初美「ふいー、本家の大掃除は大変ですー」

巴「ハッちゃん、そういいながらさっきまでサボってたでしょ」

春「サボりは駄目……」ポリポリ

巴「春ちゃんも黒糖食べない!」

霞「ほらほら、姫様が頑張っているんだから、私達もやらなきゃ駄目よ」

初美「はーい。今日は泊まりですかー」

霞「そうね、分家の方々も泊まっていくそうよ」

小蒔「はい。で、ここはみなさんが泊まるための部屋です」

巴「あ、姫様。アレ?京太郎くん一緒じゃなかったんですか?」

小蒔「外まで迎えに行って、さっきまで一緒だったんですけど……おばさん達が連れていっちゃいました」

霞「あぁ、京太郎くん人気者だからねぇ」

初美「じゃあその鞄は」

小蒔「京太郎くんのです。これだけはどこかに置いててくれ、って」

春「それが、京太郎の最後の言葉だった……」

初美「さようならです京太郎……3日くらいは忘れません……」

巴「いや京太郎くん死んでないからね?後ハッちゃん3日って短くない?」

霞「冗談もそれくらいにして、部屋の掃除やっちゃいましょう。小蒔ちゃんも、京太郎くんの荷物はその辺りにでも置いて」

小蒔「はい、わっ!?」ズルッ ドサッ

巴「ひ、姫様!?大丈夫ですか!?」

小蒔「は、はい……足がすべっちゃいました」

霞「あらあら、鞄の荷物も散らばっちゃって」

初美「早く集めてしまうですー」

春「ん……ん?ノート?」ペラッ

小蒔「どうしました?」

春「これ……」







4月×日

やっと引っ越しの片づけが終わった

日記も新しくしたことだし、改めて書いていこう

俺の高校進学と合わせるように、長野から鹿児島まで親父の仕事の都合で引っ越すことになった

いきなりでびっくりはしたが、まぁ仕方ないか

こっちにはかなり遠縁だが親戚も結構いるとのことだ

俺もガキの頃に何度か来たことがあるらしいが……全然覚えてねーわ

まぁ会えるかも分からないし、、会ってもこれから仲良くなればいいだけか

さすがに疲れたし、早く寝よう

霞「これは、京太郎くんの日記かしら」

巴「4月の、確かこっちに来たばかりの時ですね」

初美「これは……はるる!次です!!」

春「うん」ペラッ

小蒔「だ、駄目ですよ!!人様の日記を勝手に見るなんて!!」

巴「そ、そう!姫様の言う通り!」

春「……でも続き読みたそうにしてる」

初美「京太郎の意外な一面が見れるかもしれませんよー?」

巴「そ、それは……」

霞「初美ちゃん、正直私も見たいけどね?京太郎くんがいつ帰ってくるか分からないのよ?」

初美「うっ……」

春「……下手したら嫌われるかもしれない」

小蒔「…………」

巴「ですよね。じゃあこれくらいで……え?姫様?」

小蒔「zzz...zzz...」

初美「寝てる?」

霞「いや、これは……何か降ろしてる?」

小蒔「はっ!?い、一体……」

霞「小蒔ちゃん?どうしたの?」

小蒔「い、いえ……その、何か声が聞こえたんです」

巴「声、ですか?」

小蒔「え、えぇと……『小僧はまかせろ。それより続き』って」

春「…………」

初美「えー……」

巴「神様公認?」

霞「こんなことで降りてくるって……」

小蒔「?」キョトン

春「……とりあえず」プルルルルル

春「電話?……京太郎から?」ピッ

京太郎『おー、春か?』

春「そうだけど……どうしたの?」

京太郎『いや、今おばちゃん達に頼まれて買い物に行ってるんだが……商店街の福引で特賞の黒糖1年分が当たってな?』

春「黒糖1年分!!?」

京太郎『おう。もうめちゃくちゃ量があるんだよ。いるだろ?お前の家にも送るわ』

春「うん、うん!!」

京太郎『あー、それでちょっと帰ってくるの遅くなりそうだから、おばちゃん達に伝えといてくれ』

春「分かった、まかせて。京太郎も黒糖よろしく」

京太郎『おう。あ、欲しい人いるかも聞いといてくれ。量がやばいんだ。じゃ、後でな』ピッ

春「黒糖1年分……」

初美「はるるー?帰ってくるですー」

巴「……神様が言ったまかせろって、こういうこと?」

霞「みたいねぇ……もう読むしかないわね」

小蒔「い、いいんですか?」

霞「えぇ。ここは神様の好意に甘えましょ」

春「じゃあ……続きから……」







4月○日

今日は親戚の家に挨拶に行った

といってもうちはそこの分家の、そこの遠縁で親戚と言えば親戚?、というレベルらしい

ただ、本家の偉い人と親父が仲が良いらしく、親戚というより親父が昔の友達に挨拶に行ったという感じだ

本家の偉い人もそんな感じだった。なんかめっちゃ由緒正しそうな神社の人なのにすげぇフレンドリー

適当に親父達が話していると、巫女服のすばらなおもちの持ち主が来た

なんでも偉い人、めんどくせぇおっちゃんでいいか。おっちゃんの娘さんらしい

名前は神代小蒔さん。ひとつ年上で、永水に通っているらしい

なんか天然っぽいけど、可愛い娘だった

挨拶に来ただけらしく、自己紹介くらいですぐにどこかに行ってしまった

残念だ。もっと話してみたかったのに

まぁ親父とおっちゃんが仲良さそうだし、また会う機会もあるか

初美「ほ、本家の姫様のお父さんをおっちゃん呼ばわりですかー!?」

巴「怖いもの知らずと言うか……すごいわね」

霞「そうよねぇ……小蒔ちゃん?どうしたの?」

小蒔「じ、実は……この時まだ男の人と話すことに慣れてなかったので、失礼なことをしたかもって思ってて……」

春「京太郎は気にしてない」

小蒔「ええ……安心しました」









4月△日

今日は入学式……だったけど

今年から共学の元女子校とか聞いてねーぞ!!

家からの近さと親父の勧めで選んだけど、男女比やべぇ

つーか男子10人もいないんじゃねーの?浮くっつーか目立つわ

でも女子のレベルは高い。親父ありがとう

とりあえず入学式が終わった後クラスで自己紹介した

中高一貫なのか、女子はみんな知り合い同士って感じだった

だからか、俺の隣の席の女子が黒糖ポリポリしてても誰も突っ込まなかった

いいのか?つーか立派なおもちだ

放課後、クラスの数少ない男子と仲良くなり、今日はそこで帰った

明日から部活動の見学などできるらしいが、ほとんど女子の部みたいなここでどっかに入部できるのか?

