京太郎「…………」

爽「………あのさ」


事後、けだるい感じ。照明が眩しいのと共に、流れ出す現実感。

先輩は、今さらとか言って、下が見えるのも気にせず豪快に胡坐。そして俺は正座。


爽「なんでそんなに下手くそなわけ」

京太郎「これでも頑張ったんですよ!!!!」

爽「ほんとちょー痛かったよー」

京太郎「どこの姉帯さんですか……岩手近いですし、旅行行きたいな」

爽「事後とはいえ他の女名前出すとかないな、京太郎。そんなオカルト許せない」

京太郎「SOUですか。でも、俺は俺の全力を尽くしたつもりなんですが」

爽「バカ、全力で迷走してただけじゃんか」

京太郎「面目ないっす」

爽「まず、胸だけど。鷲掴みとかありえないと思う」

爽「もっと優しく触った方がいいって」

京太郎「え、なんですか。復習タイムですか?」

爽「あと、噛むな。ただ痛いだけだから」

京太郎「ついつい、口元に力が入っちゃって……」

爽「下も下でさ。適当にいじられたって困るわけさ。分かる?」

京太郎「そんなもんなんすね……」

爽「あ。あと、トイレって狭くね?」

京太郎「それは間違いなく俺のせいじゃない。ちょっと30分前の自分の発言を振り返ればば分かることです」

爽「そう、それも。早すぎんじゃん、30分で全行程終了とか……」

京太郎「不利な方向に切り替えされただと」

爽「とにかく、とっても痛かった」

京太郎「あれだけ熱心に愛を語ったのに、先輩から散々こき下ろされるのつらいっす」

爽「いいじゃん。ついでに筆も下ろしといたんだから」

京太郎「やめてくださいよ、俺の初めてをそんな大喜利みたいに使うの……」

爽「へへ、それじゃあ、今日はもう帰るか、京太郎?」


そのまま帰ることもできたけれど

せっかくだから、二、三切り返すのも悪くない。


京太郎「ところで―――――先輩は感じやすいんですね」

爽「ぶっ!!!」


あ、お茶噴出した。二人でなんとなく口直しにお茶飲んでたんだよね。

爽「………けほっ、京太郎、お前、急に――――」

京太郎「なんだかんだ、いっぱい濡れてる先輩可愛かったです」

爽「そ、それは生理現象、じゃんか」

京太郎「恥ずかしいからって、直前でトイレの電気消す先輩可愛かったです」

爽「ち、違う、あれは節電――――」

京太郎「トイレ狭くね、とかさっき言ってたけど、『こうして狭いところで密着できるの、悪くないな……』」

京太郎「とかぼそっと言ってたの聞こえてました」

爽「………」

京太郎「わざわざ、トイレでできるように、ゴムとかが棚ににあったのも」

京太郎「あれは偶然だったんですかねぇ」

爽「………よし、この話はここで終わり。今日は解散」

京太郎「解散? まだ帰さん」

爽「何先輩にタメ口きいてるんだ」

京太郎「ごめんなさい、でも最中に言ってたじゃないですか」

爽「何を?」


『先輩、気持ちいいです――――』

『………っ、ふぁ、っ……ってぇ、いたぃ……』

『す、すいません。痛かったっすか。先輩―――――』

『………クソ、あっ、なんで、こんなに痛いんだよ………もぅ……』

『先輩……』

『気にするな……京太郎のせいじゃない……一個だけ、いいか』

『先輩の一個だけ、なら、何個でも』

『…………名前呼べよ』

『え?』

『爽だよ……私の名前忘れたのか……あっ……んんっ………今は、タメ口でいいからさ』

『…………』

『今日だけ―――――――呼ぶの許すからさ』



京太郎「って」

爽「や、やめよう。もう帰ろうよ」

京太郎「いいえ、先輩にも色々と復習してもらわないと」

京太郎「不平等じゃないですか。爽先輩」

爽「………」

爽「その、いいじゃん。たまには……と思っただけじゃんか」

爽「それても……嫌なのか。私の名前、呼びたくないとか?」

京太郎「………」

爽「悪かったな、獅子原とか、爽とか、呼びにくい名前で」

爽「どうせ、女らしくないって分かってる―――――――」


爽「…………おい、なぜ私は頭をなでられている」

京太郎「いや、なんか……なんとなく?」

爽「先輩だぞ、先輩。二個上。私はチカセンとはわけが違う」

京太郎「可愛いなーって」

爽「…………」

京太郎「名前呼べよっていいながら、俺の背中に足回してくる先輩マジ可愛かったです」

京太郎「両足を、体に絡めてぎゅーーって」

爽「そ、そんなことしてた?」

京太郎「してました。京太郎、中に出せ――――――」

爽「ま、マジ?!」

京太郎「――――――とでも言いたいような」

爽「……………変態。そんなこと考えながら、私とヤッてたのか」

京太郎「…………まあ、否定はできないっす」

爽「――――ところで。つかぬ事を聞いても宜しいか」

京太郎「なんですか、取ってつけたような丁寧な口調で切り出して」

爽「私の良かった?」

京太郎「口調が真摯なのに内容が最低だった」

爽「だって気になるだろ――――どうせ同じことやるなら」

爽「お前に、感じてほしいだろ………私で」

京太郎「…………」



どこまでも真っ直ぐで、裏表偽りなく

胸がときめくとは少し違うけれど、

愛しくって、ギュッと抱きしめたくなるようなセリフを、吐くんだこの人は。



京太郎「率直に、最高でした」

爽「そうか。キツキツだった?」

京太郎「生々しい……いや、うん、たぶんそうだったんじゃないかな?」

京太郎「初めてだったから、分からないっす」

爽「私は最高に痛かったけどな」

京太郎「そういわれると罪悪感しか湧き出てこない……」

爽「ま、どんどんうまくなるだろ。今日は、私にも、余裕がなかったわけでさ」

爽「今度は――――もっと気持ちいセックスしようぜ!」

京太郎「……そうですね」

爽「トイレで!」

京太郎「………」



たぶん、上手にできなかったことの原因の一つが

場所にあると思うんだけど―――――それは、それとして。


真っ赤にはにかむ先輩を見ながら、心も体も満たされて

今日一日、良い日だったと、思えるんだ。



爽「よし、今度は揺杏とチカにも、今日のこといろいろ相談してみるか!!」

京太郎「やめてください!!」



カカンッ