8月24日

今日は宥さんの誕生日

なので部室でパーティーをやった

宥さんの好きそうな物ということで真夏に鍋を用意した

真夏の我慢大会みたいな状況になったが宥さんがすごく喜んでくれたので良しとしよう

その後はみんなでプレゼントを渡した

穏乃はニット帽、憧は耳当て、灼さんは手袋、玄さんは手編みのセーター、赤土先生は着る毛布を渡していた

宥さんは喜んでその場で全て見に付けていた。すごく……モコモコだった……

俺は新しい眼鏡ケースをプレゼントした

宥さんのプレゼント=あったかいものらしいので、みんな驚いていた

宥さんも少しびっくりしていたが、その場で笑顔で受け取ってくれた

夜に宥さんからメールがあり、早速眼鏡ケースを使っていると眼鏡をしまった写メを送ってくれた

同時に玄さんから宥さんが着る毛布から離れないとメールがあったのは、まぁ予想の範囲内だった

そして着る毛布の中で眼鏡掛けている宥さんの写メありがとうございました

晴絵「やったなぁ、我慢大会……じゃなくて宥の誕生会」

憧「真夏に鍋って時点で我慢大会みたいなもんでしょ」

穏乃「でも美味しかったからいいじゃん」

灼「『せめて美味しい鍋を』って京太郎頑張ってたし」

玄「でも良かったねお姉ちゃん。あったかいもの以外のプレゼントがもらえて」

宥「うん……人からもらうものはあったかいものばっかりだから……嬉しかったなぁ」

玄「でも部屋でずっと着る毛布にくるまってるのはそろそろ減らさない?」

晴絵「宥へのプレゼントはアレしかないと思ったけど、ベストチョイスすぎたか」








8月●☆日

今日……というか昨日の話だ

ちょっとした賭けに負けて穏乃に1日付き合うことになった

穏乃は迷わず『一緒に山に行こう!』というので一緒に山を駆けずり回った

俺も体を動かすのは嫌いじゃないし、穏乃も楽しそうだったのでそのまま夢中だった

が、気付いたらかなり遠くまで来ていた

辛うじて電波が届いた携帯で確認すると和歌山の南の方の熊野とかいうところまで来ていたようだった

慌てて戻ったが流石に無理がある

山を下り、家に連絡を入れ、適当なところで1泊することになった

穏乃も流石に落ち込んでいたが、俺も同罪だし、何より楽しかったというと少し明るくなった

翌朝、ショートカットということで山を突っ切って行こうとすると、途中で穏乃が足をくじいてしまった

仕方ないので俺が穏乃を背負い、穏乃の案内で山を突っ切ることになった

初めは穏乃は背中で暴れていたが、『女の子なんだから無理するな』と言うと諦めたのか大人しくなった

結局朝帰りになってしまい、穏乃の家の人にはやたら笑顔で迎えられた

疲れたし、今日は早めに寝よう

晴絵「朝帰りとはやるねぇー」

憧「どっちかってーと山帰りって言う方が合うと思うわよ」

穏乃「うぅ……だって京太郎と一緒だと思ってついはしゃいじゃって……それに帰りも……」

玄「おや?顔が真っ赤で……シズちゃんまさか」

灼「女の子扱いとおんぶで堕ちた……と」

穏乃「そ、そんなじゃなくて!……その、京太郎の背中、おっきいなぁって……」

宥「自覚しちゃったんだね」







8月◇◎日

夏休み最終日……だと思っていたんだ

だが気付いたら1週間ほど前に戻っている

俺は疑問を感じながらもその1週間を全力で遊んだ

そして最終日……だと思ったらまた戻っている

また遊び、また戻る。遊び戻る遊び戻るの繰り返し……終わらない夏休み……

そう、俺達の夏休みは終わらないんだ!!

そして明日から始まる何度目かの1週間で、この鞄のそこに眠っていた問題集も終わらせるんだ……

憧「あぁ……何事かと思ったらそういうこと……」

灼「一部の宿題の存在自体を忘れていたって……」

晴絵「『宿題の存在を忘れてました』とかふざけたこと言ってたのはこういうことか」

玄「京太郎くん……」

穏乃「気持ちはすっごく分かるけど……」

宥「分かっちゃだめだよ?これは」







9月×日

今日から2学期

なんとか宿題を片付けて登校すると、色々な人に話しかけられた

やはりみんながインハイで頑張った影響は大きかったんだろう

穏乃に憧、玄さんや灼さんも色んな人に囲まれていた

そして宥さんは揉みくちゃにされていた。混ざりたかった

それからは体育館での始業式やら表彰やら、テンプレと言っていいような行事だった

何故か俺はすれ違う男子から『爆発しろ!』『もげろ!』と言われて叩かれたり蹴られたりした

解せぬ。そう言われるほどいい目に合ってないはずだ

そして放課後、部室で今後のことを話した

と言っても大きな変化は宥さんくらいだ

宥さんは引退という形にはなるが、受験勉強の息抜き程度で顔を出してくれるらしい

何より宥さん自身も来たがっていたし

赤土先生はプロになるために本格的に動いているらしく、来年にはどこかのチームに所属できるらしい

とりあえず今年いっぱいは教師として勤めるとか

あまり変わりそうには無い。でも、確実に変わっていくんだろうな

そう思ったら少ししんみりしてしまったので、みんなで楽しく打って、ラーメンを食べに行った

まぁ、変わっていってもこうやって楽しくやれそうだし、なんとかなるだろう

宥「……ちょっと寂しいな」

玄「お姉ちゃん……」

憧「そっか、宥姉は京太郎と会ったのも今年からみたいなもんだから……」

宥「うん……でも、京太郎くんの言う通り、これからも楽しくやれそうだから、大丈夫」

穏乃「ですね、それは変わりません」

灼「ん、変えるつもりもない」

晴絵「その気持ちがあるなら大丈夫よ、みんな」

穏乃「はい!赤土先生もプロで頑張ってください!」

晴絵「まかしとけ!あ、小鍛治プロと対戦する時以外ね」

憧「ハルエ……それはないわー」








9月○日

今日はずっと眠かった

昨日日記書いてから、ついつい和とのネト麻に熱中してしまった

のどっちやべぇ、ありゃ運営の用意したCPUとか言われるわ

ネト麻もだが、チャットでも結構長時間話してしまった

麻雀のこと、長野のこと、阿知賀のこと、話題は尽きない

和は色々あったらしいが、これからも長野の清澄にいるから、今度また会おうと約束した

しかし話してても麻雀してても楽しいから時間を忘れてしまう

おかげで赤土先生には授業中に叱られるわ、部活でもみんなに叱られた

今日は早く寝よう

晴絵「あぁ、いきなり堂々と寝てた日があったわね」

憧「全く、部活中も居眠りしようとするんだから」

穏乃「和と遊んでるから、っていうからなんか複雑」

玄「ネット越しのおもち……流石に……いやでも……」

灼「玄、ちょっと無理があるから」

宥「和ちゃんが独占してるみたいだしね」

晴絵(結局は和への嫉妬なのよねー)








