http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1338852213/


新幹線車内

照「…」ムスッ


乗客「ねーねー。あの子怖くない?」ヒソヒソ

乗客「ほんとだ。すっごい機嫌悪そう」ヒソヒソ

乗客「彼氏にでも振られたのかな?」クスクス

乗客「しーっ!駄目だよ、聞こえちゃうって!」ヒソヒソ

照「…」ギロッ

乗客「「ひっ!?」」ビクッ

照「…」

乗客「「あわわわわ」」スタコラ

照「…ふん。悪かったな。これが素だ」ボソッ

照「…」

照「…ちっ」

ガタンゴトン

『間も無く、長野ー長野ー』


照「っ!」ピクッ

照「…」

照「…」ソワ…

照「…」ソワソワ

照「…」ソワソワソワ

照「…」キョロキョロ

照「…」ゴソゴソ←自分の鞄を漁ってる

照「…」スッ←お目当ての鏡を見つけて取り出した

照「…」カパッ←開けた

照「…」クシクシ←前髪を整えている

照「…」ジー

照「…はぁ」


照「…はは。確かに、鏡の中の女は機嫌の悪そうな怖い顔をしている。まったく、これが素だとは我ながら恐れ入るな」

照「…まあ、無理もない。長野に余り良い思い出は無いしな。自然と顔に出ているやもしれん」

照「…そうだ。京ちゃんが居なければ、こんなところ二度と来てやるもんか…」ギリッ

キイーッ

照「…ふん。着いたか」スクッ



改札前

照「…思えば、東京に行ってから長野に戻って来たのは初めてだったか」

照「…咲やお父さんには…会いたくないし、連絡しないで良いか」

照「京ちゃんは…連絡先知らないしな。私がこっちに居た頃は、まだ京ちゃん携帯持って無かったし」

照「仕方ない。今は清澄高校だったな?帰り道で待ち伏せしてやろう。咲や知り合いに見つからないよう、こっそり会いに行かなければ」

照「ふふ。帰り道にいきなり私が居たら、京ちゃん驚くだろうな。…そうだ。折角だし、物陰に隠れて、わっ!ってやってやろうか」

照「京ちゃんリアクション良いからな。きっと飛び上がって驚いてくれるに違いない」クスクス


照「その後、お詫びにご飯をおごってあげよう。京ちゃんよく食べる子だし、喜んでくれるだろうな。食べっぷりがいいから、見てて楽しいし」

照「うん。お姉さんらしく、ちょっと高級なお店に連れて行ってあげよう」ウンウン

照「そ、それで、そ、その後…け、携帯の番号とメアド聞いて…」モジモジ

照「そ、そこまで出来れば、完璧だ!」


照「さあ、改札通して、まずは京ちゃんの家まで…」ピタッ

照(…けど、ちょっと待てよ?)

照(…久しぶりだしな。もし私の事見て、誰?とか言われたらどうしよう)

照(…いや、それだけならまだ良い。もし完全に忘れられてたりなんかしたら?)

照(それどころか、久しぶりに会ったのに、嫌そうな顔なんてされたらどうしよう…)


照「は、ははは。考え過ぎだな。京ちゃんに限って、そんな薄情な男に育っている訳ないだろう」

照「さあ、時間も余り無いんだし、そろそろ改札を…」ピタッ

照(け、けど待てよ?もし彼女連れだったりしたら、嫌な顔くらいするんじゃ…)

照「…ん?」

照「…」

照「か、彼女!!!?」

近くに居た人「ひっ!?」ビクッ


照「あわわわわわ」アセアセ

照(し、しししししまった!今まで京ちゃんに彼女が出来るだなんて、考えた事も無かった!)

照「うわああああ…」キョロキョロ

照(け、けどけどけど!よくよく考えてみたら、もう京ちゃんも高校生だぞ!?そろそろ彼女くらい欲しいと思ったって不思議じゃない!)

照「はううう…」オドオド

照(そ、それに、京ちゃん格好良いし、優しいし、絶対モテるに決まってるし)

照「うええええ…」グスッ

照(冷静になって考えてみたら、京ちゃんに彼女出来てない方がおかしいくらいじゃないか!)←全然冷静じゃない


照(それに、京ちゃんの事好きになるような子なら、私みたいな性格ブスはそうそう居ないだろうし)オロオロ

照(京ちゃんに釣り合うような子なら、顔だって最高に可愛いだろうし、スタイルだって良いだろうし…)

照(はっ!そう言えば、去年の全中優勝者の原村和とか、全部満たしてる上に清澄の同学年じゃないか!!!)

