ニコニコ

京太郎「は、はい」












京太郎「姫様達、起きてこなかったな」

白望「ダルい…」

京太郎「お、おう…なんでベンチで項垂れてるんだ」

白望「なんとなく…」

京太郎「そうか…お昼は?」

白望「忘れた」

京太郎「待ってたな…」

白望「……」目空し

京太郎「全く…今日は気合いをいれて作ったから量はあるぞ」

白望「やった…」ニコ

ーーーーーーーー

白望「あーん」

パク…もぐもぐ

京太郎「美味いか?」

白望「うん…なかなか」

京太郎「素直じゃないぞ」

白望「少し味が薄い」

京太郎「あっ、そうだった」

白望「まだまだだね…あーん」

京太郎「くっ…精進するか」








放課後

京太郎「今日の夜に飛行機で大阪だ…今日はどうしたものかな」

京太郎「よし部活に行こうか」

京太郎「なんか久しぶりだな」

京太郎「俺の必殺技を教えよう」どや顔

豊音「あの槍の事?」

京太郎「ああ、今の豊音になら理解してくれる気がするからな」

豊音「頑張るよ!」

豊音「それでどうしたらできるの?」

京太郎「念じる…?」

豊音「えっ?」


京太郎「いやだから…こうなんと言うか念じたらできる」

豊音「そんなんじゃあわかんないよ…」










夕方2

京太郎「ただいまー」

シーン…

京太郎「あっ、そっか、誰もいないのか」

京太郎「あれ机の上に何かあるぞ」

京太郎「これって御守りかな?…手紙もある」

京太郎へ

泊めてくれた御礼に御守りをを置いていきます。中身は絶対に見てはダメですよ。見たら呪いますからね。

初美より

京太郎「……何が入ってるんだ?」

ーーーーーーー


初美「今頃見てるんでしょうか?」

霞「どうでしょうね」ニコニコ











京太郎「大阪行きの飛行機はこれだな…ふぅ…やっと一安心だな。まだ時間はあるな」

京太郎「トキさんにメールしてみるか?」






京太郎「そういえば麻雀を打つ約束をしてたな……とりあえずそれについてと大阪に今から向かう事を言っておくか」

From トキ
連絡無いから捨てられたと思ったわ( *`ω´)?
予定通り、明日の昼頃に難波の雀荘で打つんでいいんかな?

京太郎「…この前もこのどや顔があったぞ。それで大丈夫ですよっと…」

From ?トキ

了解やで。身内の三人も楽しみにしとるし、お手柔らかに。

京太郎「あれ…三人なら一人余るんじゃ無いのか?」

From トキ

一人はデータが取りたいらしいから大丈夫やで。

京太郎「データね…」

アナウンス「間もなく…」

京太郎「あっ、やばいそろそろ時間か」

京太郎「それじゃあそろそろ飛行機に乗るので、おやすみなさいと…」

From トキ

気をつけてな。明日は楽しみにしとるから!









夜2

関西国際空港付近ホテル

京太郎「チェックインの為に名前を出しただけで態度が変わったぞ…恐るべき龍門渕」

ーーーーーー


京太郎「……なんか虚しいな」

京太郎「外で食べるか…待ち合わせは昼前だったからとりあえずラピッドβに乗って難波に行って…」

ーーーーー

難波

京太郎「人が多い…いや当たり前か。スタバで朝食を済まして、適当にぶらつくか」

京太郎「リクロおじさんのチーズケーキか…食べて見たいな」コーヒーを飲みながら携帯で情報をチェックして

雅枝「阿呆らしいは…全く。もうすぐ大会が近いのにレギュラー四人が今日は用事があるとか急に言いおってほんまに…明日とっちめたろ」

京太郎「うん…?」顔をあげて

雅枝「……」目が合う

京太郎(なんだか嫌な予感がする)

雅枝(何処かで見たことが…気のせいか)

スタスタ…歩き去っていき

京太郎「なんだったんだろ」席を立ち店を出る、

雅枝「何処かで……あっ!あっ、あー!洋榎の思い人や!」慌てて戻り

雅枝「逃げられた!」










昼1.

京太郎「場所はここであってるんだよな…」

??「あ、あの」

竜華「京さんであってますか?」

京太郎「そうですけど…貴女がトキさん?」

竜華「いや、ウチは違うねんけど…トキはちょっと寝坊で…」

京太郎「ハハ…トキさんらしいですね」

竜華「怒ってないんですか?」

京太郎「何をですか?」

竜華「いや、トキが遅れてきてる事とか…」

京太郎「怒ってませんよ」

竜華「えっ?」

京太郎「誰にだってこんな事はありますよ…えっと…」

竜華「あっ、清水谷です」

京太郎「清水谷さんか…俺は……どっちがいいんだろ?トキさんの友達だから…京って呼んでください」

竜華「わかったで」ニコニコ

竜華「京さんは何回か大阪にきた事があるんや」

京太郎「ええまあ、家族と何回か」

竜華「そうなん…旅行かなんか?」

京太郎「義姉の応援でですね」

竜華「応援?」

京太郎「はい、大阪でよくタイトル戦があるので」

竜華「それって京さんのお姉さんが…」

セーラ「おーい、竜華」

竜華「えっ?あ、皆やっときたん?」

浩子「園城寺先輩が走ったらもう少し早かったんですが…」

怜「酷!病弱やからしかたないねん…あの京さんであってるんかな?」

京太郎「ええ、そうですが…初めましての方がいいのかなトキさん」

怜「いやあの、その…トキで大丈夫やで」

京太郎「ならトキって呼びますね」

怜「うん…それであの…遅れてごめんなさい」

京太郎「気にしてないかべつにいいですよ」

セーラ「なんやあれ、怜が萎れてるで」小声

竜華「解らへん…ウチもあんなん初めてや」ごめん

セーラ「船Qはどう思う…どうかしたんか?」小声

浩子「予想通りやった…園城寺先輩の言っていた事と京ってHN…岩手の大魔王須賀京太郎…」京太郎を見ていて

セーラ「大魔王って個人戦歴代1の得点を上げたあの?」小声

浩子「そうです。今週は女子麻雀個人があるから違うと思ってたんですが…写真そっくりです」小声

セーラ「ならあの兄ちゃんは麻雀強いんか?」小声

浩子「男子最強と言われてます」小声

セーラ「そうかそうか…燃えてきたで!」小声

怜「とりあえず雀荘にいこか」

京太郎「そうですね」

怜「皆もそれでいい?」

セーラ「いいで!」

浩子「かまいません!」

竜華「大丈夫やで」

京太郎(なんであんなに張り切ってるんだろ)