9月△日

今日はちょっとしたドッキリを仕掛けられた

ちょっと用事で部活に行くと、かなり険悪な雰囲気だった

赤土先生に聞くと、冗談で今日のトップに景品を出すと言ったかららしい

その景品が俺とか言うと、こんなことになってたとか

なんというか、えらいことだった

憧は舌打ちするわ穏乃はいつぞや山で熊に遭遇した時みたいな表情だわ

玄さんは目からハイライト消えてるわ灼さんは完全に見下すような視線だわ

何が起きてるんだと困惑してると、まさかの全員+-0という結果で終わった

最初は席順でとか言い出していたが、もう1局打って決める、と決まりかけた時、宥さんが来た

宥さんならこの状況をなんとかしてくれる!そう思っていたが

「じゃ、私がもらうね?」と普段のぽわぽわした雰囲気がどこかへ言ったようにさらっと言い切って俺の腕に抱き着いてきた

普段ならおもちの感触を全力で楽しむところだがその一言で憧が切れたからそんな余裕が無かった

「はぁ!?何言ってんの!?」という憧の言葉を皮切りに仲良いみんなでの修羅場

一体なんなんだ、どうなってるんだと困惑していたが、このままではヤバいと思い、思い切って大声で『やめろ!!』と叫んだ

一瞬、静かになったと思うと、『ドッキリ大成功!!』のプラカードを持った赤土先生がそこに居た

曰く、修羅場でこそ本性が出るとか、そういう番組を見てやってみたらしい

言いだしっぺは憧と憧の姉だとか

修羅場とか笑えんからマジで勘弁

なんか男らしかったとか褒められたけど、こんな状況じゃ嬉しくない

とりあえず昼飯奢りで手を打った

しかし俺を取り合っての修羅場とか、ありえない状況だったのになんで気付けなかった俺

晴絵「ありえなことじゃないからでしょうね」

憧「本人が無自覚だからよ」

灼「でも、この時に京太郎の好きな人が分かるかも、って期待もしてたけど」

玄「結局は京太郎くんがかっこよかっただけだったね」

宥「あの状況でああ言えるのはすごいよね」

穏乃「少し悪い気もしましたけど、京太郎はああいう奴ですし」









9月□日

休日、適当にふらついていたら憧に会った

ちょうど姉と買い物に来ていたらしい

少し話していると憧の姉、望さんも来た

望さんが来ると、憧がすぐに戻るからと離れた

望さんとあんまりゆっくり話したことなかったとか思っていると、望さんが悪戯を思いついたような表情で笑いながら

「ちょっと、憧にドッキリやらない?」そう言ってきた

ちょうどこの前のドッキリの話を聞いたらしく、仕返しをしようと言うことらしい

内容はただ憧を置いてどこかへ行くというシンプルなもの、ある程度したらネタバラシをするということで、俺はその話に乗った

俺と望さんは携帯の電源を切って、そのまま適当に移動した

移動しながらも、適当な店に入ったり、少し休憩したりとそのまま楽しんだ

それなりに時間が経ち、もうそろそろ憧に連絡を、と言うと、望さんは最後に行きたい場所があると言った

それで最後なら、と望さんに付いていったが、気のせいかだんだん人通りが減っていくような気がした

と言っても全く人が居なかった訳じゃない

なんというか、やけにカップルが多いような気がした

どこへ向かってるのかと思っていると、後ろから憧の声が聞こえた

望さんが「あーあ、惜しかったな」と言いながらも憧の方に歩いていき、ドッキリは終了した

結局どこへ行こうとしたのか望さんは教えてくれなかった

後で憧に聞いても、ドッキリに腹を立てたのか顔を赤くして知らないと言うだけだった

ドッキリは良かったが、どこへ行くつもりだったんだろう?

晴絵「望が残念そうにしてたのはこれかぁ」

玄「2人でデートできなかったからかな?」

灼「その気になればできると思うけど……」

宥「どこへ行こうとしてたんだろうね?」

穏乃「ねー憧ー。どこだったのー?」

憧「……さぁ、あたしも分かんないわ」

憧(ラブホに行こうとしてたとか、言えるわけないでしょ!!なんてとこへ連れ込もうとしてんのよ!!)

晴絵(ガチで狙おうとしたって言ってたしなぁ……)







9月●日

今日、晩成の岡崎初瀬さんと小走さんが部室に来た

なんでも小走さんが玄さんにリベンジのため練習を重ねて、そのために来たとか

曰く、「私は、再び王者になるべく変わったのさ」ドヤ顔でそういう小走さん、いや変わったのだからネオ小走さんとでも呼ぼう

そんな小走さんを前に、穏乃が悪意無く言った「え?あんまり変わってないように見えますよ?」

そりゃお前数ヶ月で見た目まで変わる訳ない、と言う前に玄さんが言った

「確かに……胸が2センチ成長してますね?」その言葉に驚く小走さん、てか数センチ単位まで見切れるの?

俺だってまだできないぞ?しかし玄さんは更に続ける

「それに以前はおもちがもっと自然な形だったのにその増量……寄せてあげるブラと見た!!」

「だが、しかし、まるで全然!この私を満足させるおもちには程遠いんですのだ!」

胸を張りドヤ顔で言い切る玄さん、そのまま色々暴露されたショックか落ち込む小走さん。ちょっと不憫だった

結局そのまま落ち込む小走さんを抱えて岡崎初瀬さんは帰って行った

おい、麻雀しろよ

玄「ふっ」ドヤァ

憧「なんでドヤ顔してんのよ」

穏乃「そんな変わってなかったと思っただけなのに」

晴絵「悪意無しでも人は傷つくから、気を付けなさいね」

宥「でも、本当に練習してたみたいなのにね」

灼「うん……にしても高3でも成長するのか……まだ希望はある……」







9月◇日

部室に行くと、机の上に古い麻雀雑誌が置いてあった

赤土先生以外来ていたが、誰のものかよく分からなかったので中身を見てみた

グラビア等も載っていたが、色々書き込みがあったり、古くなってて見れなくなったページもあった

途中、赤土先生そっくりのグラビアがあってみんな驚いていた

名前等のところが塗り潰されていて、本当に赤土先生か分からなかったが、赤土先生本人がすぐに来て、本人だと分かった

グラビアを見せた瞬間、赤土先生は黒歴史を正面から見てしまったような、そんなリアクションだった

どうも、昔撮ったもので、恥ずかしくて名前も塗りつぶしていたらしい

どうやら憧のお姉さん、望さんから送られてきていたらしい

「望あいつめええええええええ!!!」と叫んで赤土先生はどこかに行ってしまったので、俺達はじっくりと雑誌を読ませてもらった

10年前の雑誌だが、今も活躍している人の若い頃など、それなりに面白い情報も多かった

結局そのまま赤土先生が戻ってこなかったので、机の上に赤土先生のグラビアのページを開いたまま帰った

晴絵「ああああああああ……できれば抹消したい……」

灼「ハルちゃん、かっこよかったよ?」

穏乃「そうですよ!良かったと思いますよ?」

憧「出来はともかく、そんな後悔するなら撮らなきゃよかったじゃない」

晴絵「若さ故の過ちってやつよ……」

玄「本気で凹んでるねー」

宥「そういえば、あの雑誌って処分したっけ?」

晴絵「…………え?」








9月▽日

今日、今度の連休に合宿に行くことになった

なんでもインハイ以来、練習試合や合宿の申し込みが多かったらしい

それで、赤土先生でいくつか候補を絞って、俺達で決めることになった

穏乃は清澄と合宿したいと言っていたが、向こうも似たような状況で日が合わないとか

適当に候補の高校を見ていると、永水の名前が目に入った

そういえば、霞さん達は引退してるのか、と考えていると、玄さんが勢いよく手を挙げて

「永水!永水との合宿を希望するのです!!あのおもち強豪校との合宿は必ずや今後のためになると思うので是永水をお願いします!!」

ほぼ息継ぎ無しで言い切った玄さん。うん、みんなが玄さんの下心に気付いていた

まぁ、実際強豪だし、面識がない訳でもないので、永水に決定した

今回は俺は留守番ではなく、ちゃんと参加できるらしい

帰って永水との合宿が決まったと春に電話すると、みんなに伝えておく、と言っていた

みんな?永水のみんなだろうか?

どちらにしろ、楽しみだ

玄「くっ……連絡先をゲットできなかったのをこれほど後悔したのは初めてでした」

憧「テンション上げすぎ」

穏乃「鹿児島は2回目だったけど、永水の人達もすごかったですねー」

灼「うん……ホント……私の方が年上なのに……」

宥「気、気にしない方がいいよ?」

晴絵「アレはまぁ、色々と規格外よ」









9月■日

今日から永水との2泊3日の合宿だ

奈良から鹿児島まで移動し、更に移動して永水高校へ

女子校に入っていいものか多少躊躇ったりしたが、共学の話も出ているらしいので問題なかった

永水の顧問と、新部長らしい2年生の人に案内され、部室へ

部室には、レベル高めの女子達がいた。阿知賀もレベル高いと思ってたが、永水もレベルたけー

そう思っていると、いきなり誰かがぶつかってきた

慌てて踏ん張って転倒は避けたが、思いっきり誰かを抱き止めるような状態になった

誰だと思って腕の中を見ると、春だった

「京太郎、久しぶり」そう言う春。だけどいきなり抱き着いてくるのは何故だ、と思っていると

「私が教えました。海外の挨拶はこうだと」そう聞こえたと思ったら後ろからまた抱き着かれた

前後に柔らかい感触がすばら!!……まぁ、あまりみんなの前で長時間抱き着かれたままではいられないので、とりあえず2人に離れてもらった

抱き着いていたのは、春だけじゃなかった

「ふふっ、久しぶりですね、京太郎」そう言うのはプロであり有名人であり、様々な逸話を持つ、俺の親戚、戒能良子さんだった

「いい機会なので来ちゃった、をやってみました。ロマンでしょう」春も良子さんも無表情、ながらほんのりドヤ顔だった

ロマンだけどやめて、みんなビックリしてるから。でもありがとうございました

結構な時間を取ってしまったが、それから互いの自己紹介をして、特別コーチとして良子さんが来ている、ということを聞き、練習が始まった

何故か阿知賀のみんなからの当たりがきつかった気がしたが……何かしたかな?

