「はぁ......」


学校帰りに私はため息をついた


「楽しかったな......誕生日会」


学校の皆が私の誕生日を祝ってくれた

それはとても嬉しいことで、その時間はとても楽しかった

気が付いたらとっくに下校の時間になっているくらいに


でも私の口からはため息がこぼれてしまった

理由はわかってる

本当に祝って欲しい人が他にいるからだ


「あほ......彼女の誕生日くらい顔を見せぇ...」


私、清水谷竜華には恋人がいる

あ、怜ではないよ?

れっきとした男の人だ

出逢ったのは偶然だった















私が高校2年生の時

いつものように街を歩いているとふと違和感というか、何かおかしいような気がした

いつもよりにぎわっているようなそんな

その時、私の隣で一緒に歩いていたのは怜だった

怜はすぐ私が何か思ってることに気づいた



「なに考え事してんの?」

「ちょっと...な」


もやもやするというか、違和感があるのは分かるのだけどそれがなんなのか分からない


「いいから言ってみ? うちならわかるかも」

「んと......なんかいつもよりにぎわってるというか...騒がしいというか...」


こんな要領を得ないこと言っても分かるわけない

そう思ってた



「あー......確かにもうそんな時期か」

でも怜はすぐにわかってしまった

私の感じた違和感に


「怜、わかるんか?!」

「分かるも何も周りを見たら一目瞭然や」

「周り......?」


慌てて周りを見渡す



「あっ......」


怜が言いたいことが分かった

そういうことだったのか


「そうや......今の時期だと...ちょうど―――」













「「修学旅行!」」


そう、街を賑やかにしていたのは他県から来ていた学生だった








しばらく怜と2人で歩いていると怜が疲れた、と言ったので座れるところで休憩することにした


「怜、何か飲みたいものある?」

「おちゃー」


怜はそれだけ言うと背もたれに寄りかかった

私は怜に待ってて、とだけ伝えて自動販売機に向かって歩き出した




「ったく...咲のやつ...どこほっつき歩いてるんだか...」

修学旅行で大阪に来た俺は迷子の散策に明け暮れていた


「電話してもでねーし......ったく...」


携帯を乱暴にポケットに入れて周りを見渡す






(ん...? 女の子が男に囲まれてる......?)


ショートカットの少女に対して三人の男が立ちはだかっている

見るからに異様な光景

少女の瞳は彼らの目を睨みつけている



でも、やはり女の子一人に男三人という状況に対して恐怖を感じているのか身体が震えている


(あぁもう! なんでいつもいつもこうやって面倒なことが起きるんだよっ!)


俺は後先考えずに異様な光景が広がっている場所に向かって歩き出した




「せやから、あんたらしつこいねん!」

「うちは人を待っとるって言うとるやろ!」


竜華が居なくなってすぐに三人の男が私の前にきた



「えーでも待っても待ってもこないじゃん?」

「そんなこない人待ってるよりもさぁ俺たちと一緒に行こうぜ?」

「そうそうww大阪とか初めて来たからよくわかんないしさww案内してよwww」


そう言いながらこいつらは私の身体を舐めるように見てくる




(気色悪いっつーの......)


ぐっと罵声の言葉を飲み込む

ここで彼らを逆鱗に触れてしまえばひとたまりもない

逃げるにしたって体力のない自分では勝てるわけがない

すぐに捕まってしまう

それよりもここで時間を稼いで竜華が帰ってくるか他の人が警察に通報してくれるのを待っていた方が現実的であった



(つーか、周りのやつらも見てへんでさっさと助けろちゅーの......)


そう私が思っていると視界の隅から金髪の少年がこっちに向かってくるのが見えた


(なんやなんや...もしかしてこいつらの仲間か...?)


金髪。ただそれだけの先入観で私は少年を不良として見てしまったのだ

けど現実は違った

違うことを思い知らされたのだ





「よっ!!」


金髪の少年は出来るだけ大きな声を出したような気がした


「「「!!?」」」


そこにいた全員が金髪の少年の方に振り返った




「いやーわりーわりー、ちょっとトイレ混んでてさ」


片手でごめんごめん、とやりながら三人の男の間をすり抜けて私の前にきた

そして私に向かってウィンクした


(は?)


当然分かるわけもなくポカーンとしてしまう

少年の唇が動いていることに気が付く


(こ、こ、は、ま、か、せ、て......?)


少年は私に手を差し伸べる


(この手を取れっちゅうことか......)

(もう...どうにでもなれっ...)