雀荘

怜「さっそく打とか」

京太郎「いや、その前にそちらの人達を紹介して欲しいんですが…」

怜「それもそうやな。左からセーラ、フナQや」

セーラ「よろしくやで」ニコニコ

浩子「よろしくです」

竜華「それで予定通り浩子は見学でいいん?」

浩子「はい、直に観れるならそれだけでデータになりますから」

京太郎「聞いた時から思ってたんですが俺のデータをとってもあんまり意味無いような…」

浩子「…それは一方的に終わるって事ですか?」イラッ

京太郎「それは違います。ただ男子の俺のデータをとってもフナQさん達とは公式でまず試合しませんよね?」

浩子「そういう事ですか…データ取りは趣味みたいなもんですから気にせんといてください」

京太郎「はぁ…」

セーラ「そんな事よりもはやく打とうや。強いんやろ、京は?」

京太郎「強いですよ。これでも全国レベルですから」

竜華「なんやそれ」

京太郎「リアルの話は秘密です」ニコニコ

怜「とりあえず座りや」

京太郎「そうですね」

セーラ「燃えてきたで」

竜華「まあ、勝つのはウチや」

浩子(岩手の大魔王…データとってしゃぶり尽くしたる)










一同「よろしくお願いします」

怜「親決めやな」











竜華「ウチが親やな」

京太郎(トキさんは確か一巡先が見えるんだよな…ならそれに挑戦してみよう!)ゴゴゴゴゴ

怜「…っ!」

怜(直に打つとよう解る…京さんは化け物や)

竜華(空気が変わった…)

セーラ(なんや面白くなってきたで!)











京太郎(まだだ…まだ上がる)ゴゴゴゴゴ。

竜華(なんや、なんなんや、あの槍は!)

セーラ(あれはあかんやつちゃうかな…)

怜「させへんで…」小声

一巡先を視る者発動

怜(これをこうすれば…)

??「未来は不確定だから美しい」

怜「えっ?」

天沼鉾発動

バリン…

怜(未来が視えへん…なんでや!)

コトン…ドス…

京太郎「ロン、国士無双!」


京太郎 57000
怜 -7000
竜華 25000
セーラ 25000










京太郎「ありがとうございました」

セーラ「ありがとうございました」

竜華「ありがとうございました…」

怜「ありがとう…ございました……」

浩子(化け物や…チャンタの高め倍満の手から普通はああはなれへん…全国クラスの化け物や)

怜「もう一回や…もう一回だけしよ」

竜華「怜?」

セーラ(何をあんなに焦ってるんや?)

京太郎「……」








京太郎「別にかまいませんよ」









怜「ウチが親やな…」

怜(視えんようになったとかありえへん…あれがなかったら…あれがなかったらウチは!)







京太郎(…こっちだ…)

怜(視えんへん…なんで視えへんねん!)


セーラ(トキがおかしいな)

竜華(なんかあったんやろか?)

コトン…ドス…

竜華「えっ?」

京太郎「ロン、四暗刻単騎」


京太郎 57000
怜 25000
竜華 -7000
セーラ 25000













浩子(また役満…ありえへん)

京太郎「ありがとうございました」

竜華(今、槍が刺さってたはず…なんやったんや)胸の辺りをペタペタと触り

怜「……」レイプ目

セーラ「なあ京…あと一回だけせえへんか?やられっぱなしは主義じゃ無いんや」

京太郎「…」








京太郎「俺は別にかまいませんよ」

京太郎「俺が親ですね」

京太郎(トキさんの様子が明らかにおかしい…)

怜「ウチなんて…所詮」ボソボソ














京太郎「それポン」

竜華(發鳴き…特許券か?)

怜「またや…なんでや…」

セーラ(これで三倍満まであと一手…)

コトン…ドス…

セーラ「はっ?」

京太郎「ロン、緑一色、48000です」

京太郎 73000
怜 25000
竜華 25000
セーラ -23000










京太郎「ありがとうございました」

浩子(千里山のレギュラー三人が東一局で飛ばされた…)

怜「ウチ、もう今日は帰るわ…」フラフラ

セーラ「俺もごめん…帰るわ」

竜華「トキ!」

怜「ごめん竜華…今はこんといて欲しい…」

竜華「えっ?」

怜「ウチにもう…千里山のレギュラーの力は無いねん」ポロポロ

ダッ…走り

竜華「トキ!」追いかける

浩子「すいません…私も追いかけますんで」

京太郎「あっ、はい…」

浩子「それじゃあ」

京太郎(……やり過ぎたか)












京太郎「…困ったら直感に従うベキだよな」

怜(どないしよ…未来が視えへんウチなんてただの病弱や)

ぐぅ…

怜(そう言えば朝ごはんも食べてないからお腹空いたな…でもご飯を食べる気分でもないし)

グラ…

怜(あかん…視界が歪む…)

怜(竜華…ごめん)

バタ…ギュ…

怜(えっ?誰に…?)

??「大丈夫ですか!」

怜(あかん…金髪とか…ウチもついお迎えがきたみたいや……)

京太郎「おいおい…とりあえず病院に…」

怜「お腹空いた…」

京太郎「飯だな」

パク…もぐもぐ

怜「……」

パク…もぐもぐ

京太郎「……」

怜(気まずい)

京太郎(…コンビニのおにぎりを久しぶりに食べたがありだな)