玄「ううう羨ましいのです……永水の1年生だけでなく戒能プロのおもちまで堪能して……!!」

灼「そういう問題じゃない……それに、羨ましいのは京太郎?それとも、あの2人?」

玄「な!?」

穏乃「滝見さん、親戚だからってずっとくっついてそうな感じだったよね」

憧「戒能プロもよ。親戚だって、絶対わざとよね」

宥「良い人達だったけど、みんな京太郎くんのこと気にしてたよね」

晴絵「ま、あの中でただ1人の男子だったしね。仕方ないわよ」



良子「春?その荷物はなんですか?」

春「黒糖と着替えと黒糖と京太郎との昔のアルバムと黒糖」

良子「バイクに乗せませんし乗りませんよ?後、アルバムは見せてくださいね?」

春「断固拒否、一緒に阿知賀まで行くなら話は別」

良子「HAHAHA、ナンノコトヤラ。ちょっと年末にツーリングで奈良方面に行くかもしれないだけですよ?」

春「…………」

良子「…………」

春「譲らない……」

良子「ノーウェイノーウェイ……」



小蒔「2人とも、何をしているんでしょう?」

霞「さあねぇ……」

初美「諦めて年末大掃除した方がいいですよー」

巴「2人ともー、京太郎くんから送ってもらったお菓子でお茶にしませんかー?」








9月◎日

合宿2日目、今日は1日みっちり練習した

周りのレベルは高く、普段と違う相手ということでかなりいい練習になった

練習終了後、永水の現部長に近くにいい温泉があると聞き、阿知賀のみんなと永水の一部の人達、

と言っても春や小蒔さん達とだが、一緒に行くことになった

そこは知る人ぞ知る、という感じの温泉で、俺達の他に客はいないようだった

貸し切りかと思い、体を手早く洗って温泉に浸かっていると、誰か入って来た

何気なく振り返ると、憧が居た

一瞬、お互いに完全停止した

というか状況が理解できなかった。男湯だろ!?間違えてないよな!?とか、色々なことが頭をよぎった

が、すぐに憧に続いて春や穏乃達まで入ってきた

完全に訳が分からなかった。が、そこで憧が我に返ったのか、「なんで京太郎がいるの!?」と言ってきた

穏乃達は俺がいるということに驚いていたが、春が平然とした様子で「ここ、混浴」と言っていた

先に言えよそういう大事なこと!!そう言いたかったが、俺は憧が声を出した時点で後ろを向いていたので何も言えなかった

後で聞いたが、普段はほとんど女性しか来ない温泉らしい

無論すぐに上がろうとしたが、「ヘイヘイヘイステイステイ。オーケーオーケー、ノープロブレム」と良子さんに後ろから両肩を押さえられた

今思えば、当たってたな……柔らかいものが、布の感触も無く

「ほら、百数えるまでと言いますよね?」と言う良子さん。それ小学生とかそういうのだから

「ね、みなさんもすぐ出るのはちょっと駄目だと思いますよね?」そう良子さんが聞く

当然憧や灼さん辺りがすぐに駄目だと言うと思ったが、こんな時に限って誰も何も言わなかった

味方もツッコミもいない!?そう思っていると、春が隣に座って、腕を絡めてきた

「昔は一緒に入った……」そう言うけどそれほんと何年前だよ!?そう言いかけたが、春と逆側に憧が座ってきて、驚きで何も言えなかった

「……文句あんの?」と言われたけど、むしろ文句言われる側じゃねぇの俺

そんな状況に色々な意味で耐えきれず、両腕を振り払って立ち上がり、すぐに出ようと出入口の方を向いた

が、そこにはとんでもない光景が広がっていた

何故か俺の後ろだった場所で待機していたであろう阿知賀のみんな

それと、面白そうにそれを見守る永水のみんな……全員タオル1枚とか……今思い出しても最高でした

が、本格的にやばかったのですぐに走って出て、そのまま宿泊施設の自室まで1人で逃げた

今冷静になって考えても、なんだったあの状況は

俺死ぬんじゃね?ってくらい良い状況だったし

しかしおかげで今も顔合わせられねぇ

特に憧は……最初しっかり目合ってたし、タオル1枚あったとはいえ……

今夜、寝れるかな……

晴絵「アンタらあたしが色々打ち合わせとかやってる間に……」

穏乃「だ、大丈夫ですよ!?ほら、こう、アウトなことはやってないです!」

灼「やってたら京太郎が合うとだから」

憧「あぁぁ……思い出した……私、あの時半裸の京太郎に見惚れてたんだ……」

宥「うん……ちょっとドキッとしちゃったよね」

玄「流石に私でもそう思ったよ……私も憧ちゃんみたいに近くに行きたかったな……おもちも狙ってて、結局どっちも駄目だったし……」

灼「……二兎を追うものは一兎も得ず」









9月☆日

合宿最終日

最後は練習試合をした

俺や良子さん、赤土先生まで参加し、かなり盛り上がった

最後に宿泊施設で荷物をまとめ、みんなで集まって後は赤土先生が戻ってくるのを待ち、挨拶して帰るだけという状況だった

が、玄さんが「まだ帰れないですのだ」と言った

一体なんなのか聞くと「まだ!あのおもちに触れてない!!このまま帰るなんてできないのですのだ!!」そう言う玄さん、冷たい周りの視線

誰のおもちかは分かるし、気持ちは分からなくもないけど、流石に他校の人達だ。無理だ

みんなでそう言って玄さんを止めたが、逆効果だった「嫌だ……私は……おもちに触れたいぃぃぃ!!」そう言っていきなり宥さんの胸を揉みだした

その宥さんの反応とか、柔らかな胸が揉まれるとことか個人的にはじっくり眺めたかったけど、流石にそうはいかないので脳内にしっかり保存して、止めに入った

が、玄さんは素早く離れ、「おもち……狩りですのだぁぁぁ!!」そう言って憧の胸を揉みだした

普段強気な憧がいきなり胸を揉まれてちょっと恥ずかしがってたり、弱弱しく抵抗してたりかなりグッときたが、またそうはいかない、以下略

しかし暴走したような玄さんは止まらなかった

そのまま外に出ようとしたが、穏乃がそこをブロックした。そのまま玄さんの両手は穏乃の胸に伸びたが

「おもち狩り……おもち……おもち?」玄さんの気持ちは分かる。が、それは駄目だ

後ろから勢いよく灼さんに叩かれ、穏乃と憧に両手両足を掴まれ、玄さんは止まった

「玄……そんなにおもちが好きなら……あんたのおもち揉んであげるわよ!!」その憧の声で、灼さんが勢いよく玄さんの胸を揉みだした

玄さんも抵抗していたが、その抵抗も虚しく、玄さんはされるがままの状態に。宥さんも助け船を出す気はないようだった

ある意味珍しい状況だと思ってゆっくりと見ていると、赤土先生が部屋に戻ってきた

「準備終わってる?お、面白いことしてんじゃん。よし、京太郎も行ってみよー!なんてね」そう言って俺の背中を叩く赤土先生

それは、完全な不意打ちだった

背中を叩かれて驚いた俺はバランスを崩し、玄さんの方へと倒れた

それに気づいたのか穏乃と憧、灼さんはすぐにどいたが玄さんは間に合わなかった

俺は玄さん慌てて手を出したが、それはどういうことか、がっつり玄さんのおもちを掴むような形になってしまった

おもち狩り返し……そんな言葉が頭に浮かんだが、まさにその通りだった

慌ててどいたが、玄さんは真っ赤になり、すっかり大人しくなってしまった

そのまま永水の人達とあいさつをして阿知賀へ帰ったが、玄さんはその日おもちおもち言うことは無かった

まぁ、ある意味自業自得か?俺も憧と灼さんから叩かれたけど

でも、柔らかかったな……

玄「うああああああ……こ、これはそのあのえっと……」

憧「自業自得よ……ってか何私が揉まれてるとこまで書いてんのよ!」

宥「わ、私のも……うぅ……」

灼「同情の余地無し」

穏乃「です。無い訳じゃ、ない!」

晴絵「若いねー、ってか合宿最後に何やってんだか」








9月★日

部室に行くと、玄さんが1人で居た

どこかぼーっとしているようなので、どうしたのか聞くと、おもちについて考えていたらしい

曰く、永水の人達のおもちは素晴らしいし、触れることすら叶わなかったのをマジで後悔しているらしい

それに比べて、自分のおもちが全然だめだと考えていたらしい

それは違う!!

それだけは声を大にして言った

玄さんの胸は全然だめじゃないどころか素晴らしいものだ

確かに大きさでは永水の人達に劣るかもしれないが、それに負けない形の良さ、柔らかそうな感じがある

決して卑下するようなものじゃない

それからしばらく、玄さんのおもちに対する熱い想いを玄さんにぶつけた

あなたの胸は素晴らしい

それを伝えたい一心だった

気付くと玄さんは真っ赤になっていて、「えと、あ、ありがとう」そう言って走って行ってしまった

それと入れ違いに、憧と宥さんが入ってきた

「アンタ、玄を口説いてたの?」入って来るや否や、いきなり憧にそう言われた

玄さんのおもちがいかに素晴らしいかを語っていただけだと言うと、呆れたように溜息をつかれた

玄さん、自分のおもちにの素晴らしさを分かってくれただろうか

また、おもちについて話したいものだ

宥「なんか、『あなたは素晴らしい』とか聞こえたから待ってた日だよね」

憧「そーね。情熱的に口説いてる以外に聞こえなかったわ」

玄「そそそんな……や、でも嬉しかったし……」

穏乃「京太郎、わざとやってるのかな?」

灼「アレはまた別の天然だとおも……」

晴絵「タチ悪いわねー。アレで高校生だし、将来どうなるやら」







10月×日

今日は文化祭、うちのクラスはメイド喫茶だった

が、何故か俺を含む何人かの男子は執事の恰好をさせられた

裏方で良かったんが、女子の妙な結束には逆らえなかった

試しにハギヨシさんの真似をして憧に執事っぽく振る舞ってみたら、すごく周りに驚かれた

憧は恥ずかしいのか真っ赤だった。ま、いきなりお嬢様呼びはないか

思ったより様になってたのか、そのまま接客することになった

俺なんかハギヨシさんの足元にも及ばないのになー

開始してしばらく、別のクラスの知り合いが冗談半分で俺を指名してきた

が、何故かそこから俺への指名が途切れなかった

途中、灼さんや玄さんに宥さん、晩成の小走さんや初瀬さんまで来たのは驚いた

休憩時間、宣伝のために執事服のままで、という訳で執事服のままふらついたが、

何と勘違いされたのか、色々な人に一緒に写真を撮ってくれ、と頼まれた

執事服、結構良くできてたからかな、写真を撮った人は後でクラスの方にも来てくれた

色々な人に呼び止められたりが多くて、結局はあんまり回れなかった

まぁ、それなりに楽しめたし、みんな喜んでくれたからいいか

ただ、終わり間際にどこから聞いたのか、良子さんと瑞原プロが来たのはマジで驚いた

驚きつつも、ちゃんと接客したが、2人ともオフで回りにばれないようにしているのか、普段とちょっと違う感じだった

違和感はあったが、周りに騒がれるよりはいいか

そんな感じで、1日執事服のまま、俺の文化祭は終わった

そういえば終わってから着替えの時、男友達に面白いからと着崩した執事服の写真を撮ったりしたな

適当に眼鏡借りたり、どっかの黒い執事っぽくしてみたりした写真も撮ったが、ちゃんと持ってくるかな?

