京太郎「なんかコンビニって久しぶりな気がします」

理沙「えらい!」

京太郎「いや、そんなこと無いですよ」

理沙「……」オイデオイデ

京太郎「いやいや、外じゃ恥ずかしいですって」

理沙「帰ったら」

京太郎「まぁ、その……は、はやく買って帰りましょう!」

理沙「可愛い」

京太郎「そんなことないです!!」キッ

京太郎「あ、もう肉まんとか無い時期なんですね」

理沙「冬だけ!」

京太郎「結構好きなんですけどね。コンビニの肉まん」

理沙「バターつける」

京太郎「へぇ~バターつけたことはないですね。憶えてたら試してみたいです」

京太郎「そういえばうちの近くに鹿まんとかソースかつ丼まんとか売ってるとこありました」

理沙「なにそれ!」

京太郎「名前そのままですけど鹿肉が入ってるやつとソースカツが入ってるやつです。俺は結構好きでしたよ」

理沙「気になる!」

京太郎「……あー、その、将来俺の両親に挨拶することもあるかもですから、その時にでも……」ボソボソ

理沙「……っ!」カオマッカ

理沙「…………」コクリ

京太郎「何しましょうか……結構色々ありますね」

理沙「パスタ」

京太郎「あー理沙さんはパスタですか。ちょっと量が足りないんですよね」

京太郎「まぁお弁当でも足りるかと言われれば足りないんですけどね」

理沙「……お弁当」

京太郎「あ、いやいや理沙さんの作ったお弁当は大丈夫ですよ!なんかこう心が満たされてお腹一杯と言いますか、こういう工場で作られたやつは愛情がつまってないと言いますか」

理沙「…………」クイクイ

京太郎「やっぱり味もあると思うんですよね。理沙さんのはなんかいい感じに俺の好みですし、木曜に入ってたねぎ入りの出汁巻きもお出汁の味がしっかり利いててよかったんですよ。コンビニとかのお弁当に入ってる出汁巻きは砂糖が入ってるか出汁が薄すぎてどうにも自分の口に合いませんし、そういうのがあると、ああ、なんか食べ足りないなって感じます。そして、むぐっ!?」

理沙「―――ぷは。落ち着いて」

京太郎「ちょ、理沙さん!? こんな外でキスとかまずいですって」ボソボソ

理沙「喋り続けられるよりマシ」

京太郎「……すみません」

京太郎「結局親子丼とおにぎり二個にアイスまで買っちゃいました。理沙さんは何買ったんですか?」

理沙「ん」ガサ

京太郎「明太クリームパスタとゼリー。いいですね」

理沙「明太子好き!」

京太郎「そうだったんですか。明太子料理って全然知らないですね。何があるんですか?」

理沙「ポテトサラダ」

京太郎「あー、いいですね」

理沙「炙る」

京太郎「やばい。涎がやばいです」

理沙「春巻きの具」

京太郎「油で揚げますからね。すっきり食べられて良さそうです」

京太郎「んー、結構あるんですね。……今度食べてみたいなー」チラチラ

理沙「!! 頑張る!!」グッ





─────────

──────

───


京太郎「ご馳走様。たまにはこういうのもいいですねー。お金かかりますけど」

理沙「主婦!」

京太郎「まぁ一ヶ月こういう生活ですからね。流石に気になるってもんですよ」

京太郎「あっちのスーパーはキャベツが安くてこっちのスーパーはもやしが安いとか特売日が何曜日とかようやく覚えてきたところです」

理沙「……!業務用スーパー!」

京太郎「なんですかそれ?」

理沙「安い!」

京太郎「ちょっと気になります。どこにあるんですか?」

理沙「待って……」カチカチ

理沙「ここ!」ズイ

京太郎「えっと……お、俺のマンションからも結構近いですね。今度行ってみます」

京太郎「そろそろ布団敷いときますか」

理沙「…………」

京太郎「理沙さん?」

理沙「……無い」

京太郎「え?さっきシーツの替えがあったとこに「無い!」……えっと……」

理沙「」ポフポフ

京太郎(あ、予想できたわ)

理沙「ここ!」

京太郎「一応聞いときますけど、理沙さんもそこで寝るんですよね?」

理沙「」コクリ

京太郎「で、俺もそこに寝るんですよね」

理沙「もちろん!」

京太郎「……わかりました。まぁ今更、ですよね」

理沙「」プンスコ!

