―三尋木家―

三尋木「着いたよーほい降りてー」

針生「意外と遠かったですね…。三尋木プロ、マンション住まいだったんですか」

三尋木「うんーそだよー住み始めたのは最近だけどねーまあ、さっさと行こうぜ~」

針生「そうですね」


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ガチャ

三尋木「着いたねー入っていいよ~」

針生「おじゃまします」

三尋木「やっぱり針生アナは礼儀正しいねい~そこは勤務中もプライベートも一緒かいー?」

針生「これぐらい普通だと思うんですけど…」

三尋木「ん~そうなのかなー?あんまわかんねー」

針生「もしかして、友達を家に連れてきたことないんですか?」

三尋木「……」

針生(あれ…?何かしらこの反応は…)

三尋木「…とりあえず中入らねー?」

針生「あ、はい。じゃあお言葉に甘えて」











また無駄なスペースとってしまったすまん

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針生「うわー…すごい広いですね、三尋木プロの家。この広さで17階だし、家賃とか相当高いんじゃないですか?」

三尋木「そうだねーでも今の稼ぎで十分賄えるよー」

針生「なるほど…さすがにトップクラスのプロ麻雀士は格が違いますね…」

三尋木「そーんな大層なもんじゃないってー針生アナは一人暮らししてるんだっけ?」

針生「そうですね。アパートなんで大したものじゃないですけど…一応今の稼ぎでなんとかやりくりしてますよ」

三尋木「そっかー。ま、とりあえず座っていいよー。ソファーでも床でもなんなら私のベッドの上でもさー」ニヤニヤ

針生「ソファお借りします」ドサッ

三尋木「なんだよーつれないねい~」

針生「…それより本題はどうしたんですか?明日も仕事あるんですし、早めに話したほうがいい気がするんですが…」

三尋木「また…そうやって、私の、こと…」グスグス

針生「もうひっかりませんからね。さあ、話してください、三尋木プロ」

三尋木「ちぇー…でもその前にさ~一ついいかいー?」

針生「今度はなんですか?」

三尋木「今は針生アナはプライベートモードなんだよねー?」

針生「はい。さっき手を叩いたときからそうですよ、まあ形式上ではありますけど」

三尋木「ふーん…いやさ~針生アナはプライベートのときもプロって呼ぶんだなって思ってー」

針生「ああ、確かにそれはちょっと矛盾してましたね。どう呼べばいいですか?」

三尋木「好きに呼んでくれていいよープロってのはちょっと違和感あっただけだからさー」

針生「うーん…そういえば三尋木プロの名前って確か『咏』でしたよね?なんか珍しい名前ですね」

三尋木「あ、ああそうだねーよく言われるよー」ビクッ

針生「ふむ…じゃあせっかくなんでそれでいきましょうか。『咏ちゃん』で」

三尋木「え?」

針生「え?じゃないですよ。三尋木ぷ…じゃなくて咏ちゃん。あなたが決めてって言ったのよ?ついでに敬語もやめるわ」

三尋木「お、おうー…」

三尋木「……」

三尋木「ねえ、私の名前って変じゃない?」

針生「変、かな?珍しいとは思ったけど…別に変じゃないわよ。むしろあなたにぴったりだと思うけど…服装とかイメージから判断してだけど。いい名前だと思うわ」

三尋木「へ、へ~そっか。ふ~ん…そっかそっかー…へー…………」

針生「何ニヤニヤしてるの?」

三尋木「いや~気のせいじゃね~?名前とかどうでもいいしーむしろ知らんしーいやマジで~」

針生「…まあいいわ。ていうかさっきからずっとツッコミたかったんだけど、あなたも私のことずっと『針生アナ』って呼んでるじゃない」

三尋木「あう…そうだったねー…」

三尋木(友達とか…あんまできたことないしよくわかんねー…)