私は少年の手を取った


「お兄さんたちごめんなさいね、この子が迷惑かけたみたいで」


三人が唖然としてる

その隙を狙って少年は私の手を引いて歩き出した


「ちっ.........男付きかよ......」


後ろからそんな声が聞こえたような気がした





「ちょ......ちょっと...あんた......」


しばらく歩くと金髪の少年が手を離してくれた


「あ...ごめんなさい...つい」


少年は申し訳なさそうな顔をする




「えっと......助けてくれたことは感謝する...うん......ありがとな...」


「どういたしまして......?」


「で、えっと......君?」

「なんですか?」

「見ない顔やけど......もしかして修学旅行か?」

「ええまぁ...そんなところですけど」

「というかえっと......貴方はあんなところでどうしたんですか?」

「んと、知り合いを待っとったけども...」

「ごめんなさい...」

「だから大丈夫やって。竜華には電話すればええし」


そう言って私は携帯を取り出し、竜華に電話する


「...............あれぇ...出ぇへん」


もしかしたら竜華も私のこと探してるかもしれん


「君! さっきのところ戻る―――っ!!?」


私が言葉を言い終える前に少年の身体は視界から吹き飛んでいった









「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「いえ...はい、大丈夫ですから」


ペコペコと頭を下げる竜華

そしてその前では気まずそうに頬を掻く金髪の少年だ



「えっと...須賀くんだっけ?」

「はい」

「誰か探してるんやっけ?」

「そうですね...こいつです」


携帯を取り出して画面を見せてくれる

そこに映っているのは金髪の少年と一緒に写っているショートカットの女の子だ


「誰かに似てるような気がするんやけど......」

「誰やっけ?」


画面の少女が誰かに似ているような気がしたが思い出せない

きっとこういうのはしばらく思い出せないものだ


「さっき蹴っ飛ばしてしもうたお詫びに一緒にこの子探させて!」

「え?」「え?」


私と須賀が同時にそういった

予想外というかこんなことになるなんて思ってなかった

「な? 怜も助けられたんやろ? だったら協力せな!」

「え......えぇ......」


正直めんどくさい

早く帰って竜華の膝枕されたい

でも......


「しゃーない......私も手伝う」


こうなった竜華は誰にも止められないしな


「あ.........ありがとうございますっ!」


というわけで少女を探す旅に出ることになったのでした

めでたしめでたし







なわけないやろ?







えっと...何から話せばいいか...

あの日はなんとか京くんの探している人を見つけることが出来て解散ってなったんやけど

たまたま、うん、たまたま、連絡取れないと困るからって京くんと連絡先を交換しててな

次の日、京くんも自由行動やって聞いたから一緒に観光しないかって

地元民がいた方が便利やろ?ってことで会うことにした


その当時は2人っきりなんて考えてなくて

京くんと怜と迷子になっていた少女、咲ちゃんと一緒に出掛けた

関東の人はノリが悪いみたいなのを聞いたことあったけどそんなこと全然なくて

京ちゃんはうちらのノリにバッチリ付いて来っとった

そんな中でも気ぃ配って咲ちゃんが一人で寂しい思いしないようにしとった

正直すごいと思った

最初は憧れ、というかそういう、羨望みたいなものから始まったんだと思う

今じゃ何から何まで好きって感じやから...分からんけど

京ちゃんと咲ちゃんが帰ってしまう最終日に私と怜で会いに行くって約束した

そん時にな、怜と相談してあの2人になにかあげようって話になった

名物である食い倒れ人形のキーホルダーを持って私と怜は予め決めておいた集合場所に来た

予定した時間になると京くんと咲ちゃんの姿が見えた

手を振るとちゃんと振り返してくれる2人

そして、2人にプレゼントを渡す

驚いた顔をしてけど喜んで受け取ってくれた

そして帰り際に


「向こうに戻っても連絡しますから!」


って京ちゃんが言ってくれた








正直すっごく嬉しかった

これでお別れでもう会えないものかとずっと思ってた

京ちゃんと咲ちゃんが長野に戻ってからしばらくして私の家にある宅配便が届いた

差出人を確認して私は息を呑んだのを今でも覚えとる

そこにはしっかりと『須賀京太郎』という文字が書かれていた

中を開けてみるとそこには手紙とおやきが入っていた

手紙の内容はこんな感じやった


『あの時は本当にありがとうございました。あの時咲が見つかったのは竜華さんと怜さんのおかげです。長野名物のおかきをそちらにおくりました。俺のお小遣いじゃこれが限界でした、ごめんなさい』


一枚を捲ると更にもう一枚の手紙で出てきた


『こちらはもうすぐ長い休みに入ります。もしそちらの都合がよろしければまたお会いして遊びませんか?』


と書かれてた

私は携帯を取り出してすぐさま電話をかけた






通話先はもちろん―――


「もしもし、須賀ですが」


京くんや


ここから京くんとデートしたり告白されたりしたこともあるけど割愛させてもらうで

ちょっと恥ずかしいねん...赤裸々にそんなこと語るのって

だから...ごめんな?






「はぁ......」


何度目になるかわからないため息を私をついた

ついに彼に会うことなく家まで付いてしまった

もう彼に会うことはできないのだろうか







そんなことが頭をよぎったその瞬間



         「竜華さんっ!!」



見知った、懐かしい声が聞こえてきた

私は振り返って声のした方を見た

するとそこには...夕日に照らされてまぶしいくらい輝いている金色の髪の毛の少年がこちらに向かって走っていた






         「京くんっ!!」


私も気が付いたら走り出していた

彼の元に


そして、そのまま彼に抱き付いた





「ごめんなさい遅くなって」

「待ってた...ずっとずっと......来てくれるって」

「はい......俺も逢いたかったです」

「あほ......女たらし...」

「俺がたらしになるのは竜華さんだけです」

「ふんっ......」

「じゃあ試してみます?」

「な......何を......?」

「それはもちろん.........」

彼がニヤリと笑う



                「大好きです、竜華さん」



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                   「うんっ! うちも大好きや、京くんっ!!」


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カンッ!