<京ちゃん先生>

「え?……全国大会で上位に入らないと麻雀部が廃部?」


京太郎が職員室で昼ご飯を食べている時に校長から話があった。

大会で結果をだせとそういってくるのだ。

元々麻雀部のメンバーは争うなどと無縁でのんびり楽しく出来ればいいと思う者の集まりである。

いつものんびりと部室で集まり皆でわいわい騒いで遊ぶ程度で確かに結果をだしていない。


だが京太郎は少しばかり腹を立てた。

部活は争うものではないと青少年少女の心を育てる為…仲間との青春を楽しむ為のものだと

そう主張するも既に決まった事だと校長は受取らなかった。


「……どうしよう」


放課後になり京太郎は自分の顧問をしている麻雀部へと向かう。

部員になんて言えばいいのかと悩んでいると後ろからトンと誰かが抱き着いてきた。

考え事をしていた京太郎は後ろの人物に気づかず少しばかり驚く。


「先生や~♪」

「相変わらずだな、園城寺」


京太郎はため息をついて後ろから抱き着いてきた女子学生の名前を呼んだ。

園城寺…怜はため息を気にせず嬉しそうに頬ずりを始めた。

時たま他の先生や生徒が通りかかるも生暖かい目で見られる。

この学園ではこれが日常なのだ、京太郎が皆から信頼されているとも言える。


「いつまでしてるんだ」

「先生が怜って呼んでくれるまでや」


後ろを振り向くと怜と目があった。

怜は目を輝かせ本当に嬉しそうにしていた。

腕はガッチリと腰に回し意地でも放さない。


「このままじゃ歩けないぞ、怜」

「ならおんぶで」

「いや、歩けよ」

「私病弱やから…ごほごほ」


怜はそう言って顔を伏せる。

そんな怜に京太郎は少しばかり眉をひそめ考え込む。

暫く経ち京太郎はため息をついてしゃがんだ。


「ほれ…」

「わーい♪だから先生の事好きや」

「はいはい」


京太郎は怜の言葉を流し部室へと急いだ。

怜は先ほどの暗さを感じさせないほど元気に幸せそうだった。


「おはようさん」

「はよー」


そのまま怜をおんぶし旧校舎の3階にある部室の扉をノックし入る。

前にノックをせずに入り他の部員の着替えに出くわした事があったからだ。

入ると既に他の部員は来ており麻雀卓に座っている。

どうやら既にやっているらしい。


「リーチ」

「……アカン、麻雀させてーな」

「私の事見えるとかきついっす」

「…どげんしよ」


赤髪の髪の毛がよく似合っており角らしき髪型が特徴的な宮永照がリーチをかける。

ソレに対して横に居た部長の末原恭子が何時も通りにカタカタしていた。

他の二人も照のリーチにどうしようかと悩んでいる。

1人は黒髪がよく似合う東横桃子…今年唯一部活に入った1年生だ(影が極端に薄い)。

もう1人は茶色髪で目元と喋りが特徴的な鶴田姫子。

3年生の園城寺怜・宮永照・末原恭子 2年生の鶴田姫子と1年生の東横桃子…この5人がりつべ高校麻雀部の部員である。


京太郎と怜が挨拶をすると4人が此方を向いた。

最初に反応したのは照だ。

照は京太郎を見ると顔を輝かせて席を立とうとする。


「京ちゃn…」「あかん、まだ終わっとらん!」


そんな照を恭子が抑えた。

まだ勝負の途中だ、今日こそは照に勝とうと恭子も息巻いている。

そんな恭子に照は、んっと京太郎のほうを指差す。

恭子はそれに釣られ京太郎を見てため息をついた。

恭子よ…ため息をつきたいのは俺の方だ。


「先生~♪」

「ぬっか♪」

「……お前らな」「こらー引っ付くなや!今は私の時間や!」


桃子と姫子が既に京太郎に抱きついている。

何時もの事とはいえ遠い目をしてしまう。

あと怜よ…お前もいい加減降りろ。


京太郎は全員を振り払い部員を集める、先ほどの話をする為だ。

暫く先ほどの話をしていると何やら全員の顔が絶望へと変わった。

「……部活無くなったら先生はどうなっの?」

「ん~…他の部活の顧問になるかな」


姫子の質問に答えると全員が更に落ち込んだ。


「…どないしよ、どないしよ」

「京ちゃん居なくなっちゃうの?」

「嫌っす、そんなの嫌っす!」

「うん、お前ら俺の事はいいから部活の心配しような!?」


目の前の少女達は部活がなくなるより京太郎と居れない事が嫌なようだ。

生徒に好かれる事は教師として嬉しい…だが男女関係なら別だ。

これだから同僚にハーレム野郎とか6股男だとか言われるのだ。

親公認(全員)の上に京太郎も絶対手を出さないので学校も注意しずらいとの事らしい。

他の生徒達からも見守るような優しい眼差しを多々受ける。


「はぁ~…恭子お前からも何か言ってくれ」

「せやね」


先ほどから黙っていた恭子に京太郎は声をかける。

比較的まともな恭子なら話を纏めてくれるだろうと思ったからだ。


「皆聞いてや!」

「ぎょう゛ち゛ゃぁぁぁぁん」ビエーン 「あかん、考えたら気分が…」ふら
「ふぐっ…やー!いやー!」ウエーン 「こうなったら京ちゃんさんと既成事実を…」うふふ…

「聞けや」


色々と大変な事になっている。

そんな中いつも以上にビシっとした恭子が全員を纏め始めた。

暫くすると全員が恭子に注目する。


「話聞けば全国大会で上位になれればええだけやん」

「…私達、大会出たことないんやけど」

「…」こくこく


恭子の言葉に怜が答え照が頷いた。

確かに今まで個人戦すら出ていないのだ。

いきなり全国大会とか言われても恐縮してしまうだろう。


「大丈夫や!こんな事もあろうかと敵チームの分析は終えとる!」

「お前も対外変だな!?いつ揃えた?!」


前言撤回、恭子も十分変だった。

先ほどまで大会にまったく興味なかったのに今はやる気十分だった。


「やっ…うちも先生と居れんのは嫌ですし」

「……」


シレっと言いやがった。

恭子は普段通りにしているつもりなのだろうが頬は赤く染まっていた。

何だかんだ言って恭子も京太郎の事が皆と同じく好きなのだ。


「今日から大会に向けて頑張るんや!」

「「「「おー!」」」」

「何か一致団結したな…てかあいつは何してるんだ」


京太郎の前でやる気十分な恭子達を見てあることを思い出す。

1人足りない…副顧問である奴が居ないのだ。


「恭子、あいつは何処行った」

「あー…あの人ならベッドで先生のYシャツ抱きしめて寝てます」

「無くなったと思ったらあいつかよ!?まともな奴いないな?!」


京太郎が部室にあるベッドに近寄り布団を捲ると1人の少女?が寝ている。

副顧問であり、京太郎の同僚の三尋木咏が寝ていた。


京太郎はがっくりと肩を落とした。

こんなメンバーで全国へ行けるのだろうかと不安になる。
※余裕です。

<京ちゃん先生 カンッ>