麻雀海外留学ーー

大日本帝国のさらなる繁栄のための先鋭として自分が選ばれた時の興奮は、未だ冷めやらぬものとして胸中に残っている

『ちょー頑張るんだよー。立派なお役人さんになるんだよー』

思い出すのは母の言葉

父を早くに亡くし、女手一つで自分を育ててくれた母のためにも、必ずや自分が須賀家を再興しなければならない。

その思い一つで必死に勉学と麻雀に励み、学業では首位に輝き、上官のお気に入りにもなった。

この巴里の地で多くのことを学んで国へ持ち帰り、さらなる飛躍を遂げるのだ。

他の同胞のように遊びにかまける暇は自分にはない。




そう、思っていたのにーーー


「……どうして、泣いてるんですか。異邦の、関わりのない者だからこそ力になれることもあるでしょう」


「ああ、貴方は良い人のようです。……どうか、私を助けてください。私が恥なき人になってしまうのを」

夕暮れの教会の前で泣く、黄金色の髪の少女

明華と名乗るその少女に、どうしようもなく惹かれていく自分がいた。

それが祖国に認められぬものであり、かつての自分と母の宿願に対する背信であると知りながら……


国の役人と舞台の歌姫。
住む世界も国も違う二人の、許されざる恋。


「私の京太郎、愛しい人、あなたは私を裏切らないでくれますよね?」


「京ちゃんはこんなところに埋もれてていい人じゃないよ。相応しい場所に戻れるよう、私が頼んであげる。だから、あの娘とはもう別れて?」


「俺は、俺は……!」


栄華か恋か、選べるのはただ一つ

苦悩の末に男が行き着くのははたしてーー