怜「あの…何も聞かないん?」

京太郎「…聞いても答えてくれないでしょ?」

怜「うっ…」

京太郎「女の子を泣かしたまま放置するのは義姉の教えに反するからきたんです」

怜「…嘘やな」

京太郎「えっ?」

怜「ほらやっぱり」

京太郎「カマかけたんですか…」

怜「京さんがウチ達を虐めたからな」

京太郎「虐めたつもりはないんだけどな…ただ最近はずっと勝つ為に麻雀を打ってる」

怜「それ以外になんかあるの?」

京太郎「…自分は強いから手を抜いてやらないといけないとか考えてた」

怜「なんやそれ、感じ悪いな」

京太郎「…俺もそう思うよ。それを部活の仲間に麻雀でフルボッコにされて気づかされた」

怜「えっ、京さんをフルボッコにできる人なんておるの?」

京太郎「いくらでも居るぞ。部活の仲間や義妹も最近強いからな」

怜「…なんか凄いな」少し笑い

京太郎「やっと笑った」

怜「えっ?」

京太郎「麻雀してから死んだ魚の眼をしてたから…多分、原因は俺だし」

怜「っ…どうなんやろうね…京さんには言ってたっけ…ウチな一巡先が視えるねん」

京太郎「言ってましたね。俺も今日、槍投げてたでしょ?」

怜「あれにはびっくりしたで…」

怜「それでな…今日になって一巡先が視えへんかってん…変な声が聞こえて、ウチの力が無くなってん…」ポロポロ

京太郎「……」

怜「あの力が無かったらウチは千里山のレギュラーにはなられへん…竜華達と同じ舞台に立たれへん」ポロポロ

京太郎「それで立ち止まるんですか?」

怜「えっ?」

京太郎「未来が視えなくなったから麻雀から逃げるんですか?」

怜「ウチは逃げてなんか…」

京太郎「逃げてますよ。逃げて、泣いて、自分は何もできないって言って誤魔化してるだけじゃないですか」

怜「っ!京に何が解るねん!自分だってあんな強い槍があるやん!あれがなくなったら今の実力は出されへんやろ!」

京太郎「槍がなくても弓があります。弓がなかったらまた頑張ればいい。何かがないから麻雀に勝てないと俺は言いたくない」

怜「っ…!ウチは…ウチはそんなに強く無いんや!病弱で死ぬ思いして偶々手に入れた力なんや…いいやないか…逃げてもいいやないか。ウチは弱い人間なんや」ポロポロ

京太郎「……」

京太郎「手を出してください」

怜「えっ?」

京太郎「俺が貴女に新しい力をあげます」

怜「そんな事できるわけ…」

京太郎「できます。ただしもう泣かないで下さい」

怜「……ほんまにできるの?」

京太郎「…多分」

怜「なんやそれ…まあ、その嘘に乗ったる…今は藁にも縋りたいから」

さっ…手を出して

京太郎「……やっぱり勇気じゃダメですか?」

怜「あかんで京さん…男に二言は無しや」

京太郎「うっ…いきますよ」

ギュ…手を両手で握り

怜「なっ!」カァァ

京太郎(……力を…いや、なんだろうな……)

コプ…… 果実が連鎖反応を起こしていき

京太郎(……強くじゃないな…この人が泣かなくても良いように…未来に頼る事なく歩いていけるように)

ドクン…

怜「何が起ころうとしてるんや?」

京太郎(この人に俺が与えられる全部の力を…トキさんに…!)

グワァ…

怜(京さんからなんか変な感覚が…あかんこれ…耐えら…)ジュワァ

バタン…怜が倒れる

京太郎「えっ?」














精神世界

怜「あれここ何処?」

洋榎?「やっと気がついたみたいやな」

怜「なんで姫松の愛宕姉がおるねん…」

絹恵「ウチもおるで」

怜「えっ?」

健夜「私達もいるんだけど」

良子「ノーウェイ」

はやり「ギュルビーン☆」

怜「プロもおるんか…夢かなんか?」

豊音「惜しいよー、ここは夢であって夢じゃないんだよー」


怜「えっ?誰、あんた?」

塞「貴女が京太郎に望んだでしょ?」

怜「京太郎?京さんの事か?」

白望「私達が叶えてあげる…だるい」

怜「叶えるって何をや…」

胡桃「そんなの決まってる。貴女の望み」

怜「ウチの望み?」

エイスリン「強くしてあげる」

怜「…ほんまか?」

小蒔「嘘はいいません」

怜「なら…」

霞「ただし条件があるわ」

怜「条件?」

初美「簡単な事ですよー」

怜「……」

巴「それは…」

怜「それは?」

春「秘密」

怜「なんやそれ…そんなおかしいやないか」

久「何がおかしいのかしら?」

怜「そんなんウチが不利…」

智葉「甘えるな、タダで手に入る力などない」

怜「うっ…」

慧宇「どうする?」

怜「う、ウチは…」










京太郎「大丈夫なのかな…トキさん…」膝枕していて

怜「うー…」

京太郎「さっきからずっとうなされてるんだよな…」

怜「……っ…」眼を開けて

京太郎「大丈夫ですか?」

怜「……」

怜「京君…?」

京太郎「えっ?」

怜「京君がおるって事はウチ…生き残ったんや…やったで、やったで京君!」

ギュー…抱きしめて

京太郎「ちょ、どうしたんですか?」

怜「京君、ウチが間違ってた……ウチ頑張るからな」

スッ…京太郎と向き合って

怜「能力だけが麻雀じゃないってようわかった…それに京君がくれた力がウチにはある」

京太郎「は、はぁ…」

怜「これはそのお礼や」

チュ…頬に

京太郎「えっ?」

怜「口と本番はもう少し仲良くなってからな!それじゃあ、ウチはもう帰るから」カァァ

ダッ…

京太郎「本番ってあの本番か?………な、なんだって!」












夕方

京太郎「……きっとあれは夢だ……いや、流石にそれはクズすぎるだろ。夢で何かあったのか?」

京太郎「ぶらついてみるか」

京太郎「適当にぶらつくか」

京太郎「何時の間にか引っ掛け橋まで来てしまった……ナンパするので有名らしいなこの橋」

竜華「お断りします」

男「え、ダメなのなんで?」

京太郎「そうそうあんな風にナンパが……あれ、あの人どっかで見た気が」

竜華「私は忙しいんです!」

男「いいじゃんか、そんな事より俺と遊ぼうぜ」

竜華「いやです!」

京太郎(あれって清水谷さんじゃないか……助けるか)

男「…人が下手にでてたら調子にのりやがって…」

竜華「えっ?」

バシ… 男の手を握り

京太郎「あの、俺の彼女に何かようですか?」

男「ヒッ!」

男(なんだよ、このガキ…眼がヤバすぎるだろ!)