晴絵「文化祭かー、京太郎の執事はすごかったよなー」

穏乃「いきなり憧をお嬢様って呼んだのはびっくりでしたけど、そこからもうまさに執事!って感じで」

憧「あーアレはやばかったわ。ちょっとああいうとこに通う人の気持ちが分かりかけたわ」

玄「最後は京太郎君だけ指名時間短かったよね」

灼「すっごく並んでたし、当然だと思う……」

宥「淹れてくれた紅茶、あったかかったなぁ……」

晴絵「でもさー、戒能プロや瑞原プロが来たのも驚きだけど、文化祭後に出回った写真もびっくりじゃない?」

玄「アレはこうやって撮ってたんですねー。誰がどうやって撮ったんだ、ってちょっとクラスで話題になってましたよ」

憧「てか晴絵も写真持ってんの?」

晴絵「いやいや流石に。生徒が授業中見てたからさ」

穏乃「すごいのありましたよね。なんか、着替え中のとか」

憧「え、眼鏡のとかは知ってるけどそれ知らないわよ?」

宥「私が見たのは口で手袋外してるとこだけど」

灼「私の壁ドンっぽいの」

玄「何種類あるんだろうねー」

穏乃憧玄灼宥(どれも欲しいけど!!)







10月○日

今日はみんな用があったらしく、部室に来たのは俺と宥さんだけだった

なので、ネト麻で俺が宥さんに教わる形になった

受験勉強もあるのに、わざわざ来てくれるのは本当にありがたい

ちょうど2人なので、勉強の邪魔にならないかと聞くと「ちゃんと勉強はしてるし、いい息抜きだよ」と宥さんは言ってくれた

帰り道、思ったより遅くなってしまったので、宥さんを送っていった

が、途中、宥さんが足を滑らせ、捻ってしまった

そのまま歩かせる訳にもいかないので、おぶって行くことに

背中におもちが!!厚着の下からでも主張を隠せないおもちが!!

しかし状況が状況だったのでクールに。クールに背中の感触に集中した

宥さんは恥ずかしいからか、黙ってしまった

そのままなんとなくお互い黙ったままでいると、宥さんがポツリと話し出した

本当は、もっとみんなと居たかった、

昔から一緒に麻雀をやりたかったが、1人年上だから参加できなくて、

阿知賀で麻雀部に参加したのは本当にうれしかった、らしい

でも、引退して、今みたいに一緒に居られるのが減っていくのが、本当はすごく嫌、そう宥さんは言った

気持ちは、分からなくはない。別れは寂しいし、宥さんの場合自分1人だけ離れるような形だ

でも、大丈夫。そう言って俺は片方の手で宥さんの手を握った

宥さんは卒業して、今まで以上に一緒にいる時間は減るかもしれないけど、一緒に居られなくなる訳じゃない

むしろ、俺達の方が寂しくて宥さんの方に行くかもしれない

何より、俺達みんな宥さんのことが好きだから、一緒に居たい。そう思っているから、大丈夫

なんか自分で言っててイマイチな感じだったけど、宥さんにそう言った

宥さんは、小さく笑ってくれて、「ありがとう、京太郎くん……あったかいよ」そう言ってくれた

そのまま宥さんを送り、俺も帰った

宥さん、結構寂しがり屋なんだな

今度から、ちょいちょいメールでもしよう

玄「お姉ちゃんが携帯弄るの増えたと思ったらこういうことだったんだ」

灼「言ってることは良いことだけど、なんか弱いというか……」

憧「ま、宥姉を安心させようと必死って感じで、京太郎らしいわ」

宥「うん……京太郎くんといると安心する……ずっと居たいって、思ったのもこの時からかな」

穏乃「それって宥さん……」

宥「ふふ、好きって言ってくれたのは、ドキッとしたけど、みんな、っていうのが少し残念……なんてね」クスッ

晴絵「宥が本気になったってことね。こりゃ一番の強敵じゃない?」








10月4日

今日は和の誕生日、とメールでこの前聞いていたので、みんなでこの日に着くように合わせてプレゼントを送った

俺は和が持っていたエトペンってぬいぐるみをモチーフにした手編みのマフラーにした

ちょうど家に帰り着いた時、和もその時にプレゼントが届いたのか、わざわざ電話でお礼を言ってくれた

嬉しそうで何よりだ

電話越しだったが、誕生日を祝えてよかった

そーいえば、みんなは何を送ったんだろう?

憧や穏乃はいいもの、としか言わなかったけど

まぁ、あの2人に限って変なものは送ってないだろう

穏乃「その通り!良いものを送っただけだよね!」

憧「そうね。和も大喜びだったわよ」

玄「何を送ったの?」

穏乃「文化祭の時の京太郎の執事服の写真!!」

憧「焼き増しした甲斐があったわ」

宥「い、いいのかなぁ?」

灼「まぁ、本人が喜んだならいいと思うけど」

晴絵「あの写真、とんでもないとこまで広まってたりしないわよね?」









10月△日

今日は灼さんのところでボウリング大会があった

常連さんから飛び入り参加まで、最近お客さんが増えているのもあって、参加者は結構いた

俺達阿知賀麻雀部も参加することになっていた

残念ながら灼さんは大会運営で参加できなかった

大会は特にトラブルもなく、スムーズに終わった

せめて片付けくらい手伝おう、ということでみんなで手分けして手伝った

俺は主に灼さんの指示での力仕事がメインに。まぁ当然だろうけど

片付けながら、ふと思ったことを灼さんに言ってみた

灼さん、今日も大会をしっかり仕切ったり人をまとめたり、何気にすごい

灼さんは驚いて、すぐにそんな大したことじゃない、と言っていたが、充分大したことだ

インハイの時だって、部長としてしっかりみんなをまとめていたし、灼さんは灼さんが思っている以上にすごい人だ

そう言うと、「……それを京太郎が言うの?」と何故か少し怒ったように言われた

訳が分からない。そう思っているのが伝わったのか、灼さんは俺の服の首元を掴み、俺の顔を自分に寄せて言った

自己評価が低いのは俺の方で、みんな俺に助けてもらっている。自分だってそう思っているし、もっとその辺りを自覚しろ

そんな感じのことを言われた

後、無自覚で色々やらかすのはやめろだの、不意打ちみたいなスキンシップがどうのと色々言われた

後半は見に覚えがないので聞き流したが、今のこの体勢はどうなんだろうか

そう言うと慌てて灼さんは離れた

「とにかく!私も、みんなも京太郎が好きだってこと!!」そう言った後、灼さんはハッとしたような顔をして、どこかへ走っていってしまった

まぁ、言い方はアレだが、嫌われてないのはありがたいな

これからも仲良くしていきたいし

しかし、後半言われたことがマジで分からん

なんかやったっけ?

灼「あー……これ京太郎につい言っちゃった時の……」

晴絵「ま、分からなくもないわ。妙なとこで自己評価低いし」

憧「それで大したことない、だもんねー」

玄「にしても顔を寄せる、なんて無理矢理キスするみたいな体制?」

灼「……あぁぁぁぁぁ……やけに顔近くてドキドキしたと思ったらそういう……」

宥「無自覚だったんだ……」

穏乃「京太郎も無自覚だし?平等ってことじゃないですか?」

灼「言い終わってから自覚した……あんな言い方で自覚するとか……」

憧「あー、落ち込んじゃって。まぁ言ってることは正しいと思うわよ?」







10月□日

今日、遂に阿知賀生徒用非公式掲示板『おもち同盟』のメンバーが100人を突破した

長かったぜ……ここまでくるのは……

玄さんとこっそり企画し、玄さんと共におもちのすばらしさを語り続けた……

男子はおそらく全員参加してくれただろうが、阿知賀は元女子校、つまり残りのメンバーは全て女子

こんなたくさんの女子達もおもちの素晴らしさを知ってくれるなんて……

おもち好きに男女関係ないな!!