照「も、もしあんな子相手だったら、勝てる訳ないじゃない…」ガタガタ

ハラリ

照「あ、切符っ!」スッ

ガチャン ピンポーン

照「うわわっ!」


駅員「大丈夫ですか?」

照「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

駅員「気にしないで下さい。はい、切符どうぞ。このまま改札通りますか?」

照「っ!ちょ、ちょっと待って!」

駅員「はい?」

照「こ、心の準備がまだなんで…」

駅員「は、はあ。でしたら大変申し訳ありませんが、他のお客様のご迷惑ですので一旦改札から離れて戴けませんでしょうか」

照「あ。わ、わかりました…」スゴスゴ



新幹線ホームのベンチ

照「…はあ」

照「…」

照「なんか、怖くなっちゃったな…」

照「…もし京ちゃんが誰か他の子と付き合ってたりしたら…」

照「わたしどうすればいいのぉ~?」グスッ

照「ううう~…」ギュッ

照「京ちゃ~ん…」

照井「…」

照「…もし」ボソッ

照「…もし、京ちゃんが本当に誰かと付き合ってたとしたら…」

照「どんな子か確かめなきゃいけないけど…」

照「…やっぱり怖いよ。京ちゃん」ブルブル

照「…」

プルルルル

『間も無くー。東京行きの新幹線が到着しまーす』

照「…」

プシュー

『到着ー。到着ー』

照「…」チラッ

『出発はー。2分後ー。2分後ー』

照「…」


『次ー。東京行きー。新幹線発車しますー』

プシュー

ガコンガコンガコン…


無人のベンチ「」


新幹線車内

照「…臆病者め……」

ガコン…ガコン…ガコン…

照「…臆病者め。臆病者め。…臆病者め!」

照「うう…」ペタン

照「ううううう…」ジワッ

照「ううーっ!」

照「う、うう、うええええ…」






白糸台麻雀部部室

ワイワイガヤガヤ

淡「それでさー」アハハハ

照「…」ガチャッ
菫「ん?照?どうしたんだ。今日は家の用事で休むんじゃ…」

照「…」イライラ

菫「(これは相当機嫌が悪いな。巻き込まれる前に退散するか)っと、そう言えば私も今日は用事があるんだった。淡。後は任せた」

淡「へ?弘世先輩帰っちゃうんですか?けど、宮永先輩来たんなら、後は宮永先輩に…」

菫「…淡」

淡「…はい?」

菫「許せ」ドヒューン

淡「うわ。早」


淡「…まったく。なんなんだろーね。うちの三年生は。…けど、天下の白糸台が若干一年の私に部を託しちゃうかー。やっぱり私って、天才?」ニヤニヤ

照「…」

淡「今日は宮永先輩もなーんか心在らずーな感じだし?今のうちに部の影響力を上げとくのもイイ感じだよねー」

照「…でる」ボソッ

淡「さーて!そうと決まったら、みんなー!今日は私が部長代理を務めまーす!って言う訳で、今日の練習は…」

照「弛んでるぞ貴様等あああああ!!!!」ガアアアア

淡「ひいっ!?」ビクッ



照「なんだ貴様!その打ち筋は!」ビシッ

一年「ひいっ!?」

照「ふざけるな!こんな温い麻雀をするような奴に、我が白糸台麻雀部の部員が務まるか!」

一年「す、すみませ…」

淡「あ、あわわわわ」

照「お前はなんだあああ!!」ビシッ

二年「ひいっ!?」

照「貴様!今、逃げに回ったな!?ふざけるな!我等は王者だ!いついかなる時もどっしりと構え、相手を迎え撃つ麻雀をしろ!!」

二年「す、すみません!すみません!」

淡「み、宮永先輩!?落ち着いて下さい!」


照「ああん!?」ギロッ

淡「怖っ!?」

照「なんだあ?淡。貴様、さっきから聞いてれば、随分と調子良い発言を連発していたようじゃないか」クククク

淡「き、聞いてたんですか!?」

照「いいだろう。貴様のその天狗の様に伸びた鼻っ柱をへし折ってやる。卓に付け。今日は私の気が済むまで、延々付き合って貰うぞ」ゴゴゴゴゴゴ

淡「ひいい!すみません!すみません!調子乗ってすみません!謝りますからそれだけは!今晩見たいテレビがあるんです!」

照「知るか!敵前逃亡などという情けない行為、白糸台麻雀部にとって最も許されざる事だ!恥を知れ臆病者!」

淡「うわああん!何この先輩!いつにも増して理不尽だあああ!」

照「黙れ!いいから卓に付け!」ズリズリ

淡「もう私臆病者でいいですから~!」ジタバタ

照「い、い、か、ら、来~い!」ギリギリ

淡「誰かー!誰かー!この人の抑止力になる人、連れて来てー!!」ジタバタ

照「そんな人間は居らん!!」

淡「い~や~だ~!!!」

照「うおおお!来ーい!!!」グイッ

淡「ぎゃああああああ!!!」






清澄高校麻雀部部室

久「よっし!それじゃあ、今日の部活はここまで!」

まこ「ん。お疲れさん」

和「お疲れ様でした」ペコリ

咲「はあ~。今日も終わった~。お疲れ様です!」

優希「くふう~。最近、部活がハードだじぇ~。全然勝てないし…」ガクリ

和「あ、ゆ、優希…えっと…」

京太郎「お疲れ様です、みんな。特にタコス、お疲れ」

咲「…むっ」

優希「なんだー?京太郎。私に特別に労いの言葉をかけるとは、貴様も成長したのう」ムクリ

咲「うー…」ジー

京太郎「わはははは。最後の方お前フルボッコだったしな。流石にお疲れ様だぜ!」

和「え!?ちょっと、須賀君!?落ち込んでる人にそんな…」

優希「むっきー!?そういう事か!やっぱり貴様は成長の無い奴だじぇ!そこに直れ、犬め!成敗してくれる!」ガタッ

和「あれ、復活した…」


京太郎「うおっ!?」ビクッ

優希「うおおお!食らえ!必殺スリーパーホールド!」

京太郎「ぐげげげギブギブ」パシパシ

優希「このこのこの!これでもかこれでもか!」グイグイ

京太郎「ごふう」

まこ「くっくく。相変わらずあの二人は気が合うのぉ」ニヤニヤ

久「そうねぇ。ちょっと凹ませても須賀君が煽ったらすぐ復活するし、優希を鍛える分には凄く助かるわ」クスクス

和「優希なにやってるの!?だ、大丈夫ですか!?須賀君!」

まこ「そのたんび京太郎が死にかけるのは申し訳ないがのぉ。和は相変わらず本気で焦っとるし」

久「まあいいんじゃない?胸押し付けられてるようだし、役得でも有るわよ」

咲「…」ペタペタ

京太郎「何が役得ですか!こんな抉れ胸押し付けられても嬉しく有りませんから!それより早く助けて下さいって!」



優希「ほう。よくぞ吠えた小僧!よほど命がいらんと見える。ならば死ねい!!」ギリギリ

京太郎「ぐおおお!お、おい、タコス!やり過ぎだ、マジで首締まってる…か、ら…」

和「ゆ、優希、須賀君、顔が青ざめて来てるから…」オロオロ

久「さって。私は帰ろっかなー」ガタッ

まこ「ワシもワシも」ガタッ

京太郎「薄情者共め…それに比べて和マジ天使…」

和「優希!もう止めて!私、貴女を殺人者にしたくない!」

京太郎「あ、和さんもサラッと酷い…?」

優希「おりゃおりゃ」ギリギリ

京太郎「わ、わかった。タコス、タコス奢るから…」

優希「その言葉が聞きたかった」ピタッ

京太郎「ちっくしょー…」


優希「なら今度の日曜、長野の方に行くじぇ」

京太郎「はぁ?」

優希「長野駅の前のデパートにな。最近超美味いタコス屋が出来たらしいのだ」

京太郎「長野駅って…毎度毎度どうやってそんな情報仕入れてんだお前は。しかも、今度の日曜?明後日じゃねーか」

優希「うむ。遠征費もお前持ちだじょ」

京太郎「はああ!?なんで俺がそこまで!」

久「あらいいじゃない。二人で行ってくれば?」

京太郎「部長!?」


優希「流石部長!話が分かるじぇ!」

和「優希、何言ってるの?部長もです!全国までもう殆ど時間が無いんですよ!今は少しでも練習しなくちゃいけないのに…」

久「優希、最近疲れてるみたいだしね。気分転換に遊びに行くのも良いと思うわ。根を詰めすぎて、精神的余裕を失うよりずっと有意義だわ」

和「うう…」

久「幸い、今は部費に余裕有るしね。二人の交通費くらい適当な名目で持ってあげるから」

まこ「悪いやっちゃな~」クスクス

久「いひ~」ニンマリ

優希「その日みんなは何してるじぇ?」

久「もち、部活。4人居れば出来るし、休む理由が無いわ。須賀君には悪いけど、優希の付き添いだと思ってくれれば良いから」

京太郎「うーん。部長がそこまで言ってくれるなら…俺は全国有りませんしね」

咲「…」ペタペタ

咲「…はぁ」


久「はい、それじゃ、決定ー。当日の予定は二人で決めておきなさい。これで私たちは帰るから」

まこ「まあ、全国が近いってのもその通りじゃ。あんま羽目外さんようにな。…ホテルでハメてくるのは黙認しちゃるか…」ニヤニヤ

久「オラァ!」スパーン
まこ「あいたー」

和「?」

久「はーい。ふざけたワカメ先輩アウトー」ズリズリ

まこ「ま、まちんしゃい!まだカバンが…」

久「明日の朝早起きして取りに来なさい!」

まこ「んな殺生なー」

バタン


優希「♪」

和「随分ご機嫌になりましたね。優希」

京太郎「まあ、最近部活尽くしだったのに調子悪かったもんな。部長じゃねーけど、ちょうどいい息抜きなのかも…」

和「まあ、なんでもいいです。せっかくなので、楽しませてあげて下さいね」

京太郎「あいよ」

和「それじゃあ、私はそろそろ帰りますので」

京太郎「あれ?今日はみんなで帰んないの?」

和「家の用事で、早く帰ってくるよう言われているんです。今からじゃ少し急がないと」

京太郎「なら仕方ない」

和「では」スタスタ

京太郎「また明日なー。和」

優希「のどちゃんばいばいだじぇー」ニコニコ


京太郎「さって。俺らも帰ろうか」

優希「おう!」

京太郎「咲ー?てなわけだから、帰るぞー」

優希「そう言えば咲ちゃん、さっきから静か過ぎたじぇ」

京太郎「お前がうるさいだけだっつーの…咲?」

咲「ブツブツブツ」

京太郎「駄目だ。自分の世界に入っちまってる」

優希「またかぁ…」


京太郎「ったく。仕方ない。俺らは先帰るか」

優希「大丈夫かや?」

京太郎「こうなったらしばらく帰って来ないしな」

優希「わかったじぇ。咲ちゃーん。先に帰ってるじょー」

京太郎「もう暗いし、一人で帰ろうとすんなよ、と。メモ置いとくぞ」

優希「じゃ、帰るじぇ」

京太郎「ん」

バタン

咲「ブツブツブツ」

咲(やっぱり京ちゃんって、おっぱい大きい子の方が好きなのかな)ペタペタ

咲(私みたいな貧相な子、やっぱり女の子として見てくれてないのかな…)シュン

咲(そうだよね。そう言えば麻雀部に入ったのも和ちゃんが居たのが一番の理由だったし、男の子だもんね。当たり前だよね)ガクリ

咲(和ちゃん、羨ましいなぁ。可愛いし、スタイルいいし、性格だって優しくてしっかり者で、可愛いし…)

咲(私も和ちゃんみたいだったら、京ちゃんに好きになって貰えたのかなぁ)クスン

咲(いいなぁ…)

咲(あ、けどけど、優希ちゃんは、その、私と同じくらいのスタイルだけど、京ちゃんと仲良くしてるよね!すっごく仲良いよね!)

咲(…最近は、幼なじみの私より仲良いもんね…)シュン

咲(やっぱり、明るくて可愛いからかなぁ…)クスン


咲(そうだよね。優希ちゃん、凄く可愛いもん。地味で根暗な私とじゃ、全然違うもんね)

咲(私と一緒に居たって、楽しくないだろうし…京ちゃん優しいから、今までは私が一人にならないように黙って傍に居てくれてたけど…)

咲(そうだよね。最近は部のみんなめ居るし、わざわざつまんない子の相手するより、可愛い子や楽しい子とお喋りしたいよね)ズーン

咲(うう。せめてスタイルに将来性が期待出来ればまだ希望が持てたのに…)

咲(お姉ちゃん見る限り、それもあんまり期待出来ないし…)クスン


咲(…せめて、麻雀でみんなの期待に応えられるように頑張ろう)

咲(京ちゃんに女の子として一番好きになって貰えることは出来ないけど、せめて、麻雀で格好良いところみせたいな)

咲(私の唯一の取り得だし)

咲(…京ちゃんのお陰で、また好きになれた麻雀だもん)

咲(…頑張ろう)

咲「…うん。頑張るぞっ!」ギュッ

咲(っととと!思わず声に出ちゃった!みんなに変な子って思われちゃうよ!)

咲(あうう。どうやってごまかそう。取り敢えず、何か言わなきゃ…)

咲「…あれ?」

咲「…」

咲「…」キョロキョロ

咲「…」ポツーン


咲「あ…れ…?誰もいない…」

咲「あ、お外真っ暗…」

咲「…京ちゃーん?」キョロキョロ

咲「…部長ー?」ヒョイ

咲「染谷せんぱーい…」ジワ…

咲「の、のどかちゃ~ん?」ウル…

咲「優希ちゃあああーん…」

咲「…」ウルウル

咲「みんなどこぉおお!?」ダッ

咲「あうっ!?」コケッ
ドンガラガッシャーン

咲「あうううう…もうやだぁ…」シクシクシクシク

咲「うわあああん!みんなに置いてかれたぁああ!」

咲「酷いよみんな!人がちょっとぼーっとしてるうちに、みんなで帰るなんて!」

咲「うううー。いじわるー!私だって怒る時は怒るんだからね!こうなったら、私だってみんなの事もちょっと困らせてあげるんだから!」

咲「…けどまずは、散らかった机直さなきゃ…」モゾモゾ


咲「お外暗いなー…私、無事に帰れるのかな…」ゴソゴソ

咲「怖い人とか出たらどうしよう。心細いよぉ…」

咲「…あれ?なんだろこの紙」ピラッ

『気付いたか?
もう暗いし一人で帰ろうとすんなよ!
最悪俺の携帯に連絡くれたら迎えに行ってやるから!
最近変質者とかも出るんだし、お前なんか格好の餌食になるからな!
ぜーったい一人で帰んなよ!
京たろー』

咲「…」

咲「…うん。ありがと」ギュッ

咲「…」ピポピポ


咲「…あ、お父さん?私。咲。悪いんだけど、迎えに来てくれないかな」

咲「うん。今、学校。ちょっと部活で遅くなっちゃって…うん…うん…ごめんなさい…お願い…じゃあ、旧校舎の入り口で待ってるね。ありがとう…」

咲「…ふう」ピッ

咲「…お父さん来るまで、座ってよ」ストン
咲「…」

咲「…」

咲「…はぅ」グデン

咲「…私の、ばか」ポツリ



咲「…意気地無し……」クスン




翌日
東京駅新幹線ホーム

照「…」

照「…なんで私は、また此処に居るんだ…!」ハァ

照「ぐぅ。それもこれも、昨日長野まで行っておいて、おめおめと引き下がってしまったからだ…!」
照「部活を2日連続で休むのは心苦しいが、しかしこのまま引き下がったままというのも、具合が悪いし…」ソワソワ

