京太郎「ふふ~ん♪」

久「…機嫌いいわね」

京太郎「今日デートなんで!」

久「なるほど…デートね」

優希「妄想もそこまで来ると危ないじぇ?」

和「そんな約束してませんしね」タンッ

まこ「今日は休ませるか」

咲「京ちゃん彼女いますよ?」

全員『えっ?』

京太郎「傷ついたわ…」

京太郎は肩をガックリと落しデートがあるということで早めに上がる。
京太郎が部室を去ると自然と皆の視線が咲に向いた。
咲はため息をつくと経緯を話していく。

咲「子供の頃、風船に手紙をつけて飛ばした事ありませんか?」

久「そういえば…あったわね」

優希「やったことはないじぇ」

咲「京ちゃん昔にそれを拾って、文通してるんです」

まこ「している…その人が?」

咲「京ちゃんの彼女ですね」

和「そっ、そうだったんですか」顔真っ赤

和は自分の早とちりと知り顔を赤くした。

咲「それで何年も文通してたけど、ある日思い切って会うことにして…」






~昔話~

京太郎「ん…モモか、どんな人なんだろう」

手紙を書いていた京太郎は現在悩んでいた。文通相手が気になるのだ。
本来なら関係を壊したくないから会わないだろう。
だが、文通を続けていくとドンドン相手が気になっていった。

ステルス能力といった信じられない能力を持ち友達が居ないと書かれていた。
悲痛な想いが伝わってくる、だが…それ以上に手紙から本当に楽しそうな雰囲気を感じれる。
手紙を心底心待ちにしてくれてるのだろう。だからこそ会って<友達>になりたいと思った。

京太郎「…男は度胸!会ってみよう!」

京太郎「えーと…19時に○×駅前で待ってますっと」


桃子「会う気があれば…19時に会いましょう 須賀 京太郎」

桃子は手紙を読み終えると手紙を胸に抱きベットに深く深く沈みこんだ。
暫くボーと天井を見ていると少しずつ嬉しさがこみ上げてくる。

桃子「っ…会えるんっすね、ようやく会えるっすねっ!」

ベットの上で手紙を抱きしめながら キャーと声を上げて転がる。
暫くベットで顔を赤くして悶えているとある事を思い出す。

桃子「…京ちゃんさんは私が-見える-っすかね」

彼は自分を見てくれるだろうか?もしくは…
手紙なら見つけられなくても-見てくれる-
でも…実際に会ったら?

桃子は喜んでいた顔から一変、手紙を真剣な表情で見続けた。
結局その日は決意が決まらず悶々とした日を過ごした。






  • 約束の日-

京太郎「あー…同じ県内なのになんでこんなに遠いんだよ」

電車を降り京太郎は待ち合わせ場所に辿り着く、時間的にもだいぶ余裕があった。

京太郎「だいぶ早かったかな…寒い」

京太郎は逸る気持ちを抑えるようにマフラーに顔を埋める。
季節は12月寒かった、雪も少しチラついていた。

来てくれるかなーと思いながら京太郎は空を見上げた。

京太郎(絶対に見つけてやる)

確固たる意思を持って…







  • 桃子side-


桃子「どうしようっす…時間が…」

桃子は学校が終わり帰宅する準備をしていた…時間がない でも心が決まらない。
会って…会って見えなかったら?

桃子(怖いっす、怖い…)

想像したら体が震える。昔の経験もあり桃子は臆病だ。
今の関係を壊すのがとでも怖かった。
暫く考えこんでいると声が聞こえた。

担任「誰かいないかー?」

桃子「っ!」ビクン

担任の先生が誰かを探していた。
ボーと考え込んでいた桃子は驚いた。

桃子「は、はいっす!居ますっす!!」

担任「ん~?あー…東横か?丁度よかった」

担任「すまないがコレを資料室に運んでくれないか?」

桃子「…わかりましたっす」

担任は少しの資料を桃子に渡し 頼んだぞーと言い去っていく。
桃子はため息をついて資料室に向かった。






  • 資料室-

桃子「よっと…こんなもんすかね?」

桃子は言われるがままに資料を運び一息をついた。

桃子(どうしよう…時間がないっす)

外を見ると雪が本格的に降ってきたようだ。
この雪の中でも待っていてくれてるのだろうか?
待っている姿を想像したら胸がキュンと締まる感じがした。

桃子(会いたい…会いたいっす、会いに行こう!)

