《杏の花は恋に揺れる》


揺杏「……なー、京太郎?」

京太郎「何?」

揺杏「……なんでもね」

京太郎「なんだそりゃ」

揺杏「……あいつらおせー」

京太郎「そうだ、これやるよ。誕生日プレゼント」

揺杏「お、マジで。開けていい?」

京太郎「いいよ」

揺杏「何かな何かな~♪」ガサガサ

揺杏「シュシュとヘアゴムだ」

京太郎「ヘアゴムの方は薔薇がついてて、シュシュの方は杏の花がモチーフなんだってさ」

揺杏「ふーん。でも流石に私には似合わないだろ。装飾過多というか」

揺杏「可愛すぎるし」ボソ

揺杏「な、成香とか似合うんじゃない。もしくは誓子先輩とか……うん、手に付けたらいい感じになりそう」

京太郎「揺杏も似合うって。ほら、付けてみろって」

揺杏「わ、わかった」

揺杏「ど、どう?やっぱり私には可愛すぎるかな~」

京太郎「似合ってる」

揺杏「……」

京太郎「似合ってる」

揺杏(な、なんだコイツ。今日は押し強いな)

揺杏(それに赤い薔薇のヘアゴムって……花言葉とかわかってやってんのかな?もう一個も杏って)カァ

揺杏(あー……もう、なんで京太郎はいつも思わせぶりなんだ)

揺杏(まぁ私なんて友達止まりだろうけど)

京太郎「それと、一つ言いたいことがあるんだけど」

京太郎「好きだ」

揺杏「…………」クルッ

京太郎「ここには俺と揺杏しかいねぇよ」

揺杏「あまりに唐突すぎてつい。あー、うん。私も好きだよ、薔薇」

京太郎「いっつも誤魔化そうとするよな」

京太郎「でも、今日は……」

 ドン

揺杏「!?」ドキドキ

京太郎「逃がさない」

揺杏「わ、私より可愛いのいっぱいいるじゃん」

揺杏「ユキとかめっちゃ可愛いし、成香も小動物みたいな感じだし、お姉さんなのがよかったら誓子先輩もいるじゃん」

揺杏「と、友達感覚がいいなら爽とかな!下ネタとかぽろって言うけど面白いしな」アハハ…

京太郎「俺は揺杏が好きだ」

揺杏「…………」ゴクリ

京太郎「なんでそんな逃げんの?俺のこと嫌い?」

揺杏「それは……」

揺杏(やだなー、こういう状況。京太郎イケメンなんだから私以外に迫ればいいのに」

京太郎「声にでてんぞー」

揺杏(やっべ、ちょーやべー。やっちゃったー)

京太郎「……自分に自信ないの?」

揺杏「…………」

揺杏「そうだよ。デカイし、なのに胸ないし、可愛くないし」

京太郎「俺からしたら揺杏程度の身長なら気にならないし、胸で人を好きになるわけじゃないし、可愛いし」

揺杏「……よく言えるよな、そんなセリフ」

京太郎「うっせ。俺も恥ずかしいわ」

京太郎「……それにコーディネイトしてる時の揺杏、かっこいいから」

揺杏「……!!」ボンッ

揺杏「ばっ!きっしょ!!女の子にそんなこと言われて喜ぶやついないだろ!!」パタパタ

京太郎「その割りに嬉しそうじゃねーか」

京太郎「そんで、返事は?」

揺杏「うわ、気付いてた」

京太郎「逃がさないって言っただろ」

揺杏「……私を夢中にさせてくれたら、いいけど」

京太郎「うおっっしゃ!頑張るからな!」

揺杏(気合入りすぎだろ)

爽「もう夢中だけどな、マジで」

揺杏「!?」

京太郎「!?」

成香「ちょっと爽さん!もうちょっと待っててもよかったんじゃ……あ」

由暉子「爽先輩が出た時点でもう遅いですよ」

誓子「いいところだったんだけどね」

京太郎「い、いい、いつから……」

爽「揺杏が髪飾り付けた辺りから」

京太郎「めっちゃ最初のほうからじゃないですか!!」

揺杏(げっろ)

成香「揺杏ちゃんこないだ教室で漏らしてたのにね。京太郎君のk「わーわー!!!それ以上は駄目だって!!」」

爽「いつもはなんだコイツ、みたいな目で見てダルそうにするだけの揺杏が止めるなんてよっぽどだな。詳しく」ニヤニヤ

由暉子「爽先輩趣味悪いです」

誓子「わかりきってるのに聞く辺りがね」


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京太郎「んで、無理やり二人っきりにさせられたわけだけど……どうする?」

揺杏「帰ろう。なんか癪だしさー」

京太郎「まぁそうだな」

京太郎「そういや」

揺杏「ん?」

京太郎「結局つけっぱだな、それ」

揺杏「……まぁ今日だけ」

京太郎「似合ってる」ニコ

揺杏「きっしょ」

京太郎「はいはい。さ、帰ろーぜ」

揺杏「……京太郎」

揺杏「ありがと」ニコ

京太郎「お、おう」

揺杏「んだよー、さっきまで余裕そうな顔してた癖に」

京太郎「うっせ」


カン!