<顔は口ほど物を言う>

顔は口ほどに物を言う…本当は目なのだが俺こと須賀 京太郎はそれを実際に経験している。
どういうことだって?簡単な話だ、人の顔を見るとその人の心のうちが書かれているのを読めるようになったのだ。
今だってほら…

「あら、須賀君今から部活かしら…どうせなら一緒に行きましょう」
  • やっぱりいい匂いよね-

「そうですね、部長」

京太郎が入っている麻雀部の部長である久と廊下で会った。
そしてその顔には黒文字で久の心内が書かれている。

「ほら行きましょう?」
  • 今日はどんな事をさせて汗をかかそうかしら、須賀君の汗の匂い癖になるのよね-

「……(この人匂いフェチだったのか、道理で雑用ばかりさせる訳だ)」

正直人の心が読めらと思った事は何度もある。
あの時読めてたら失敗しなかったのにと悶える事もあった。
だが…実際に読めると怖いものだと理解した。
知りたくもない情報が勝手に手に入るのだ、その上知人や友人だと、どう接すればいいかわからなくなる。

(取り合えず…部長には極力近づかないでおこう)

久から少し離れて歩くと久が眉をひそめ不満そうにし一歩近づく。
京太郎がもう一歩端に寄ると久も一歩端による。

「……なんで避けるのよ」
  • 匂いが薄まるじゃない!-

「あー……いやー……ほら仲良く歩いていると噂とかされるじゃないですか、迷惑かなーと…」

実に苦しい、いい訳だが久は特に気にするわけでもなく腕を絡めて来る。

「あら、私は別にいいのよ?」
  • うへへ…匂いがこんなに近くで…今日は寝れないわね!-

「………」

久がふふふと軽く笑い妖艶な笑みを浮かべ上目遣いで見てくる。
更に京太郎からだと久の胸元が少し見え薄いピンク色のブラジャーが見えた
普段の京太郎ならドキっとし鼻下を伸ばすぐらいの素晴らしいものであった。
だが、久の心の内のせいで全てが台無しだ、盛る所か萎えた。

「部活行きましょうか」

「あれ?」
  • 喰い付かないわね、角度が甘かったかしら-

不思議そうにする久を置いて京太郎はスタスタと歩いていく。


「よーす」

「遅いじぇ!犬!」
  • タコスが冷めるじぇ!-

(あぁ…こいつは変わらんな)

部室の扉を開けるとタコス娘こと優希が椅子に座り此方を見ている。
心の内が顔に書かれているが優希は普段と変わらずタコスのことばかりだ。
京太郎はほっとし一粒の涙を流す。

「あぁ…優希…お前は…」

「タコスうまうま!」
  • 京太郎をおかずに食べるタコスはサイコーだじぇ-

「………」

前言撤回、こいつも駄目だ。
最近よくこっちを見てタコスを食べてると気づいてはいた。

(美味しそうに食ってるから嫌がらせかと思っていたのだが…嫌がらせの方が良かったな)

別の意味でほろりと涙する京太郎であった。

「あら、優希だけ?」
  • ちっ、優希が居たら須賀君にくっ付けないじゃない-

「のどちゃんがあっちで寝てるじぇ」
  • 部長邪魔だじぇ、タコスが不味くなる-

(やべーよ…俺のせいでこの人ら仲悪いよ!?)

知りたくもない事実を知り京太郎はショックを受けた。
何より自分のせいであると言う事が辛い。

(そうだ!和なら!あの堅物の和なら!)

京太郎は表面上は、にこやかに会話を続けている久と優希を置いてベッドに近づく。
ベッドに行くと和が無防備にエドペンを抱いて寝ている。

(部活だし起すか)
「和ー!部活…だ……ぞ……?」

「…うーん」
  • うへへ…咲さんと京太郎君で3Pとか役得ですね-

「………ひでぇわ、これ」

起そうとして顔に書かれた文字を読んでやめる。
思った以上にひどい…百年の恋も冷めるほどだ。

「なんじゃ…もう集まっとったのか」
  • 遅れたの-

「!…染谷先輩なら!」

「おはよう、京太郎」
  • 今日も可愛い顔しとるのぉーメイド服とか興味ないじゃろか-

「………」

駄目だ、この人も駄目だ。
てか男にメイド服着せようとしてやがる、この人は大丈夫だと思ったのに。

「咲なら…あいつなら人畜無害だろう」

「呼んだ?京ちゃん」

京太郎が1人部室の隅で俯いていると声が聞こえる。
どうやら京太郎が現実逃避をしている間に咲がやってきたらしい。
京太郎は縋る思いで咲へと振り向く。

「私に何か用?」
  • 今日も京ちゃんに○×▽されて×××でピーーって妄想して-

「アウトォォォォォォォォ!!!!」

誰よりもやばかった。

カンッ