ただ、ハンドボール部は無さそうだった

春「……ファーストコンタクト」ポリポリ

小蒔「む、私の方が先です!」

春「……同級生と同じクラスは大きい」ドヤァ

初美「ずるいですよねー」

巴「こればっかりはねぇ」

霞「ところで一応授業中みたいなものよね?そんな時に黒糖はどういうことかしら?」

春「…………京太郎の勘違い?」

霞「一袋没収」

春「!?」

巴「いや、ショックみたいな顔しながら新しいの取り出さないで」







4月□日

今日は授業が終わった後、友達と各部活動を見学に行った

ただ、体育会系の部はほとんどが女子の部のようで、男子の人数的にマネージャーのようになりそうで入部は難しそうだった

でも、揺れるおもちや健康的なふともも等収穫はあった

適当に友達と別れた後、適当にふらふらしていると、眼鏡の真面目そうな人と、制服を着たちっこい子供?が何か部活の案内をしていた

少し気になったので声を掛けると、麻雀部らしい

麻雀のルールや役くらいは知っていたので、せっかくだからと見学しに部室まで行ってみた

ただ、時間が遅かったのかあまり人はいなく、結局眼鏡の人と子供相手に三麻した

さすがに勝てはしなかったが、なかなか面白かった

1局しかできなかったので、また明日来ると約束して帰った

名前聞いてないけど、明日聞けばいいか

そういえばあの子供はなんなんだろう。それも明日聞こう

初美「…………」プルプル

霞「あらあら……」

小蒔「え、えっと……」

巴「あ、あはは。あの時こんなこと考えてたんだねー」

春「……1袋、いる?」ポン

初美「そんな同情いらないですー!!子供!?3年生の制服だったですよー!!」

小蒔「ほ、ほら!初美ちゃん若く見えるから……」

巴「姫様、それフォローになってないですよ」

霞「この時いなかったのが少し惜しいわね」

初美「京太郎ー!!」








4月●日

今日は友達に水泳部に見学いこうと誘われたが、昨日の約束通り、授業が終わってすぐ麻雀部の部室に行った

今日は人数がそれなりに揃っていて、もう入部を決めた人もいたようだった。隣の席の黒糖っ子もいた

見学者以外は自己紹介してくれた

昨日の眼鏡の人と、子供は、3年生だった。マジかよ、主に子供の方

眼鏡の人は狩宿巴さん、子供、いや、ちっこいのは薄墨初美さんというらしい

次に2年生の紹介だったが、その中に神代小蒔さんがいた

俺に気付いてくれたようだったが、さすがに会うのも2度目なので特にリアクションなどもなかった

そして1年生、黒糖っ子は滝見春というらしい

それからは実際に打ったり、色々話してくれたりだった

なんと、永水の麻雀部は去年全国まで行ったらしい

そんな強豪に男子1人入部ってのは難しいかな

そう思って入部は止めようと決めかけた時だった

遅れていたという部長が部室に入ってきた

それは、俺の妄想を遥かに超えたものだった

去年、麻雀のインターミドルにえらいおもちの美少女がいた。というかその娘のおもちのためだけにインターミドルの試合を見ていた

それを余裕で凌ぎ、圧倒的な存在感を主張していた

その人は、とんでもないおもちを持っていた

友よ。俺、水泳部の見学はもういいよ

俺は麻雀部への入部を決めた

初美「入部のきっかけはこれですかー!!」ガシッ

霞「ひゃっ!?ちょ、いきなり!?」

初美「これの!これのどこがいいですかー!!」モミモミモミモミ

霞「いい加減に、しなさいっ!!」ゴッ

初美「あいたっ!?うぅぅ……あんな脂肪……あんな脂肪……ちょっと分けて欲しいですー……」

小蒔「え、えと……霞ちゃんのおかげで、京太郎くんが入部した、ということですよね?」

巴「まぁ、そうとも言いますよね……」

春「……京太郎のすけべ」

霞「全くもう……」







4月◇日

麻雀部に入部して1日目

基本的なルールと役は知っていたので、まずは打たせてもらった

相手は黒糖、いや滝見と2年生の先輩と、部長である岩戸霞さんだった

結果は惨敗。トップは部長で、滝見は麻雀をやっていたのか2位だった

とりあえず基本的なことを教わったり、1年生がやるべき雑用などを聞いたりした

先輩から言われたが、男子は俺1人だから、俺は力仕事が多いかもしれないとのことだ

まぁ当然のことだろうし、別にいい

雑用も苦じゃないし、みんな優しいし、男子1人だがなんとかなりそうだ

他の男子のみんなも、結構バラバラの部にいるらしい

固まるかと思ったが、みんな自分の好みのところに行ったのだろう

既に夏場に写真の交換をすることは決まっている

みんな、頑張ろう!!

小蒔「写真?みなさんの活躍のですか?」

巴「……きっと、そうですねー」

霞「男の子って……」

初美「下心みえみえですー」

春「……多分対象外」ポリポリ

初美「どういう意味ですかー!?」







4月18日

今日は休みだったが、親父が朝から釣りに出かけて、珍しく大物を釣ってきた

なんかでかい魚だった

捌いて食うのかと思っていたら、親戚の娘さんが誕生日らしいので持っていけとのことだった

かなり無理矢理、家から叩き出された。親戚の場所しか教えられなかった

仕方ないので魚をクーラーボックスに入れ、親戚の家まで行った

その親戚の家に滝見って表札があったとこで、まさかと思った

インターホンを鳴らすと滝見春が出てきた。黒糖片手に

無効も驚いていたが、こっちも驚いた

どうやらうちの遠縁の親戚というのは、滝見の家だったらしい

滝見の母親……おばさん、でいいのか?にはなんか歓迎された

親戚と言っても、俺は今までほとんど会ってないようなものだし、魚置いてさっさと帰ろうと思った

だが、おばさんから引き留められた。どうせだから上がっていかないかと

結局断りきれず、上がることになった。滝見は俺に無関心なのか、ずっと黒糖ポリポリしていた。そんなに美味いのか?

上がってから、まずクーラーボックスから魚を出すと、予想以上の大きさだったのか、おばさんは驚いていた

捌けるかしら?と言っていたので、俺が捌くか申し出た

これにはおばさんも滝見も驚いていたが、長野に居た頃、とある執事に教わったことだ。すぐに捌いた

おばさんは喜んでいたし、滝見も俺を見る目が変わったような気がした

そういえば、親戚の娘って言ってたし、滝見の誕生日だったのか、と思い出し

「誕生日おめでとう。生臭いプレゼントで悪いけどな」そう言うと、滝見は一瞬きょとんとした後、ツボに入ったのか声を上げて笑い出した

ちょっと笑いすぎだったので、切り身のはじっこを口に放り込んでやった。また驚いた顔をしたが、親指を立ててきた。美味かったらしい

その後は簡単に切り分けて、他の分家の子が明日誕生日だから持って行ってあげて欲しいと頼まれ、持っていくことになった

滝見とは、別れ際に連絡先を交換した。後黒糖くれた

持っていった先は、中学生にしては中々将来性のある娘がいる家だった

岩戸、って部長と同じ苗字だったが、さすがに今度は部長はいなかった

巴「誕生日プレゼントが生魚って……」

小蒔「美味しそうですね!」

春「新鮮で美味しかった」グッ

霞「そういえば明星ちゃんも『かっこいいお兄ちゃんが魚持ってきた』って言ってたけど、これだったのね」

初美「というか京太郎魚まで捌けるんですねー。後誰ですかこのとある執事って」









4月▽日

最近春(本人が名前でいいと言った)とよく話すようになった

俺が神代さんと会ったことがあると聞いた時も少し驚いていた

春と話している内に色々と聞いた

神代さんの家が本家で、春、石戸霞さん、薄墨初美さん、狩宿巴さん、の家が分家で、「六女仙」と呼ばれているらしい

また、中等部にも2人いるらしい

そんな家の人とうちの親父がなんであんなに仲良いんだ

後、神職の家系だからか、不思議な力もあるらしい。それで去年は神代さんは全国で大暴れしたとか

麻雀で不思議な力……正直半信半疑だ

なので、今日の部活で神代さんと対局してみた

さすがに初心者の俺じゃ勝てなかったが、神代さんは3位だった

すげー真面目で頑張り屋という感じだったけど、本当に不思議な力ってのはあるのか?