針生「…咏ちゃん、私の名前知ってる?」

三尋木「し、知ってるって~針生えりでしょ!当然じゃんー!」

針生「じゃあ、えりでもなんでもいいんじゃない?昔ははりちゃんとかはりっちとか呼ばれてた時もあったけど…あとエリーとか」

三尋木「はりっち…」

ポワポワポワ

同級生A「よお、はりっち!今日も真面目だなー!」

同級生B「休み時間に真面目に本なんか読んでるなんて、つまんねーやつだなー」

針生「うるさいわね…ほっといてくれる?私の自由でしょ?」

同級生A「うわ!はりっちが怒ったぞ!こえー」

同級生B「今日もとげとげしいなー針だけに…プッ」

針生「うるさい!名前は関係ないでしょ!?あっちいって!」

同級生A「うわー逃げろー!」

同級生B「針攻めにあうぞー!」


ポワポワポワ

三尋木(だ、だめだよ~…はりっちはだめだ…針生アナのトラウマが蘇るぜー…)※三尋木プロの想像です

針生「…咏ちゃん?」

三尋木「!いや、なんでもないよー」

三尋木「えりちゃん!えりちゃんって呼ぶことにするよー」

針生「分かったわ。じゃあそろそろ聞かせてくれるかしら?」

三尋木「分かったよーえりちゃんー」

三尋木(うたちゃん……えりちゃん……えへへ…)

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咏「えりちゃんは何が聞きたいー?」

えり「とりあえず全部話して、さっき泣いてた理由も含めて」

咏「えー…全部はちょっと恥ずかしいなー//」

えり「じゃないと相談に乗れないわよ?恥ずかしがってないで、ほら(正直小鍛治プロの話は参考にならなかったし…)」

咏「分かったよー…」



(事情説明中)


咏「……って感じかなー」

えり「なるほど…軽くまとめると、経験豊富そうな外見と明らかに耳年増な口調を利用してちょっとウブそうな男の子をからかおうとしたものの、小鍛治プロの突然の登場に自体は急変

、なぜか本当に須賀君にレクチャーすることになったと」

えり「それでいろいろ優しくしてもらって結局彼のことを好きになってしまった。なるほどそれで気楽に名刺を渡したり麻雀の練習のお願いをきいてあげたりしたんですね」

えり「この間泣いてたのはせっかく彼に会いに行ったのに他の女の子に彼が囲まれていて凄く寂しくなったから……というわけね」

咏「うんうん。そんな感じだよー」

えり「なんていうか…この間も思ったけど、咏ちゃんの今までのキャラとあまりに違いすぎて困惑なんだけど…」

咏「そ、それは……仕方ないじゃんー…恋とか初めてで全然わっかんねーんだし……//」ボソボソ

えり「それにしても…」

咏「な、なんだよえりちゃん」

えり「せっかく助けてもらったのに、相手をからかおうとするなんて…恩を仇で返してどうするのよ……」

咏「うっ…」グサッ

えり「しかも実際は恋愛経験はありません、全くの初心者です、知ってるのは雑誌とかなんとかで持ってる知識だけ」

咏「ぐ…」

えり「さらに自分でレクチャーするって言っておいてから最後は相手に逆レクチャーしてもらうなんて…しかも年下…高校生に…」

咏「うう…」

えり「それでいて須賀君が女の子に囲まれているのを見るだけで落ち込むって…どれだけメンタル弱いのよ…。そんなので麻雀界でよくやっていけるわね…」

咏「……」ジワ

えり(ま、これでさっきの仕返しにはなったかしら…これ以上は可哀想だからやめておくわ)