京太郎(理沙さんってスキンシップ好きだよなー)

理沙「きょ、京太郎」

京太郎「ん?なんですか?あ、理沙さんもアイス食べます?」アーン

理沙「……あむ」

京太郎「美味しいですか?」

理沙「美味しい……」

京太郎「そうですよね!これ好きなんですよ、白くまアイス」

理沙「鹿児島のアイス」

京太郎「へぇ~。そういえば理沙さんは大分出身でしたね。本場のも知ってるんですか?」

理沙「割と大きい!」

京太郎「これよりも?」

理沙「それより!大分にもある!」

京太郎「食べてみたいですけど……お腹壊しそうですね」

理沙「……二人で」

京太郎「そうですね……お互いの地元に行ったときにやることが出来ましたね。どっちも食べ物ですけど」

理沙「」クス

理沙「……!! 違う!」

京太郎「な、何がですか?」

理沙「あっち向いてて!」

京太郎「? 何でですか?」

理沙「き、着替える」カァァ

京太郎「わ、わかりました」クル

京太郎(こ、こういう時は恥ずかしがるんだな。まぁいきなり見える位置で着替えを始められても困るけど)

 シュル…パサ…

京太郎(やっば。エッチの時を思い出しちまう。ほんの数時間前のことだしな……そこのベッドで……ああああああああ!!)ブンブンブンブン

京太郎(よし、落ち着くために違うものを想像しよう。落ち着くもの落ち着くもの……あれ?やっぱり理沙さんの顔が浮かぶわ)

京太郎(でも理沙さんに抱きしめられたらなんか落ち着くんだよなー、母性というか……胸あんまり無いけど)

京太郎(そもそも母性に胸は必要なのか? 否!胸関係無い!母性に胸関係無いっ!!」

理沙「!?!?」バシン!!

京太郎「痛い!!なんですか突然に!!」

理沙「聞こえてる!」

京太郎「しまったっ!!!」

理沙「」プンスコ!

