久「う~ん…」

咲「どうかしたんですか?」

咲が部室に赴くと何やら悩んでいる久が居た。
どうしたのかと思い声をかけると悩んでいる内容を話してくれる。

咲「…達筆過ぎて読めないと」

久「えぇ…参ったわね」

全国に行くにあたって援助を受けた人から手紙を届いたのだが達筆過ぎて読めないのだ。
返事を返そうにも困っていた。

和「これは…読めないですね」

優希「ミミズに見えるじぇ」

まこ「流石にの…」

咲「…京ちゃんなら読めると思いますよ?」

全員『えっ?』

~10分後~

京太郎「お疲れさまですー」

久「きた!」

京太郎「おぅ?」

~少女説明中~

京太郎「なるほど…」

まこ「読めるのかの?」

京太郎「ふむふむ…」

京太郎「これは――でここが――ですね」

優希「本当に読めてるじぇ」

和「意外ですね」

咲「京ちゃんの文通相手が達筆だからね」

久「文通?」

京太郎と文通それに達筆…イメージから離れ過ぎていた。
京太郎自身もそう思っているのだろう、アハハと苦笑している。

京太郎「昔風船に手紙をつけて飛ばしまして…」

和「いいですね、ロマンチックです」

久「そこから始まる交友…ね?もう会ってたりするのかしら?」

京太郎「あぁ…何度か会ってますよ?むしろあちらから来ました」

わいわいと雑談している久達を横目に京太郎はテラスへと出る。
空を見上げると綺麗なほどに快晴だった。

懐から扇子を取り出すと広げてみる。
お気に入りの扇子だ、広げてみる…彼女が思い浮かんだ。

京太郎「会いたいなー会いたい」

わかんねーけどと彼女のお決まりのセリフを一言呟いた。

京太郎(とりあえず全国に行かないとな)

その後個人戦を1位で通過した京太郎の久達は驚いたとか…










  • 昔話-

あれは忘れもしない中学生の時だった。

ハンドボールに夢中で朝から晩までずっとやっていた。
ハンドボールの才能があったのかめきめきと実力を伸ばしていく。
2年生の頃には-エース-として活躍しだした。

中学生と言う事もあり、調子付き天狗になっていたのかも知れない。
背負わなくてもいい物まで背負って…無茶なトレーニングをして
その結果…県大会の決勝戦で肩を壊し退場、試合は負けた。

先輩も後輩も気にすんなと言ってくれたがそうはいかない。
肩を壊し部活が出来ないのと申し訳なさで退部をした。

目標を失い何事にもやる気を見出せず、ただただ日々を過ごしていた。
彼女と会ったのはそんな時だったかな。

京太郎「…うるさい」

蝉がうるさく騒ぎ立てる夏の日のこと
京太郎は夏休みと言う事もありベットの上で睡眠を貪っていた。
だというのに…

京太郎「誰だよ…たくっ」

先ほどからチャイムを連打する馬鹿が居る。
蝉よりやかましい。両親は二人共仕事で居なかった。
しょうがなく玄関へと向かう、一言文句を言わないと。

京太郎「誰だよ…迷惑でしょ」

??「やっと出てきやがったか」

京太郎が玄関に出向くと…誰も居ない。声はするが人の姿が見えない。

京太郎「…怪奇現象だと!?」

??「ていっ!」

京太郎「痛い!?」

??「そんなギャクいらねぇー!」

脛を蹴られ京太郎は蹲る、脛を手で擦りながら横目で相手を確認する。
帽子に眼鏡、Tシャツの上に軽くパーカーを羽織っている、下はショートパンツで健康的な少女のようだ。
京太郎は記憶を辿るもこのような子を知らなかった。

京太郎「お嬢ちゃんは誰?」

??「お嬢…ほほー、胸を凝視し過ぎて好きだった女子にビンタされて泣いた癖にいい度胸だ」

京太郎「なん…だと!?」

京太郎が忘れたい黒歴史だ…なぜこの少女が知っている!?
咲にも話していないぐらいなのだ。

京太郎(…話した人-書いた人-はただ1人だけ…まさか!?)