帰りに春にまた聞くと、多分近い内に見れる、らしい

どういうものか知らないけど、少し楽しみだ

初美「あっ、これって……」

巴「確か……」

霞「ええ、確か4月に集まった時……」

春「……ちょっと悪いと思ってる」

小蒔「え、えっと……」








4月■日

今日は春に呼び出されて、とある神社に行った

そこには春だけでなく、石戸霞さん、薄墨初美さん、狩宿巴さん、そして神代小蒔さんもいた

なんでも、たまに全力を出さないといけないとかそういう理由らしい

よく分からなかったが、前に言ってた不思議な力とやらが見れるならいいと思って、打ったんだ

打ったんだ……

役満って、あんなに連続して直撃するんだな……

何か強すぎたとか、一番強いの降りちゃったとか聞こえた気がするが、俺はその時始めてみた天和に驚きすぎて覚えてない

うん、不思議な力とかオカルトとでも言わねーとどうしようもないな

疑ってごめんなさい

小蒔「なんというか……男性の方と打つことに緊張して……」

巴「いや、姫様は悪くないですよ」

霞「そうね、結構強い神様が降りるのは分かっていたしね」

初美「ただ……その中で一番強くてすごいのが降りちゃっただけですよねー……」

春「それを一身に受け切った京太郎をある意味尊敬する」

初美「全部京太郎に直撃でしたよねー……アレで麻雀辞めなかったのは本当にすごいですー」

霞「ある意味オカルトよね」

巴「本人が聞いたらどんな顔するんでしょうね」

小蒔「喜ぶんじゃないですか?京太郎さんなら」







4月◎日

今日部活に行くと、石戸さん、狩宿さん、薄墨さん、神代さんからえらく気遣われた

春もなんか一日気を遣ってる感じだった

昨日のアレのせいか?

びっくりはしたが、不思議とそれで麻雀が嫌になったりとかは無かった

むしろ慣れたような感じだ

だが、みんな気を遣っているせいか、今日は打たせてもらえなかった

雑用等を詳しく教える、ということで、ずっと雑用をしていた

別に苦ではないし、嫌いじゃないからいいが、ひとつ終わらせる度に驚かれたのはなんでだ?

後、全自動卓のメンテナンスについて、最近覚えたので軽くやってみたが、余計なことだったか?

帰り道で春が更に気を遣ってか黒糖をくれたが、変なミスでもしたかな?

巴「いや、初めてなのに手慣れた様子で素早く雑用片づけたら驚くからね」

初美「調子の悪かった卓をいじりだして、すっごく良くなったのはびっくりですよー」

春「……他の1年の娘が、『もう京太郎くんだけでいいんじゃないかな?』って言ってた」

小蒔「すごいですよね。負けられません!」

霞「小蒔ちゃん、そこ張り合うところじゃないわよ」







4月☆日

昼休み、ふと昨日いじった全自動卓が気になって部室に行くと、髪を降ろした狩宿さんがいた

狩宿さんは昨日の牌譜が気になったらしい

俺も全自動卓が気になったと言うと、昼休み始まったばかりで雑用は駄目だと怒られた

ちょうど俺も狩宿さんも昼がまだだったので、一緒に食べた

食べながら色々と話した

こっちに来てからのこと、長野のこと、永水のこと、狩宿さん達『六女仙』のこと

聞くと、石戸さんや薄墨さんも神代さんのような不思議な力、オカルトとでも言うか、それがあるらしい

狩宿さんは今のところ目立ってそういうのがないから、今日のように牌譜を見たりしているらしい

俺は初心者だし、オカルトみたいなのより狩宿さんのがいいかもなー

そう言ったら、今日の部活でまた基本的なことを教えようかということになった

ありがたくお願いした

そこで昼休みの予鈴が鳴った

慌てて狩宿さんは髪をポニーテールにして、部活で、と言って別れた

しかし、髪を縛るってなんかいいな

部活で宣言通り基本を教わった

まずは基本から頑張っていこう

霞「あら、巴ちゃんもやるのね」

春「こっそり2人っきりとは……」

巴「や、やましいこととかしてないからね!」

初美「そう言いながらー?」

巴「本当だから!」

小蒔「私も京太郎くんに教えれば!」

春「……姫様はむしろ教わる立場」

小蒔「あぅ……」







4月★日

久しぶりに咲から連絡があった

なんでも麻雀部に入ったらしい

俺も実は入ったと言うと驚いていた

てか咲の奴麻雀できたのな。ポンコツだから、牌倒したり凡ミスとかしてねーよな?

言ってくれれば1回くらい打ったのに

ネト麻で、とも考えたが、咲じゃ無理か。今だに連絡は家の電話だし

それから久しぶりに長話をした

咲の進学した清澄高校のこと、俺のいる永水のこと、同じ麻雀部の1年生のこと

長野の居たら、前みたいに咲と同じ学校に行っていたのかな

少しだけ考えたが、すぐにやめた

また連絡することを約束して電話を切った

なんというか、まだ一ヶ月くらいしか経ってないのにえらく懐かしくなったな

長期の休みに長野にでも行ってみるかな

……気が早いか

霞「清澄の大将……こんなところでも……」

春「なんて強敵……」

小蒔「で、でも今京太郎くんはこっちにいるんですし!!」

巴「心はあっちに、とか?」

初美「ちょ、怖いこと言わないで欲しいですー」



咲「っくしゅん」

久「あら?風邪?」

咲「いや、大丈夫です」

まこ「埃かなんかじゃろ。倉庫は掃除しとらんかったからなー」

優希「全く大掃除は大変だじぇ」

和「普段からしていれば、いえ、5人で精一杯でしたし、無理を言ってはいけませんね」

咲「うん……京ちゃんが居たらなぁ……」

久「結構聞く名前だけど……やっぱり元カレ?」

まこ「いやー、アレは片思いじゃろ」

咲「そ、そんなんじゃないですよ!!もう……」









5月×日

ゴールデンウィーク1日目

今日は福岡の新道寺女子との練習試合らしい

なんでもあっちは合宿でこっちに来たらしく、去年すごかったうちと是非練習試合がしたい、とのことらしい

新道寺の部員とレギュラー候補という人達を見たが……胸はうちの圧勝だな

新道寺とうちで試合のような形で打った後、各自で打つことになった

女子校の新道寺と元女子校永水、その中でただ1人の男子の俺はやっぱり珍しいみたいで、新道寺の人達からやけに打とうと誘われた

新道寺の部長や、新道寺の2年生の人とも打った。案の定、ボッコボコにされたが

飛ばされた後、しばし休憩していると、新道寺の人が話しかけてきた

その人も、さっき神代さんと薄墨さん相手に飛ぶ寸前までやられていた人なので、お互いボッコボコにされたからか少し話しやすかった

俺が長野からこっちに来たということを言うと、その人も中学まで長野に居たらしく、更に話が弾んだ

それからしばらく話した後、2人で新道寺の部長とうちの部長がいる卓で打った。無論、俺は飛んだ

練習が終わった後、改めて自己紹介し、その人、花田煌さんと連絡先を交換した

お互い前向きにやっていこう、と話して別れた

俺も花田さんに負けないくらい頑張ろう

霞「確か、この人相当精神が強い人よ」

初美「ですねー。インハイでもあの宮永照を2回凌いでますし」

巴「1回あれだけやられて、2回目もまた打てるってのはすごいよね」

小蒔「えぇ。同じ先鋒、もし当たることになっても負けません!」

春「……胸は姫様の圧勝」

小蒔「は、春ちゃん!!」

初美「……私、新道寺応援するかもです」









5月○日

咲から聞いたが、同じ麻雀部にやけにタコスを食い、タコスでパワーアップするというのがいるらしい

変なのもいるもんだ。しかしなんでタコス?メキシカンか?