京太郎「えっと……怒ってます?」

理沙「…………」

京太郎「あれですよ!理沙さんの母性が素晴らしいと思ってですね!それで、えっと……」

理沙「…………」ギュ

京太郎「……なんかごめんなさい」

理沙「……可愛い」

京太郎「怒ってたんじゃないんですか?」

理沙「怒ってない」

理沙「ちょっと面白かった」

京太郎「言い訳しだしたことですか!?」

理沙「そう」

京太郎「慌てて損しました」ハァ

理沙「」ナデナデ

京太郎「あの、そろそろ離してもらえませんか?」

理沙「?」

京太郎「いや、なんでわかんないみたいな顔してるんですか」

理沙「寝るまで」

京太郎「寝るまでするつもりだったんですか!?しかもここで!?体痛くなっちゃいますよ!」

理沙「……ベッドで」ポッ

京太郎「なんで意味深に頬染めるんですか!」

理沙「ツッコミ上手い」パチパチ

京太郎「それほどでも……ってなにやらせるんですか!」

京太郎「ほらベッド行きますよ」

理沙「わかった」

京太郎「だから離してください」

理沙「……わかった」シブシブ

京太郎「とりあえずベッドに来ましたけどまだ21時だったんですね」

理沙「ゆっくり出来る!」

京太郎「そうですね」

理沙「」オイデオイデ

京太郎「うーん……えい」ガバ

理沙「!?」

京太郎「どうですか?俺に抱きしめられるのは?」

理沙「……悪くない」

京太郎「そのわりには口元ゆるんでますよー」

理沙「緩んでない!」ジタバタ

京太郎「ふっふっふっ。この状態では振りほどくことも出来まい」

理沙「む……」

 ペロ

京太郎「ひゃぁお!?ちょ!舐めるのは反則じゃないですか!?わぷ!」

理沙「」ギューー

京太郎「……こっちのほうがいいんですか?」

理沙「」コクリ

京太郎「ていうか腕痛くならないんですか?俺みたいに鍛えてたらわかるんですけど……」

理沙「痛くない」

京太郎「そうですか……」ギュ

理沙「京太郎」

京太郎「なんですか?」

理沙「好きになってきた?」

京太郎「……そうかもしれません」ギュー

理沙「可愛い」

京太郎「あの、可愛いは止めて貰えません?」

理沙「? 褒め言葉!」

京太郎(わっかんねー)

理沙「敬語!」

京太郎「あ、気になりますか?」

理沙「」コクリ

京太郎「でも、年上にタメ口はちょっと……」

理沙「」プンスコ!

京太郎「流石に躊躇ってしまいます」

理沙「…………!敬語禁止!」

京太郎「えーー!!」

理沙「出来る」ナデナデ

京太郎「理沙さんが年下扱いしてくんじゃん……」ボソボソ

理沙「がんばれ、がんばれ」

京太郎「……わかりま、わかった」ハァ

理沙「いい子いい子」ナデナデ

京太郎「……」ムー

京太郎「理沙さん」

理沙「」ジトー

京太郎「いや、流石にさん付けは許して」

理沙「わかった」

京太郎「その、こういうの聞くのあれだけど……やっぱりまだ痛いもん?」

理沙「……少し」

京太郎「…………」

理沙「でも」

京太郎「?」

理沙「京太郎との証拠」

理沙「平気」

京太郎「理沙さん!」パァァ

理沙「予約」

京太郎「予約?」

理沙「京太郎と付き合うこと」

京太郎(そういや付き合ってなかったな!いや、まぁあんなもん建前だけどさ)

理沙「……プロ辞めれば「それは駄目」……」

京太郎「だって理沙さんはそれを望んでない。違う?」

理沙「……」

京太郎「麻雀が好きなの知ってるから。ずっと見てたから」

京太郎「俺の存在が理沙さんから麻雀を奪うなら、俺が理沙さんの前から消える」

理沙「嫌!」

京太郎「わかってる。それもちゃんと伝わってるから。麻雀も俺も大事」

理沙「……」コクリ

京太郎「俺理沙さんのこと大分わかっちゃってるからな」ヘヘヘ

京太郎「大丈夫。俺こうやってるの好きだから。実は甘えん坊だったみたいだ」ハハハ

理沙「……知ってる」ギュウ

京太郎「じゃあこれは?俺鍛えてるから女の人ぐらいの拘束なら簡単に振りほどけるの」

理沙「知ってる」

京太郎「それじゃあコーヒーの入れ方習い始めたのって誰かに飲んで欲しいからだってことは?」

理沙「しっ、てる」

京太郎「知ってたかー。あとは……そうだ。結構我慢強い!正確には3年弱ぐらい!」

理沙「……! ……今、知った」ポロポロ

京太郎「俺の新たな一面知られちゃったか」

京太郎「やっぱ恋人になる前に色々知らなきゃ後々やばいからな」

京太郎「頑張って理沙さん!俺はもう理沙さんマスターですから大丈夫だけどな」フンス

理沙「……汗の匂い好き」グスッ

京太郎「え、まじで」

理沙「まだまだ」クスクス

京太郎「まだまだだった」アハハ

京太郎「そろそろ寝よう」ンー

理沙「まだ!」

京太郎「明日でもいいんじゃ?」

理沙「……わかった」

京太郎(これじゃどっちが年上かわかんねーな)