京太郎「もしかして、咏さん?」

咏「誰だと思った」

京太郎「想像してた人と違ったので…」目逸らし

咏「ふ~ん、まぁいいや…ほれ出かける用意しな、3分でな!」

京太郎「はいっ!?」

その後自己紹介もそこそこに着替えるとどこかへと連れて行かれる。
一体どこに?と聞いてもいいからいいからというだけだった。

京太郎「…遊園地?」

咏「さー遊ぶぞー」

咏は両手を上げ楽しそうに遊園地に向かっていく、京太郎は戸惑いながらも咏を追いかける。

咏「あっはっはー!」ぐるぐる

京太郎「回し過ぎだから!?」うぉえ

咏「おらおらー!」ガシンガシン

京太郎「ゴーカートでぶつかるのは危ないですよ!?」

咏「ひゃぁー結構よく出来てんねぃ」ペタペタ

京太郎「お化けが触られて困惑してます」

咏「バンジーゴー!」ビシッ

京太郎「まじでかっーーー!!!!」飛び降り

咏「わぁーー!!もっと回ったりとかねーの?」

京太郎「うぉ!?結構怖いなこれ!」

咏「わははー!こっちだ!こっち!」

京太郎「…全面に咏さんが居る…ナニコレ怖い」

咏「最後は観覧車だねぃ」

京太郎「誰が決めたんですかね?」

一通り遊び終えると家まで送られる。普通は逆だと思うのだが…
咏はそれじゃと挨拶をすると取ってあるホテルへと帰って行った。

京太郎(嵐みたいな人だった…何だったのだろう?)

そう思いながら楽しく笑った。
京太郎は自分が笑った事に気づき驚く、ここ最近こんなにも楽しんだ事は無かったのだ。

京太郎「そっか…そっか…ありがとう、咏さん」

京太郎は空を見上げ咏に感謝した、自分を慰めに来てくれたのだろう。
京太郎は咏が去った方にもう一度だけ頭を下げると家に入っていく。
今日はいい夢が見れそうだ…









  • 次の日-

京太郎「…」

咏「遊びに行くぞー!」

京太郎(…遊びたいだけなのかも知れない)

その後京太郎と咏は1週間ずっと遊び続けた。
そして最後の日になり…

咏「今日はここだねぃ」

京太郎「…コンサートでもあるんですか?」

京太郎は夜にどこかの会場に連れ来られる。回りを見渡すとたくさんの人が居た。
それぞれが楽しそうに話していた。そんな中を2人は奥へ奥へと歩いていく。
暫くすると-関係者以外立ち入り禁止-の看板の所に出る。
咏は関係ないとばかりに進んでいく。京太郎は慌てて止め様とするも警備員に何かを見せると道をあけてくれた。

咏「ほれ、こっち」

京太郎「へ?」

京太郎が訳もわからず進むと控え室のような所に連れてこられた。
  • 三尋木 咏様-と書かれている。

咏はちょっと準備するからと言って京太郎を置いて奥へと行ってしまった。
暫く待っていると奥から咏がやってくる。

京太郎「説明してくださいよ!咏…さ…ん?」

咏「こんなもんかねぃ」

奥から出てきた咏を見て言葉を失う。

赤い赤い着物に身を任せ、いつも付けていた帽子も眼鏡も取っている。
手には扇子を持ち、顔は何時も見ていた楽しげな顔ではない、真面目な顔だった。
雰囲気が違い過ぎる…そんな-大人-らしい咏に京太郎は暫くボーと眺めていた。

その後咏に手を引かれ何やら豪華な客席に座らされた。VIP席という所だろうか?
意味もわからず京太郎は戸惑うばかりだった。数分間ここで座っていると周りが暗くなった。

アナウンスが流れだし、ようやく京太郎は理解した。

京太郎「麻雀…の大会?決勝戦?」

『選手の入場です…一人目はこの人、牌のおねえさんで御馴染み-ハートビーツ大宮-に所属し
 Whirlwindの称号を持つ<瑞原はやり>選手~~~~!!!!』

はやり「はややん☆」たゆん

京太郎&会場(男性)『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

先ほどまで戸惑いを全て吹き飛ばすほどの威力だった。
まさに胸の暴力…圧倒的だった…好みド真ん中!!