ふと気になって、タコスを作ってみた

何故か、やけに手際よく作れた。まるで、前に作ったことがあるみたいだった

ちょっと多めに作ってしまったので、春に連絡して食べないか聞くと、ちょうど神代さん達も春の家にいるというので、持っていった

春の家には神代さん、石戸さん、薄墨さん、狩宿さん、それから前に会った中学生、石戸明星ちゃんに、こっちは初対面の十曽湧ちゃんと、結構大人数だった

神事か何かがあったらしく、ちょうど昼食をどうするかというところだったらしい

タコスを食べたことないような人達に振る舞っていいのか少し悩んだが、今更無しとも言えずに食べてもらった

初めはみんな恐る恐るという感じだったが、一口食べると結構美味しかったらしく、持ってきた分はすぐになくなった

1人ひとつくらいしかなかったしな

中学生2人はむしろタコスが気に入ったらしく、また作ってと言われた

他のみんなも美味しかったと言ってくれた

試しに作ったタコスだが、持っていって良かった

また作ってもいいかな

初美「あの時初めて食べましたけど、びっくりするくらい美味しかったですよねー」

巴「京太郎くんが料理上手だったのもさらにびっくりしたわね」

小蒔「ですね。あんなに美味しいから清澄の先鋒の人も食べてたんでしょうね」

霞「そうね。作ったきっかけはその人みたいだしね」

春「……次は黒糖で一品お願いしたい」

初美「しょっちゅう頼んでないですかー?」









5月△日

昨日、日記に書かなかった話だ

タコスを持っていったとき、たまたま付いていたテレビでプロの試合をやっていた

その時、トップだったのが戒能プロだった

戒能プロの変幻自在のプレイを見て、どうやったらあんなにできるんだ、とポツリとつぶやいた

そして今日

春に呼び出されて春の家に行くと、戒能プロがいた

「ハロー。戒能良子です。ヨロシクー」

「……従兄弟の戒能良子さん。麻雀のプロだったりする」

1回開けた戸閉めたけど、俺は悪くないと思う

春曰く、たまたま近くに居たので呼んだらしい

昨日のタコスのお礼に、何かしたかったということだった

ありがたいけど、せめて事前に言って心の準備をさせてくれ。マジで心臓に悪かった

という訳で3人で打ったが、プロって次元が違うね

俺なんかじゃとてもじゃないけど敵わない

「キョータローくんはなかなかのものを感じます。まだまだビギナーなだけですね」そう言ってくれたのは少し嬉しかった

戒能プロはオフだったらしく、結局1日中3人で打っていた

途中で軽くつまむものに昨日作ったのと同じタコスを作ったら、戒能プロも驚いていた

本物のメキシカン顔負けとか言ってたけど、メキシカンのタコス食ったことあったのか?

初めはプロ相手で緊張していたけど、所々春の従姉妹だと分かるような部分があったりで、結構打ち解けられた

最終的には連絡先まで交換してもらった

「楽しい1日でした。タコスが実にデリシャスでした。是非またお会いしましょう。あ、春黒糖プリーズ」

そう言って春の黒糖を持って戒能プロは帰った

改めて考えてみると、テレビに映るようなトッププロと打ったのか……すごい1日だった

でもフツーにメールしてくるからなんか実感がわかない

送ってくる写メが心霊写真っぽいのは……気のせいだろ

霞「そういえば良子さんも5月に来ていたわね」

初美「あの人には敵わないですよー」

巴「こっちのこと知り尽くしてるし、なんとかなるかもしれないの姫様くらいじゃない?」

小蒔「そ、そんなことないですよ!!良子さん相手なんて、無理ですよ!!」

春「姫様なら大丈夫、頑張って欲しい」

小蒔「春ちゃん……」

巴「……本音は?」

春「この時持っていかれた黒糖5袋の仇」キリッ

霞「はぁ……結局はそこなのね」





良子「♪~」

はやり「お、良子ちゃんご機嫌?」

良子「あ、はやりさん。ええ、そうですね」

良子「……高校生相手でも、逆光源氏プロジェクトって、ありですよね?」

はやり「……それ、ちょっと詳しく聞かせてくれない?」







5月□日

部室に行くと、謎の仮面?があった

それがいきなり動き出すからビビったが、よく見ると、薄墨さんがそれを被っていただけだった

仮面はデカ過ぎ、薄墨さんは小さすぎてサイズあってねー

だが、薄墨さんはどこかしょんぼりとしていた

話を聞くと、仮面?を綺麗にしていると、うっかり鼻の部分を折ってしまったらしい

よく見ると古いものだからか、ところどころ傷や欠けているのが分かる

むしろそのせいで不気味さも増している気もするが……

割と思い入れのあるものだったらしいので、簡単な修理でよければできるかもしれないと言うと、薄墨さんは喜んで仮面?を俺にまかせてくれた

部活の方は今日は休むことにして、先生に聞いて廃材や工具などを借り、修理した

折れた鼻は付け替えた。そして欠けている部分を軽く削ったりして目立たなくしたり、塗装が剥がれかけている部分を塗り直したり、

薄墨さんの希望を聞いて装飾や色合いを変えたり、かなり思い切った修理になってしまった

最終的には、不気味さよりかなり迫力のあるようになってしまったが、薄墨さんが喜んでいるからいい……のか?

修理が終わった後、嬉しそうに仮面?を付けた薄墨さんが部室に行ったが、何人かの女子が悲鳴を上げて、ちょっとした騒ぎになった

石戸さんと狩宿さんにやりすぎと怒られた

帰りに、薄墨さんが今度お礼をするということで連絡先を交換した

まぁ、喜んでもらったからいいとしよう

でも、それ被って帰るのは新手の怪談になりかねないからやめた方がいいと思うので、全力で止めた

初美「いやー、おかげでアレ被って会場に行くとみんな驚くんですよー」

巴「そりゃね。見慣れてる私達でびっくりするくらい迫力あるのになってるんだし」

春「京太郎がやりすぎた」

霞「手先が器用だからって、あんな短時間でよくあそこまでやったものよね」

小蒔「ちょっと怖かったです……」






5月●日

今日は休みだったので、薄墨さんが仮面?修理のお礼ということで少し離れた街まで出かけた

初めていく街だったので色々案内してもらったが……薄墨さんは行く先々で子ども扱いされるのが不満だったらしい

薄墨さんが奢ろうとする前に、店の人は明らかに俺を見てくるし、服を見に言った時は

「お兄ちゃんと仲良いね。でもお嬢ちゃんにここはまだ早いかなー」と店員に言われていた

薄墨さんが無言で学生証を出す、さすがに謝ってきたが……ぶっちゃけ仕方ないだろう

喫茶店でも行った店の文句を言っていたが、頬膨らませて足プラプラしてて、どう見ても小学生です

不満そうにしていたので、これから薄墨先輩と呼びましょうか?と聞くと、少し考えて先輩は無しで初美でいいと言ってくれた

年上っぽく見られたいんじゃないのか?まぁそれが希望ならとこれからは初美さんと呼ぶことになった

ついでに俺は京太郎と呼び捨てだった。いやいいけどね

帰り道、ほとんどの店で俺が払ったことが不満そうだったが、こういう時は男の俺が奢ると言ったら俯いて、分かりました、と言っていた

その代わり学校の学食で奢ると初美さんは言っていたので、明日にでも学食で奢ってもらおう

霞「あら、初美ちゃんの初デートかしら?」

小蒔「で、デートですか!?」

初美「ち、違うですよー!?ちょっと出かけただけで……」

春「……それ、デート」

巴「完全にデートだね、ハッちゃん」






5月◇日

放課後、良子さん(本人がそう呼べとのことだった)から電話があった

こっちにいるから、打たないかという誘いだった

当然プロの誘いを断る訳もなく、すぐに向かった

ちなみに春は用事で無理だった

言われた場所に行くと

「ハロー。キョータロー、元気でした?」

「え?高校生の男の子!?ちょっと聞いてないよ!?あ……えと、小鍛治健夜です。一応、その、プロです」

元世界2位の小鍛治プロがいた

なんで従姉妹だからって似たようなことしてんだよ!!

夢だと思って頬をつねるとか漫画みたいなことやっちまったよ!!

良子さんは「グッドリアクション」とか言って親指立てて満足気だったけど

それから3人で打った

アレだ、次元が違うとか、そういうレベルじゃない。なんだ、アレ。本当に同じルールでやったゲームか?