理沙「おやすみ」

京太郎「おやすみ」

 パチ

理沙「…………」

京太郎「…………」

理沙「寝た?」

京太郎「寝た」

理沙「起きてる!」

京太郎「まぁそんなすぐには寝れない」

理沙「ねんねんころり?」ナデナデ

京太郎「子供扱いかよ!」

理沙「悪くない!」

京太郎「そんなんじゃ寝ないって」ハハ



京太郎「zzz」

理沙「……可愛い」

理沙「おやすみ」ギュ










京太郎「zzz……zzz……」

 ユサユサ ユサユサ

京太郎「んん……」パチ

理沙「おはよ」

京太郎「理沙さん、おはようございます」フアァ~

理沙「朝ご飯」

京太郎「ん……ぁりがとうございます」ギュ

理沙「食べる」ナデナデ

京太郎「ん~……ふぁい」

理沙「行こう」

京太郎「ん…………あ、す、すみませんっ!」パッ

理沙「敬語」

京太郎「……ご、ごめん?」

理沙「」ニコ

京太郎「おぉ、出汁巻きと味噌汁」

理沙「……昨日」

京太郎「あ、もしかして昨日出汁巻き美味しいって言ったから作ってくれたのか」

理沙「……」コクリ

京太郎「理沙さんありがとう!」

理沙「」テレテレ

京太郎「いっただきまーす」

京太郎「あ、明太子入ってる!これはご飯が進む」ガツガツ

理沙「明太子料理」

京太郎「昨日あげてなかったですね」

理沙「試してみた」

京太郎「ばっちり!」グッ

京太郎「理沙さん料理上手いよな」

理沙「勉強中!」

京太郎「成果出てる。こんなに美味しいし」

理沙「~~~」ボソボソ

京太郎「え?ごめん、聞こえなかったんだけど」

理沙「……お嫁さん。 なれる?」

京太郎「……理沙さん」

理沙「?」

京太郎「反則でしょ、その可愛さは」

理沙「??」

京太郎「はい、コーヒー」

理沙「ありがと」

京太郎「うん、美味しく入れられてるけど、やっぱりマスターには叶わないんだよなぁ」

理沙「経験!」

京太郎「だよなー」

京太郎「ま、こうやって理沙さんとのんびり美味しく飲めたらいいや」

理沙「……ファン一号!」

京太郎「俺のコーヒーの?」

理沙「そう」

京太郎「……定員は一人だな」

理沙「唯一!」

京太郎「そうそう。唯一のファンにはしっかりサービスしないとだな」ギュ

理沙「……ん」チュ

京太郎「んっ……キスをお望みだったか」

京太郎「ずっとこうしてるのもあれだな。何かない?」

理沙「…………!映画!」

京太郎「お、いいね。でも理沙さん全部見てるんじゃないの?」

理沙「見てないのある」

京太郎「んじゃそん中から選ぼう」

理沙「ん」



理沙「こんだけ」

京太郎「どれどれ……ホラーに恋愛物にアニメ。結構幅広いな」

京太郎(ていうかホラー駄目なのに持ってんだな。映画とかの映像で見る分には大丈夫なのかな?)

京太郎「この恋愛物って面白いのかな?」

理沙「それ?」

京太郎「うん。まだまだ時間はあるし他のも見たければ見れるからな」

京太郎「やっぱり俺の股の間に座るんだな」

理沙「逆になる?」

京太郎「いや、逆になったら見えないだろ」

理沙「……膝枕!」

京太郎「…………」

理沙「悪くない」

京太郎「俺の心の中読まないで。ほら、早くつけてください」

理沙「ん」ポチ

京太郎「……お、雰囲気は良さそうですね」

理沙「…………」

女優『あぁぁん!そこぉ

 プチ

京太郎(び、びびった!いきなりベッドシーンかよ!思わず停止ボタン押しちまったよ)

理沙「」モジモジ

京太郎「……別の見よう」

理沙「別に「良くない!俺が耐えられない!」そっちも、いい」

京太郎「いやいやいや、そんな昨日もして今日もしてとかそんなの……だ、駄目だろ」プイ

理沙「……」チュ

理沙「これで我慢」

京太郎「……もっかいいい?」

理沙「ん」チュ

京太郎「こっちのアニメ見よう。有名所だし外れないはず」

理沙「そうする」

京太郎「」

─────────

──────

───


理沙「良かった!」プンスコ

京太郎「安心して見れるよな」

京太郎「ふぁぁ~~~」

理沙「眠い?」

京太郎「映画見ると少し眠くなる」ゴシゴシ

理沙「」ポンポン

京太郎「……ご飯食べてからにしよう。少し眠いけどお腹も減ったしな」

理沙「わかった」

理沙「これ切って」

京太郎「ん」トントントン

理沙「違う、こう」トントントン

京太郎「おぉ。 こうか?」トントントン

理沙「そう」

京太郎「なるほど」

京太郎(なんかこれ、新婚みたいだな)

