あの後、連絡先を交換しあって、日々メールやらを重ね、ついに須賀くんと初めてちゃんと会うことになった。
その話を部活のみんなに話すと、『それはデートじゃないか?』と加治木先輩に言われた。

…そんなことはない。
デ、デートなんて…、そういう浮ついたものじゃ…。

そんなことを言われ、悶々と過ごしているうちに、約束の日が来た。

睦月(どどど、どうしよう…!)

睦月(一応、オシャレはしたつもりだけど、どうかな…。 変じゃない?)

睦月(いざ会ってみて幻滅されたらどうしよう…)

睦月(うむむむ…)


イケダァァ! イケダァァ! (京太郎専用着メロ)

睦月「あ…、着信…」

『もうすぐ着きます。』
『津山さんはもう到着してますか?』

睦月「もう到着してる、と」

睦月「はぁ…、会えるのは嬉しいけど、怖い」


睦月「まだかな?」

スッ…

睦月「むっ!?」

?「だーれだ!」

?「なんちゃって」

突然目隠しされたと思ったら、あっさりと目隠しを解かれた。
振り返れば、そこには金髪の少年。


睦月「す…、須賀くん…だよね?」

京太郎「はい! 須賀京太郎です! 津山さんですよね?」

睦月「う…、うむ」

京太郎「はー、よかったぁ。 いやぁ~、間違ってたら大変なことになってましたね」

京太郎「やってから気付いたんですよ。 危ないところだった」

睦月「気をつけないと…」

京太郎「結果オーライです!」グッ

京太郎「実際にこうやってしっかりと会うのは初めてですよね?」

京太郎「改めてよろしくおねがいします、津山さん」

睦月「よ…、よろしく」

京太郎「お待たせしてしまいましたか?」

睦月「いや、私が早く来すぎてただけだから…」

京太郎「いやぁ、でもやっぱりお待たせしてしまったのは申し訳ないですよ」

睦月「ううん、気にしないで」

京太郎「…あれ? もしかして緊張してますか?」

睦月「う…うむ…」

京太郎「よかったぁ」

睦月「?」

京太郎「あはは、いや、実は俺もなんですよ。 てっきり、俺だけ緊張してるかと」

睦月「でも、あんまりそういう風には見えないよ」

京太郎「そうですか?」

睦月「だって、社交的に見えるし…」

京太郎「あはは、緊張したら口が回っちゃうタイプなので、そのせいですかね」

京太郎「こんなに綺麗な人と会ったら誰だって緊張しますよー!」

睦月「!?」

睦月「き、綺麗!?」

京太郎「あ、お世辞とかじゃないですよ? 本当にそう思ってますから」

睦月「す、須賀君! そういうのは初対面の人に言うようなことでは…!」

睦月「それに、そんなことはないし…」

京太郎「いえ、本当にお綺麗ですよ。 自信をもってください」

睦月「うむ…」

京太郎「さっ、このまま立ち話もなんですし、どこかの喫茶店にでも行きませんか?」

睦月「そ、そうだな」

……………
………


京太郎「で、それでどうなったと思いますか!?」

睦月「池田キャットが久保鬼に追われたとか?」

京太郎「そう! そうなんですよ! いやぁ~、あのアニメの展開には驚かされてばっかりです」

睦月「うむ! 話を聞いてると見たくなってきたよ」

京太郎「あはは! じゃあDVDお貸ししますよ。 面白いですよ~」

睦月「ありがとう」

京太郎「いえいえ」

睦月「……」

京太郎「……」


睦月「……」

睦月「…君は太陽みたいな人だな」

京太郎「え?」

睦月「明るくて…、暖かくて、きっと、みんなから好かれるんだろう」

睦月「私は日陰者だからね。 君がうらやましいよ」

京太郎「……」

睦月「あっ、すまない…。 突然変なことを言い出して」

睦月「今のは、気にしないでくれ」

京太郎「…津山さん」

京太郎「……」

京太郎「その、今からちょっとキザったらしいことを言いますけど、引かないでくださいね?」

睦月「…うん?」


京太郎「俺が太陽だとしたら、睦月さんは月ですね」

睦月「…そうか」

京太郎「はい…。 俺、月は大好きです。 綺麗ですし」

睦月「…!?」

京太郎「それに、太陽っていうのは、夜があるからこそありがたがられるもんだと思うんです」

睦月「え?」

京太郎「だって、太陽が燦々と照りつけってるだけだったら鬱陶しいだけですよ」

京太郎「熱いですし、眩しくて眠れませんし…」

京太郎「静かな夜があって…、美しい月があるからこそ、太陽の存在が際立つんだと思います」

京太郎「俺はそう思います」


睦月「……」

京太郎「それに俺、津山さんが月みたいな人だなぁっていうのはずっと前から思ってたんですよね」

睦月「え?」

京太郎「一歩引いた奥ゆかしさがあるというか。 派手に目立ちはしないんだけど、魅力が溢れてるところとか…」

睦月「!!」

睦月(奥ゆかしい!? み…、魅力に溢れてる!?)

京太郎「それに、名前にも月が入ってますしね! 睦月さんに似合った、本当に綺麗な名前だと思います」

睦月(綺麗!?)

京太郎「…あれなんか俺かなり恥ずかしいことを言ってるような…?」

睦月「あう…」

京太郎「なんだかよくわかんなくなったけど…、と、とにかく! 津山さんは月みたいに素敵な人だと思いますよ!!」

睦月「あうあう…」

京太郎「つ…津山さん?」

睦月「あう~」プシュー


コテン


京太郎「うわぁぁ!? 津山さーん!!??」





………………
………


加治木「で、喜びの余り真っ赤になって倒れてしまったと」

睦月「…はい」

蒲原「ワハハ! 漫画みたいだなぁ」

東横「金髪くんも大変だったっすね」

睦月「うむ…、彼には迷惑をかけてしまった。 今度会ったときはお詫びをすると約束した」

妹尾「次のデートの約束もしたんだね!」

睦月「い、いや! これはあくまでお詫びのためであって…!」

加治木「まぁまぁ、いいじゃないか。」

蒲原「デートだなんて羨ましいなー!」

睦月「だ、だからデートではないと…!」

妹尾「えー? それはデートだよぉ」

睦月「っ!! さっ、この話はここまで! 練習するぞ!」

妹尾「えぇ!? まだ話は終わってないのにぃ~」

睦月「問答無用!」

加治木「ははっ、じゃあ私も入ろうか」

睦月「ありがとうございます、先輩」



東横「最近、むっちゃん先輩明るくなったっすよね?」

蒲原「ワハハ、そうだなぁ」

東横「女らしくなったというか」

蒲原「好きな人ができるとそうなるもんなのかなー?」

東横「かもしれないっす」


睦月「ほら! 桃子も卓に入って!」

東横「はいはい、わかりましたっすー!」

蒲原「ワハハ! ゆみちん、後輩に負けんなよー!」


実は、私は今まで太陽というものが苦手だった。

太陽は、どことなく日陰者の自分には眩しすぎるような気がしたから。

だからといって、月が好きという事もなかったけど。



でも、彼と出会って、私は2つとも好きになりそうだ。



私が言うには、彼は太陽のような人。

彼が言うには、私は月のような人。



私は彼の光で輝けるのかな?


…うむ、私なりに精一杯がんばろう。


できることなら、いつも彼の光を浴びたい。




……大好き。

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