圧倒的すぎてやばかった。良子さんのおもちがなかったらやばかった。おもち見れたから持ちこたえたよ

なんとか1回くらい和了ってやろうと思ったけど、無理ゲーすぎた

「やりすぎです。潰す気ですか。デッドエンドですか」

「人をデッドエンド扱いしないで!?というかデッド!?バッドエンドじゃないの!?」

そんな感じで良子さんが小鍛治プロに文句を言ったりしていたが、勉強にはなった……と思う

多分、うん。例え格上すぎる相手でも、大丈夫だ

「やっぱり見どころありますねー。いっそ個人レッスンでも始めます?手取り足取り」

「何言ってるの!?まだ学生だよ!?いや、見どころあるのは同感だけどね」

褒めてくれてるのかからかっているのかよく分からないが、一応喜んでおいた

それからは一応アドバイス的なものを貰って別れた

別れ際、今後に期待できるから、またアドバイスできるようにと小鍛治プロが連絡先を交換してくれた

その時は色々ありすぎて考えるひまなかったけど、改めて良子さんの時よりもっととんでもない人と連絡先交換したな……

元世界2位よ?国内無敗よ?雲の上の人とかそういうレベルじゃないだろ

……これを書いてる今、良子さんからメールがあった

『小鍛治プロ、あんまり男性に慣れてないだけなので、フツーにフレンドリーにメールとか送っちゃってくださいね』

とりあえず、今日のお礼とか送っとこう

小蒔「あの小鍛治プロとですか!?やっぱり京太郎くんすごい人です!!」

春「こ、これは……知らなかった」

初美「フツー、麻雀初心者とトッププロが連絡先交換できますかねー」

霞「そこは京太郎くんだからよね。誰とでも仲良くなれるし」

巴「そういうところ、すっごいですよね」



健夜「えぇと……こ・ん・に・ち・わ……」

恒子「あー!すこやんが男とメールしてるー!!」

健夜「こ、こーこちゃん!?声!声が大きいよ!!」

恒子「ごめんごめーん。でもびっくりして、つい」

健夜「結構前から知ってるよね!?」

恒子「アラフォー、ついに高校生に手を出す?」

健夜「もおおお!そういうのじゃないよぉ!!」








5月▽日

今日は小鍛治プロ直々の個人レッスン……といっても小鍛治プロはこっちにいるわけではないので、ネト麻とス○イプを使ってだ

パソコンとかできるのか少し疑問だったが、良子さんも一緒にやってくれるとのことだ

約束していた時間になると、早速かかってきた

『も、もしもーし?えと、小鍛治です』

小鍛治プロは慣れない感じで本当に聞こえているか恐る恐るという感じだったが、大丈夫だと伝えると安心したようだった

じゃあ早速始めるか、という時だった

『こんばんわー!!呼ばれてないけど来ちゃいましたー!!』

『すこやーん!!よく分かんねーけど面白いことやるって良子ちゃんから聞いたぜぃ!!』

『抜け駆けして高校生に手ぇ出したって本当!?本当なら……紹介してねっ☆』

『……呼ばれた!!』

『え、ちょ、なんでみんな来てるの!?』

『ハハハ、大勢の方が楽しいですよねー』

『良子ちゃんー!?』

『それじゃー、噂のイケメン高校生を……あ!ちょ、すこやん切らな』

改めて聞こえた内容書いてみたけど、酷いな。後誰だイケメンっつったの。良子さんしかいないか

最後は無理矢理小鍛治プロが切ったらしい

その後、結局はチャットしながらネト麻をした

何回も口調や打ち方が変わったので、おそらく押しかけてきた人達と交代しているんだろう

つーかどっかで聞いたことあるような声ばっかだったな。それもかなりトッププロとかの

後で小鍛治さんはメールで謝ってきたけど、あんなに大勢にプロと打てたようなものだ。むしろお礼を言った

でも、次は落ち着いてやりたいものだ

巴「なんかこの文章を見るだけでもすごいメンツがそろってるっぽいんですけど」

霞「そういうのでも引き寄せる体質でもあるのかしら」

小蒔「何か降ろしていたりするんでしょうか」

初美「ただの天然タラシじゃないですかー?」

春「でも増えすぎても困る……」

初美「ですねー」






5月■日

今日親父と口論になった

議題はナース服は白かピンクか

白衣の天使っつーくらいだから白だろ!!

親父は分かってねぇ!!

親父はピンクの方がエロいって言うがおっさんの理屈だ!!