理沙「……新婚」ボソ

京太郎「え?」

理沙「なんでもない」プイ

京太郎「ドリアとサラダ、おしゃれですね」

理沙「フランスパンもある」

京太郎「足りなかったら貰うよ」

理沙「焼いとく」

京太郎「足りないこと前提?」

理沙「足りる?」

京太郎「……お願い」

理沙「ん」

理沙「……嬉しそう」

京太郎「まぁ……わかってもらえてる感じがすごくして……そ、そんなことより早く食べないとさめちゃうな!」アセアセ

理沙「食べよう」ニコ

京太郎「ご馳走様。結局フランスパンもいっぱい食べちゃったよ」

理沙「良い食べっぷり」

京太郎「神様と理沙様に感謝です」スリスリ

理沙「手伝ってくれた」

京太郎「それでもほとんど理沙さんだからな」

理沙「」テレテレ

京太郎「一生ここにいたい気分だ」

理沙「いい」

京太郎「……いや、やっぱ駄目です!我慢我慢!」

理沙「」ムー

理沙「」オイデオイデ

京太郎(そういや食べてから膝枕してくれるって流れだったな。もう眠くないけど)

京太郎(でも……気持ち良さそうだもんな……)

京太郎「お、お邪魔します」ポフ

理沙「」ナデナデ

京太郎「理沙さんってこういうスキンシップ好きだよな」

理沙「……口下手」

京太郎「でも前より喋ってると思うけど」

理沙「京太郎の前」

京太郎「あー……そういうことか」

理沙「あと……」

京太郎「何?」

理沙「可愛いから」

京太郎「……理沙さんの中で可愛いってどれくらいの褒め言葉なんだ?」

理沙「一番!」

京太郎(そうなのか……あんまり良くないけど、一番ってのは悪くないかも)ニヤニヤ

理沙「ふぁぁ……」

京太郎「理沙さんも眠そう」

理沙「大丈夫!」

京太郎「ベッドに行きますか?」

理沙「…………」コクリ

京太郎「んじゃ」ガバ

京太郎「んー……短い距離ですけど」ヨイショ

理沙「!?」

京太郎(お姫様抱っこって簡単に出来るんだな)

理沙「」カァァァ

京太郎「ほい到着。どうでしたか?」

理沙「……っ!」ギューーー

京太郎「むぐぐぐ!!」

京太郎「ぷは!!照れ隠しで抱きしめるの禁止っ!」ゼーゼー

理沙「」プイ

理沙「」コロン

京太郎(なんかベッドに転がった姿ってそそる)

理沙「早く」

京太郎「はいはい」コロン

京太郎「布団は被らなくてもいいだろ」

理沙「お腹だけ」ファサ

京太郎「ありがと。……向き合ってるのは駄目だな。キスしたくなる」

理沙「……ん」チュ

 チュル…チュ…ペチャ…


京太郎「はっ……寝る目的で来たのに」

理沙「寝てもいい」ナデナデ

京太郎「……抱きしめて貰うのは……」ボソボソ

理沙「」ギュー

京太郎「……安心する…………」





─────────

──────

───

京太郎「zzz……んん……」パチ

京太郎(いつの間にか寝てた……)

理沙「すー……すー……」

京太郎(まだ寝てる。年上とは思えない、あどけない寝顔だな……)

京太郎(俺は……理沙さんを支えたい……)

京太郎(まだまだ先のことだけど、高校を卒業して理沙さんと一緒になった時、どうするか)

京太郎(やっぱり安定してて、なるべく早く帰れるような職業……)