京太郎「もう一回聞きますけど俺の彼女に何かようですか?」

ギュ…林檎を余裕で握り潰せる握力で腕を握り

男「な、なんでもありません!」

バッ…ダッ…逃げて行く

京太郎「あの大丈夫でしたか?」

竜華「……えっ、あっ、うん大丈夫やで」カァァ

京太郎「それなら良かった…すいません、彼女呼ばわりして」

竜華「えっ、いや別に気にしてないから大丈夫やで」カァァ

竜華(お、大人の余裕を見せなあかん…彼女って呼ばれた位でなんでこんなに嬉しいねん!)

京太郎「そう言ってくれると助かります…それじゃあ、俺はこれで」

スタスタ…

竜華「えっ…ちょっと待って!」

京太郎「はい?」

竜華「お礼、そうや、お礼さして!」

京太郎「お礼ですか?」

竜華「そうや、京さん大阪あんまり来た事ないんやろ。ならウチが美味しいもん紹介したる」

京太郎「良いんですか?」

竜華「任せとき!」






パク…もぐもぐ

京太郎「美味しい…」

竜華「当たり前や、うちのお勧めの店やからな」ニコニコ

京太郎「それもそうですね…串カツがこんなに美味しいなんて知りませんでしたよ」

竜華「そうやろ、そうやろ。そう言えば京さん、トキの事ありがとうな」

京太郎「えっ?」

竜華「さっきなトキから電話があってもう大丈夫やでって元気な声で言われてな…気が抜けた時にさっきの男に引っ掛けられたんや」

京太郎「そ、そうなんですか」

竜華「そうやで、だから京さんには感謝してるんや」

京太郎「俺なんて何も…」

竜華「それはない。私も助けてくれて、トキも十中八九京さんに救われたはずや」

京太郎「……」

竜華「あかんで、人の好意は素直に受け取らな」

京太郎「すいません、慣れてなくて」

竜華(…嘘なんやろうな…まあ、いいか)

竜華「まあ、今回はこれで勘弁したる」

京太郎「ありがとうございます…あれ、でもなんかこれって変じゃ…」

竜華「それもそうやな…ハハハ」

京太郎「ハハハ」

京太郎「ごちそうさまでした」

竜華「ごちそうさまでした」

京太郎「割り勘でいいですかね?」

竜華「かまへんで。正直、奢ったると言われたらどないしよかなって思ってたし」

京太郎「奢ってもいいですよ?今日のお礼と清水谷の美貌に…なんてね。少しくさすぎますね」ワハハ

竜華「ほ、ほんまやで、ドキッとしたやないか!」カァァ

京太郎「顔真っ赤ですよ」

竜華「赤くなんてない!」

京太郎「それじゃあ、行きましょうか」ニコニコ

竜華「うぅ…京さんなんて嫌いや」

京太郎「いやまあ、竜華さんが綺麗なのは事実ですから」

竜華「あぅ…」ボン…

ーーーー


京太郎「また会いましょう」

竜華「せやね…また大阪に来たら会おな」

京太郎「是非」









夜1

京太郎「……知らない街で一人だと妙に淋しいよな」

京太郎「夜の新世界に見てみるか…嫌な予感がするけど」

京太郎「酔っ払いと客引きしかいなかった…まあ、当たり前か」







夜2

♪~

京太郎「電話か?もしもし」

洋榎「もしもし、京太郎!」

京太郎「洋榎かどうかしたのか?」

洋榎「どうかしたもこうしたもない!なんで大阪に来てるのにウチに連絡せえへんねん!」

京太郎「いや、今日は別の友人と…」

洋榎「約束したやないか!」

京太郎「うっ…明日、誘おうと思って…」

洋榎「ほんまやな?」

京太郎「本当ですよ」

洋榎「なら明日、ウチとその…で、デートやで」カァァ

京太郎「はい、楽しみにしてます」

洋榎「ぜ、絶対やで!約束破ったら針千本のますからな!」

京太郎「約束は守りますよ」

洋榎「なら、明日朝にまた連絡するから…でるんやで」

京太郎「はい、待ってますね」

ーーーーーー

洋榎「…えっとまず、服やな…」

ポン…

絹恵「抜け駆けはあかんでお姉ちゃん」

洋榎「絹、なんでここに…」

絹恵「外に声が漏れてたで」ゴゴゴ…

洋榎「な、なんやて…」

絹恵「ウチも行くから」ニコニコ

洋榎「うっ…しかたないな」










京太郎「……大切な何かを踏み躙った気がする」









朝食

京太郎「とりあえずご飯を食べるか」

ーーーーー

強制イベント

♪~

京太郎「メールが着たな」

From 愛宕洋榎

11時に梅田で待ち合わせ。

京太郎「11時に梅田か……そろそろでとくか」












京太郎「待ち合わせ場所はここだよな…あれ?」

絹恵「あっ、京太郎!」

洋榎「えっ?あっ、ほんまや、京太郎」ブンブン

京太郎「…一時間前だぞ。二人とも早すぎませんか?あれ、そう言えば絹恵も来るのか?」

絹恵「あかんかったかな?」

京太郎「いや、全然もんだ…っ!」

ぎゅー…洋榎に足を思いっきり踏まれて

京太郎(…怒ってる。何でか解らないがとりあえず不機嫌なのはわかった…)洋榎をチラ見して

京太郎「び、美人姉妹とデートなら喜んで行くよ」

京太郎(こ、これでどうだ…)

グリ…踵で踏みにじられる

洋榎「ばかやろ…」カァァ

京太郎(間違っただと…!)

絹恵「嫌やわ、美人姉妹なんて照れるやん」ニコニコ

京太郎(今日は精神的に疲れるかもしれない)

絹恵「とりあえず行こか」

ギュ…右の手を握られ

洋榎「むっ、ずるいで絹」

ギュ…左の手を握られる

京太郎(落ち着け、落ち着くんだ…なんでテンパる…冷静に何時も通りにやれば大丈夫だ)

京太郎「両手に華ですね、これ」ワハハ

京太郎(これで突っ込みがとんでくるはず!)