結局は決着がつかないどころかどさくさに紛れて俺の秘蔵本をいくつかパクっていきやがった

むかついたから夜中にこっそり取り返した

後、親父の秘蔵本のいくつかにお袋の顔の写真を張り付けてやった

ランダムで親父が好きそうな女優に張り付けてやったから気付く瞬間のダメージは高いだろう

ざまぁみやがれ

小蒔「ナース服の色……ですか?どうしてそこまで……後、この秘蔵本ってなんでしょう?大事な本ですか?」

巴「えーっと、ちょっとしたこだわりでしょう。秘蔵本っていうのは……まぁ、大事な本といえば大事な本ですよ」

霞「おじさんまで何やっているのかしら……」

初美「男の人って……」

春「……意味が分からないことで争う」









5月◎日

今日は1日空けてしまったから、2日分書くことにする

昨日の話だ

夕方、親父と殴り合いの喧嘩になった

どうもベストタイミングで秘蔵本のがバレたらしい

おまけに親父が最近はまってる女優にお袋の変顔だからダメージ倍増だろう

本片手に親父がいきなり部屋に来たのはびっくりしたが、全力で応戦してやった

そしたら大きな音を立てすぎたのか、お袋まで部屋に来た

最初は止めようとしていたお袋だが、親父が持ってきた本を見て、修羅になった

俺と親父はお袋からフルボッコにされた後、仲良く家から叩き出された

流石にお袋に見つかったのは失敗だったとお互いに謝った後、財布も携帯も無い状態でどうするかという話になった

親父が仕方ないと言って神代さんの家に行くことになった

今日は多分家に入れてもらえないし、一晩くらいなら泊めてくれる、とのことだった

親父にとっては親友の家だが、俺にとってが先輩の家なんだが大丈夫か?と思っていたが、神代さんと本家の偉い人、要するにおっちゃんは普通に家に入れてくれた

昔からこんなことばっかりだ、と言っておっちゃんは笑っていた。親父、アンタ何やってきたんだ

いきなり野郎2人も増えて申し訳なかったが、今日は用事があって、神代さんとおっちゃんの2人しかいなかったらしい

夕飯は神代さんが作る予定だったらしいが、泊めてもらうのだからと俺が手伝うことになった

親父とおっちゃんはすぐに飲みだしてた。まるで駄目なおっさん共め

台所で改めて神代さんにいきなり押しかけたことを謝ったが、たまにはこういう日があったもいいと普通に許してくれた

普段から思ってたけどマジでいい人だ……家から叩き出された原因絶対言えねー……

それから夕食を作った。神代さんは料理自体はできない訳ではないが、まだまだ練習中ということだった。実際まだ不慣れな手つきだった

あんまり手を出すのもいけないと思い、別の料理を作っていたが、気付くと神代さんはこっちを見ていた

どうも気になったらしい。まぁ普段いない人が台所にいる訳だし、気になるだろうな

そう思っていたが、神代さんはおずおずと、俺に料理を教えて欲しいと言ってきた

まぁ俺も色々教わってできるようになったし、そこからは神代さんに教えながら一緒に料理した

夕飯は和食中心のメニューにした。料理を並べていると、おっちゃんが驚いた顔をしていた

そんな変なものや見慣れないものは作っていないはずだけどな

親父はなんか呆れた顔してたし、神代さんは色々教わったからか満足気な顔をしていた

夕飯、そしてその片付けまで終わり、風呂まで借りた後、夕飯後も飲んでるおっさん2人をほっといて寝ようかと思っていると、神代さんに呼ばれた

少し話さないかと、縁側に2人で座った

それからは他愛のない話をした。神代さんはちょっとしたことでも反応してくれて可愛らしかった

しばらく話していて、ふと神代さんは「……こんなに同年代の男の子と仲良くなったのは、初めてかもしれません」と言った

神代さんならきっといろんな人と仲良くなれる、だって優しくていい人だし。そう思ったしそう言った。

神代さんは笑って、「ありがとうございます」と言ってくれた

遅くなったし、寝ようというところで、これからは名前で呼ばないかという話になった

神代さんがいいと言うなら、と思って、小蒔さんと呼んだ

小蒔さんは京太郎くん、と少し照れたように呼んでくれた

なんか照れ臭かったので、そのまま別れて、用意してくれた部屋でその日は寝た

おっさん2人は俺が寝付く時もまだ飲んでいた

翌日、つまりは今日

休みで良かった。流石に一回家帰ってから学校行くのは間に合わない

飲んでたまま潰れたであろうおっさん2人は放置して、小蒔さんと朝食を作った

あさりがあったのであさりの味噌汁と卵焼きにした。というか小蒔さんは何故かほとんど俺にまかせてくれていた

そりゃ手伝ってはもらったけど、いいのか?なんか俺が作ってるとこ見ながらメモかなんか取ってたけど

ちなみにおっさん2人にはあさりの味噌汁のごはんと卵入れて二日酔いに効くやつにした

おっさんは「なんなんだよお前……ちくしょううちの親戚連中より美味い飯作りやがって」とか言ってた。酔っ払いの戯言だろう

それからは片付て、ふらふらな親父引きずって帰ることになった

帰り際、小蒔さんと携帯番号を交換した。最近買ったらしい

帰ってから、親父はまたお袋に〆られていた。小蒔さんの家に迷惑かけるな、ということらしい

ちなみに俺も反省のためかしばし正座だった

足、しんどい

霞「急に下の名前で呼び合うくらい仲良くなったと思ったら……泊まってたなんて」

小蒔「ち、違いますよ!?須賀のおじさんが仕方なく……」

初美「いやー、でもこれが原因ってのがちょっと……」

小蒔「?おじさんと京太郎くんがおばさんと喧嘩したんでしょう?ちょっと日記の最初の本がどうのというのはあんまりよく分かりませんでしたけど」

巴「あー……まぁそんな感じです」

春「でも京太郎とお泊りから料理……」

小蒔「そ、そういうことじゃなくて……その、料理は……京太郎くん上手ですし」

霞「上手ってレベルかしら?」

初美「別次元ですねー」

巴「あれで食べていけるんじゃない?」

春「……いつでもお嫁にいけるっておばさんが言ってた」

小蒔「少しでも上達したいですし……京太郎くんにも、食べてもらいたいです!」

霞「……みんなでお料理、練習しましょうか」

小蒔「いいですね!是非やりましょう!!」

霞(さすがに京太郎君があれだけ上手いとはいえ……)

巴(女として、このままってのは駄目ですしね)

初美(少しくらいは上達するですよー)

春(黒糖菓子練習しよ)








5月☆日

今日は、なんというか、小蒔さんの様子が変だった

朝は俺の家まで来て一緒に学校に行きましょう?と言ってきた

笑顔だったが、普段の安心するような可愛い笑顔でなく、妖艶という言葉が似合うような笑顔だった

それだけならまだいいが、恰好もおかしかった

普段よりかなりスカートが短かった。普段見えない太ももとか見えてるし

それと、登校中になんか腕を組んで明らかにこっちに寄ってくるし、やけに動く

落ち着いて考えることのできる今なら分かる。小蒔さんは今日、ノーブラだった!!

あの服越しの柔らかさ、縦横無尽に揺れるおもち、明らかに付けていないっ!!

分かっていたらもっと堪能……いや、こっそり春や石戸さん辺りに伝えたのに

昼も、わざわざ俺の教室まで来て、外で一緒に食べよう、と誘ってきた

それ自体は珍しいけど別にいい

ただ、なんというか、エロかった

こう、食べる時の動作ひとつひとつがやたらエロかった

今日に限ってお弁当に大き目のウィンナーなんか入ってるし

うっかりお茶を自分の胸にこぼした時なんか、あきらかに狙ってるだろ!?と言いたくなるほどだった

部活の時もやたらと指導するという名目で背中に引っ付いてきたが、明らかに"あてている"

集中なんてできる訳がない!!なんか春に勝ったけど偶然だろう

その辺りでさすがにおかしいと思ったのか、石戸さんと狩宿さんと初美さんと春に連れられてどこかへ行った

部活が終わる頃に戻ってきたが、いつもの小蒔さんだった

やたら顔を赤くしていたが、すげー安心した

帰りに春と初美さんから叩かれたりしたけど、やっぱりいつもの小蒔さんが一番だ

初美「あー、確かうっかり寝ぼけて神様降ろした時でしたっけ?」

小蒔「は、はい……こう、ぼんやりとしか覚えてませんけど、すごく恥ずかしいことをしたというのは覚えています……」

霞「大変だったわよねー。神様も京太郎くん気に入っちゃって」

巴「祓うのすっごく大変でしたよね。神様の方が帰りたがらないなんて」

春「京太郎も危なかった……色々な意味で」







5月★日

今日は休みだったが、また良子さんに誘われて出かけた

こっちにまた来たので食事でもどう?ということだった

それはいいが、指定された場所があんまり聞かないところだった

なんでも良子さん個人の知り合いがやっている店らしい

流石に俺でも分かる。またドッキリ的なことをやるのだろう。小鍛治プロに会ったなら、それ以上の人なんてそうそうに呼べるわけもない

そう思って、指定された店に行ったんだ

「ハロー、お久しぶりです。あ、知り合いとか呼んじゃいました。テヘ」

「えっと、久しぶりだね。その、ごめんね?」

「よー、三尋木咏です。キミが噂の高校生?ほほー、こりゃ良子ちゃんとすこやんも夢中になる訳だねぃ」

「瑞原はやりです!はやりんって呼んでね☆」

「……野依理沙!!……よろしく!!」

「どーもー!福与恒子です!!いきなりごめんね?でも面白そうだからよろしく!!」

書きだしてみたけど、上から良子さん、小鍛治プロ、三尋木プロ、瑞原プロ、野依プロ、福与アナだ

うん、酷い。大人数とか予想できねーよ

つーか有名なプロばっかりなんで鹿児島にいんの?暇なの?良子さんがすごいの?いやすごいけど!!

