まこ「よし、ほいじゃあこの場面ではどれを切る?」

京太郎「えっと…これ、ですね」

まこ「ふむ、正解じゃ。最初の頃が嘘のように成長してきたのぅ」

京太郎「あはは…まだまだ上は遠いですけどね」

まこ「それでも焦らず一歩一歩重ねるのが大事じゃよ。ほれ、次の問題に行くぞ」

京太郎「うっす」

………

まこ「ふぅ…今日はこんなもんじゃろうか…お疲れさん」

京太郎「はい、ありがとうございました。…でも、本当に良かったんですか?」

まこ「何がじゃ?」

京太郎「今日、先輩の誕生日じゃなかったんですか?この日ぐらい、指導は休んだって…」

まこ「逆じゃよ、京太郎。こんな日だからこそ指導をするんじゃ」

京太郎「?」

まこ「京太郎、わしはの。ずっと罪悪感を感じとった。自分達の都合でおんしの学ぶ機会を奪っちょったからの」

京太郎「それは…でも、仕方ないことじゃ…」「仕方なくなんぞない」

まこ「仕方なくなんぞないんじゃよ…」

京太郎「…」

まこ「京太郎。どんな理由があったにせよ、わしらは初心者の大事な時期を犠牲にして自分達の都合を優先させた外道なんじゃよ。これだけはおんしがどう思おうとも変わることはない」

京太郎「でも…」

まこ「あぁ、おんしは優しいからの。こう言ったらそんなことはないって心の底から言える男子じゃ」ナデナデ

京太郎「先輩…」

まこ「しかしこれはわしらの背負うべき咎なんじゃよ。卑怯かもしれんが、気に病まんでくれると嬉しい」

京太郎「そう、言われても…」

まこ「それにの、この指導は別段辛くもないんじゃよ。自己犠牲ではなく、自己満足の為に行なっちょるけえの」

京太郎「自己満足…ですか?」

まこ「うむ。わしは誕生日を犠牲にして指導したわけではない…後輩を指導する権利をプレゼントとして貰ったんじゃ」

京太郎「…屁理屈じゃないっすか、それ」

まこ「屁理屈も理屈の内という言葉を知らんかの?それにの、わしとお前しかおらんから言わせてもらうが…手間のかからん後輩指導なんぞクッソつまらんのじゃよ」

京太郎「うわぁ」

まこ「指導の必要がない後輩に別の方向に極まっている後輩…下手すれば自分より上手い後輩と全然後輩甲斐の無いやつらばっかりじゃったしの」

京太郎「ばっさりいきますね…試合でも大活躍してるのに」

まこ「それとこれとは別なんじゃよ。…ま、そういうわけじゃからの。おん
しの指導はわしの唯一の楽しみと言ってもいいんじゃ。その楽しみを奪わんでくれよ?」

京太郎「…ええ、はい。わかりました。これからも末長くご指導おねがいします…まこ先輩」

まこ「あぁ、任せておきんしゃい」

カンッ