咏「やっぱりダメなのかな……年下、それも高校生を好きになるなんて、無理があるのかなあ……年上のくせに恋愛経験もないし」グスグス

えり「ごめんごめん。とりあえず、今のは現状を挙げただけよ。ここからどうするか考えよう?」

咏「考えるって…どういうことだい?」

えり「そんなに難しく考えなくていいわよ。作戦を考えるだけよ」

咏「さくせん……?」

えり「そうよ。咏ちゃんの話を聞く限りその子はとてもいい子なんでしょう?それに私が見た限りでは外見もなかなかだったと思うし…」

えり「ライバルがいる可能性だってあるわ。つまりこれは勝負、バトル、戦争なのよ!」

咏「お、おう……(なんかえりちゃん意外とノリノリだ……)」

えり「戦いには勝つための戦略が必要です。咏ちゃんだって麻雀界で生き残るために、自分なりの戦略を立てて、それで勝ち残ってきたんでしょう?」

咏「んーと……そりゃ対戦相手とかの分析とかはよくするけど……あとはなんとなく今日の調子とか考えて…」

えり「まあとりあえずそういうことよ。『彼を知り己を知れば百戦殆からず』ね」

えり「つまりあなたは須賀君との接触が決定的に足りないわ!お互いのことを何も知らない。これじゃあ、周りの女の子に持っていかれるかもしれないわ…」

咏「そ、それはやだよー……どうすればいいんだろ。えりちゃんー……」

えり「デート」

咏「え?」

えり「デートに誘いましょう」

咏「お?」

えり「だからデートに誘いましょうと。あっちから連絡を待ってる余裕なんてないでしょ?もしかしたら清澄高校が敗退してすぐに帰っちゃうかもしれないのよ?」

咏「誘うって、そんなの無理だよー……恥ずかしすぎるぜー…」

えり「いやでもそんなこと言ってもね…」

咏「無理無理、誘い方とかわっかんねーし……」

えり「」イラ

えり「あーあ。今頃須賀君はホテルで女の子たちと準決勝進出お祝いパーティをしてるんでしょうねー」

咏「」ピク

えり「きっとすっごい盛り上がってて……ちょっと気が大きくなった女の子たちは須賀君にちょっかい出しちゃったりして」

咏「そ、そんなことあるわけが……」

えり「どうかしらねー案外人って分からないわよねー経験もないのに人をからかったりする人だっているらしいわよー?」ニヤニヤ

咏「う…それは……その、出来心で……」

えり「……まあ、それは冗談だとしても、このままじゃ何も解決しないわよ?何かして後悔するのと、何もしないで後悔するのどっちがいいの?」

咏「…うん。そうだね。えりちゃんの言うとおりだよ。誘う!誘ってみるよ!私頑張ってみるよ!」

えり「やる気になってくれてよかったわ」ニコ

えり(それにしても……私も恋愛経験とかほとんどないのに、よく口からベラベラ出てくるわね、それにびっくりだわ。まあ楽しかったけど…)

えり「じゃあとりあえずデートに明日誘ってみて。口実は散歩でも麻雀でもなんでもいいから、頑張って」

咏「分かったー。とりあえず、後悔だけはしないようにするよ~」

えり「ようやくいつもの口調に戻ってきたわね、それでこそ三尋木プロですよ」

咏「む。また三尋木プロって呼んでる……それに年がら年中ずっとこの口調じゃないんだぜ~?」

咏「まあいいや。ちょっと風呂入って気合い入れてくるぜー!えりちゃんはくつろいでて!」

えり「分かったわ。私もそのあとお風呂借りていいかしら?」

咏「もちろんいいよー別に一緒に入ってもいいんだぜ~?けっこう風呂広いからさー」

えり「え、遠慮しときます……さすがに女同士とはいえ、恥ずかしいので……//」

咏「また真っ赤になってる~えりちゃんかあいいー」ニヤニヤ

えり「知りません//!さっさとお風呂行ってください!」

咏「はいはい~じゃ行ってくるよ~」ガチャ

えり「もう……」

えり「咏ちゃんがお風呂出るまで何しようかしら。そういえば結構たくさん雑誌とか本とか持ってるのね」

えり「本棚に雑誌とかがぎっしり……ほとんどが麻雀のだわ。あ、これは咏ちゃんが載ってるやつね。せまりくる怒涛の火力……恋愛とは印象が大違いだわ」

えり「あれ、あとこの大量のファイルは何かしら」

えり「これは…大量の牌譜?なるほど、今の麻雀界のプロの牌譜ってわけね。うわ、すごい…所々コメントとか書き加えてある…」

えり「全部目通してるんだな…さすがにその辺りはプロって感じね」

えり「こっちは?県大会の牌譜?もしかして今の全国出場校の県大会でのものかしら…」

えり「あ…これもさっきのと同じように書き加えられてる…こんなに細かく…あ、これ今日の千里山と阿知賀と劔谷と越谷の分だ」

えり「これは特に読み込まれてる感じがする……解説担当の分はさらにしっかり読んでるのね」

えり「すごい…知らなかった、裏でこんな努力してたなんて…何も知らずに自分で全部カバーしてたと思ってた自分が恥ずかしいわ」

えり「もっと私も勉強しなきゃ…」


咏「あーいいお湯だったよー」

えり「」ビクッ

咏「あれー?えりちゃん何してんの?あ、それ今日の解説分の牌譜じゃん。どーしたの?」

えり「いえ…なんでもないわ。ちょっと咏ちゃんを見直しただけよ」

咏「んーよくわっかんねーけど褒められてるみたいだねぃ~あははー。えりちゃんもお風呂入ってこればー?」

えり「そうさせてもらうわ。着替えとか借りていいかしら?」

咏「どーぞー浴衣で良ければどーぞ」

えり「……ちょっとこれ小さすぎない?これじゃ下半身が微妙に隠れないんだけど…」

咏「女同士だから気にすんなよー今日一日だけだし、我慢我慢ー」

えり「分かりましたよ、じゃあ行ってきますね」

咏「行ってら~」

ガチャ

咏「……」

咏「うわー牌譜見られたー恥ずかしー//努力するとこは見せない主義なのになー//」

咏「ま、えりちゃんならいいか。と、友達だし……//」

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えり「お風呂いただきました。本当に広かったですね、びっくりです」