照「そ、それに、昨日はあれから結局空が白むまで延々全力で淡と対局したし、いつもよりむしろ内容の濃い練習だった筈だし…」ウロウロ

照「だ、第一、こんなところで心に凝りを残して、全国で力を出し切れなかったら、それが一番部に迷惑だろうし…」グルグル

照「そ、そうだ!結局、私が京ちゃんに会って精神を安定させるのが、我が部にも一番プラスなんだ!」キョロキョロ

照「ぜ、前人未踏の全国三連覇に向けて、例えどんなに小さな芽であろうと、懸念材料は摘み取るのが王者だし…仕方ないよな!」コクコク


照「よし!そうと決まったら、早速長野まで行こ…」ダッ

ガシャン ピンポーン

照「…」

駅員「すみませんお客様。新幹線に乗るには、切符を買って戴かないと…」

照「…すみません」シュン


照「…よし。切符は買った。気を取り直して、今度こそ行こう」

照「ふふ。私もすっかり東京人だな。こうして迷う事無く、一人で切符も買える」

照「ここまで至るにはさしもの私でさえ、2年半という時間が必要だったが…ふん。長野の田舎者共にはこんな高等技術、まるで理解出来まい」

※私に長野県民をdisる意図は有りません

照「…あっ。そう言えば、お土産とか買ってった方がいいのだろうか?」

照「…京ちゃん、結構食いしん坊だしな。よし、何か東京らしいお菓子をお土産に買って行ってあげよう。喜ぶぞ」ニヤ



お土産物売り場

照「…へえ。これは…凄いな」キョロキョロ

照「なんでもある。…凄いな」キョロキョロ

照「…おお。このチョコレート、小さいが、お洒落で可愛い。…凄いな」

照「さ、3,000円!?この大きさで!?」

照「す、凄いな…」

照「あっ!魚介類売り場だ!珍しい魚置いてないかな!?」タッタッタ

照「酒盗?へえ、鰹の塩辛なんてあるんだ!面白いな」ワクワク



1時間後

照「はっ!」

照「しまった。あまりに色々有りすぎて、目移りしてしまっていた…もうこんな時間か」

照「ま、まあ、仕方ないよな。東京人が自分のところのお土産を見る事など滅多に滅多に無いのだ。こんなに沢山有れば、色々見てしまうのは自明の理だ」

照「…気が付けば色々買ってしまっているな。…これ以上買っては、お小遣いが少々厳しくなる。自重するか」

照「…おっといかん」

照「ふふ。私とした事が、。最も大切な物を忘れていた」

照「折角の東京土産なのだ。ならば、選ぶのはこの近代都市からの土産に相応しい、最も洗練された品を買っておかなければ」

照「そう。文明的で、近代的で、ハイカラで、洗練された、至高のお菓子」

照「全地方民の憧れ」


照「東京バナナ」キリッ



新幹線車内

ガタン…ガタン…ガタン…

照「ふふ…良い買い物をした」

照「特にこの東京バナナ。京ちゃん、絶対喜ぶだろうな…」

照「京ちゃんが美味しそうに食べてくれたら、私はそれだけで満足だ…」クスッ

照「…」

照「…勢いで買った干物とか、どうしよう」

照「…昨日なんだかんだで付き合わせてしまったからな。詫びの気持ちも込めて、淡にやるか」



『間も無く、長野ー長野ー』

照「おっといかん。そろそろ到着か」

照「これから京ちゃんに会いに行くのだ。身嗜みを整えねば」

照「鏡、鏡…と」ゴソゴソ

照「ふん。あったか…」スッ

照「さて、と。前髪を…」

照「!!?」

照「な、な、な…なんだこれは!」

照「…隈…だと…?」


照「な、ななな、あわ、あわわわわ」ワタワタ

照「そう言えば、昨日から一睡もしていないんだった。どおりで目がショボショボすると思った!」

照「なんて目つきの悪さだ。まるで哲也の印南じゃないか!」

※言い過ぎです

照「もしかして私は、ここまでずっとこんな顔してやって来てたのか!?」

照「くっ!どおりで、さっきの土産物屋の店員とかみんなちょっと私に怯えると思った!」

照「ど、どうする!どうすればいい!?」


照「顔を洗うか?いや、そんなんで治まるほど薄い隈じゃない!」

照「メイクでごまかす…?自慢じゃないが、私は化粧は下手だ。余計酷い顔になったら目も当てられん」

照「どこかで仮眠を取る?…ホテルで休むには、もう手持ちが…」

照「…そ、それとも、このまま会いに行くか…」

照「ゴクリ」



照お姉ちゃん脳内シミュレート

ケース:もしこのまま京太郎の前に立ったら

京太郎「いやー!今日も学校楽しかったなー!
入学3日で友達百人出来たし、全校の女子にモテモテだし、参っちゃうなぁ
けど今は部活も高校から始めたサッカーで一年生ストライカーでレギュラーだし、それが一番かな!
弱小校の清澄なのにスカウトの目に留まって、卒業後はバルサでメッシとツートップ確実だし!」

照「ふ、ふひひひひ。京ちゃん」ガサッ←草むらから出てきた

京太郎「うわっ!?」

照「う、うふふふ、ひ、久しぶりだね…」ウネウネ

京太郎「だ、誰だお前!」

照「だ、誰だなんて、ひ、酷いなぁ。フヒッ↑て、照だよぉ。宮永照」

京太郎「て、照さん!?」


京太郎「う、嘘を吐くな!照さんは今年高校三年生だぞ!お前みたいに、いかにもヒロポンやってそうな危ない女な訳ないだろうが!」

照「あ、ああ。私の事、覚えててくれたんだな?京ちゃん。私嬉しいぞ。この隈は、その、うちの後輩の淡が原因でだな…」

京太郎「うるさい!お前みたいな妖怪が、俺の尊敬する照さんの名をかたるな!」

照「そ、そんな…」

京太郎「クソっ!よりによって照さんの名前を利用するなんて!不愉快だ!今すぐ俺の前から消え失せろ!!化け物!」

照「違うの、京ちゃん…」

京太郎「まだ言うか!この…」

照「あ…そ、そうだ!お土産!東京バナナ!私が照だって証拠!ほら、私今東京住みだし…」

京太郎「照さんの偽物からの土産だなんて、例え当局バナナだって嬉しくねーよ!」パシッ

ドサッ

照「あ…」


照「そ、そんな…駄目だよ京ちゃん。いくら私が気持ち悪いからって、食べ物を粗末にするなんて…」

京太郎「黙れ黙れ!汚らしい売女め!二度とこの地に足を踏み入れるな!」

照「そんな…京ちゃん、いつからそんな人を傷付けられるような子になっちゃったの?照姉ちゃん、それが一番悲しい…」

京太郎「ふん!人なんざなあ!付き合ってる人間によって簡単に変わっちまうもんなんだよ!」

照「…え?」

「すみません須賀君。お待たせしちゃいましたか?」

照「っ!お、お前は!」

京太郎「あっ。和。そんな事ないよ。俺も今来たところ」ニコッ

照「!?」


和「そうですか?良かったぁ…私、須賀君をお待たせしちゃってたらと思って、ガキの癖に下品なおっぱいゆっさゆっささせながら、淫乱らしく無駄に官能的な感じで汗流して、一生懸命走って来たんですよ!」

京太郎「ははは。心配しないでも良いよハニー。俺が5分や10分の遅刻で怒るようなチンケな男な訳がないじゃないか」

和「そ、そうですよね。須賀君、優しいですもんね///」

京太郎「当たり前さ。それに、天使の様に可愛らしい容姿の君を、叱れる訳ないじゃないか。そこの薬中とは天と地の差だ」

照「…え?」

和「あら?そこの見窄らしい方、物乞いでは無かったんですか?…おや、どこかで見覚えがある方ですね」クスクス

照「あ、あう…」


京太郎「ん?どうした?和。お前、この女印南と知り合いだったのか?」

和「…」ジー

照「あ、あわ、あわわ…」オロオロ

和「クスッ」

照「ひっ!?」

和「いえ。勘違いでした。私の知り合いではありません」

京太郎「そうか」

照(ば、バレなかった…?)

和「さあ、行きましょう?須賀君。いつまでもこんなところに居ては、目の隈が移ります」

京太郎「ん。そうだな。和。まず、どこに行きたい?」

和「私、ホテルに行きたいです!」

京太郎「ははは。和は変態だなあ」

和「うふふ。今日も須賀君のリー棒を私のマンズに責任払いして下さいね」ニコッ

京太郎「勿論さ。今日は徹マン確定だぜ」

和「うふふ。楽しみです。二人でビギニング・オブ・コスモス目指しましょう…」

京太郎「御無礼させて貰うぜ…」

照「」ポツーン

和「…それでは、失礼。チーム・虎姫エースにして高校最強雀士にして、負け犬の、宮永照さん?」クスッ

照「!」

和「クスクスクス」

京太郎「じゃあなー。印南」

和「さようなら。印南さん。…明日からの貴女の渾名、楽しみですね?」ニコッ

照「う…」

照「うわあああああ!?」ガバッ

搭乗員「あ。やっと起きた」


照「はあ…はあ…はあ…」

照「…?」キョロ…

照「ゆ、夢…?」

照(ど、どこから…?)

照(…どこからだって良い。とにかく…)

照「よ、良かった…」ボソッ

添乗員「ちっとも良くないですよ!」

照「ひゃっ!?」

添乗員「君ねぇ!制服着てるって事は、高校生!?しっかりしなさいよまったく!」

照「?…?…?」

添乗員「揺すっても揺すっても全然起きないし!やっと起きたと思ったら寝ぼけた事言って!早く降りなさい!次の電車が来ちゃうじゃないか!」

照「あ、す、すいません…」ジュル

添乗員「涎拭きなさい!良い年してみっともない!制服もシワになってる!後で化粧室で身嗜みしっかり整える事!」

照「は、はいっ!」ガタッ

照(怖っ!)