京太郎(やべぇーやべぇーよ!麻雀いいな!)ウヘヘ

京太郎がだらしない顔で見てる間に2人ほど紹介された。
暫くはやりを凝視していると最後の1人が紹介される。

『最後はこの人、小柄な体系に似合わぬ圧倒的火力が敵を焦がす!-迫り来る怒涛の火力-
 横浜ロードスターズ所属、Cat Chamber!<三尋木 咏>選手!!!』

京太郎「え…」

炎と煙の演出から咏が出てくる、咏はニヤリと笑うと扇子で口元を隠す。
その動作がよく似合っていてはやりとは違った魅力を奏でていた。

はやり「咏ちゃん…男の子連れてたって聞いたけど誰なの?」紹介シテ

咏「ん~内緒☆」うたたん

はやり「…ほほぅ、いい度胸だね」イラッ

咏「はっはっはー!負けらんねぇーわ」ケラケラ

知らんけどと言い二人は席に着く…試合が始まった。

京太郎「すげぇ…」

京太郎は最初机の上でやる競技という事であまり期待していなかった…
だがそれは違った…小さな卓の上でのぶつかり合い、お互いがお互い油断無く読みあい
相手の隙をつく、点が次から次へと変わっていく、大きな手で和了ば会場が沸く
相手を押さえても同じだ…この小さいながら熱い競技に京太郎は目を奪われた。

その中でも目を向けるのは-咏-だ。
まさに圧倒的だった。

咏「リーチ!一発!ツモ!…三暗刻、役牌、ドラと裏ドラ乗って!!数え役満だ!!」

はやり「うぐっ」

咏の背中に炎が上がったように見えた、はやりも称号のように-旋風-を起すも
咏を余計に燃え上がらせた、乗りに乗った咏は誰にも止められない。

京太郎は、はやり-好みの女性-を見ず咏-好みから外れた女性-の後姿を眺め続けた。
心が燃え上がる…新たな目標を見つけた瞬間だった。

京太郎(俺は…俺は―――)

『まもなくエキシビジョンマッチが始まります』

アナウンスによって京太郎の意識が覚醒する。
ゆっくりと瞼を開くと目の前に大きな扉が目に入った。
あぁ…全国大会の最中だった。

隣には自分と同じく全国個人戦-女子-優勝者の-宮永照-がいた。
全国大会個人戦を京太郎自身優勝していた。
といっても京太郎にとっては前座のようなものだった。

本命はこっち-エキシビジョンマッチ-だ。
個人戦優勝者2名だけが<プロ>と戦える…これを目指してきたのだ。

時間となり扉が開いていく…京太郎と照は共に歩いていくと真ん中に人影があった。
1人は<瑞原はやり>もう1人は…

咏「まさか本当に来るとはねぃ…」

京太郎「宣言しましたしね」

中央の卓は少し高い位置にあり、普段なら慎重差で見下ろす側の京太郎が見下ろされた。

これでいい…俺は-挑戦者-なのだから見下ろされるぐらいが丁度いい!!

気持ちが逸る…鼓動が鳴り響く…今日のこの日の為に備えてきたのだ

京太郎が1歩1歩卓-咏-に近づく

視線を合わさった

『咏さん…俺が勝ったら受け取ってもらいたい言葉と物があります』

『!』

『くすくす…5年ほど早くない?』

『いえ…遅いぐらいですよ』

『あっはっはー、そっかそか、でも負けてやんねぃ』

『実力で勝ち取ります』

『生意気な』

京太郎の一生に一度の大勝負が始まる…

絶望の底にいた自分を救ってくれた騒がしい彼女へ

新たな目標を作ってくれた優しい貴女へ

全てを燃やし京太郎は挑む

会場の上を手紙がついた赤い風船がふわりふわりと横切る

今日も快晴、明日も快晴…次は誰に届くのだろうか…

『決まったーー!!!勝者は―――』

<手紙つきの赤い風船 咏バージョン カンッ!>
<及び手紙シリーズカンッ!>