絹恵「そ、そうやね」カァァ

洋榎「あ、当たり前やろ」カァァ

京太郎(な、なんだと…)

洋榎「と、とりあえず近くにおかんから教えてもらった店があるからそこでご飯にせえへん?」

京太郎「別にいいですよ」

絹恵(お姉ちゃん、何時のまにそんな事を…)目で会話

洋榎(甘いな絹、お姉ちゃんはやりてなんや)目で会話










洋榎「ここや」

京太郎「お洒落な洋食屋ですね」

絹恵「あれ、ここって…」

洋榎「せやろ。はよ、はいろか」ニコニコ

ガラン…

店員「いらっしゃいませ」

洋榎「三人で禁煙で」

店員「こちらになります」

スタスタ…

店員「こちらです」

京太郎(どうやって座ろう…)

絹恵「京太郎とお姉ちゃんはそっちに座っていいよ」

洋榎「えっ?」

絹恵「ウチはこっちでいいよ」

京太郎「ならこっちに座ろうかな」

洋榎「そ、そうやな」

洋榎(おかしい…)

絹恵(ここがおかんが言ってた店ならあのメニューがある筈や…)

京太郎「何を食べようかな…」









京太郎(裏メニューって言ってみたい…絶対にあるんだよな…メニューは一通りあるしな…わからん。普通にビーフシチューにしとくか)

洋榎「決まったんか?」

京太郎「ええ」

洋榎「絹は?」

絹恵「ウチも決まってるで」

洋榎「なら呼ぼか、すいません!」

店員「はい!ご注文はお決まりでしょうか」

洋榎「ウチはクリームシチューのセット」

京太郎「俺はビーフシチューのセットで」

絹恵「ウチは…あの、ふわふわオムライスで」

店員「あら、良く知ってたわね」

絹恵「母が前に言ってたんですよ」

店員「そうなんですか…わかりました。失礼します」

京太郎「ふわふわオムライスってありましたか?」

洋榎「せや、そんなんあったん?」

絹恵「裏メニューやで。おかんの思い出の」

洋榎「…まさか…」

絹恵「ウチの勝ちや」口パクで

洋榎「あのオムライスか!」悔しがり

京太郎「?」

店員「以上でよろしいでしょうか?」

京太郎「大丈夫です」

店員「ごゆっくりどうぞ」

絹恵「これが思い出のオムライス…」

京太郎「思い出のオムライスってどういう意味なんですか?」

絹恵「秘密」

洋榎「絶対に言わんで」

京太郎「なんだよそれ…」

洋榎「女の秘密や」

絹恵「そうやで、女の子の秘密や」

ーーーーーー

パク…もぐもぐ

京太郎「美味しい…丁寧に作られてるな」

洋榎「クリームシチューも美味しいで」

絹恵「オムライスもありやで」

京太郎「流石、二人のお母さんのお勧めの店だな」

洋榎「当たり前やで」ニコニコ








店の外

京太郎「また行きたいな」

絹恵、洋榎「えっ?」

京太郎「いや、美味しかったからまた行けたらいいなって」

洋榎「そうやな…またこよか」

絹恵「うん、また行こね」

京太郎「それで今からどうするんですか?」

洋榎「買い物やな」

絹恵「えっお姉ちゃん、普通は大阪城とか見に行くんと違うん?」

洋榎「ありきたりすぎるやろ。それに京太郎も大阪城くらい言った事あるやろうし。なあ、京太郎」

京太郎「まあ何回か大阪にきてるんで大阪城は見た事くらいはあるぞ」

京太郎(良子義姉さんと半日かけて巡ったしな)

洋榎「そうやろ。だから買い物でええやん。正直、大阪は通天閣と大阪城、食い倒れしかないんやで」

絹恵「…それもそうやけど…」

京太郎「買い物でいいぞ。デートだしな」

洋榎「そうやこれはデート……何いわしとんねん!」かぁぁ

絹恵「デート…」ポッ…

京太郎(突っ込みが飛んでこないだと!)

洋榎「ハルカスで買い物や」

京太郎「ハルカスってあのハルカスか?」

洋榎「そうやで日本一大きいビルらしいからな…眺めもいいやろうし、絹もそれでええやろ?」

絹恵「かまへんで。私もハルカス行ってみたかったし」

洋榎「なら決まりやな」

ーーーーーーーーー

ハルカス一階

京太郎「デカイな…」

洋榎「そうやな…」

絹恵「最上階に雲がかかってる…」

京太郎「写真とらないか?」

洋榎「えっ?」

京太郎「いや、旅行に着てるのに一枚も写真とってないから…どうかなって」

絹恵「それいいな」

洋榎「なら誰かにとってもらわんと…すいません!」

漫「えっ、うちですか?あれ、主将に絹ちゃん…ここでなにしとんの?」

洋榎「げっ…なんで漫がここにおるん」

漫「げって酷いですね…うちだって用事があるんです…そっちの男って岩手の大魔王じゃ…」

京太郎「大魔王って…どうも。合宿以来ですね」

漫「もしかして主将達、デー…むぐぅ…」口を塞がれて

洋榎「ちょっとこっちこよか」

ズルズル…

洋榎「いいか、漫」鬼の気迫

漫「は、はい!」

洋榎「部活のメンバーにこの事言ったら解るな?」

漫「い、言いません!」

洋榎「それでいい…言ったら油性ペンでデコと頬に肉って書くからな」

漫「は、はい!」ぶるぶる






洋榎「流石、ハルカスや。色んな物が置いてるで」

絹恵「何を見に行くん?」

漫「なんでうちも何ですか」

洋榎「共犯やと喋られへんやろ?」

漫「うちにも用事が…」

絹恵「用事って今話題のあの映画を…」

?漫「あー、言ったらダメや!」

洋榎「何の映画を観に行くん?」

漫「何でもないです!本当に何でも…」

絹恵「純愛映画やで」

漫「あっ…」

洋榎「純愛?…ほんまなんか?」ニヤニヤ

漫「ダメですか?」ぷんすか

洋榎「別に、だめやなんて言ってないやん」

絹恵「お姉ちゃん、悪ノリしたらあかんで」

京太郎「その映画なら俺も観に行こうって思ってましたよ?」

三人「えっ?」

京太郎「いや、原作の小説を義姉が持ってたから結構気になるんですよ」

漫「そ、そうなんや…うちも小説読んでるんですよ。ラストの話とか良いですよね」

京太郎「そうですね。知らなかった真実を知った時の衝撃とか今でも覚えてますもん…それにそのまえの…」

漫「わかります!あのシーンで主人公が…」ペチャクチャ

絹恵「なあ、お姉ちゃん…」

洋榎「言うな絹…言ったら悲しくなる」

絹恵「そうやね…でも反省せなあかんで」

洋榎「うん…肝に命じとくわ」

漫「それにあの…」

京太郎「あっ、待ってください。あのこれ俺の連絡先なんでまた良かったら連絡ください。今はデート中なんで」洋榎達の方を向いて

漫「あっ、そうやった…すいません、主将」

洋榎「別にかまへん…淋しくなんてなかったんやからな!」

京太郎、漫(淋しかったんだ)