京太郎(うん、とりあえずこの路線で頑張ろう)

京太郎(待っててな、理沙さん)

理沙「すー……すー……」

京太郎「それじゃ帰るよ」

理沙「また」

京太郎「もちろん!理沙さんがOKならいつでも来るぜ!」

理沙「」ニコ

京太郎「理沙さん、俺頑張るから!」

理沙「?」

京太郎「それじゃ!」

 バタン


理沙「……変な京太郎」















 プルルルルル

京太郎「ん?みさきさんから?」

京太郎「もしもし」

みさき『あ、今から行くから』

 プツッ プー プー

京太郎「え?  え?」

京太郎「なんだ今の? 掛けなおして聞いてみるか」

 プルルルルル ガチャ

みさき『もしもし』

京太郎「もしもし。今の何?」

みさき『何って……そのままの意味だけど?』

みさき『とりあえず自分の部屋で大人しく待ってて』

 プツッ プー プー

京太郎「……なんなんだいったい」

 ピンポーン ガチャ

みさき「入るねー」

京太郎「もう入ってるじゃん」

みさき「細かいこと気にしないの」

京太郎「それで、突然なんで来たんだ?」

みさき「その前に……私に言ってないことあるよね?」

京太郎「んー?………………あ」

みさき「わかったでしょ」

京太郎「えっと……はい」

京太郎「理沙さんと付き合ってます」

みさき「それで……これを見て」

京太郎「ん?」


理沙  >言っとく

みさき >どうしたの?

理沙  >京太郎と付き合ってる

みさき >そっか

みさき >いいと思うよ

理沙  >それから

みさき >まだ何かあるの?

   ・ ・ ・

【ここから先、過激な女子トークの為カット】














京太郎「…………」

みさき「何か言うことは?」

京太郎「……ありません」

京太郎(ある程度言うかもとは思ってたけどえっちしたことまで言ってるとは……)

みさき「これから先のことはちゃんと考えてる?」

京太郎「正直考え始めたところで、まだまだ甘い……と思う」

みさき「それは当たり前。しっかり正しい意見持ってるなんて言ったら怒ってたよ」

京太郎「それでも」

京太郎「それでも理沙さんと一緒にいたい」

みさき「……そう」

みさき「京太郎君……ごめんね」

京太郎「……?」

みさき「実は最初から理沙のいい相手になるかもって思って引き合わせたの」

京太郎「……まじ?」

みさき「うん。まさかここまでやらかすとは思ってなかったけど」

京太郎「すみませんでした」フカブカ

みさき「怒ってないから。まぁ京太郎君に覚悟が無さそうだったら怒ってたけど」

京太郎「ははは……」

みさき「理沙の口下手って身内だと大分ましなのはわかってるよね?」

京太郎「もちろん」

みさき「それでそういう人って女の人ばっかりだったの」

京太郎(健夜さんとかはやりさんとかか)