そう、必要なのはおもちへの愛だ!!

今夜はこれから徹夜でおもちへの愛を語り明かすぜ!!

玄「私も思い出すよ……あの苦労の日々……あの時の達成感……まさに、おもちへの愛だね!!」

憧「何やってんのよアンタら」

晴絵「てか100人って何気にすごいわね」

穏乃「えっと、阿知賀にあと90人近く玄さんみたいな人がいるってことですか?」

灼「や、流石にそれは無いとおも……」

宥「ど、どうだろうねー……そういえば揉みくちゃにされたとき、胸触られた気が……」

憧「宥姉、もっと警戒して。割とマジで」





10月●日

今日は休日、部活も休みだが玄さんと灼さんは修学旅行へ、他のみんなも用事とのこと

なので、奈良に引っ越したけど行ってなかった場所、奈良公園に行ってみた

うん、マジで鹿が公園内を闊歩してるのな

時期が時期なせいもあり、見知らぬ制服を着た学生たちが多かった

鹿せんべいでも買おうかと考えていると、目の前に涙目で鹿に囲まれている女の子と、それを爆笑しながら見ている女の子がいた

ちょっと放置しておくのもアレだったので、近くで鹿せんべいを買って、鹿の注意を引きつけて鹿から女の子を助けた

「あ、ありがとうございます……怖かったです……」という囲まれていた小さめの子と

「あっはっはっはっは!!いやマジ面白かったわ。動画撮りたいからもっかいやってくんね?」まだ笑ってるもう1人の子

2人の制服に見覚えがあった。インハイに出ていた有珠山高校だった。由暉子のおもちは忘れない

「へ?ユキの知り合い?マジ?」「そんなご縁が……素敵です」まさかと思って由暉子のことを話すと、

2人とも由暉子の知り合い……というか同じ麻雀部らしい。世間って狭いなオイ

もう少し話がしたかったが、残念ながら時間が無いとのことで、明日また会うことになった

そのために2人と連絡先を交換してから分かれた

しかし初対面と思ったら共通の知り合いがいるとはびっくりだ

憧「また女の子と知り合ったわよ……」

玄「有珠山……確かに1人だけずば抜けたおもちの持ち主はいましたが、それ以外は……」

灼「ブレないね」

有「玄ちゃんだし……でも奈良公園か。行ってないなぁ」

穏乃「また行きたくなりますね。鹿と競争したり」

晴絵「いや、やっちゃダメよ?」








10月◇日

今日は昨日の約束通り、有珠山の2人に会いに行った

2人は自由行動だったらしいが、1日くらい適当でいいという揺杏さん。それに引っ張られたらしき成香さんが少し可哀想な気もした

まぁ、とりあえず適当な店でゆっくり話すことになったが、由暉子の服について予想以上に盛り上がった

あの服は揺杏さんが作っているらしく、服について褒めると大いに喜んでくれた

そりゃあんなおもちが強調されたすばらな服、褒めるしかない

男目線の意見も欲しい、ということで最近の由暉子の写真を見せてもらいながら、いかにして魅力を引き出すか熱く語り合った

あの胸は活かすべき、この1点にお互い同意できたことが何より嬉しかった

揺杏さんは俺の意見がすごく新しい服のアイディアになりそうだと喜んでくれていた

成香さんともちょいちょい話し、楽しそうにしていたようだった

そうやってすぐに時間は過ぎてしまった

由暉子の写真を必ず送るという約束の下、俺達は別れた

改めて思う。いい出会いだった、おもちってすばらしい

玄「おもちって…ムガモゴ」

憧「はいそこまで」

灼「何度も言わなくていいから」

晴絵「見事な連携プレーね」

憧「全然嬉しくないわ」

穏乃「でも写真かぁ……どんな写真だろ」

宥「北海道だし、あったかい恰好とか?」



爽「いいよいいよー、かわいいよー」パシャパシャ

揺杏「もっとギリギリまで攻めようか!こう、きわどいポーズとって!!」

由暉子「きわどいの……こうですか?」

成香「わ、わぁ……」

誓子「それアウトだよね?ねぇ、爽その写真どうする気?あ、コラ逃げるな!!」










10月▽日

今日は男子個人戦だった

今回も他のみんなは個人戦に出なかった

今回は全力で俺のサポートに回る、と言ってくれ、試合前もわざわざ全員で応援に来てくれた

嬉しかったし、負けたくなかった……

午前中は勝ち抜き、午後の初戦の卓に座ったところは覚えているが


「狂気の沙汰ほど面白い……」

「さて……打(ぶ)つか」

「……御無礼」


この3人の一言を聞いて、気が付けば俺は横になっていたいて、心配そうな顔をしたみんなが見ていた

どうやら俺は負けたようだったが記憶が全くない

みんなが言うには、かなりギリギリの接戦だったらしいが、最後の最後にギリギリで負け、その直後に倒れたらしい

相手がとんでもない実力の持ち主だったんだろうけど、負けたか……

悔しいな……今回はみんなが居てくれたのに、前よりも勝てなかったなんて……

次は、次こそは勝ってやる!!

穏乃「試合、残念だったね」

憧「対戦相手の3人、その後もめちゃくちゃ勝ってたじゃない」

灼「むしろ1番苦戦してたのが京太郎の時っぽい……

宥「京太郎くんも頑張ってたのにね」

玄「勝って欲しかったね……こんな時こそおもちで抱きしめてあげれば元気が」

晴絵「玄はそこまでね。ま、アレは相手が悪かったって私でも思うわ。でも、あいつはそれで諦めるような奴じゃないでしょ?」

穏乃「はい。京太郎、次はみんなで全国に行こうね!!」







10月■日

今日はちょっと大変な目にあった

体育の授業後、憧と体育倉庫に道具を片付けていると閉じ込められた

結構奥に居たせいでか、気付かれなかったようだった

内側から開ける手段も無く、そのうち運動部や異変に気付いた誰かが開けに来るだろう、と憧と話し、慌てずそのまま待つことに

しかし季節は秋。動いて汗をかいた後、冷える

それは憧も同じだったようで、寒そうにしていた。なので着ていたジャージの上を脱ぎ、憧に掛けてやった

女の子が体冷やすもんじゃないしな

憧は俺が脱ぐ時何か慌てていたが、上着を掛けた時、なんか安心したようなそうじゃないような、複雑そうな表情だった

それからしばらく経ったが、誰も来なかった

少し俺も冷えてきたと思っていた時、「ねぇ、寒いんでしょ?……こっち、来なさいよ」と憧が言った

体を寄せ合えば少しはマシになる、ということでの提案らしかった

憧相手とはいえ、流石にどうかと思ったが、結局は押し切られて憧の隣に寄りそうように座ることに

憧、いい匂いしたな……

しかしそれからもただ時間が過ぎるだけだった

このままどうするか、そう考えていた時、憧がいきなり俺に抱き着いてきた

当然驚いたが、憧はそのまま「……もし、誰も来なかったらどうしよっか」と上目づかいで言ってきた

ちょっとやばかった。腕に当たる胸とか、いい匂いとか、潤んだ目とか、とにかく色々やばかった

自然と俺の手が憧の肩に触れようとした、その瞬間だった

「憧ー!!京太郎ー!!いるー!?」外から穏乃の声が聞こえてきた

俺と憧は慌てて離れ、穏乃に返事をして、無事外に出られた

戻ってくるのが遅い俺達をみんなで探していたらしい

それにしても憧、どういうつもりだったんだ?

あのまま穏乃が来なかったら……あぁもう寝よう

穏乃「あの時こんなことしてたの!?」

憧「ち、違うわよ!?寒かっただけよ!?」

晴絵「あっためあうとか、まさにそのまま……」

灼「ハルちゃん、教師の発言じゃないとおも……」

宥「で、でも2人とも大丈夫だったの?寒いとこにずっと居たなんて…」

玄「大丈夫だよ。2人ともしっかりしてるし」

憧「そ、そーよ」

憧(ちょっと脱ぎだした時とか超びっくりしたし、あのまま誰も来ないで初めてが……とか考えたりはしたけど……)