扉閉めようとしたら福与アナに思いっきり止められた

テレビで小鍛治プロいじってる時の笑顔だった

親指立てる良子さんと、申し訳なさそうな小鍛治プロが対照的だったな

卓も置いてある店なので、軽くつまみながら打とうということになったが、自然と俺とプロ3人

なにこの状態。すごい状態なんだけど色々ビックリしすぎてついていけなかった

まずは三尋木プロ、瑞原プロ、野依プロとだった

なんだろう、すっごいこっちの一挙一動見られてる感じだった

無論飛ばされた。トッププロ3人相手とか無茶すぎる

「んー、悪くはないねぃ。詳しいことはわっかんねーけど」

「うん、まだまだ初心者って感じが抜けきれないだけで充分素質はあるかな。じっくり色々学んでいけばいけるよ☆」

「……これから!!」

3人のプロそれぞれから評価はもらった。瑞原プロ、できれば最初の真面目な感じで続けて欲しかった。出してる麻雀の本とかすげー真面目感じで参考になるのに

おもちはトップクラスだけどやっぱちょいきつい

そこからは、普段の何倍も勉強になる時間だった

プロ3人と打って、プロ2人が傍で見てくれるんだ。ただ、アナウンサーがちょくちょくからかってカオスな状況になったりしていたが

結局夕飯もそこで食べて、少しして帰った

帰り際、皆さんと連絡先を交換した。なんか、すごい勢いだった気がするけど……

しかしこっちに来て、プロに麻雀教えてもらって、プロとの連絡先まで知ることになるなんて

人生何が起こるかマジで分かんねーな

巴「三尋木プロ、瑞原プロ、野依プロ、福与アナの連絡先って……一体どうなってるの?」

小蒔「京太郎くんはすごいですね!!」

初美「姫様姫様、多分これそういうレベルじゃないですよー」

春「……狙われてる?」

霞「まさか……うん、だって良子さん以外一回りは離れてるし……ねぇ」



はやり「なるほどねぇ……でも京太郎くんは譲れないな☆」

良子「ハハハ、一番最初に目を付けたのは私ですよ?」

咏「えーいいじゃんいいじゃん。卒業したら私のマネージャーとして雇おっかなー」

理沙「それ……いい!!」

健夜「何勝手に決めようとしてるの!?」

恒子「おーっとこの男子高校生争奪戦にすこやんも参戦!?」

健夜「変なこと言わないでよ!!」

恒子「あ、でもうちの局にってのも悪くないかなー……」

健夜「恒子ちゃんまで!?」








5月28日

今日は初美さんの誕生日だった

というのも部活前に春に聞いたんだが

誕生日だと聞いた瞬間、「へぇ、いくつの?」ノータイムでそう返してしまった

春も軽く笑っていたが、部室に入ってすぐ、扉越しに聞いてたっぽい初美さんから脛に蹴られた

ちょっと涙目になった

周りも「分からなくもないけどお前が悪い」という感じだった

初美さんの機嫌を悪くしてしまったようだったので、急遽プレゼントを作った

石戸さんに少し部活を抜ける許可をもらい、春も共犯ということで黒糖を1袋もらった

そこからは家庭科室に行き、料理部に少しだけ端っこの調理台と材料を借りた

小麦粉と卵とその他諸々、味付け用には春の黒糖、これだけあればすぐできる

簡単なドーナツ(黒糖味)が完成した

料理部の分も作って、すぐに麻雀部に戻った

戻った時もまだ初美先輩は機嫌が悪そうだったが、誕生日プレゼントといってドーナツを渡すと、驚きながらも喜んでくれた

多めに作ったので、部のみんなのも分けたが好評だった

一応、誕生日プレゼントは渡せたし、良かった良かった

春「アレは良かった。黒糖1袋渡した甲斐があった」

小蒔「すぐに作ってきたのがすごかったですね!」

巴「それでまた美味しいんですよね」

初美「私のために作ってくれたと思うとさらに美味しいですよねー」

霞「でも結局は好評すぎるから何回も作ってきてくれたわよね」

春「最高だった」

初美「むー……美味しかったけどそれは複雑ですー」






6月×日

今日は部活が終わって少し用があって残っていた

用もあらかた終わり、帰ろうかというタイミングで雨が降ってきた

鞄にいつも折り畳み傘を入れていて良かった、そう思って下駄箱まで行くと、石戸さんが居た

石戸さんも用があって残っていたらしいが、雨が降ってきて、傘も無くどうしようかというところだったらしい

それを聞いて、折り畳み傘で、石戸さんが良ければ入っていきませんか?と提案した

小さい傘に2人は厳しいが、無いよりマシだろう

石戸さんは笑顔で了承してくれた

元々俺1人で使っても少し厳しい折り畳み傘、そこに2人はかなり密着しないといけない

要はアレだ。おもちやべぇ

あのおもちをここまで間近に感じれるなんて!!今日はこの瞬間のためにあったのか!!

しかし石戸さんを濡らす訳にもいかないので、傘のほとんどを石戸さんの方へやり、俺はかなり濡れてしまっていた

だがいい。濡れて透けたおもちも見てみたいが、それをこんなところでやるのは流石に紳士じゃあない

何より男の俺が濡れないより、女の子が濡れない方がずっといいに決まってる

石戸さんと別れる時、石戸さんの家の方がまだ遠いと聞いて、傘を石戸さんに渡して俺は濡れて帰った

春「紳士……」

巴「何この去り方、かっこいい」

初美「目線が胸に無ければなおかっこよかったんでしょうねー」

霞「まぁ、そこは諦めてるわ。でも、背中から見て明らかに体の半分以上が濡れてるのが分かった時は結構かっこよく感じたわよ」

小蒔「素敵ですね」







6月○日

昨日濡れたせいか、今日は軽く熱が出てしまった

おかげで学校も休むことになった

家に両親は居ないし、寝てれば治るとは言うが、1日寝てるのは暇だったので携帯で麻雀のアプリを軽くいじってた

寝たりアプリいじったりしていると、放課後の時間になったからか、春と石戸さんがお見舞いに来た

春は黒糖を置いて行った。予想はできたけど、本当に置いただけで帰りやがったあの黒糖っ娘め

石戸さんは昨日のお礼を言って、同時に自分のせいだと言っていた

気にしていないと言ったが、それでも無関係ではないということで、石戸さんが看病してくれることになった

といっても熱は少しあるといったぐらいなので、寝てれば治るくらいだ。やってもらうほどのこともない

それじゃあ、と石戸さんは言って部屋から出た

しばらくしたらお粥の入った土鍋を持ってきてくれた

今日ほとんどまともなものを食べてないのがばれていたらしく、わざわざ作ってくれた

時間も中途半端だったので、とりあえず軽くもらったが、美味しかった

お粥で美味しいって地味にすごくね?病人相手なのに

石戸さんは残りは夜にでも食べて欲しいということだった。無論食べた

それからはゆっくりと話した。1日1人だったので、これが結構ありがたかった

何より近くにおもちがあるのだ。元気にもなる。無論健康面の方で

しばらく話して、遅くなる前にと石戸さんは帰って行った

帰り際に、連絡先を交換した。それと何故か京太郎くんと呼ばれ、霞さんと呼ぶように言われた

少し迷ったが、試しに呼んだ時の笑顔でかなり可愛かったので霞さんと呼ぶことになった

ま、いっか

初美「お見舞いですかー……私も行けばよかったですー」

巴「大人数で押しかける訳にもいかないでしょ」

小蒔「ところで、春ちゃんはなんですぐに帰ったんですか?」

春「……流石に私が居る前でお礼言ったりするのは恥ずかしそうだったから」

霞「感謝してるわ。おかげで連絡先も交換できたしね」

春(後プレッシャーすごかったし……それ抜きにしても2人きりがよさそうだったし……)