桃子は決意し踵を返した。
その時…無慈悲にもガチャリと音が聞こえた。

桃子「え?」

桃子がドアに駆け寄り開け様とするも開かない…鍵がかかっている。

桃子「嘘…嘘っす、こんなのってないっすよ」

桃子の目の端に涙が溢れた。







  • 少し前-

他の先生「お?資料室が開いている誰か居るのか?」

先生が不思議に思い中を覗く…誰も居ない。

他の先生「たく…不用心な」

見回りをしていたのか鍵の束を取り出し鍵を閉めた。

他の先生「早く帰ってビールでも飲みたいな」

ドアを叩く音に気づかず…帰っていった。








  • 桃子side-

桃子「…」

桃子はあれから何度もドアを叩き助けを呼ぶが運が悪かったのか誰も通りかからなかった。
携帯で助けを呼ぼうにも教室のカバンの中だ。次第に疲れ座り込んでしまう。

外は既に暗く時計を見ると20時を回っている。
絶望的だった、会いに行こうと思った瞬間この仕打ちである。

桃子「っ…会いたい、会いたいっす!」

桃子「お願いします…彼に彼に会わせてくださいっす!」

会えないとわかるともっともっと会いたくなった。
彼女の悲痛な声が響く、だが誰も答えない。
桃子が口を閉じれば室内はシーンと静けさをます。
それが更に悲しかった。


???「おーい誰か居るのか?」

桃子「…え?」

???「誰だ…資料室の明かりを消していかなかったのは!」

あれから1時間は経ったろうか?
ぶつぶつと文句を言いながら近寄ってくる人が居た。
残っていた先生が帰る際に資料室の明かりに気づきやってきたのだ。

桃子はじーと穴が空くほどドアを見続ける。
そして…ガチャガチャと音が鳴りドアが開く、桃子はドアが開いた瞬間走り出した。
先生には悪いが捕まっている時間はないのだ。

先生「わっと…なんだ?誰も居ない?」

先生が確認するも中には誰も居ない…

先生「…消して帰ろう…そ、それがいいな」

学校に勝手に灯りがつく資料室の噂が広まった瞬間だった。


桃子は教室でカバンを取るとまた走る。
もう22時近い…待ってはいないだろう。
それでも…それでも…

飛び出すように来客用の昇降口から出ると走り出した。
間に合えと………






  • 駅前-

桃子「ゲホゲホっ…」

一生懸命走り続け駅前に辿り着いた。
時間も時間なので人が少ない。
もう一歩も歩きたくないほど走った…それでも一歩一歩歩く。
あと少しで-待ち合わせ場所-だ。

桃子「あっ…あっ…」

桃子は待ち合わせ場所に辿り着き涙を流した。

誰も居なかった…誰も…

待ち合わせ場所の柱に背中を預け座り込む。
どうでも良くなった…帰るのも…寒いのも。

ただただ膝を抱えて泣き続ける。
そんな彼女に声をかける人は居ない。

当たり前だ…誰にも見えてないのだから。

暫くそこで座っていると頬に暖かい物が触れる。

桃子「ひゃぁわ!?」

???「あーすまん、寒そうだったんで」

桃子「何するっすか!?」

???「あははー」

桃子の頬に触れたのは缶コーヒーだった。
見上げると金髪の軽そうな少年が目に入る。
彼は桃子に缶コーヒーを無理矢理渡すと桃子の隣に座り込んだ。

桃子(図々しいっす)

桃子「ナンパっすか?相手にはしないっすよ」ガルルル

???「いやーナンパじゃなくてさ…ずっと座り込んでるから気になって」

それに振られたからね と言って少年は軽く苦笑する。

桃子「それは災難だったすね」

???「んー災難でもないかな、元々こっちが勝手に決めた事だし」

???「会えなくても手紙のやり取りは変わらず続けるしな」

桃子「手…手紙っすか?」

桃子の胸が高鳴り気持ちが逸ってくる。
違う…待ってるはずがない、彼も同じく中学生だ。
こんな時間までこんな場所で待ってるはずがないのだ。

それでも…それでも…

???「おぅ!文通してるんだ、風船についた手紙から始まった文通を…」

ロマンチックだろと少年は笑った。

桃子「な、名前はっ!」

桃子は少年の胸元を掴み縋るように、必死に声を出した。
そんな桃子に少年は少し驚くも笑顔で答えてくれる。

『はじめまして、俺の名前は…』










咲「って出会いらしいです」

久「ドラマみたいね」

優希「むしろ漫画だじぇ」

和「…(いいです!アリですね!!)」ポー

咲「結局その後終電もなく長時間待っていたせいで京ちゃんが倒れて」

咲「そのまま、モモちゃんの家にお泊りとなったみたいです」

まこ「そこで関係が進んだのかの?」

咲「流石にそこまでは…」









  • 桃子side-

桃子「お疲れ様っす!」

桃子は急いで支度すると部室を駆ける様に去っていく。

香織「モモちゃん急いでましたね」

睦月「うむ、用事ですかね」

ゆみ「あぁ、彼氏とデートだそうだ」

智美「ワハハ…彼氏居たのか」

香織や睦月、<元部長>の智美は驚いてゆみを見る。
興味津々の視線に晒されゆみは苦笑しながら経緯を話す。

桃子は駆け足で歩いていく。
時間には余裕があるそれでも…気持ちが逸るのだ。

彼が来るまでまだ時間的に余裕がある。
桃子は鏡を見ておかしな所がないか確認する。
大丈夫だ問題ない。

自分の姿を確認すると彼を待ち続ける。
昔は1人で居るのが辛かった…待ってるのも嫌だった。
だけど…今はこの時間が好きだ。
彼を待っているこの時間が。

暫くすると人が多くなってきた電車が着いたのだろう。
人の波から彼の輝くような金髪が見えた。
桃子は走り出し、その勢いのまま京太郎に抱きついた。

桃子「会いたかったっす!」

京太郎「俺もだよ」

2人は暫くの間お互いの温もりを感じ合いながら抱きあった。
それがすむと一緒に並んで歩き出す。

『どこへ行こうか?』

『お父さんが話があるって言ってたっすよ』

『ワーぉ…』

『ファイトっす!京ちゃんさん』

2人が笑いながら歩いていく

そんな2人の上を赤い赤い風船が通り過ぎていった

今日も快晴、デート日和だ


<手紙つきの赤い風船 桃子バージョン>