みさき「だから男の人で身内……というか心を許せる人が出来たら少しはましになるんじゃないかなって」

京太郎「なるほど……でもなんで俺?」

みさき「理沙って男の人って感じの人とか年上が苦手みたいだったから。年下で見るからに怖く無さそうなのって京太郎君しかいなくって」

京太郎「俺かなりがたいもいいし怖いと思うんだけど……」

みさき「京太郎君はなんというか……オーラが犬っぽいから」

京太郎「それ理沙さんにも言われた」ズーン

みさき「じゃあ私の目に狂いはなかったってことだよ」

京太郎「少し複雑だ」

みさき「おじさんとおばさんには言うの?」

京太郎「言わないつもりだけど、追求されたら普通に言う。こういうのって変に隠したらこじれそうだから」

みさき「うん、それでいいと思う。周りには言っちゃだめ」

京太郎「わかってる。それは理沙さんとの共通認識だから。みさきさんに言ったのは隠し事したくなかったからだと思う」

みさき「……なんでもわかってるんだね」ボソ

京太郎「ん?何か言った?」

みさき「なんでもない」

京太郎「そういや一つ相談したいなって思ったことがあるんだけど」

みさき「何?」

京太郎「安定した職業って何がある?ちゃんと時間になったら帰れるとか」

みさき「うーん……地方公務員とか?市役所とかだったら部署によるらしいけどだいたい17時に帰っていいらしいし有給もとれるみたい」

京太郎「おお、いいな」

みさき「試験はあるみたいだけど、今から準備しっかりするなら問題無いと思うよ」

京太郎「まぁそれぐらいならって感じかな」

みさき「……京太郎君」

京太郎「何?」

みさき「理沙をちゃんと幸せにしてあげてね」

京太郎「もちろん!」

みさき「あと調子に乗らないこと。気抜くとすぐ調子乗るから」

京太郎「なんも言えねぇ……」

みさき「それさえ気を付けてればいいよ。京太郎君自体はいい物件なんだから」ナデナデ

京太郎「年下扱い止めて」

みさき「へぇー、理沙はナデナデ喜んでたって書いてたのになー」

京太郎「理沙さーーーーーん!!!!」

京太郎「それじゃ頑張ってくる。まぁ予選突破は無理だと思うけど」ハハハ

理沙「強くなった」

京太郎「理沙さんに教えて貰ったからな」

京太郎「でも流石に麻雀初めて2ヶ月だからなー。爪あとぐらいは残すつもり」

理沙「がんば!」

京太郎「もち!」

理沙「……」

 チュ

理沙「いってら」

京太郎「いってきます!」


─────────

──────

───
























 17時30分
 市役所から15分ほど歩いたところにある一軒家。
 妻の実家からも近く、自分の勤め先である市役所からも近いということで選んだ家。
 この家に住めるのも妻のおかげだ。


京太郎「ただいまー」

理沙「おかえり」


 玄関の扉を開けてただいまと言うと妻である理沙が奥からトタトタと駆け寄ってくる。
 鞄を置く暇も与えてくれず、彼女は抱きつきながら口付けをしてきた。
 普段は年上だとお姉さん風を吹かせるのに、こういう時は甘えん坊だ。
 まぁ、そういうところも好きなのだが―――


京太郎「ん……玄関まで迎えに来なくていいのに」

理沙「妻の務め!」

京太郎「いやでも「務め!」……」


 こういう時は何を言っても突っ張るからこちらから引くしかない。
 ――― 一つだけ手があったか


京太郎「……相変わらず強情だな。そんな悪い奥さんにはキスの刑だ!」


 冗談めかした言い方で抱き寄せ、何回も軽いキスを行う。
 罰だと言っているのに心地よかったのかトロンとした顔になり、むしろ自分から舌を絡めてきた。
 負けじと舌を入れ、絡める。

 五分か十分か、はっとここが玄関だということを思い出した。
 いけないいけない。
 理沙さんは身重の身なのだ。早く部屋に戻さなければ。


理沙「ん……ぷは」

京太郎「さ、部屋に戻ろう」


 こくりと頷くのを確認すると二人でリビングへと向かう。
 いや、三人でだ。

京太郎「ごはんの準備するか」

理沙「手伝う!」


 最初のうちは全部自分でやって理沙さんには負担をかけたくなかったのだが、妊婦自身がやりたいというのならやらせてあげたほうがいいと医

者に言われた。
 それからは理沙さんが無理だけはしないように見ながら色んな家事を一緒にやっている。


京太郎「じゃぁドレッシング作るつもりだったしそれをお願い」

理沙「レモン?」

京太郎「そうそう。トマト缶は……」

理沙「ん」

京太郎「ありがとう。はい、ボウル」

理沙「ありがと」


 特にメニューを言ったりしたわけではないが、相手の望むものをお互いに渡していく。
 料理に限らずなんとなくわかるのだ。今何をして欲しいのか、どうしたいのかが。
 以心伝心、そう言うのが相応しいのかもしれない。
 口下手な理沙さん相手だからこそ、よりそういう感覚が養われたのだ。
 理沙さんも口下手だからこそ、より相手のことを見て感じ取ろうとしたから相手の気持ちがよくわかる。
 でもそれ以上に、お互いに相手のことが大好きだから、心を読んでいるかのように汲み取れているのだと思う。