10月27日

今日は咲の誕生日だった

なので今年はプレゼントにブックカバーを誕生日当日に着くよう送り、夜に電話した

咲は少し驚きながらも出た

俺が電話する前まで、照さんと電話で話していたらしい

このポンコツ姉妹はちゃんと仲直りして、仲良くやってるみたいで何よりだ

楽しそうに照さんとのことを話す咲。良かったな咲

それからは俺のことになった

こっちでも元気でやっていること、最近あったこと、大会で負けたこと、色々なことを話した

不意に咲が「……やっぱり、まだ慣れないな。京ちゃんがいないの」と呟いた

まぁ、長い付き合いだしな

俺もやっぱ少し寂しいし、今度長野に帰るかな

そう言うと咲は嬉しそうに、あそこに行こうここに行こうと言っていた

お前迷子にならずにたどりつけるのかよ

ま、その時は長野にいるだろうし、探してやるかな

玄「むむむ、遠く離れてもちゃんとお祝いを送るとは」

晴絵「青春だねぇ。遠距離恋愛みたいだねー」

憧「え、遠距離とかそんなんじゃないでしょ!?」

穏乃「そうですよ!ただの幼馴染って言ってましたよ!?」

灼「……よくよく考えたら穏乃と憧と玄もそういうものじゃないの?」

宥「一緒にいた時間の長さじゃないかな?」



咲「うーん……ここ、いや……」

まこ「珍しいな。雑誌なんぞ持ち込んで……ん?デートスポット特集?」

咲「はい。今度、京ちゃんが長野に来た時のために……いやでも麻雀は……」

まこ「青春しとるな。ま、無粋なことは言わん。他の奴らが来るまでは見とっていいぞ」

咲「は、はい」

まこ「しっかし咲に和に他の奴らもか……どんな奴なんじゃろうな、その須賀京太郎ってのは」








11月×日

今日は穏乃と玄さんと宥さんに今の時期美味しい山菜とキノコを聞き、山へ

比較的低く、人もいそうな山で穏乃と山菜&キノコ狩りに

慣れているのか穏乃はすごい速さで集めていった

俺も負けてられないと思い頑張ったが、中々上手く集まらない

ふと気付くと、穏乃と離れ、見知らぬ場所に来ていた

やべぇはぐれた。そう思いながらも冷静になり、穏乃を探した

しばらく歩いていると、不意に目の前の草むらがガサガサと不自然に揺れだした

まさか熊?と思い後ろにゆっくり下がりながら様子を見ていた

そして、草むらから出てきたのは……おばあさんだった

「おや?珍しいとこで人に会うねぇ」山菜片手にのんびりというおばあさん。こっちは必至だったのに

おばあさんに事情を話し、人が居そうなところまで送ってもらった

そこで穏乃とも会えたし、何かの縁だとおばあさんに山菜まで分けてもらえた

ありがとうおばあさん

別れ際に名前を聞いたが、熊倉トシというらしい

熊に出会ったといえば出会ったのか?

憧「アンタらは何危ないことしてんのよ」

穏乃「いいおばあさんだったよ!」

灼「そういう問題じゃないとおも……」

晴絵「熊倉さん、何やってんだか……」

宥「知り合いですか?」

晴絵「ま、ちょっとね。色々と動く人だしなぁ」

玄「?」








11月○日

今日、外を掃き掃除していて落ち葉がかなり多かったので、たき火をやることに

いざ火をつけようという時、赤土先生の焼き芋やりたくない?の一言で焼き芋に

しかし落ち葉で焼き芋は結構時間がかかる

なので、まずは普通にサツマイモを入れた後、それぞれで短時間で火が通って、おいしそうな食材を調達して一緒に焼いた

主にこの前のきのこだったが、ジャガイモやソーセージ、そして何故かチーズまであって、

チーズは別で溶かしてジャガイモやキノコと食べた

外でみんなで食うとなんであんなに美味いんだろうな

最後は先生たちも集まってきて、かなり大事になったが楽しかった

もちろん食べる前に写メを撮り、愛宕(貧)にしっかりと夜に送っておいた

たき火で焼いて、取り出すところから芋を割るところまでしっかりと順番に

たき火で焼き芋、やっぱ風情があっていいね

晴絵「アレは良かったわー。校長もノリノリだったしね」

憧「なんで先生たちまでノリ良かったのよ。一応お嬢様高校だったのに」

玄「まぁたき火で焼き芋って楽しいし?」

穏乃「テンション上がるじゃん!」

宥「あったかかったな……」

灼「今度またやる?」



洋榎「……たき火したい」

絹恵「いや無理やろ」

洋榎「いややー!ウチはたき火で焼き芋とかバーベキューがしたいんやー!!」

洋榎「それもこれも!たき火始めるとこから火消して芋取り出して中身割るとこまで丁寧に写メ送る京太郎が悪い!!」

絹恵「無駄にしっかりした写メやしなぁ……ちゅーか写メ見返してそういうやめへん?」

洋榎「わざわざ送ってくれたんやで?ちゃんと取っといてたまに見返さんと悪いやん」

絹恵「そういうとこあるから写メ送られるんやない?」








11月△日

今日は穏乃の家で栗きんとん作りを手伝った

最近お客さんが多いから人手が欲しかったらしい

しかし栗きんとんは作ったことが無かったので、作り方を教わりながら作った

とりあえず作って、ひとつ試食してもらった

が、食べた直後「……婿に来ない?ホラ、これも磨けば光ると思うし」との言葉を穏乃母からいただいた

穏乃が隣にいる前で。穏乃は慌てて栗を落とそうとしてた

いきなりすぎるし、隣に娘いるのに磨けば光るとかいいのか

とりあえず今日は手伝いということで冗談として流したが、目がマジだったよやべぇ

最初は少し手間取ったが、徐々に慣れていき、最後の方では迷惑かけることなく作れていた

終わった後、穏乃母からお礼として好きな方をどうぞ、とお金が入ったであろう封筒と穏乃を差し出された

娘の扱い雑だな。丁寧に封筒の方を頂いた

玄「あぁ、京太郎くんが作ってたからこの頃栗きんとんの味が違ったんだ」

宥「だね。少し違うけど、そっちも美味しかったよね」

憧「へー、違いとか出るんだ。で、何気に穏乃んとこは親までプッシュしてるのね」

晴絵「まぁ好条件だし、親としても安心なんでしょうねー」

灼「それでもいきなり婿入りって……」

穏乃「もう、余計なこと言わなくていいのに……」








11月□日

今日はとんでもないニュースがあった

ネットニュースだが、なんとすこやん熱愛報道が流れていた

しかも相手まで映った写真付きだったが……相手というのが、ハギヨシさんだった……

なにかの間違いだな

部室に行ってもその話で持ち切りで、相手のハギヨシさんが俺の知り合いだと言うと赤土先生が確認してくれた

結果、たまたまそういう写真を撮られただけで誤解らしい

ただ、赤土先生曰く、すごく、この上なく、心底残念そうにそう小鍛治プロは言ったらしい

帰ってから俺もハギヨシさんに連絡を取ると、既に対策済みらしい

まぁ、龍門渕が本気で動けば大体なんとかなるし、あのハギヨシさんだ。問題ないだろう

憧「アレは驚いたわよねー」

宥「うん、いろんなところがその話で持ち切りだったね」

晴絵「お前ら、あの後小鍛治プロを慰めよう、ってどんだけ大変だったか……」

灼「ハルちゃんお疲れ様」

穏乃「でも、あれから誤解だったってニュースで言ったっきり、すぐに無かったことになっちゃったよね」

玄「だねー。あんなに早く話が消えるなんて、不思議だよねー」









11月●日

今日は穏乃と憧が先生に呼ばれたので俺だけ先に部室に行った

部室に行くと玄さんしかいなかった

玄さんの方も色々あって先に来たらしい

しばらくは俺と玄さんだけみたいだったので、改めて阿知賀のおもち事情について話した

今あるおもちのことは当然で、憧の小学生の頃と今の成長率、宥さんのおもちの完成度と今後、

穏乃と灼さんの将来のおもち、時速何キロでおもちの感触を掴めるか、話題は尽きなかった

話している最中、ふと気になり玄さんのおもちを改めて見た

普段おもちおもちと言っているが、本人も相当のおもち

さらに顔だって可愛いし、性格も悪くない、旅館の娘で家事等も完璧にこなせる、

おもちに対して真剣、他人のおもちを見ても怒らないどころかむしろ聞いてくる

アレ?ある意味理想のタイプ?

でも理想のタイプが目の前なのにいつもの対応?理想が目の前にいたらもっと違う反応じゃね?

理想もっと違う?俺の誤解?いやいや、そういうもんなのか?