絹恵「それで何を見に行くん?」

京太郎「……」

京太郎「時計を見に行きませんか?」

洋榎「時計?」

京太郎「ああ、ここにならあの時計があると思うんだ」

絹恵「でも私、お金ないんやけど…」

京太郎「五千円で買えますよ」

絹恵「そうなん?」

京太郎「ええ。俺が欲しい二本の時計のうちの一つです」

漫「二本も欲しいん?」

京太郎「ええまあ…憧れなんですよ」ワクワク

洋榎「それやったら別にかまわんけど…」

京太郎「ありがとう!」

ーーーーー

京太郎「ここが一番大きい時計店だな」

洋榎「なんであんな嬉しそうなん」小声

絹恵「あれはなんかに夢中な男の子の眼や」小声

漫「生き生きしてますね…」小声


京太郎「すいません!」

店員「はい、どうしましたか?」

京太郎「時計を探してるんですけど」

店員「ブランド品ですか?」

京太郎「いや違うんです。セイコー5の時計を後ろの三人にあったタイプはありますか?」

店員「……セイコー5ですか。若いのによくご存知ですね」

京太郎「時計が好きなんです。一番欲しいのはオメガのスピードマスターが欲しいんですが…あれに見合う位になったら買うつもりです」

店員「本当に不思議な方だ…今時の若い人は高級ブランドばかりを求める。特にこんな所に店を構えるとそんな客しか来ない。久しぶりの客が貴方みたいな方で良かった。少しお待ちください。在庫の確認をして参ります」

洋榎「なあ京太郎、そのセイコー5ってなんなんや?」

京太郎「えっとその…なんて言えばいいんだろ。日本が世界に誇る普通の腕時計です」

絹恵「普通の腕時計?」

京太郎「ええ。輸入でしか入らない時計なんですけどね」

漫「日本の時計やのになんで輸入するん?」

京太郎「海外モデルしか無いからです。残念な事にね」

漫「そうなんや…」

店員「お待たせしました。当店にあるセイコー5、13本です」

洋榎「…本当にただの時計やな。それになんか古い気がするし」

京太郎「えっ、あのこれって…」

店員「サービスですよ。価値も解らない客に売るより貴方達に売った方が時計も喜びますから」

絹恵「でも私はこの時計でいいと思う」

漫「かっこいいってよりも年代を感じる」

京太郎「……気に入った時計はあったか?」

洋榎「ウチはこれかな」指差し

絹恵「私はこっち」指差し

漫「ウチはこれに惹かれたかな」

京太郎(どれも良い品だな…何も知らずに決める時計が1番なのかもしれないな)

京太郎「すいません、その三本と右の1番右の一本をください」

洋榎「ちょい待ち、高いんと違うんか?」

絹恵「そうやで、他の時計の値段見ても諭吉さんが何枚も飛んで行ってるで」

漫「わ、悪いですよ…」あたふた

京太郎「樋口でお釣りが来るから大丈夫ですよ。美人三人とデートしてるんです、漢気を見せないと駄目でしょ」

京太郎(今年のお年玉が吹き飛ぶけど仕方ないか)

店員「畏まりました。それでは調整をするのでそちらのお嬢様達は向こうにいってもらえますか?」

洋榎「う…これは借りやからな」

絹恵「そ、そうやで」

漫「あ、ありがとうございます…」あたふた

スタスタ…

京太郎「ふぅ…それで一本幾らですか?」

店員「幾らだと思いますか?」

京太郎「通常の三倍?いや五倍かな?」

店員「やはり貴方は不思議な方だ。二倍で良いですよ。保障もつけましょう」

京太郎「赤字じゃないんですか?」

店員「高級時計を一本売ったら大丈夫ですよ。それに貴方とはこれからも長く取引がしたい」ニヤニヤ

京太郎「……五年待っててください。二十歳になったらマスターが似合う男になります」

店員「楽しみにしておきます。その時が来る事を。それまでこの店に眠っているあの子は保管しておきます」

京太郎「あるんですか!」

店員「どうでしょうね」ニコニコ










夕方

京太郎「今日は本当にありがとうございました」

洋榎「ウチらの方こそありがとうな。時計も買ってもらったのに…」

絹恵「また大阪来たら…いや、全国で会おな」ニコニコ

漫「あの…また連絡するから」

京太郎「はい。待ってます。それじゃあ」











夜1.

京太郎「まだ時間はあるな…」

京太郎「飯を食べるか…」

京太郎「唐翌揚げ…いやカツカレーもありだな」

ガシ…

京太郎「えっ?」

雅枝「ちょっと私と話せえへんか?」

京太郎「は、はい」

京太郎(絹恵に似てる…目元は洋榎にそっくりだし…まさかな)