6月△日

今日は部の買い出しに狩宿さんと行った

すこし分かりにくいとこにある店らしく、わざわざ一緒に行ってくれるらしい

必要な物をある程度買ったところで、学校に戻ろうかと言っていると、急に雨が降ってきた

とりあえず買った物を濡らさないため、近くにあった喫茶店に入った

適当な席に座り、少し雨宿りすることになった

狩宿さんはこの喫茶店に何度か来たことがあるらしく、ケーキがおすすめだと言って注文していた

まだ雨も止みそうに無かったので、俺も同じものを注文した

そのケーキは確かに美味しかった。狩宿さんも少し機嫌よさそうに話してくれた

たまたま見つけた店だが、結構いい店だった。近いものができないか家でケーキ作りをしてみたが、中々難しい、等

食べながら、ある程度なら再現できるかもしれないと言うと、狩宿さんは驚いたように本当か聞いてきた

以前長野で食べたとある執事の手作りケーキよりはハードルは低そうだし

今度一緒に作りますかと聞くと、狩宿さんは喜んでくれた

とりあえずその時のためにと連絡先を交換した

そんな話をしていると雨は上がっていた

狩宿さんは学校に戻りながらも嬉しそうにしていた

テンションが高かったのか、俺のことを京太郎くんと呼んでいた

そのことを言うと、俺も巴さんと呼んでいいとのことだった

最近年上を下の名前で呼ぶこと多いな。いいけど

とりあえず、あのケーキの材料でも考えよう

霞「あらあら、2人っきりでサボり?」

巴「雨宿りですよ。ケーキは霞さんも食べたじゃないですか」

春「京太郎の黒糖ケーキは絶品」

初美「ですねー。でもアレのせいでお菓子作りが趣味の人が落ち込んだらしいですよー」

巴「あぁ……私もちょっと落ち込んだ」

小蒔「どうしてあんなになんでもできるんでしょうね」

春「なんか、執事の友達がいるらしい」








6月□日

今日は休みだったが、ちょっと面倒な宿題が出たのでウチで春と分担して進めていた

ある程度進み、少し休憩していたところで咲から電話が来た

久しぶりだったので春にしばらく待ってくれるように言ってから話した

咲は最近麻雀部で合宿に行き、今度の大会に出るらしい

応援してるぞー。永水の次に、なんて冗談を言いながら話していると、春がまだかと少し大き目の声で聞いてきた

少し長電話しすぎたかと思っていると、咲も友達といるのか聞いてきた

友達っつーか遠い親戚。お前よりおもちの大きい。そう言うと咲は少し拗ねたようにそこまで大きくないでしょ、とか言ってきた

まぁ大抵のおもちは咲より大きいしなー。Aあったっけ?とか言うと、春が、少し笑った

咲にも笑い声が聞こえたらしく、怒った声で笑うのは酷いとか言っていら

まぁ咲の方が付き合いは長いし、とか適当に宥めて電話は切った

春は少し機嫌が悪そうだった。そして、やたらと咲のことを聞いてきた

別に、ただの幼馴染だと言うと少し何か考えているようだった

なんだったんだ?春も咲も途中で少し機嫌悪くなったし

アレか?女の子の日か?

初美「うわ、酷いですねー」

巴「そりゃ本来自分しか見ない日記だし、多少こういうことも書くでしょう」

春「……宮永咲……負けない」

霞「直接対戦したのは私だったけど、強かったわよ?」

春「……麻雀以外では」

巴「言い直した……」

春「京太郎は譲らない!」

小蒔「そ、それってどういうことですか!?」

霞「そうよ。譲れないのはみんな同じよ?」

初美「ですねー。こればっかりは駄目ですよー」

巴「当然です」



咲「っくしゅん」

咲「少し冷えるなぁ……1人でゴミ持ってくのは失敗だったかな」

咲「京ちゃんがいたらなぁ……なんか気付いたらやってそうだよね」

咲「ふぅ。京ちゃん、帰ってこないかなぁ……」







6月●日

「ハロー、ツーリングに行きましょう」

休みの日にいきなりそんなことを言うライダースーツ姿の良子さんが玄関前に立っていた

俺、バイク持ってないのにツーリング?そう疑問に思っていると

「カモン」単車に跨り後ろを指差す良子さん

男のやってみたいことのひとつだけど男女逆だしいきなりなんだろうか

そう思いながら俺は後ろに乗った

「もっとくっついていいんですよ?」そう良子さんは言うが、年上の美人にくっつくとか正直たまりません

おずおずと前に手を回したが「ん、へい、もっと上ね。触っても責任取ってくれるだけでオーケーですから」

いい笑顔で言われたからその辺りは触れないように全力で気を遣った

良子さんは結構なスピードで走っていた

後ろに乗ってる俺に気を遣ってるのか、カーブ等の時はどっちに身体を倒すとか丁寧に言ってくれた

しばらく走ると、どこかの高台の上でバイクを止めた

良子さんはバイクから降り、俺の手を引いて高台の景色を見に行った

「んー、やっぱりここの景色はグッドですね。たまに見たくなるんですが、1人じゃアレなんで無理矢理攫っちゃいました」

悪戯っぽく笑う良子さんは普段のクールな美人な感じより、可愛い女の子みたいに見えた

確かに高台からの景色は綺麗で、俺もまた見たくなるような景色だった

そこからしばらく、自販機の缶コーヒー片手に雑談した

バイクの免許を取るかどうかとか、黒糖についてとか、この前本気出したすこやんがモンスターどころかマジもんのクリーチャーだったとか

俺の今度の試合についての話もした

「やっぱりまだまだですね。でも、麻雀は何が起こる分からない。誰だって勝つ可能性があるんですよ?」

そう言ってもらった

小蒔さんや初美さんなど、すごい人ばかり見てて少しビビってたが、気が楽になった

「グッドグッド。リラックスしていきましょう。では、帰りましょうか」

帰りは少しだけ、行きより抱き着いて帰った

バイクの免許、取ろうかな

初美「なんというか、良子さん大人って感じですねー」

巴「余裕たっぷりだよね」

春「……京太郎がバイクに乗るようになったら後ろ乗せてもらお」

小蒔「いいですね!私も乗りたいです!!」

霞「あら、じゃあ私も乗ろうかしら?」

初美「あの3人の誰かが京太郎の後ろに乗ったら、間違いなく京太郎が事故起こしますよねー」

巴「うん、特に霞さんとか危ないよね」







6月◇日

学校帰り、少し騒がしいかと思っていると、どうやらどこかのテレビの取材があったらしい

もう撮影自体は終わっているが、有名人がまだどこかでフラフラしていて騒がしいとか

別に気になる有名人もいないから適当に帰ろうかと思っていると、いきなり肩をつかまれた

「だーれだ?なんちゃってね!」振り返ると、福与アナだった

どうやら撮影が終わってフラフラしている1人らしい

暇だから遊ばない?とか言っていたが、男子高校生と遊ぶアナウンサーってどうなんだ

時間はあったので、俺も春達に案内してもらった、少し離れたところのお土産屋に連れていった

色々置いてあったので福与アナも物珍しそうに店内を見て回っていた

俺もこっちに来てそこまで長い訳でもないので、色々見たりした

あれは美味しいか、これはどうだ、これをすこやんに渡したらどんなリアクションをするか

色々話しながら、それなりに楽しんだ

結構な量のお土産を買った福与アナは、時間ということで別れた

別れ際、「キミも高校生雀士だよね?インハイで待ってるよ!!」と言ってくれた

ラジオとかでアレなのに、結構嬉しいこと言ってくれるんだな

大会までもう少し、頑張ろう


霞「そういえばテレビの話をおばさま達がしてたわね」

巴「旅番組でしたっけ。こっちの美味しいものを食べていく」

春「美味しいものといえば黒糖」キリッ

初美「いや美味しいですけど、ていうかブレなさすぎですよー」

小蒔「どれも美味しいですしね」







6月▽日

大会も近かったので、部活が終わった後も少し居残りして練習していた

みんな帰ったからネト麻でだが

しばらくすると、帰ったと思った霞さんが来た

「1人より、誰かに教わった方がいいかと思ったんだけど、どうかしら?」そう言ってくれた

願ってもないことだ。それからは色々教わりながら打った

しかし、霞さんもどんどん指導に熱が入っていくからか、どんどん後ろからパソコンの画面を乗り出して見るようになっていった

すると、おもちが背中に当たる。霞さんのおもちはただでさえとんでもない大きさだ。それが当たらない訳が無い

するとそれにより集中などできる訳もない。当然ミスする

また乗り出して見ながら指導する。当たる。ミス。さらに密着

そう、無限ループだ

俺は、決してこの日を、この時背中で感じた感触を忘れない

ありがとう……ありがとう霞さん

本当に……本当に……ありがとう……それしか言う言葉がみつからない……

気付くと、目の前のネト麻での対局が終わっていた

結果は、なんと俺がトップだった

途中、背中の感触に集中しすぎて自分が打っているのかどうか分からないような感じだったが、そのせいか?

霞さんは驚いた顔でしばらく、スサノオだのマサカドだの呟いていた

よくわからなかったが、別にいいか

霞「この時ね、確かに感じたのよ。姫様と同じように神様を降ろしたような、もっと別の"何か"を降ろしたような感覚が」

巴「遠縁の遠縁といえ、多少は同じような血と考えられますけど、ありえるんですか?」

春「祓う必要もなかったの?」

初美「勝手に降ろして、勝手に帰るとか……いやいや信じられないですよー?」

小蒔「そもそもそんなことをして、京太郎くんは大丈夫なんでしょうか?」

霞「これ以降こんなことは見てないけど……現に今大丈夫だからとしか言えないわ」