そんなことを色々考えていると、どうやら無言で玄さんを見つめていたみたいだった

そのせいで玄さんも急に黙ってしまった俺に対して驚いているようだった。心なしか顔も赤かった

どうしたのかと聞いてくる玄さん、それにほとんど無意識に「いや、理想のタイプが目の前にいるのになって」そう返してしまっていた

途端に玄さんは真っ赤になって、どこかへ走って行ってしまった

驚かせすぎたか、その日玄さんは戻ってこなかった

後でメールで色々誤解かもしれないと言っておこう

宥「玄ちゃんが真っ赤で走って帰って来た日はこんなだったんだ」

憧「色々途中にツッコミたい部分はあるけど…」

穏乃「成長率……将来……」ペタペタ

灼「……まだ成長する」ペタペタ

憧「で?理想のタイプ?」

玄「いやいやいや、あとでなんか誤解と勘違いとかメールきたし……うん、別にがっかりとかもしてないですのだ……」

晴絵「それ、めちゃくちゃ気にしてるって言ってるようなもんだから」








11月◇日

昼休み、なんとなく穏乃と憧と駄弁っていた時だった

ふと穏乃に、制服以外の私服でもスカートを穿かないのかと聞いてみた

穏乃は即、動きにくいと却下した

憧は呆れ顔でずっとこれだとぼやいていた

もったいない、スカート似合わない訳じゃないのに

穏乃はそれを聞いて照れたのか少し顔を赤くし、立ってわざわざ俺の前まで来て、「……そんなに、私に似合う?」と聞いてきた

その時だった

誰かが窓を開けたんだろう、教室内に突風が吹いた

ほとんどの生徒は座っていたり、そんなに風に当たらない位置に居たからか、特に影響はなかった

が、ちょうど風がダイレクトに当る位置に居て、立っていた穏乃はその突風の影響をもろに受けた

つまり、俺の目の前で盛大に穏乃のスカートが捲れ上がった

清潔感のある白で、ワンポイントに可愛らしいリボンがあり、はっきりくっきりと俺の目に焼き付いた

風はすぐに止み、スカートも元通りになった

そして俺は、右手の親指を立てながら「超似合うぜ」そう、爽やかな笑顔で穏乃に言った

次の瞬間、腰が入って捻りの効いたビンタを貰ったが、後悔はない

晴絵「いやー、見事な手形と思ったら穏乃だったか」

宥「放課後に会った時もはっきり残ってましたよね」

灼「まぁ、不可抗力だろうけど、気持ちは分からなくもない」

玄「でも、実際のところ穏乃ちゃんにスカート似合うと思うけどなぁ」

憧「ねー、もったいないわよねー。ということで、今度買いに行かない?」

穏乃「絶対やだ!!」








11月▽日

部室に行くと、机に突っ伏して灼さんが眠っていた

部長としての仕事の途中で寝落ちしたみたいだった

少し寒そうだったので、俺の上着を掛けて、仕事の続きを俺がやった

結構面倒なものもあり、これを普段からやってると思うと少し申し訳なく思う

なので、そのまま寝かせておいて、灼さん好みのお茶とお菓子を用意しておいた

その後、目を覚ました灼さんは驚いていたが、そのままできる範囲でハギヨシさんから教わった奉仕をした

みんな用事があったのか、誰も来なくて灼さん1人に奉仕した日になった

普段色々知らないところでやってもらってたんだろうし、たまにはこうしてもいいだろう

次は執事服でも用意するか?

灼「目を覚ましたら京太郎の服が掛けてあって、好きなお茶とお菓子が用意してて驚いた……」

晴絵「で、奉仕って何されたの?」

憧「そ、そそそんなご奉仕なんて……」

穏乃「どしたの憧。顔真っ赤にして」

灼「……別に、ふつーにお茶とお菓子のおかわりとか……後マッサージとか、執事っぽいこと……」

灼「……結構、良かった」

玄「な、なんか満足気だね灼ちゃん」

宥「いいな~」








11月■日

ふと、疑問ができて松実館に行った

目的は宥さん、具体的には宥さんの好みだが

もはや顔パス状態で通され、宥さんの部屋に行くと予想通りこたつむりな宥さんがいた

布団から顔だけ出した宥さん、正直可愛い

が、そのままではやりにくいので無理を言って上半身を炬燵から出してもらい、まともに話せる状態に

で、俺は疑問を解消するため、途中で買ってきたブツを宥さんの前に出した

それは……アイス

そう、疑問とは実にシンプル、宥さんは炬燵にアイスはアリなのか、ということだ

夏場に冷たい飲み物は一応口にしていたが、アイスは見ていない

ということで冬の贅沢、炬燵でアイスを宥さんがやってくれるかどうか

きっと、実証に時間がかかるだろう、そう思っていた

俺がアイスを渡すと、宥さんは普通に食べていた

「あったかくないけど……あったかいよ?」アイス片手に笑顔で言う宥さん……疑問はあっさり解消できた

この後2人でめちゃくちゃのんびり炬燵でアイス食った

今後、炬燵でアイスする時は宥さんとこ行くかな

憧「しょーもなっ」

灼「……どうでもい」

宥「ひ、酷くないかな?」

晴絵「まぁ普段のイメージもあるんだろうけど、男ってくだらないこと気にするもんよ」

穏乃「なんかアイス食べたくなってきた」

玄「アレ?でもお姉ちゃんがアイス食べるのなんて年に1回あるかないかで……」

宥「ん……京太郎くんがいたから……」









11月◎日

憧に土下座した

理由は試験前、偏差値70の力を借りるためだ

憧は中々首を縦にふらず、口説き落とすのもかなり手ごわかった

褒め倒しても土下座しても多少顔を赤くしたりするだけで効果がなかった

なんでも……できる範囲でなんでもするから、とまで言ってやっと教えてくれることになった

しかしその代償として、1日憧にくれてやることに

一体どんな高いものを奢らされるのか今から恐ろしくもあるが、背に腹は代えられぬ

とりあえずありがとうアコチャー

これで赤点は避けられる

愛してるぜ!!

憧「ふきゅっ!?」

晴絵「おぉー、大胆ねぇ」

玄「あ、あああ愛って!?」

灼「こんなの気にするほどじゃないとおも……」

宥「でも、ちょっと嫉妬しちゃうよね」

穏乃「土下座から愛してるって、すごいことやってるなぁ……だから憧、今回私に教えてくれなかったのか」









12月×日

今日は驚いた

この前、いつものように愛宕(貧)に美味しそうなものの画像を送ると

『もう許さへん。ちょいそっち行ったるからな!!』とメールが来た

お待ちしています、と柿の葉寿司の画像を送ってその日は終わったが

「京太郎!!来てやったでー!!」マジで来やがった(貧)。わざわざ奈良駅バックの写メ付きのメールで

しかし絹恵さんも来ていたらしいので仕方なく迎えに行った

今までの飯テロの仕返しの殴り込み、という建前で遊びに来ただけだと絹恵さんが教えてくれた

まぁせっかくだから、と公園に移動し、奈良の有名なせんべいを(貧)にだけご馳走した

(貧)は勢いよく食べたが、味がイマイチだと言っていた

そりゃそうだろう。鹿せんべいだし、そう言うと漫画みたいに噴出した

流石大阪人、いいリアクションだった

その後も怒られたりしつつもいじり倒して、ちゃんと美味しいもののところ連れて行ったり、

お土産で穏乃のとこの和菓子を教えたりした

しかし鹿せんべいをマジで食べたのは面白かった

別れた後で、面白かった、と鹿肉料理の写メ付きで送っておいた

その後またメールが何通か来ていたようだがあえて無視した

憧「他校の人に鹿せんべい食わせるなっての」

穏乃「だねー。アレ、あんまり味ないんだよねー」

灼「なんで知って……あ、言わなくてい」

晴絵「落ちに鹿肉料理ってのがまたなぁ……」

宥「京太郎くん、愛宕さんのこと嫌いなのかな?」

玄「んー、そういうのじゃないと思うよ?」



洋榎「おのれ京太郎ー!!」

絹恵「今度はなんなん?」

洋榎「やっと鹿肉フルコースが終わったと思ったらジンギスカンの写メ送ってきよったんや!!」

絹恵「あ、おいしそーやなー」

洋榎「せやなー……やなくて!!いい加減こういうのやめろっちゅうんや!!また殴り込みいかなアカンか!?」

絹恵(お姉ちゃんフツーに京太郎くんの奈良案内楽しんどっただけやしなー。ほっとこ)








12月○日

学校からの帰り道、今日は玄さん宥さんの2人と帰っていた

ちょうど本屋に行こうということになり、3人で行くことに

しかし道中、寒い。流石に12月、もう少し厚着してくればよかったと後悔した

寒いな、と呟いた時、いきなり右腕に宥さんが抱き着いてきいた

「ん……あったかい?」そう上目づかいで聞いてくる宥さん、なにこの可愛い生き物

すると左腕には玄さんが抱き着いてきた

「こうすればもっとあったかいのですだ!」ニコッっと笑って言ってくる玄さん。可愛い

両手に美人姉妹、さらに腕におもちが!おもちが!!

まさに両手に華状態で本屋に行き、その後も少し寄り道して帰ることに

思い返すとなんて幸せな状態だったんだろう

俺死ぬの?一生分の幸運使い切って死ぬんじゃねーの?

まぁ死にたくないが、そう思えるほど素晴らしい状態だった

穏乃「ずるい!!」

灼「抜け駆け……」

晴絵「また大胆な……しかも2人一緒にって……」

玄「ふふふ、大胆に攻めることも必要なのですだ!」

宥「あったかかったなぁ……」

憧「わ、私もあれくらいやるべき?……いやでも……」








12月△日

今日、というか昨日のことになる

穏乃と山に行った。まぁ最近よく行くので慣れたもんだと思っていた

が、山の天気は変わりやすいというからか、土砂降りの雨が降って来た

冬の雨は流石にシャレにならん、ということで近くの山小屋で止むまで待つことになった

しかし雨が止む気配も無かったので、そこで一夜を明かすことになった

山小屋もよく出てくるボロ小屋じゃなく、少し古いがちゃんとしたものだったのでなんとかなった

まずはお互いに雨に濡れた服を脱いで乾かすことにした

ここで風邪でも引いたら本当に動けなくなる

流石の穏乃も恥ずかしそうにしていた。俺だって同級生の前で脱ぐのは少し抵抗ある

濡れた服を脱ぎ、山小屋にあった大き目のタオルをお互いに巻いて、小屋にあった囲炉裏に火をつけた

しかし寒かった。火をつけたとはいえ、ほとんど脱いだ状態、冷えるだろう

どうするかと思っていると、穏乃が隣に来た

「さ、寒いし……風邪引いたら大変じゃん!!」そういって寄り添うように隣に座る穏乃

相手が穏乃とはいえ、普段以上の薄着でくっついているんだ。そりゃドキドキする

お互いなんとなく無言になった。ちょっと気まずくもなる

「……私が無理に誘ったからかな」ポツリといつになくしおらしく穏乃が呟いた

少し、気にしてるのかと思った

だから俺は、穏乃の頭を思いっきり撫でて、そんなことはない、と言った

それで穏乃は楽になったのか、そのまま体を俺の方に預けるように寄りかかった、眠ってしまった

まぁ、俺は寝れなかった。いや、穏乃相手だけど、アレで寝るのは無理

翌朝、綺麗に晴れたので俺達は無事下山した

憧「また山で!?もうあんたはいい加減少しは控えなさいよ!!」

穏乃「山いいじゃん!!まぁ……この時は京太郎がいて良かったけど……」

晴絵「お、穏乃。乙女って感じの顔してるぞ」

灼「顔、赤いよ」

穏乃「あ、あぅ……」

玄「私もこんな感じなのかなぁ」

宥「みんなじゃないかな」







12月□日

今日はこの前のテストのお礼ということで、憧に付き合って買い物に行った

しかし、どうしてこう女子の買い物ってのは長いんだ?

