最近暑いので。


―その日は、暑い日だった。


「ああ、須賀。いまから部室か?」
「ええ、ぶちょ…」

後ろからの声に振り返る。
そこにいたのは、白糸台女子麻雀部部長、弘瀬菫。

普段は自然に流されている長い黒髪は、後ろで一つにまとめられていた。

「…髪型、変えたんですか?」
「ああ、暑くてな」

あそこまで長い黒髪であれば、確かに熱がこもりそうではある。
だが、そういう実用的な目的であったとしても、普段とは違う姿から、目が離せない。

「…あまり、見るな」

馬鹿みたいに見つめていた俺に気付いたのか、少し恥ずかしそうだった。

「行くぞ、須賀」
「……はい」

並んで歩きながら、部長を一瞥する。
普段は見ることのできない白いうなじと、仄かに紅潮した頬との美しい対比に

―思わず、息を呑んだ。