化粧室

照「…はぁ」ゴソゴソ

照「…ん。身嗜みは整ったかな」

照「…少し寝たお陰で隈も薄くなったか」

照「…それにしても、さっきの夢、最悪だ…」ガクリ

照「京ちゃんには嫌われるわ、彼女は出来てるわ…東京バナナは捨てられるわ…」

照「…」ブルッ

照「…」

照「…まさか、正夢じゃ、ないよな?」ボソッ

照「…」



新幹線車内

ガタン…ガタン…ガタン…

『毎度ご乗車、有難うございます。この新幹線は、東京行きー。東京行きー』

照「…」

照「きょ、今日は、その、日が悪い!うん!」

照「手持ちも少ないし!もうすぐ日も落ちるし!折角京ちゃんに会うなら、日が高い内に行かないとな!うん!」

照「あ、そうだ!明日!明日は日曜日だし!明日の朝もう一回来よう!それなら日の高いうちから京ちゃんに会えるし、沢山遊べる!今日はその偵察!下準備のための偵察だ!」

照「そ、それに、ほら!干物とか、チョコレートとか、日頃頑張ってる部のみんなに一刻も早く食べさせてやりたいし!」

照「だ、だから、仕方ないんだ!これは!」


照「そうだ…仕方ないんだ…」グスン

照「きょ、今日帰るのは、仕方ない、んだ…」

照「これは、仕方なく帰るから、仕方ないんだ…」ヒック

照「明日は、明日こそは、行くんだ…」

照「だ、だから、東京バナナは、東京バナナだけは、大事に取っておくんだ」

照「う…」

照「うえ…」

照「うええええん…」



白糸台麻雀部部室

淡「はひ…昨日は酷い目に合った…」

菫「大丈夫か?淡。凄い隈だぞ」

淡「弘世先輩ー…わかってましたね?絶対分かってやってましたよね?貴女」

菫「うん?何がだ?」

淡「すっとぼけないで下さいよ!昨日私に部を任せた事です!よもや只の虎への人身御供だったとは…」

菫「ああ。その話か。すまんかった」

淡「すま…!うぐぐ、なんて誠意の籠もってない…」

菫「ところで、その怪奇!虎女についてなのだが」

淡「はい?」

菫「今日、見たか?」


淡「さあ?私だって、さっき起きて来たばっかりですからね。私より2つも年上の宮永先輩じゃ、まだ寝てるんじゃないですか?その、若さ的に」

菫「お前も言うようになったなぁ」

淡「えへへ。伊達に一年生レギュラーじゃないですし」

菫「だが、いくら今日が土曜で自主練日とは言え、全国の近いこの時期にエースが練習不参加では、部の士気に関わる」

淡「スルーっ!?」

菫「まったく、どこで油を売っているんだあのお姫様は…」

淡「あの…」

菫「ん?」

淡「僭越ながら、一つ質問が」


菫「許す」

淡「ありがとうございます。えーっと、ですね。質問って言うのは、その、宮永先輩の虎姫って渾名に関してなんですが…」

菫「うむ」

淡「なんでよりにもよって、あの人に『姫』なんて感じを使ったんですか」

菫「…うん?」

淡「いや、ずっと昔から思ってたんですけどね?あの人、どう考えても『姫』って感じじゃないでしょ」

菫「だが、虎の姫だぞ?ぴったりだと思うが」

淡「甘いです!」バンッ

菫「む、むう?」

淡「甘い!甘い!甘過ぎます!チョコレートなんかより!」

菫「お、おう」

淡「虎姫!?そんなプリティーな通名、あの人には甘いって言ってるんです!」

淡「いいですか!あの人を指すなら、これくらい言わなきゃ役不足です!冷酷無比な殺戮ターミネーターとか!他者の絶望を喰らい力を増す魍魎の類とか!一人エクスペンタブルズとか!仮にどうしても姫って付けたいなら、姫路城を一撃で破壊するデカいトカゲとか!」

菫「お前がアイツをどう思ってるかはよくわかった」

淡「兎に角!あの人を姫だなんて、天と地と人が許そうとも、私が許しませ…」

ガチャ

照「すまん。遅くなった」

淡「」


菫「お。来たか虎姫」

照「?なんだ?菫。藪から棒に」

菫「何でもない」

照「そうか。…淡?どうした固まって」

菫「いや、人生相談を受けていてな」

照「?まあいい。ほら、受け取れ」ヒョイ

菫「これは…菓子か?…お台場の恋人?」

照「ああ。ちょっと野暮用で東京駅に行って来たのでな。ついでに、日頃精進を重ねている部員の皆に、と思ったんだ」

菫「珍しい事もあるもんだ」

照「ほんの気紛れさ」

淡「…」

照「淡」

淡「ひゃ、ひゃい!」ビクッ


照「昨日は済まなかったな。私の練習に無理やり突き合わせてしまって」

淡「あ、い、いえ…そんな滅相も無い…」

照「そんなお前には、特別にこれをやろう」スッ

淡「え?」

照「大した物ではないがな。感謝の気持ちを込めた、ほんの礼というやつだ」

淡「え…」

淡「あ、ありがとう、ございます」

照「どういたしまして、だ。さて。それでは私は他の部員達にも、菓子を渡さなくてはならんので、これで失礼する」スッ

淡「あ…」

照「おい、そこの一年!ちょっといいか!」スタスタ

淡「…槍が降る」

菫「まあ、そう言ってやるな」クスクス


淡「私、今ちょっと宮永先輩の事尊敬しちゃいそうになりました…安い女なんでしょうか」

菫「素直に懐柔されておけ。私が楽だ」

淡「…はい」

菫「…そう言えば、さっき、お前姫がどーのとか言ってたな?」

淡「あっ!そ、それは…」

菫「実はな。ここだけの話、あいつ、結構あの通り名気に入ってるんだぜ?」ニヤリ
淡「え…?」

菫「らしくない?」

淡「は、はい…なんか、そう言うのくだらないって切り捨てるイメージが…」

菫「まあ、実際そうなんだろうがなぁ」ニヤニヤ

淡「?」

菫「私も昔、そこが気になって、本人に聞いてみた事がある」

淡「っ!で、答えは!」

菫「断固黙秘」

淡「ありゃりゃ」ヘナ


菫「ま、それはそれで良かったんだが。なんか癪でな。騙して酒を飲ませて喋らせた」

淡(この人だけは敵に回さないようにしよう)

菫「なんでもな。アイツ、地元に二個下の弟分がいるらしいんだが」

淡「あ、私と同じ」

菫「そいつが好きらしい」

淡「ぶふううううう!!!!!!!!!」

菫「誰にも話すなよ?本人に気付かれたら、お前は消されるぞ」

淡「絶対喋りません!墓の下まで持ってきます!!」

菫「でな。アイツが言うには、その弟分ってのが、妹の同級生でもあったらしく…」

淡「ああ。例の、記者会見でムキになって存在否定した妹さん?」

菫「で、その弟分君が、その子の事をたまに姫と呼ぶらしい。…私から言わせれば、からかい半分にしか思えてならんのだが」

淡「ま、まさか…」ヒクッ


菫「羨ましかったらしい」

淡「うわぁ…」

菫「涙ながらに延々5時間語られた」

淡「ご愁傷様です…」

菫「妹さんとの不仲もどうやらその辺が絡んでるようなのだが…」

淡「おっ!重大情報じゃないですか!」

菫「語られたらしいが、どうも聞き流してたようで記憶が無いのだ」

淡「ずこー」

菫「まあ、仕方ないな」

淡「」


菫「…ま。何はともあれ、だ。そんな阿呆みたいな事情ではあるが、本人は気に入っている通り名だ。そう無碍にしてやるな」

淡「はあい」

菫「ところで、その袋、何が入ってるのだろうか?」

淡「あ、そういえばそうですね」

菫「寄越せとは言わないが、私にも見せてくれ。アイツが何を買ってきたのか興味だけはある。むしろやると言われても要らん」

淡「不安になること言わないで下さいよ。それじゃあ、開けますよ」ゴソゴソ

淡「っじゃーん!」

ジンギスカンキャラメル

淡「」

菫「」

淡「な、ななな」ワナワナ

菫「さて。練習するか。またあとでな。淡」スタスタ

淡「なななな!」


淡「なんで北海道ーー!!?」ドー?ドー?ドー?←エコー



照お姉ちゃんがお土産買ってた頃

清澄高校麻雀部部室

京太郎「おはよーございまーす」ガチャ

咲「あっ!京ちゃん、おはよう!」パタン

京太郎「おっす咲。なんだよちっくしょー。今日は一番乗りだと思ったのに」

咲「ふふーん♪相変わらず甘いねっ」

京太郎「たはは…本読んでたのか。相変わらず文学少女してるな」

咲「うん。最近あんまり本読む時間が無かったから、早起きしてここで読もうと思って」

京太郎「そうか」

咲「あ、あと、染谷先輩から電話があって、今日は部活来れないって」

京太郎「あ、確かに鞄無くなってる」

咲「早朝取りに来たのかな?」

京太郎「てか、なんで咲に…」

咲「さあ?」


京太郎「ま、いいや。二人じゃサンマも出来ないしな。誰か来るまで、まだ本読んでていいぜ」

咲「うん。ありがと。京ちゃんはどうするの?」

京太郎「早起きしたせいでまだ眠いからな。コーヒー淹れる」

咲「京ちゃん、コーヒー好きだよね」

京太郎「まーね。咲も何か飲むか?」

咲「あ、う、うん…じゃあ、私もコーヒー…」

京太郎「はい?あれ、咲。お前コーヒーなんて飲めたっけ?」

咲「えっ?」

京太郎「いや、だって、いっつもは紅茶…」

咲「…」

京太郎「咲さん?」

咲(きょ、京太郎ちゃんと同じものが飲みたいから…なんて、言える訳、無い…よね)

京太郎「咲ー?」


咲「あ…だ、だって、同じ物の方が、京ちゃんも作るの楽でしょ?」

京太郎「いや、別に、俺インスタントのつもりだったし…紅茶程度、大した手間じゃないし…」

咲「えっ!?あっ!いや、そのっ!」アセアセ

京太郎「もしかしたら俺に気を遣った?別に遠慮しなくていいぞ」

咲「やっ!ちがっ!そうじゃなくって!あのっ!」ワタワタ

京太郎「?」

咲「えっと、えっとね?そのね?あの、その、ね?」

咲(うわーん!上手な言い訳が出て来ないよー!)

京太郎「…」


京太郎「あっ。そうか」

咲「ふぁっ!?」ビクッ

京太郎「はっはーん。なーるほーどねー」ニヤニヤ

咲「ど、どうしたの?京ちゃん…?」

京太郎「いやね。今日に限って咲がなんでそんなにコーヒー飲みたがるのかって不思議に思ったんだけど…」

京太郎「わかっちまったぜ」

咲「ひゅっ!?」


京太郎「これはズバリ、あれだな。そういう事だな」ニヤニヤ

咲「あわわわわ」

咲(ど、どどどどうしよう!?京ちゃんと同じものを飲みたいから、だなんてそんな事バレたら…)

京太郎「それにしても、咲もそんな事考えるようになったかー」ニヤニヤ

咲(あ!で、でもでも!京ちゃんの事だし、全然的外れな可能性も結構あるよね。っていうか、かなり高いよね。お願いします!今回ばかりはそうであって下さい!!)

京太郎「大人になったなー。咲」ニヤニヤ

咲(うわーん!なんかやっぱりバレてるっぽいー!?)

咲「や、止めて京ちゃん!そこから先は言わないで!」

京太郎「そんなに大人の味に興味あるのか」ニヤニヤ

咲「…へ?」


京太郎「そうかそうか。コーヒー飲んでみたいのか、咲も」ニヤニヤ

咲「…はいー?」

京太郎「いやー!咲もほんっと!成長したなー!まさか、コーヒーなんて苦い物を飲んで大人ぶりたい!だなんて見栄張る事考えるようになるなんてな!」

咲「…はぁあ!?」

京太郎「けど、無理しないでいいんだぜ?咲。お前、まだ小学生じゃねーか。コーヒーなんて苦いもの飲んだら、それ以上身長伸びなくなっちま…」

咲「うっさい!馬鹿京ちゃん!」ポイッ

京太郎「いてっ!咲お前、ハードカバーを人に投げつけるとかどう言う了見だ!」

咲「べー!」

京太郎「このー!」

咲「ふんっ!だ!!」プイッ


京太郎「…」

咲「…」

京太郎「…咲?」

咲「…」プイッ

京太郎「なあ、咲」

咲「…」ツーン

京太郎「さーきー?」

咲「なんにも聞こえませーん」クルッ

京太郎「ったく、このお姫様はすぐへそ曲げるんだから…」ブツブツ

咲「…何が姫だ」プイーッ

京太郎「…一応独り言だったんだけど」

咲「…」ツーン

京太郎「はぁ…」


咲(…お姫様って言ってくれた)

京太郎「悪かったよー。咲ー」

咲(…えへへへ)

京太郎「おーい。咲ー?」

咲「…コーヒー」

京太郎「…ん?」

咲「コーヒー淹れてくれたら許してあげる」

京太郎「…りょーかい」


コポポポ…

京太郎「…」

咲「…」ペラッ

京太郎「…」

咲「…」ペラッ

京太郎「…そう言えば、咲?お前、昨日はどうやって帰ったんだ?」

咲「え?…ああ。お父さんに迎えに来て貰って…」

京太郎「そっか」

咲「うん」

京太郎「なんだよー。それならそれで連絡くれても良かったのに」

咲「あ…ご、ごめん。気が回らなかった…」

京太郎「ま、いいけどさ」


咲「本当、ごめん…ね」

京太郎「いーって大丈夫大丈夫!」

咲「…」

京太郎「…」

咲「…ねえ、京ちゃん?」

京太郎「んあ?」

咲「…もしかして、ずっと連絡待ってた…?」

ピーッ!!