アレコレ見て、どっちが似合う?とかどっちも似合うって言うと怒るのは理不尽だと思う

憧なら元がいいんだから両方似合うんだよ

ただ、途中憧が寒そうにしてたから俺のマフラーを貸してやった

貸した後は妙に静かで、俺のマフラーを見てたけどそんな気に入ったのか?

結局そのまま返してもらえず別れたし、クリスマスにでも編んできてやるかな

晴絵「何気に私物テイクアウトとはやるわね」

憧「そ、そんなじゃないわよ!寒かっただけ!!」

穏乃「でも、この静かになったっていうのは?」

玄「京太郎くんのマフラーだから?」

宥「あったかかったから?」

憧「あー……京太郎の温もりとか、臭いが……」

灼「アウトだね、気持ちは分からなくもないけど」








12月●日

今日、宥さんのマフラーがいつもより長かった

そんなグルグル巻くほど寒いのかと聞くと、違うと言われ、長めのマフラーを俺に巻いてきた

よくある、2人でひとつのマフラーを、って状況だ

驚いていると、手慣れているのかあっという間にマフラーが巻かれた

そして、いつもより近い宥さんが「ふふふっ……あったかいね」そう笑顔で言った

なにあの天使。可愛すぎる

要は2人用マフラーだったらしい

いつものが洗濯中で、本来は玄さんとやるとか

まぁ色々と当たったり、役得だったぜ

玄「おねえちゃーん?」

宥「な、なにかな玄ちゃん?」

灼「なかなか強引な……」

憧「宥姉もやるわねー」

穏乃「今度私もやろっかな」

玄「じゃあ私がお姉ちゃんのマフラー借りるね!」

灼「次は私で」

憧「あ、私もやるわよ!」

宥「だ、駄目!こればっかりは貸さないよ!」

晴絵「青春してるわねー」










12月◇日

今日は珍しく雪が降った

なのでか朝から穏乃が元気に「山に行こう!!」と誘ってきた

だけどもうちょい着ようか

山は珍しく雪が少しだけ積もっていた

高校生にもなるが、やっぱり雪見るとテンション上がる

そのまま2人で山を駆けずり回った

昼過ぎくらい、雪も溶けてきて、そろそろ戻るかという時、穏乃が足を滑らせた

そのまま転びそうになったが、ギリギリで抱き留めた

思いっきり抱きしめるような形になってしまったが、まぁ仕方ないだろう

それに驚いたのか、穏乃は真っ赤になって大人しくなってしまった

まぁ怪我は無いみたいだったからいいか

そのまま2人で転んだりしないように山を下りた

たまには雪降った山も面白いかもしれないな

晴絵「穏乃は結構抱き締められてるわよね?」

穏乃「えぇっ!?そ、そんなことは……」

宥「抱き締めやすい、とか?」

玄「身長的に、かな?」

灼「それは関係ないとおも…」

憧「京太郎から見りゃ、私達全員低いわよ」










12月24日

今日はクリスマスなので、阿知賀のみんなと子供麻雀クラブの子供達も一緒にクリスマスパーティーをした

意外と俺のことを覚えてくれている子も多かった

子供たちには作ってきたお菓子をプレゼントとして渡すとえらく喜ばれた

それからは子供達も交えての麻雀大会だった

ちなみに俺は初戦で子供達から狙われまくって終わった。子供って容赦ない

だが優勝は大人げなく赤土先生だった

なので、優勝賞品として今話題の料理、ゲソのピーナッツバター和えを振る舞った

食べた瞬間の赤土先生の顔は忘れられない

大会が終わってからは、普通にプレゼント交換をしたり、ケーキを食べたりと楽しく過ごした

でも俺に回ってきたプレゼント、透明な牌ってなんだ?

おもちゃのプラスチックっぽいけど、誰だこんなの回したの?

ま、楽しかったしいいか

晴絵「アレは不味かった……ゲソの風味が良くない方向に変貌を遂げて……」

憧「小学生相手でも大人げなかったのが悪いわよ」

灼「優勝賞品は最初からああいうのって決まってたし……」

穏乃「ちょっとだけ、食べてみたかったな……」

玄「だ、駄目だよ?にしてもプレゼント交換は楽しかったよね」

宥「うん。回って来たの、カイロだったけどあったかかったよ」

灼「そーいえば、京太郎の手編みのマフラーは誰が持ってったんだっけ?」

憧「……誰でしょうねー。ちょっと私も欲しかったなー」

穏乃「?そういえば憧は何もらったの?結局見せてくれなかったけど」

憧「え?べ、別に大したものじゃないわよ!?」

宥(分かりやすいなぁ……)








12月▽日

今日は少し早いが家の大掃除をした

最近は親父もお袋も俺にまかせっぱなしになってる気がするが……ま、いいか

今更だが、4月に引っ越してもう12月とは月日の流れが速く感じる

長いんだか短いんだか分からんが、色々あったな……

少し早いけど、来年も楽しくやっていきたいもんだ

明日の部室の大掃除、気合い入れていくか!

穏乃「これは、昨日の日付……ってことは」

玄「全部読んじゃったね」

宥「京太郎くんの色んな一面が分かったね」

灼「大体は予想できるけど……」

憧「そーね……そーいえば、その京太郎本人ももうすぐ帰ってくるんじゃない?」

晴絵「あぁ、でも連絡が……あっ」

灼「ハルちゃん?」

晴絵「連絡来てたわ……しかも携帯マナーモードで気づいてなかっただけで」

穏乃「ちょっ!?」

玄「そ、それじゃあ京太郎くんは!?」

晴絵「待って、メールが……もうすぐ着くって」

宥「も、もう!?」

憧「早く日記戻さなきゃ」

穏乃「あっ、足音聞こえてきた!!」

晴絵「やばっ、京太郎の鞄鞄……私が戻すからみんなで足止めして!!」

灼「あ、足止めって何を…」

ガチャ

京太郎「ただいま戻りまし…」

玄「ま、まだダメー!!」ダッ

宥「え、玄ちゃん押して…」ツルッ

穏乃「わ、わー!?」ツルッ

憧「ちょ、待ちなさ…」ツルッ

灼「へ!?」ツルッ

バターン!!

京太郎「むぐぐ……むぐ!?」

京太郎(なんだこれ体中に柔らかい感触が……って息できねぇ!?)

玄「い、いたた……あっ……そ、そんなとこに手入れないで……」

宥「あうう……ひっ!?だ、誰?胸触ってるの?」

穏乃「ひゃっ!?そ、それは私のお尻……」

憧「ふきゅっ!?……ど、どどどこ触ってるの!?」

灼「わ、私のなんか触っても……」

晴絵(日記をこっそり直して証拠隠滅が終わったら、教え子がToLoveるな状況になっていた)

晴絵(ここは教師として言わなきゃいけないこともあるだろうけど)

晴絵「……ねぇ、ちょっと写メっていい?」

憧「ハルエー!!そんなことより助け……ふきゃっ!?」

玄「も、もう!そんな動かさないで…んっ」

穏乃「さ、さっきからずっと触ってて……」

灼「んっ……そんな……動かな…」

宥「そ、そんな強くは……んんっ……」

京太郎(息が!!息が!!……あっ、でもこんな死に方なら……ほん……も……う…)

晴絵「あ、ちょっ京太郎?京太郎ーー!!しっかりしなさい!!こんな美味しい状況で死んだらもったいないわよー!!」

憧「もうちょっとまともな言い方あるでしょうが!!」








12月Я日

今日は部室の大掃除だった

あらかた終わらせてから途中買い出しに行ったが……

戻ってきたら、なんか滑って転んだからか、みんなが俺の上に倒れてきた

そしたら……全身に柔らかな感触が!!

息できなくて、あの世半歩手前までは行ったが、あの死に方なら本望だ!!

まぁ、なんとか蘇生した後はやたら謝られて、みんなで飯食った

来年もまた、楽しく過ごしたい

そして来年は!来年こそは!!

おもちがある彼女を作ってやるぜ!!


カンッ!!