咏「でしょー?だから二人で入っても良かったんだぜー?」ニヤニヤ

えり「ふふ…二人で入るのは須賀君とにしたらどうですか?」

咏「!す、須賀君とお風呂とか…//」プシュー

えり「咏ちゃん、顔真っ赤になってるわよ」

咏「う、うるさいなー、仕方ないじゃんか……」ブツブツ

えり「ま、いいわ。とりあえず恋愛の話は終わったから、後回しにした仕事の話するわよ」

咏「げ。もう夜遅いし、明日でよくねー?」

えり「だめです。さあ、やりますよ、三尋木プロ」

咏「プライベートモードは一旦終わりかあ……仕方ないなー始めますか、針生アナ」


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えり「…じゃあ、明日はこんな感じでお願いします」

咏「りょーかい、りょーかい」

えり「あと、明日の解説分の牌譜のコピーとかもらえますか?私も勉強したいので」

咏「いいけどー急にどうしたの?」

えり「いえ……別に私も対戦校のことを勉強しとかないとって思っただけです」

咏「県大会の牌譜なら、検索すれば出てくるんじゃねー?」

えり「それじゃ、三尋木プロの書き込みとかないから意味ないんですよ…」ボソッ

咏「え?」

えり「とにかく!明日コピーさせてください」

咏「わ、分かったー(なんなんだろーこの気迫はー…)」


咏「んじゃそろそろ寝よーか。明日も仕事だしー。あ、なんか敬語に戻ってるよーえりちゃんー」

えり「ああ、忘れてました。この家ベッドがないみたいだけど、布団でいつも寝てるの?」

咏「うん。家に帰らないことも多いけどねー。あ、一応来客用の布団もあるから、心配しないでねー」

えり「じゃあ、さっそく敷いて寝ましょう?もう眠いわ」

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咏「んじゃ電気消すよーおやすみえりちゃんー」

えり「おやすみなさい、咏ちゃん」
      ・
      ・
      ・
      ・
      ・
咏「………」

咏「もう寝た?えりちゃん」ボソッ

えり「……ほとんど寝てたけど、今目が覚めたわよ…」

咏「あーごめんごめん。ちょっと眠れなくってさ」

えり「今日いろいろなことがあったからね。体が少し興奮してるのかもしれないわね」

咏「うん…」

えり「…」

えり「あの…咏ちゃん?眠れないなら、一つ質問していい?」

咏「いいよ、何?」

えり「咏ちゃんは須賀君のどこが好きになったの?」

咏「直球だなーどこって言われても…よくわかんねーまだ会ったばかりだしねー」

咏「一目ぼれってやつな気もするんだけど…強いてあげるなら…私を私として認めてくれた気がした、からかなー…難しく言うとだけど」

えり「…といいますと」

咏「そーだな…えりちゃんになら話してもいいかなー…」

咏「今からいきなりわけわかんねー話するから独り言だと思って寝ててくれていいんだけどー」

咏「私自分のことあんまり好きじゃないんだー」

咏「自分の名前とか性格とかは今でもあんまり好きじゃない、まあ昔よりはマシなんだけどねー」

咏「特に性格はこんなだからさー基本的に友達とかできないよねー彼氏とかはなおさらだしー」

咏「えりちゃんだって私と組んでどう思った?なんでこんな人と…とか思ったんじゃない?」

えり「……」

咏「あ、別に責めてるわけじゃないよー?気にしないで。誰だって今までそう思ってたと思うし、私もそう思われるのに慣れてたし」

咏「まあそんな嫌味でテキトーな性格でもそれなりに頭は良かったみたいでさー特に麻雀の才能は飛びぬけてたみたいでさー」

咏「でもそれでさらにやっかみを買うわけだよねーホント世の中って世知辛いんだよねーまあ私が悪いんだけど」ヘラヘラ

えり「……えと…」

咏「そうやって、今まで生きてきたんだ。友達も恋人もそんなもの知らないよ。麻雀だけが私の頼りだよ」

咏「まあ、そんな得意な麻雀でも化け物はいて、小鍛治プロにはぼっこぼこにされたなあ…アラフォーアラフォー言ってるけどあれは正真正銘の化け物だぜ」