京太郎「お湯沸いたか」ガタッ

咲「あ…」

京太郎「」スタスタ

咲「…」


京太郎「…」コポポ

咲「…」ペラッ

京太郎「んー。まあ、ちょっとな」

咲「…そっか」ペラッ

京太郎「おう」

咲「…」ペラッ

咲(…えへへ)


京太郎「へい、お待ち」コトン

咲「ラーメン?」クスッ
京太郎「ズズズ」

咲「あれ、砂糖とミルク…」

京太郎「あ、いけね」ガタッ

咲「…いいよ。そのまま飲んでみる」

京太郎「大丈夫か?」

咲「ズズ…」

咲「…うえ」ベー

京太郎「はは。やっぱり駄目か。今持って来てやるよ」スクッ

咲「ごめんね…」

京太郎「えーっと、ミルクどこだったかなー」スタスタ

咲「…」

咲「…」チラッ

咲(京ちゃんのコーヒー…)

咲「…」

咲「…」チラッ

京太郎「お。あったあった。えっと、あと砂糖とスプーンと…」ゴソゴソ

咲「…」サッ

咲「チュッ」

コトッ


京太郎「お待たせー…って、どうした?咲。そんなニヤニヤして」

咲「えへへ。なんでもありませーん」ニヤニヤ

京太郎「?」

咲(…えへへ。…関節キス…しちゃった)

咲「コクン。…うん!おいしい!」

京太郎「?そ、そうか?そりゃ良かった…」

咲「えへへへへ~♪」ニヤニヤ


咲(コーヒー、甘い…おいしい…)コクンコクン

京太郎「どうだ?京太郎特製コーヒーの味は?」

咲「…クスッ。普通かな」
京太郎「あら手厳しい」

咲「だって、インスタントに砂糖とミルク入れただけでしょー?」クスクス

京太郎「馬鹿にすんなよ?他にも隠し味ちゃんと入れてんだかんな!」

咲「へー。へー。何入れだのさー。私、見てたけどそんな様子無かったよ?」

京太郎「それは、愛」キリッ

咲「プッ」

京太郎「あ、受けた?受けた?よっしゃ、俺の勝ちー!」

咲「あははは!何それ、京太郎キモーい!」クスクス

京太郎「キモいはキツい!」


咲「あははは!あははははは!!も~!!京ちゃんってば、も~!」クスクスクス

京太郎「うぐ…これだけ笑われると逆に軽くショックなんですが…」

咲「こんなに笑ったの久しぶりだよ~」

京太郎「そ、そっか…うん。良かったです…」

咲「あはははは!」

京太郎「くすん」


咲(気分が和らいで、心が落ち着く…なんて優しい時間…)

咲(そろそろみんな来る時間だけど…)

咲(もうちょっと、こうしてたいな…)

ガチャッ

優希「おっはよーだじぇ~!」

京太郎「お。優希か。おはよう」

咲「…」


咲「ゆ、優希ちゃん。おはよう」クスン

優希「おっ!犬に、咲ちゃんだじぇ!まだ二人しか来てないのか?」

咲「う、うん…」

優希「む?なんか芳しい香りがするじぇ」スンスン

京太郎「ああ。もう一人来るまで、暇だったからな。咲とコーヒー飲んでたんだ」

優希「ほう!朝コーヒーとな!」

咲「あ、朝コーヒーって///」

優希「何故そこで顔を紅くした、咲ちゃん…」

咲(よ、夜明けのコーヒーって連想しちゃった…)