雅枝「そんなにびびらんでええよ。ただちょっと娘の話を聞くだけや」

京太郎「洋榎達の事ですか?」

雅枝「なんや気がついてたんか?」

京太郎「髪の色と口元は絹恵、目元は洋榎そっくりですよ」

雅枝「本当に洋榎達が言ってた通り只者じゃなさそうやね」

ーーーーーーーーー

雅枝「そうやろ!おかんがおるから行かへんとか言ってやで、楽しみにしてたのに!」酔っ払い

京太郎「そうなんですか…でも千里山も十分強いじゃないですか」

雅枝「当たり前や!ただな…洋榎と三箇牧の荒川憩が居れば楽になったんや!でもまあ、そんな事はどうでもいいんやけどな…」

ごく…ごく…ぷはぁ… ビールを飲み切り

京太郎「あっ、どうぞ」

雅枝「気が利くな。さっきからありがとうな」ニコニコ

京太郎「いえいえ、これくらい普通ですよ」

雅枝「ほんまにええ男やね、あんたは…ウチがもう少し若かったら、アタックしたんやけどな」ワハハ

京太郎「今より綺麗になってたら俺が緊張してしまいますよ」

雅枝「口もうまいんやから!」

バシ、バシ…

京太郎「事実ですよ」



雅枝「もう一軒行くで?」酔っ払いできあがっている

京太郎「いやいや、ここら辺は危ないから駄目ですよ」

京太郎「わかりました、解りましたから、とりあえずタクシーに乗りましょうね」

雅枝「乗ったらもう一軒行くんやな?」

京太郎「行きます」

雅枝「ならさっさと捕まえなな」

京太郎「あっ、ダメですよ酔ってるんだから」

ギュ…手を握り

雅枝「えっ?」

京太郎「こっちですよ」

雅枝「は、はい…」

京太郎(急にしおらしなった?)

雅枝(手握られとる…このままもしかして…)妄想にふける

キィー…タクシーがとまり

京太郎「乗りますよ」

雅枝「えっ、どこにいくん?」

京太郎「……」

京太郎「雅枝さんの最寄り駅までですよ」

雅枝「最寄り駅、なんでなん?」

京太郎「帰れなくなるでしょ」

雅枝「帰れるわ!京太郎はウチの事どう思っとんねん」

京太郎「酔っ払った美人です。襲われたら大変ですから早く乗ってください」

雅枝「えっ、は、はい」

運転手(天然のジゴロだな、このあんちゃん)

京太郎「えっと…洋榎が言ってた駅は…」携帯でメールを確認して

京太郎「○○駅までお願いします」


運転手「解りました」

雅枝(あかん…眠なってきた…)ウトウト



運転手「着きましたよ、4320円です」

京太郎「はい、お釣りお願いします。雅枝さん、降りますよ」

雅枝「すぅ……zzz」

京太郎「マジかよ…」

運転手「これ、お釣りの680円。うまくやりなよ、あんちゃん」

京太郎「が、頑張ります」雅枝をおんぶして

バタン…ぶうぅぅうん走り去って行く

京太郎「とりあえず洋榎か絹恵に連絡だな」

京太郎「洋榎だな…」

ーーーーーー

♪ー

洋榎「もしもし、京太郎どないしたん?えっ、おかんと○○駅におるん?おかん、寝てんの!ああ、待っててすぐ行くわ」

バタバタ…

絹恵「どうかしたん、お姉ちゃん?」風呂上がり

洋榎「おかんが酔いつぶれて○○駅で京太郎とおるんやて。ちょっと迎えに行って来るわ」

絹恵「えっ、そうなん!?でも京太郎って新幹線乗ってるんじゃ…」

洋榎「あっ…今、何時なん?」

絹恵「10時過ぎ…」

洋榎「どないしよう……でもとりあえず迎えに行って来るわ」

絹恵「気いつけて」

洋榎「京太郎ー!」自転車で爆走

京太郎「こっちだ」

洋榎「ごめんな、おかんが迷惑かけて」

京太郎「いや迷惑なんかじゃなかったぞ」

雅枝「……zzz」


洋榎「ほんまに寝てるんやな」

京太郎「爆睡してて起きない…まあ、飲んでたからな」

洋榎「どんなけ飲んでたん?」

京太郎「……秘密だ」

洋榎「相当飲んだんやな…まあ、とりあえず行こか」

京太郎「えっ、どこに行くんだ?」

洋榎「ウチの家に決まってるやろ」

京太郎「いや、俺、新幹線の時間が…」

洋榎「…京太郎、時間わかってる?」

京太郎「時間?そんなの……」サー…血の気がひいていき

洋榎「あはは…ごめんな」

京太郎「お、おう…別にいいぞ」遠い目

京太郎「お邪魔します」

洋榎「中々の家やろ」ニコニコ

京太郎「そうだな」

京太郎(女物の靴しかない…あれ、これってまずくないか?)

洋榎「とりあえずおかんはソファーに横にやっといて」

スタスタ

京太郎「お、おう…とりあえずゆっくり降ろしてと…」

雅枝「うん…あれ、ここ家か?」

京太郎「あ、起きました?」

雅枝「なんで京太郎がおるねん…っ…頭痛いわ」

京太郎「ああ、待ってください。昼間に買った未開封の ミネラルウォーターです。よかったら」

雅枝「あ…ありがとう」頭を抑えて

ごく…ごく…

雅枝「……なんで自分まだおるん?」

京太郎「えっ…」

雅枝「はよ帰りや…親御さんが心配するやろ…」

京太郎「えっ、あっ…すいません…」

洋榎「あれ、おかん起きたん?」

雅枝「洋榎か…京太郎がもう帰るから…送ったって」頭を痛めて

洋榎「何を言ってんねん。京太郎は今日、ここに泊めるで」

雅枝「はっ?何言ってんの?あかんに決まってるやろ」

洋榎「おかんこそ何言ってるんや。おかんのせいで京太郎が新幹線に乗り損ねたんやろ」

京太郎「あっ、洋榎、それは言ったら…」

雅枝「どう言う事や?」

京太郎「あ、あの…」

洋榎「おかんが酔い潰れてタクシーで京太郎が○○駅まで送ってくれたんやろ。それに今の時間見て見いや。もう11時やで」

雅枝「本当なんか?」京太郎の方を向いて

京太郎「…事実です」

雅枝「はぁ…めげるわ。この年で娘と変わらん男に酔い潰されて介抱されてたんか…ほんまにめげるわ」

京太郎「すいません」

雅枝「謝らんでいい。今日は泊まっていいから。新幹線代も渡す…本当にすまんかった」

京太郎「いや、俺の方こそ…」

雅枝「もう何も言わんでいい…ちょっとお風呂入ってくるわ」

スタスタ…






京太郎「なんか悪い事したな」

洋榎「京太郎は悪ない。おかんが酔い潰れるなんて滅多にないんや。それだけ京太郎に気を許したって事やろ」

京太郎「そうだと良いんだがな…」

洋榎「まあ、大丈夫やで。ちょっと待っとき。毛布もってくるから」

京太郎「あっ、手伝うぞ」

洋榎「いや京太郎は客やからなゆっくりしとき」

スタスタ

京太郎「…お言葉に甘えるかな」

京太郎(…あかん、いろいろとあり過ぎて眠く…なっ…きた……zzz)