咏「話がそれたねーまあとにかく、私は私を頼りにして生きてきたんだよーだから、努力だってそれなりにはしてきたつもりだよー」

咏「その代わり他のものをいろいろ犠牲にしてきた気がする。麻雀に関係するもの以外、ほとんど切り捨ててきた気がするなーま、代償ってやつだ」

えり「……そんな…そんなのって…」

咏「同情はいらんし。というか、えりちゃんに関係なくねー?少なくとも私が選んできた道だしねー」

えり「……」

咏「…って思って生きてきたつもりだったんだ…」

えり「え?」

咏「少なくとも須賀君と…えりちゃんと出会うまでは…」

咏「自分の力で生きたくて…麻雀でいち早くプロになって活躍して、自分の力で生きていけるようになって…」

咏「自分のやりたいことがようやく叶ったとずっと思ってたよ…」

咏「でも…違ったんだよねー」

咏「私は自分の力を他人に認めさせたかったわけじゃない…」

咏「たぶん……私の麻雀の才能も嫌な性格とかも名前も趣味も他の部分も全部ひっくるめて認めてほしかったんだ」

咏「そんな、自分のことを自分として受け入れてくれる存在がほしかったんだよね」ボロボロ

咏「だから……嬉しくて…自分が自分でいていいんだってそう言ってくれてるみたいで…嬉しかったんだ…」ボロボロ

えり「咏ちゃん……」

咏「きっと…一人暮らしにこんなに広い部屋やお風呂ににしたのだって、たぶん誰か友達とかを誘いたかったのかも…」

咏「寝ないで聞いてくれてありがとね…こんなしょーもない話をさー」ゴシゴシ

えり「いえ…話してくれてありがとう、咏ちゃん…やっとあなたのこと理解できたような気がするわ…」

咏「い、いやいやーそんな大げさだよー」

えり「大げさじゃないよ。話すのにも勇気がいったんでしょ?嬉しかったよ。だから、無理しなくていいのよ?」

咏「う…」

えり「私以外誰も聞いてないから、ね?」

咏「えり、ちゃん……う…う…うわあああああああああああああん」
      ・
      ・
      ・
      ・
      ・
えり「ちょっと落ち着いた?」

咏「うん…すげーすっきりしたわー…なんか24年分まとめて風呂に入ったような気分かなー」

えり「何その例え…でもものすごくすっきりしたんだなってのは伝わったわ」

咏「あははー。でも本当にありがとねーこんなにどうすればいいかわっかんねーのは人生で初めてだって言ったけどさー」

咏「こんなに…こんなに人生で嬉しかったのも人生で初めてだよー知らんけど」

えり「また知らんけどとか言って…そういうのは仕事の時だけにしてくれるかしら?ってなんかそれはおかしいわね」クスッ

咏「これはもう口癖で、特に意味はないんだよねー知らんけど」アハハ

えり「また…もう慣れたから、いいんだけどね。知らないけれど」アハハ

咏「ねえ…これからも私の友達でいてくれるかいーなんかこんなこと聞くもんじゃない気はするんだけどさ~」

えり「そうね…友達は、ちょっと嫌かな…」

咏「え!?」ガーン

えり「どうせなら、親友、とかがいいかな…せっかくこれからも一緒に仕事するんだし…」ボソボソ

咏「ふ~ん…嬉しいこと言ってくれるねえ~ホントえりちゃんはたまに熱くなるっていうか、青臭くなるっていうか…」ニヤニヤ

えり「もう咏ちゃんのいじりにはだいぶ慣れたわ。…さすがにちょっと恥ずかしいけどね//」

咏「つまんないな~でも…えへへ…親友かー嬉しいなーえへへー」

えり「…これで須賀君もゲットできれば、親友と恋人の同時ゲットですね」

咏「確かにーこれは私のこれまで欲しかった人生を取り返すチャンスだよねーちょっと頑張ってみようかな!」

えり「とりあえず、まずデートね。約束を取り付けたら、またいろいろ話し合えばいいわ。最後まで付き合うからね」

咏「うん。分かった。かなり遅くなったね、もう寝ようかー」

えり「ええ、それがいいわね。おやすみ、咏ちゃん」

咏「おやすみ、えりちゃんー」


咏「ありがとう、私の初めてのホントのともだち…」ボソッ