優希「いいないいなー!私もコーヒー飲みたいじょ!」

京太郎「お前も飲むか?…って、お前みたいなちびっ子にコーヒーなんか飲める訳ねーだろーが」

優希「馬鹿にすんなよー?ブラックだって余裕だじぇ」

京太郎「うそん」

優希「ほんとん」

京太郎「信じらんねー。まじで信じらんねー」

優希「むっ!ならば証拠を見せてくれる!ブラックコーヒーを持てい!」

京太郎「えー…」

優希「どうやったら信じるのだお前…」


京太郎「うーん…そんじゃあ、これならどうだ?ちょうど俺のコーヒーがブラックだから、お前がこれを飲んでみて、大丈夫そうなら淹れてやる」

優希「受けて立とう!」

咲「えっ?」

京太郎「くっくっく。さーて。そのやせ我慢が、いつまで続くかな~?」

咲「ちょっ…」

優希「って言うか、今回はマジで楽勝だじょ。ほれ、さっさとカップ寄越すじょ」

咲「あの…」

京太郎「ほれ」スッ

咲「ああっ…」

優希「ん」ヒョイ

咲「やだ…」

優希「ゴックゴックゴック」

京太郎「あああああ!?」

咲「きゃああああああ!?」


優希「ごち」カラッ

咲「」ガーン

京太郎「お、お前!全部飲みやがったな!?」

咲「」ガーンガーン

優希「ま、貴様が淹れたにしては上出来な味だったじょ。百点満点中40点をくれてやる」

咲「」ガーンガーンガーン

京太郎「しかも低っ!」


優希「ほれ、早く新しいのを淹れるじょ」

京太郎「くっそー。タコスといい、味覚だけ変に老けやがって…」

優希「タコスを馬鹿にするでない!」カッ

和「おはようございます、皆さん…」ガチャッ

優希「あっ!のどちゃん!おはようだじょ!」

京太郎「おっ!和おはよう!今日も可愛いな!」

和「須賀君、何言ってるんですかもう…馬鹿な事言ってないで、部活しますよ」ハァ

京太郎「バッサリか…」ガクン

優希「むう…」



咲「」クスン



それからしばらくして
照お姉ちゃんが駅員さんに怒られてた頃

久「ごめーんみんな!遅くなっちゃった!」ガチャッ

和「部長!」

京太郎「あ、部長。お疲れ様です」

優希「お疲れ様だじぇ!」

和「お疲れ様です。どうしたんですか?何かトラブルでも?」

久「いやぁ、ちょっと学生議会の方でトラブっちゃって。この後もご飯食べたらまた戻んなきゃで」

和「そうだったんですか…」

久「ほんと、この時期にごめんねー。なんとか早めに片付けるから」

和「仕方ありませんよ。お疲れ様です。学生議会長」


京太郎「そう言えば、そろそろ昼飯の時間か」

優希「はら減ったじぇ~」

咲「確かに、私もちょっとお腹空いちゃった…」

和「言われてみれば、わ、私も…」

和「」クーッ

和「あうう///」チヂコマリ

久「ふふっ。ところでみんな、今日のお昼はどんな予定?」

京太郎「どんなって…これから購買行って…」

優希「同じく」

咲「私は、その、お弁当を…」

和「私もです」


久「そっかそっか」ウンウン

和「?どうしたんですか?」

久「いや、迷惑かけるお詫びにね。今日はみんなに学食で奢ってあげようかなーとか思って」

優希「」ガタッ

京太郎「え!いいんですか!?」ガタッ

久「まっかせなさーい!お弁当組は、スイーツ奢ってあげる」

和「そんな!悪いですよ!」

咲「そ、そうですよ!」

久「いいからいいから!私ね。後輩出来たら、みんなを引き連れて学食で奢ってあげるっていうのが夢だったの!まこはそういうの嫌がって奢らせてくれないし」

和「う…。そう言われると…」

咲「断れない…」

久「よーっし!それじゃあ早速行くわよー!」



照お姉ちゃんが東京行き新幹線に乗り込んだ頃
学食

ガヤガヤ

優希「着いたじぇー!」

和「お休みなのに、意外と混んでますね」

久「よーし、後輩諸君!好きな物を注文するが良い!」

優希「タコス!」

久「だと思った!」

和「私は…それじゃあ、イチゴとユズとカリンのフルーツパフェで」

久「了解。私はカツ丼にしようかしら。咲と須賀君は?」

咲「えーっと…私は…あ、じゃああんみつで…」

京太郎「咲、ちょいと待った」

咲「…うん?」


京太郎「咲。悪いんだけどさ…」チラッ

咲「?」

京太郎「ほら、な?」

咲「…ああ。…も~!またぁ?」

優希「?」

久「?」

和「?」

京太郎「なー?今日のも美味そうなんだよー」ペコペコ

咲「まったく、京ちゃんは仕方ないなぁ~」ヤレヤレ

優希「…なんの事だじぇ?」

和「さあ?」

久「?ねえ二人共。どういう事?」


咲「すみません、部長。私、やっぱりレディースランチでお願いします」

久「へ?」

京太郎「で、俺があんみつで」

久「へ?」

和「…ああ。なる程」

優希「のどちゃん?どういう事だじぇ?」

和「須賀君がレディースランチを食べたいらしいので、宮永さんと注文を取り替えっこしたいそうです」

優希「ふむ。生活の知恵だじぇ」

久「…ああ。そう言う事ね。別に構わないわよ」


京太郎「よっしゃ!ありがとうございます!ここの学食、レディースランチがメチャクチャ美味いんですよ!」

久「へえ。それを知ってるって事は、常習犯ね?アンタら」

咲「あ、あははは…」

優希「ふむ。確かに美味そうなメニューしてるじぇ。まあ、最強の食べ物たるタコスには敵わんがな!」

和「それはあなたにとってだけよ。優希…」

優希「じょっ!?」

みんな「あはははは!」





その頃、東京行き新幹線の一席では

照「…」グーッ

照「…」

照「…少々、腹が減ったな…」



学食のおばちゃん「はい、カツ丼特盛りだよ」ゴトン

久「ありがとうございます。…さて。みんな、注文の品は揃ったわね?」

咲「はい!」

和「部長。空いている席、確保しておきました」

久「流石和ね。それじゃあ、みんな。せ~のっ!」

みんな「いただきまーす!」

モグモグ

京太郎「うはー!相変わらず美味いなー!レディースランチ!」

久「カツ丼も絶品よ」パクパク

優希「タコスは、もはや語るに及ぶまい」モグモグ

和「あ。咲さんの卵焼き美味しそう…」

咲「和ちゃんのタコさんウインナーも美味しそうだよ」

和「じゃ、じゃあ、取り替えっこしません?」

咲「うん!いいよ!」



その頃、東京行き新幹線

照「…何か、小腹を満たせるような土産は無かっただろうか」ゴソゴソ

照「…干物は駄目だな」ヒョイ

照「…この焼き菓子は、部員達の土産だ。私が食べる訳にはいくまい」ヒョイ

照「キャラメルは…淡の分だ」ヒョイ

照「残るは…」

照「……東京バナナ」

照「…」

照「…」

照「…」ゴゴゴゴゴ


ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン…ガタン…



学食

久「ハムハムハムハム。うん。美味しい。可愛い後輩達に囲まれてるから、なお美味しいわ」

優希「おおう。部長、意外といける口だじょ。私も負けられん!」パクパク

和「ふふっ。優希、あんまり急いで食べちゃダメですよ?ほら、口の周りにソースが付いちゃってます」フキフキ

優希「モガムガ」

咲「京ちゃん、レディースランチ美味しい?」

京太郎「最高。これも単に咲のお陰だぜ。ほんと、ありがとな」

咲「ふふっ。どういたしまして」ニコッ



新幹線

照「ハムッ」

照「モグモグモグ」

照「…ゴクン」

照「…うん。やはり東京バナナは美味いな…」スッ

ピリピリピリ

照「…もう一個食べよう」

照「ハムッ」

照「モグモグモグ」

照「…ゴクン」ピリピリピリ

照「…ハムッ」



学食

久「ふう。お腹いっぱいだわぁ」

優希「私もだじぇ。お腹がタコスで満ち足りたじぇ。幸せだじょ…」

和「ご馳走様です、部長。パフェ、美味しかったです。誰も黒崎兄妹かよ!って突っ込んでくれなかったのだけは寂しかったですけど…」

優希「きっとスルーされたんだじぇ」

和「くすん」

久「何の話よアンタら…」

咲「あ、でもでも!本当に美味しかったりです!あんみつも!ご馳走様でした!」

京太郎「俺もです。レディースランチはいっつも美味いけど、今日のは特別に美味く感じました。ご馳走様でした」

久「ふふ。お粗末様。そうね。私もいつもの学食より美味しかった。ねえ、なんでだと思う?」

優希「?タダ飯だったからかや?」

和「それは私達だけでしょ!」

久「あはははは!」


久「答えはね。今、ここに大好きな人達が居るからよ」クスッ

優希「じぇ?」

和「部長?」

久「みんなとご飯を食べられるから、私は幸せなの」

京太郎「ど、どうしたんですか?いきなり」

咲「部長…」

久「実を言うとね。私、ずっと寂しかったの」

久「ほら、私が一年生の頃、それまであった清澄高校麻雀部はほぼ無くなっちゃったでしょ?」

和「え、ええ…」

久「本当、あの頃は寂しかった…まこが来るまで、私はずっと一人ぼっち」

久「誰も麻雀に興味無い。麻雀で遊ぶ事も出来ない。麻雀の話で盛り上がる事も出来ない。そんな中、お昼休みはずっと一人、孤独を抱えてご飯を食べていた」

久「あの頃のご飯は、信じられないくらい味気なかったなぁ」


和「部長…」

久「あ、勿論今は違うわよ!?」

久「まこが来て」

久「和と優希が来て」

久「須賀君が来て」

久「そして咲が来て!」

久「みんなで麻雀やって!」

久「麻雀の話で盛り上がって!」

久「切磋琢磨し合って、高め合って、みんなで一緒に戦って!」

久「そして今、こうして一緒に美味しいご飯を食べている!」

久「…まこが今日、居ないけどね。あんにゃろめ、なんて間の悪い」

久「…ま、それもあの子らしいっちゃらしいんだけどね」ヤレヤレ

久「…みんな、みんな、私の大切な大切な後輩。あなた達がいるから、私は今、ご飯が美味しいし、すっごく幸せよ…」

京太郎「部長ー」ウルウル

和「部長…」ジーン

咲「部長…」

優希「うわーんっ!ぶちょー!」ガバッ

久「おっとぉ!あはは!格好つけすぎちゃったかしら?」ナデナデ

和「部長!私、もっともっと頑張ります!」ガタッ

久「うわっ!和?」

和「だから、絶対!みんなで、全国、優勝しましょうね!」

京太郎「おおっ!和が燃えてる!」

和「そうと決まればぼやぼやしてられません!早く部室に戻って練習しますよ!」

優希「らじゃ!」ビシッ

久「…ふふ。そうね。頑張ろうね」


咲(…全国優勝、かぁ)

咲(…そのためには、お姉ちゃんの高校に勝たなきゃいけないんだよね…)

咲「…」



照『ふん、雑魚共が。全員粉々に叩き潰してくれる』

咲(えっ!?)

照『ロン』

咲(えっ!?)

照『ロン』

咲(いやっ!)

照『ツモ』

咲(止めてっ!)

照『清澄高校、恐れるに足らず。全員飛びだ』

咲(待って、お姉ちゃん!)

照『退屈な有象無象共め。貴様等のような塵に麻雀をやる資格等無い!疾く消え失せろ!!』

咲「ひっ!?」



咲「…あ、あれ?」

咲(ま、幻…?)ブルッ

京太郎「ん?どうした?咲」

咲「う、ううん何でも無い…」

京太郎「そうか?なら、俺らも部室に急ごうぜ。和と優がすげー燃えちまってるしな。早く行かないとどやされそうだ」

咲「う、うん…」

久「なら私もそろそろ議会の方行ってくるわ。終わったら顔出すから、頑張ってね。みんな」

京太郎「あ。はい!ご馳走様でした!」

咲「ご馳走様でした」ペコリ

久「ばいばーい」スタスタ


京太郎「…じゃ、俺らも行くか」

咲「うん…」

咲(…私達、勝てるの、かな。…お姉ちゃんに…)

咲(…怖いよ。…京ちゃん)