ツンツン…

京太郎「うっ…だれだ?」

雅枝「ウチや…ちょっと付き合い」ジャージ姿

京太郎「は、はい」

ーーーーーー

雅枝「あんたはちょっとは飲めるんか?」向かいあって座っており

京太郎「いや、お神酒程度なら」

雅枝「なんやそれ…まあいいけど。それでや…ウチはあんたになんて言った?」

京太郎「何がですか?」

雅枝「いや、だから…酔っている時になんか言わんかったか?」目をそらしながら聞いて

京太郎「特に何もなかったですよ。洋榎達が千里山に…」

雅枝「あー…それ以上言わんでいい。そんな事を言ってたんか…他には?」

京太郎「いや、特には聞いてないですよ」

雅枝「……」京太郎の眼を見て

京太郎「……」

雅枝「嘘は言ってないみたいやな…絶対に洋榎達に言ったらあかんで」

京太郎「恥ずかしいんですね」

雅枝「ち、違うわ」

京太郎「はいはい、眼が泳いでますよ」

雅枝「まったく、子供らしくないであんた」

京太郎「よく言われます」

雅枝「……小鍛冶健夜と戒能良子の義弟はそうせな務まらんかったんか?」

ガタ…

京太郎「…」

雅枝「顔が引きつってるで…知らんと思ったんか?」

京太郎「予想外でした」

雅枝「舐めたらあかんで。でもまあ、その表情の方がウチは好きやな」

京太郎「あまりいじめないでくださいよ」

雅枝「あんたが本音を話さないから仕方ないやろ」

京太郎「…何が聞きたいんですか?」

雅枝「ぶっちゃけて、洋榎か絹恵、どっちが好きなん?いや、もっと生々しくきこか。もう深夜やしな。どっちが抱きたいん?」

京太郎「ぶっ、言ってる意味わかってますか?」カァァ

雅枝「なんや顔真っ赤やで?もしかしてまだ自分、どう…」

京太郎「あー…何も聞こえない!」耳を手で抑えて

雅枝「案外子供なんやな。それでどっちなん?」

京太郎「……」

雅枝「黙秘か…沈黙は金じゃないで」

京太郎「……」

雅枝「強情やな…なら尋問や」

京太郎「……」

雅枝「洋榎の方が好きなんか?」

京太郎「……」

雅枝「反応無し…いや、無表情か。なら絹恵か?」

京太郎「……」

雅枝「これも無表情か。面白ないで自分。あれか実はウチが1番やったりしてな」

京太郎「そうです」

雅枝「えっ?」

ガタガタ…奥で音がして

京太郎「……」

雅枝「も、もう一回言ってもらっていいか?」

京太郎「……」

雅枝「また黙りか…自分、それズルいで?」

京太郎「なら俺が言ったらどうするんですか?」

雅枝「言うつもりもないのにそんな事を言うのは無しやで」

京太郎「俺はあんた達三人を抱きたい」

雅枝「はっ?」

京太郎「だから俺は…」

雅枝「待って、それ本気で言ってるん?」

京太郎「本気ですよ?寧ろ雅枝こそ何を言ってるんだ?」

ごく…ごく…コップに入った飲み物を飲み切り

雅枝「なんで私もなん?こんな年増より洋榎達の方が…」あたふた

京太郎「逃げるなよ、俺は答えたんだあんたの答えを聞かせろ」

ドバドバ…飲み物を注いで

雅枝「…それはできひん。洋榎達の思い人を母親の私が手を出すはずがないやろ。もうこの話は終わりや、眠なってきたわ。あんたも早くねえや」

京太郎「……」

バタン…何かが倒れる音

雅枝「はっ?」後ろを振り返り

京太郎「むきゅう……」酔っ払って倒れており

雅枝「……日本酒飲んで倒れたんかい。ほんまになんなんやこいつは。担ぐにしては重いしな…ほら、あんた達も手伝い」

洋榎「なんや気付いてたん?」

絹恵「ごめん、おかん」

雅枝「別にかまへん…それにしても難儀な漢に惚れたな」

洋榎「えっ?」

雅枝「なんでもない。ただこの漢はモテるからな気をつけりや」

絹恵「な、何を言ってるんやおかん!」カァァ

雅枝「冗談じゃないで。こいつが欲しいと口に出したらあんた達は逃げられへん。寂しいのに寂しいって言われへん人間なんやこいつは…全く、難儀な人間やで」

ズルズル…京太郎を引きずり

雅枝「私があと20歳若かって元旦那と出逢ってなかったら、さっきのでベタ惚れやで」

洋榎「なんやそれ」

雅枝「女は自分より強くて弱い漢に惹かれるって事や」

バサ…毛布をかけてやり

雅枝「ウチはもう寝る。あんた達も早く寝りや。おやすみ」

二人「おやすみ」

スタスタ…

洋榎「なんなんやろ…ウチは京太郎の大事な事を知らんのかもしれん…」

絹恵「私も…」












サイドストーリー 白糸台優勝インタビュー

照「ありがとうございます。白糸台が優勝できたのは日々の努力と皆様の御声援があったからです。今年も全国優勝を目指して頑張りたいです」

記者「今年の全国大会は長野から二校と変則的な形になっていますが注目している高校はありますか?」

照「どの高校も県大会を勝ち上がってきた猛者だと私は思っています。ですが警戒している高校は幾つかあります」

記者「それはどこの高校ですか?」

照「先程仰った長野県の二校を初めとして岩手の宮守、臨海、鹿児島県の永水高校は充分に対策していきたいです」

記者「常連の千里山や姫松は警戒しないのですか?」

照「大阪府大会がまだなのにそれは言えません」

記者「確かに…最後に一言お願いできますか?」

照「…私はある人との約束でこの三年間戦い続けてきました。今年、その約束をした人が全国に仲間を連れてやってきます。ですが私はそれを全力で潰します。私達に敗北の二文字はありえません」

記者「ある人ですか…がんばってください。応援しています。以上が白糸台のエース宮永照選手のインタビューでした」