京太郎「具は何にしようかな……」


 妊娠中に良いとされている食べ物を思い出しながらソースの具を決める。
 野菜室を開けると目に入るのはキャベツ、レタス、人参、ピーマン、ほうれん草、菊菜。
 ほうれん草か……たしかベーコンが余ってたはず。
 ほうれん草とベーコンのトマトパスタ+サラダ。いいんじゃなかろうか。

京太郎「そういやみさきさん達こっち来るの今週だっけ?」


 晩御飯を食べ終わり、ふと来客の予定を思い出し、それを口にする。
 近々健夜さん達プロ雀士仲間とみさきさん達女子アナがまとめてうちに来るのだ。
 いつもはこんなに固まってこないのだが今回は偶々みんなの休みが被ったみたいだ。


理沙「土日!」

京太郎「今回は人数多いよな。布団足りてるっけ?」

理沙「大丈夫」


 理沙さんは結婚をきっかけに前線を退き大分へと越してきた。
 だけども健夜さんやみさきさんといった交友関係はまだまだ強く、遠路はるばる訪ねてきてくれるのだ。もちろん理沙さんが妊娠する前は行っ

たりもした。
 いつもは朝まで麻雀をうったりもするのだが、今理沙さんは妊娠中なので絶対に無理はさせない。グズるだろうが。


京太郎「……賑やかになりそうだな」


 はぁ、とため息をつきつつも楽しみな自分がいる。
 歳は離れているし性別も違うけど、自分にとってもあの人達は気が置けない間柄なのだ。
 理沙さんもそれをわかっているのかにっこりと微笑む。


理沙「京太郎!」


 頬を膨らませて俺に訴えかける。
 理沙さんも楽しみを隠せないようだ。


京太郎「わかってる。土曜の夜はパーティーだな」


 家で豪勢に作るのもいいし、最寄の山にあるキャンプ場に赴きバーベキューするのもいいだろう。
 やはり人数が集まるとより楽しくなる。





 ―――あぁ、なんて充実した日々なんだ







─────────

──────

───



 「―――きょ――ろう―――京太郎!」


 ふと呼ばれた声に気付くと理沙さんがじっとこちらを見ていた。
 そうだ、ここはインハイの会場の裏手にあるベンチだ。
 理沙さんの休憩中で、二人でアイスを食べていたのだ。
 ふと手元に目をやると中身の無くなったチューブ型アイスを握り締めていた。

 ―――なぜだろう?
 今、目を開けて理沙さんと話していたはずなのに、ふと夢を見ていた。
 大きくなった自分と妊娠中の理沙さんとの生活。
 甘い、ひと時を。
 遠くに目をやると景色を歪んでいるのがわかる。
 もしかして俺に夢を見せたのはこの陽炎なのか?
 なんて。


理沙「大丈夫?」


 少し心配そうに俺を見つめる。
 もしかして予選で負けたことを気にしていると思っているのだろうか?
 そんなことはない。むしろ大健闘だ。
 予選の結果は9位。二ヶ月でこれなんだ、上出来どころか天才なんじゃなかろうか。
 ……少しはここに雀士として来たかったという思いもある。
 初めて二ヶ月ちょっとだったからと言い訳をして悔しい気持ちを押さえ込んだ。

 来年、来年にはここに来よう。
 そうだ、来年もあるんだ。





京太郎「大丈夫。それよりそろそろ……」

理沙「……ん。また後で」


 理沙さんはそう言うとスッと立ち上がる。
 そしてちらりちらりと振り返りながら会場の中へと戻っていった。
 ほんとに可愛い人だ。

 年上で可愛い一面もあって、支えてくれて、支えたい人。
 この数ヶ月だけで、だけども今までで一番濃い時間をくれた。
 これから先も濃密に、時間をかけてより深く繋がっていきたいと思う。
 卒業までにはまだまだ時間があるのだから。





 空は快晴。
 何も邪魔をするものはない、綺麗な空だ。





                                          カン!