その頃の照お姉ちゃん

照「ふう。気付いたら全体の半分食べてしまったか」

照「流石東京バナナ。実に美味い」

照「…最高に美味い」

照「最高だ…」

照「…」

照「…京ちゃんと食べたかったなぁ…」

照「…」

照「…」ジワッ

照「っ!な、泣いてなどおらんっ!」ゴシゴシ

照「…」

照「…」ジワッ


照「ふぐっ!」グスッ

照「うう…」

照「や、やはり、正解だった…今日、引き返しておいて…」

照「な、なんだ、これはっ!」

照「ふっ!不良、品、じゃ!ないかっ!」

照「おいしく…ヒック!ない!…ヒック!」

照「せっ!折角の!東京!バナナなのに…!」

照「おいしく…ヒック!ないっ!ぞっ!ヒック!…京ちゃん…!」

照「京ちゃあぁぁあん…」

照「うぇ…」

照「うえええぇ…」

照「ええええん…」



※それはそれとして、東京バナナは完食しました



そして翌日
日曜日
東京駅新幹線ホーム
長野行き新幹線始発2分前

照「…」ゴゴゴゴゴ

ガーッ

キキーッ

プシュー…

照「…」

照「…時は来た」

照「もう後戻りは出来ない…」

照「…臆病者の私は、昨日死んだ」スッ

照「私は…誇り高き白糸台麻雀部エースとして…」

照「高校最強の雀士として…」

照「…『虎姫』の名に賭けて!!」

照「…私は!もう!もう決して逃げない!!」←両手に、まだ閉まってる売店の人に泣きついて売って貰った東京バナナ



遡って前日

咲の部屋
家の電話で和と談笑中の咲

咲「あはははは。そうだったんだー!」

和『ええ。その時の優希のはしゃぎっぷりと言ったら、凄かったんですよ』

咲「本当に優希ちゃん、タコスが好きなんだねぇ」

和『まったくですね。しかも美味しいタコス屋さんの情報等も、どこからともなく仕入れきますし』

咲「あれ、凄いよね。どうやって調べてくるんだろう?」

和『どうやってるんでしょう?流石の私も、長野駅近くのタコス屋まで把握してるとは思いませんでしたし…』

咲「えー!長野駅の方まで!?凄いなー優希ちゃん。ねえ和ちゃん。そのお話詳しく教えて…」

和『あれ?』

咲「…え?」

和『あの…咲さん?その話した時、確か貴女もその場に居たような…』

咲「あれ?そうだっけ?あれー?いつしたっけ?」

和『覚えてないんですか?一昨日の話ですよ?優希と須賀君が、明日一緒に長野駅まで行くって話は覚えてますよね?その理由がタコス屋だった筈ですが…』

咲「え゙っ」

和『えっ』

咲「…」

和『…』

咲「…ごめんね、和ちゃん。ちょっとその辺詳しく…」

和『?まあいいですけど…事の発端は…』



咲「…」

和『咲さん?』

咲「あわわわわ…」オロオロ

和『咲さーん?』

咲「ど、どどどど、どうしよう、和ちゃん…」ウルウル

和『はい?』

咲「そ、それって、デデデデ、デートだよね?」

和『ああ。言われてみれば確かに』

咲「…」

和『咲さん?』

咲「…ごめん和ちゃん…私、明日どうしても外せない用事があるの思い出しちゃった…」

和『え?そうなんですか?』


咲「うん…ごめんなさい。明日、部活休まなきゃ…」

和『そうですかー。それなら仕方ないですね。気を付けて行って来て下さい』

咲「ん?う、うん…」

和『ところで咲さん?』

咲「な、ナンデショウカ…」

和『おうちの用事との事ですが、失礼ながら咲さん、方向音痴ですから。私ちょっと心配です』

咲「へ?」

和『ですから、仮に、そう、もし仮にその用事と言うのが、一人でお出かけするようなものでしたら不安ですので。予めめちょっと咲さんにアドバイスをさせて下さい』


咲「え?和ちゃん、何言って…」

和『いいですか?新幹線は、長野駅です。新幹線に乗るなら、長野駅ですよ』

咲「は、はあ…」

和『ふふっ。そして長野駅の行き方は…』

咲「え?え?え?」

和『…ちゃんとメモ取ってます?』

咲「え、あ…ご、ごめんなさい…」

和『それじゃあ、もう一度最初から…いいですか?まずは通学路にある駅で切符を買って…』



和の部屋

咲『ありがとう、和ちゃん。メモ、大事に使わせて貰うね』

和「はい。気を付けて。…もし途中で道が分からなくなったら、安易に動き回らずに近くの人に道を尋ねるんですよ」

咲『あはははは…』

和「…もうっ!笑い事じゃないんですからね!甘く見てたら、用事に間に合わなくなっても知りませんから!」

咲『それは…困っちゃうよ…』

和「なら、ちゃんと道を尋ねる事!いいですか?」

咲『はーい…』

和「…ふふっ」

咲『…和ちゃん?』

和「…私、優希の事、大好きなんです」

咲『…?』

和「元気で、明るくて、おっちょこちょいで…」

和「中学の頃からの、大切な、大切な、親友…」

咲『…』

和「出来れば、あの子には一番に幸せになって貰いたい。それくらい、大好きな、お友達」

咲『…和ちゃん』

和「…でも、咲さんも、大切なお友達です」

咲『…』

和『ふふっ。けど、やっぱり優希の方が、まだちょっと大事かな?』

咲『…』

和『…だから、私は優希の味方ですから。…敵に塩を送るのは、これが最初で最後です』

咲『…』


和「…けど、もしも。もしも咲さんが私の今回の行為に、感謝して下さる気持ちがあるなら…これだけは。これだけは、心に留めて置いて下さい」

和「私、二人とも、大好きですから!」

和「優希も!咲さんも!竹井部長も!染谷先輩も!須賀君も!」

和「麻雀部全部が!みんなが!大大大大好きですから!」

和「だから!…だから、お願いですから…例えあなた達の関係がどう変わろうとも…」グスッ

和「…お願いですから…誰の事も、嫌いにならないで…」

和「お願い…」

和「う…」

和「うえええ…」

咲『…和ちゃん…』

咲『…』

咲『…ありがとう』



咲の部屋

咲「うん。うん。ありがとう…それじゃあ、私も、もう寝るね…うん。ありがとう。」

咲「…おやすみなさい」プツッ

咲「…」

咲「…はあっ」ドサッ

咲「…」クシャクシャクシャ

咲「…はあ」



そして、時は再び日曜日
ちょうど仮面ライダーアクセルが「振り切るぜ!」とかなんとか言ってる時間
長野駅

優希「着いたじぇー!長野駅!」

京太郎「ふー。結構遠かったなー」

優希「タッコスー♪タッコスー♪」ダッ

京太郎「あ、おい!走んな優希!」ダッ


ジャー

咲「ふー。すっきりした」

咲「…ちょっと早く来過ぎちゃったかな?」キョロキョロ

咲「やっぱり、そう簡単には京ちゃん達見つからないよね」


京太郎「そういえば、タコス屋のあるデパートって、どこなんだ?」

優希「ん。すぐの目の前のビルだじぇ!」

京太郎「近っ!」

優希「因みに、実際の長野駅がどんなとこかは知らん!」

京太郎「ご了承下さい」

優希「で、タコス屋は、地下一階にあるじょ」

京太郎「へー。ならすぐだな」

優希「デパート開くのが9時からだから、それまで駅を探検するじょ!」

京太郎「はいはい」

優希「よっしゃ!いくじょ~!」ダッ


咲「和ちゃんによると、タコス屋さんは、目の前のビルの…地下一階だね」

咲「まだ開いてないや。えっと、9時からだね。まだ結構時間あるなぁ…」

咲「…ウロウロしても良いこと無いし、今のうちに傍まで行っておこ」


『二番線ホーム、電車が到着しまーす』


プシュー…

新幹線座席

照「…」スクッ!


ホーム

照「…」ザッ!


改札

照「…」スッ!

ガシャン ピンポーン

照「!?」

照「」オロオロ

駅員「どうしましたー?」スタスタ


駅員「ああ。お客さん、これ特急券じゃなくて領収書だね。今お客さんの胸ポケットに刺さってるやつが特急券じゃない?」

照「///」ペコペコ


シューッ

照「…」ホッ

駅員「ああ。通ったね。そんじゃあ、さっさと通っちゃってよ」

照「…」キッ

照「…」ガツッ

照「…」

照「ふんっ!」ガツッ

照「…」

駅員「…ほら。お土産の袋、おじさんに貸しなさい。こっちで持っててあげるから」

照「…恩に着る」


照(…遂に。遂に来てしまったか…)

照(…長野)

照(…ふん。やはり、東京に比べれば、田舎だな)

照(…記憶の中の長野駅よりは都会だったが)

照(…早く京ちゃんに会いたいな…)

照「えっと、切符売り場は…」クーッ

照「…」

照(…まずは、腹ごなしが先決だな。京ちゃんの前で腹など鳴らしたら、目も当てられん)

照「どこか軽食を取れる施設は…」キョロキョロ

照「む。目の前のデパート。昔は無かったな」

照「9時開店か…もうすぐだな」

照「よかろう。京ちゃんのところへ行くのは、あそこで何か食べてからとする」

照「そうと決まれば、早速…」

照「行くぞ」




開店5分前
デパート正門前

京太郎「そろそろ開店だなー」

優希「楽しみだじぇ~」ワクワク


3分前
デパート隣コンビニトイレ内

咲「あううう…そろそろお店開いちゃうよぉ」

咲「…けど、緊張して、尿意が…」

咲「早く済ませなきゃ…」アセアセ


1分前
デパート裏口非常用ドア前

照「…ふん。所詮田舎のデパートか。見た目は立派でも、開店直前に入口に誰も居ないとは…」

照「第一、見窄らし過ぎる。設計者の神経を疑うな」

照「ふん。これだから田舎は嫌なんだ」

デパート、開店



デパート地下一階
タコス屋

店員「いらっしゃいませー」

優希「一番乗りだしぇー!」

京太郎「だから走るなって…おっ!マジで美味そうな匂い!」

優希「これは久々の大ヒットな予感がするじぇ~」

京太郎「メニューも色々あんな。ビーフにポーク、チキン、ラム、シーフード…豆、ミックス…etc.すげー…」

優希「素晴らしい!」

京太郎「テイクアウトもあるみたいだけど…」

優希「この場で食う!そしてお代わりも有りだよな?」

京太郎「…ま、いいんじゃないか?」

優希「うっは~♪」


優希「はむっ!はふはふ!」ムシャムシャ

京太郎「おっ!こりゃやべえ!超美味い!」ムシャムシャ

優希「ふふふふ。来て良かっただろー?」ムシャムシャ

京太郎「おう!」ムシャムシャ

デパート一階

咲「地下一階、地下一階…あうう。地下への階段どこぉ?」ウロウロ


同一階

照「まさかあれが非常口だったとは…。流石長野、わざわざ都会人向けに陰湿なトラップを用意してくれるじゃないか…」トボトボ

照「どれ…案内板によると、フードコーナーは地下一階か。…さっきエスカレーターを見たな」

咲「とにかく、早くエスカレーターでも、階段でも、エレベーターでもいいから、見つけなきゃ…」チョロチョロ

照「確か、あっちの方に…いや、こっちだったか…」キョロキョロ

咲「どこかなぁ…」ウロウロ

照「…む?ここはさっき見たぞ?おかしい。おのれ長野。デパート内に狐を飼って、客を惑わしてでもいるのか」グルグル

咲「あうっ!?」ドンッ

照「うわっ!?」ドンッ

咲「」ペタン

照「」ペタン


咲「いたたたた…」ジンジン

照「む…う…」サスサス

咲「あうう…誰かにぶつかっちゃった?」

照「くぅ…私とした事が、他者に迷惑をかけようとは…」

咲「はっ!あ、あのっ!すみません!私、余所見してて!お怪我ありませんか!?」ガバッ

照「む?いや、こちらこそ済まなかった。私も他の事に気を取られていてな。そちらこそお怪我は無いだ…」ムクッ

咲「えっ?」

照「ろ…う…?」

咲「…お、お姉ちゃん…?」

照「か…」


咲「え…?嘘…?な、なんでお姉ちゃんが長野に…」

照井「さ、咲!?なんで貴様がここに…」

咲「そんな…なんで…ただでさえ京ちゃんの事で大変なのに、こんなところでお姉ちゃんにまで会うだなんて…」フラフラ

照「むっ!京ちゃん!?」

咲「…私どうしたらいいのぉ…もう分けわかんないよぉ…」

照「おい咲!京ちゃんが大変とはどういう事だ!?答えろ!」


咲「…」

照「…」

咲「…ねえ、お姉ちゃん?」

照「なんだ?」

咲「…地下一階への階段…知らない?」

照「…一緒に探そうか」



再び地下一階タコス屋

優希「ふい。ポークタコス。ご馳走様だじぇ」

京太郎「お前すげーなぁ。これでビーフとチキンとポーク完食か」

優希「こんな遠くまでなんて、滅多に来れんからな!目標は全メニュー制覇だじぇ!」

京太郎「マジか…」

優希「次はラムタコスだじぇ!京太郎はいいのか?」

京太郎「俺は今食ってる一個でいいかな…これ、ボリュームあるし。あとはコーヒー飲んでるわ」

優希「むう。そうか…」

京太郎「ラムタコスだったな?コーヒー頼むついでに頼んできてやるよ。待ってな」ガタッ

優希「おう!すまん!」



タコス屋前

ザッ

咲「や、やっと着いた…」

照「ここに…ここに京ちゃんが…」ジーン

咲「…」ソワソワ

照「…」ウロウロ

咲「…」モゾモゾ

照「…」クルクル

咲「…ね、ねえお姉ちゃん」モジモジ

照「…な、なんだ?咲」キョロキョロ

咲「…行かないの?」

照「…お、お前こそ」

咲「…こ、怖いよ…」

照「…ふ、ふん。この臆病者め。情けない…」

咲「…」


照「相変わらずだな貴様は…方向音痴だし、鈍臭いし、泣き虫だし…」

咲「…」

照「ああ。格好悪い。情けない。無様だ。いっそ見ていて憐れだぞ」

咲「…お姉ちゃんだって迷子になりかけてた癖に」ボソッ

照「なにぃ!?」

咲「…」


照「おい、咲!貴様、姉に向かってなんだその口の利き方は!」

咲「ふんっ!お姉ちゃんに妹は居ないんじゃなかったの!?私にもお姉ちゃんなんか居ませんから!」

照「こいつ…!」

咲「べー!っだ!!」

照「あ、アッカンベー…だと!?この私に!?このちんちくりんが!」

咲「お姉ちゃんの方こそ、高3にもなってスタイルこっちに居る頃とあんまり変わってないじゃない!」

照「馬鹿を言うな!胸だって大きくなっているわ!その…3センチくらい」

咲「中学から3センチ!?」


照「う、五月蝿い五月蝿い!黙れこの無礼者!貴様に私を笑う権利など無いぞ!」

咲「なにさ!」

照「どうせ貴様も私と同じ宿命を負った、同孔の狢に過ぎんと言っている!」カッ!

咲「っ!」ビクッ

照「牢記しておくが良い!二年後、貴様が今吐いた言葉が、今度は貴様の喉を食い破らんと牙を剥くのだ!」

咲「くっ…」

照「ふはははは!己が言葉に羽根を切り裂かれる無様な貴様の姿が目に浮かぶわ!楽しみにさせて貰う!」

咲「ちゃ、ちゃんと牛乳、毎日飲んでるもん!」

照「甘い!それも既に私が通った道よ!」

咲「ううううー…」

照「諦めろ!運命とは…決して逆らえぬ、大河のうねりにも似たものよ!」

咲「あう…」ガクリ

※日本人は牛乳の吸収効率が悪いので、小魚等でカルシウムを採りましょう。また、同時に鉄分も


京太郎「すいませーん。追加注文したいんですけど…」

咲照「「!?」」

ヒュッ

京太郎「…ん?今、どっかで聞いた事有る声が聞こえたような…」キョロキョロ

店員「お客様ー?どうかされました?」

京太郎「…ああ、すみません。えっと、ラムタコスと、コーヒーを…」


照「…何故隠れた。臆病者」コソコソ

咲「…お姉ちゃんこそ」コソコソ

照「…」

咲「…」

照「…タコス屋の向かいは、百円ショップか…」チラッ

咲「?」

照「…付いてこい、咲。これくらい私が持ってやる」

咲「お姉ちゃん…?」


店員「お待たせ致しましたー」

京太郎「ありがとうございます」

京太郎「さって、と。優希のとこに戻るか」スタスタ

店員(さっきから何回も来てるけど、あの子達、高校生かな?よく食べるなぁ)

店員(なんか、カップルっぽいけど、初々しいし、見てて和むなぁ)

店員(ふふっ。お幸せに♪)

店員「…っ!?」ゾワッ

ゴゴゴゴ

照(ピンクアフロ+☆型眼鏡+宴会用のコスプレ制服(上下)計420円)「…」ザッ!

咲(真っ黄色のロングウイッグ+ティアドロップの濃いグラサン+宴会用コスプレ軍服(USnavy空軍元帥仕様200円)計525円)「…」ザッ!

店員「い…いらっしゃい…ませ…」

照「…ラムタコスと牛乳」

咲「me too」

店員「か、かしこまり…ました…」

店員「こ、こちらで召し上がりますか?それともテイクアウト?今なら、テイクアウトが非常にお得になっておりますが…なんかもう、色々と」

照「ここで食べていく」

咲「me too」

店員「…か、かしこまりました…」

照「咲。あそこの席が良いな。多少姿の確認はし辛いが、あそこなら見つかる可能性は低そうだし、会話の聞き取りも容易だ。延長上にトイレや注文カウンターが無いのも大きい」

咲「yes I see」

照「よし。決まりだ」

店員(なんぞこれ…)


店員「お待たせしました…」サッ

照「うむ」スッ

咲「thanks a lot」←最近学校で習った言い回し

照「むっ。結構ボリュームがあるな…皿が重いのか」フラッ

咲「あわわっ」フラッ

店員「だ、大丈夫ですか?なんなら席まで私がお持ち致しますが…」

照「何。問題無い。余り目立ちたく無いのでな」フラフラ

咲「oh…oh…ちょ、待って…お姉ちゃ…」ヨタヨタ

照「英語」

咲「please wait…」フラフラ

照「頑張れ」スタスタ

咲「…じーざす」


照「ふう…無事着いたか」コトン

咲「お姉ちゃん!酷いよ!」コトン

照「咲。お前も無事着いたか」

咲「私のサングラス、お姉ちゃんのより暗いんだよ?ただでさえタコスが重いのに、これじゃまっすぐ歩けないじゃない!」プンプン

照「おい、咲。声が大きいぞ」

咲「大体、お姉ちゃんってばいっつもそう!そうやって好き勝手に…」

照(くっ…頭に血が登っている。早く落ち着かせねば、周りの注目も集めてしまうだろうし…致仕方ない…か)

照「咲」

咲「東京に行ったのだってそう!少しくらい私にだって相談してくれたら…」

照「咲。これを見ろ」スッ

咲「私だって、少しは、お姉ちゃんの…力…に…?」

照「じゃーん。東京バナナ」

咲「…」ゴクリ


照「落ち着いたか」

咲「う、うん…あの、お姉ちゃん?そ、それって…本物?」

照「ああ。…咲。そろそろ事情を説明して貰えないだろうか。何故お前が、京ちゃんに隠れて尾行する事になっているのか?そして、京ちゃんに、一体どんな大変な事が起こっているのか?」

照「納得がいく説明をしてくれたならば、この一番小さい箱の東京バナナを貴様にやろう」

咲「…」

咲「…わかった。それじゃあ」

咲「…一から…話すね」



照「…京ちゃんが…デート!?」

咲「うん…」ハムハムハム

咲「…ほわわ~」ニヘラ
照「ば…馬鹿な…そんな…!嘘だ…!」

咲「嘘じゃないよ。ほら、あっちの席に、可愛い女の子が座ってるでしょ?…片岡優希ちゃんって言うの…」ハグハグハグ

照「ほ、本当だ…」ガクガクガク

咲(東京バナナ美味しいなぁ~(*´∀`*))←自分より動揺してる人が居ると、冷静になる子


照「くっ!と、遠目からだが、確かに可愛い!」

咲「あ…もう食べ終わっちゃった…」ショボン

照「…はは。私では、とても太刀打ち、出来ん…な…」ガクリ

咲「やっぱりお姉ちゃんも、そう思う?」ガクリ

照「…ああ。成りは小さいが、アイドル級じゃないか…」

咲「だよね…私達姉妹みたいな地味な子じゃ、太刀打ち出来ないよね…」

照「ううう…」ジワッ

咲「ううー…」クスン


京太郎「どーだ?優希。ラムタコスは」

優希「うむ!独特の風味の柔らかいラム肉がタコスのスパイシーなソースに不思議なほどマッチして、それをシャキシャキの野菜が引き締め、香ばしいトルティーヤが全てを包み込んで調和させてるじょ!」

京太郎「そ、そうか。美味いか…」

優希「私は今、最高に幸せだじょ~…」

京太郎「ははは…」

優希「京太郎。お前も一口食うか?」

京太郎「お?いいのか?」

優希「勿論だじぇ。メニュー制覇の道はまだまだ長いしのう」

京太郎「んじゃ、お言葉に甘えて」パクッ

京太郎「うん!美味い!」モグモグ

優希「えひひ~。だろだろ~?」パクッ


照「…」

咲「…」

照「…なあ、咲。アイツ、殺していいか?」ニコッ

咲「だ、駄目だよう!」ビクッ


照「ぎぎぎぎぎ!!な、なんだアイツ!!さり気なく京ちゃんにあ~んしやがって!」ギリギリギリ

照「し、しかも!関節キスだと!?まだ付き合ってもいないのに、なんて破廉恥な!なんだあの売女!!」ワナワナワナ

咲「…」←昨日の朝こっそり間接キスした人

照「や、やはり許せん…!あんな変態女、京ちゃんには相応しくあるまい!引導を渡してくれる!」

咲「だ、だから駄目だよ!それに京ちゃんの目の前で優希ちゃんに悪さしたら、お姉ちゃんまで嫌われちゃうからね!」

照「ぐおぉお!?あ、あのタコス女め!そこまで計算済みとでも言うのか!」

照「なんという恐ろしい相手だ…!」

咲「いやいやいや」


優希「ふう。ご馳走様!ラムタコス完食だじぇ!」

京太郎「お粗末さん。次は何食べる?」

優希「シーフード!…けど、その前にちょっとお花を摘みに行ってくるじょ」

京太郎「ん?そうか?なら、俺はこのまま待ってるぜ」

優希「すぐ戻るっ!」ガタッ

京太郎「行ってらー」

京太郎「…」


照「…小娘が席を外した。…どうしたのだ?」

咲「…」モジモジ

照「…咲?」

咲「ご、ごめん、お姉ちゃん。私ちょっとおトイレに…」

照「ああ。行って来い」

咲「行ってきます…」ガタッ

照「ああ。行って来い」

照「…」

照「…」チラッ


京太郎「」ボケーッ


照「…今なら、京ちゃん一人だけか…」


照「…」ガタッ

照「…」スチャッ

照「…」ガタッ

照「…」スチャッ

照「うう…」ソワソワ

照「くっ…や、やはり…怖い…!」

照「京ちゃんは、果たして私のような地味な女の事を覚えてくれているのだろうか?」

照「…忘れられてたりしたらどうしよう」

照「嫌そうな顔されたりしたら、どうしよう…」ジワッ

照「露骨に他人行儀な態度取られたりしたら…」

照「…だが、こうして悩んでいる間にも、時間は過ぎて行く…」

照「さっさと覚悟を決めろ!宮永照!さっきの小娘が戻って来ては、尚更声をかけにくくなるぞ!」

照「…ぐううう…!」

照「ううううう~っ!」

照「…ええいっ!南無三!」ガタッ


京太郎「ふぁ~あ。今日も早起きしたから、ちょっと眠みーや…」ゴシゴシ

「あの…京ちゃん」

京太郎「…優希が戻って来るまで、ちょっと寝ておこうかな…」

「京ちゃん…」

京太郎「…コーヒーって、あんま眠気覚ましになんねーのかな?」

「京ちゃんっ!」

京太郎「ん?」クルッ

ピンクアフロの怪しい女「ああ…良かった。気付いてくれた…」ホッ

京太郎「ぶふうぅぅぅう!!?」


京太郎「え!え!うえ!?すわ何事!?え!?」キョロキョロ

照「ふふ。吃驚しただろう?私が此処に居るなど、夢にも思わなかっただろう?」ニコッ

京太郎「いや。そりゃ確かに、夢にも思いませんでしたけど…」

照(ああ…京ちゃんだ!このオーバーリアクション、京ちゃんだ!)

京太郎「え?なにこれ。ドッキリ!?」

照「ふふふ…」

照(優しそうな風貌は、ちっとも変わらないね)

照(…ううん。ちょっとキリッと…男らしくなったかも)

照(…背は、沢山伸びたね)

照(昔は私より小さかったのに、今は頭一つ分くらい追い越されちゃった…)

照(胸板も厚くなったし…)

照(うん。やっぱりだ。君は私の思い描いてた通り。いや、それ以上に…)

照「京ちゃん、カッコよくなったね」

京太郎「えっ!?」


京太郎「いやいやいや…えーっと、お姉さん?アナタ何言って…」

照「ふふ。否定する事は無い。これは私の素直な感想だ。黙って受け取って欲しい」

京太郎「は、はあ…一応…ありがとうございます…?」

照「久しぶりに会ったのだ。積もる話も有るのだが…今は都合が悪そうだしな。出来れば、また後で二人切りで会えないだろうか」

京太郎「え…」

照「…ああ、そうだ。君ももう高校生だものな。携帯は持っているだろう。良かったら、番号を交換しないか…」

京太郎「ちょ、ちょちょちょちょっと待ってる下さい!」

照「…嫌か?」

京太郎「…って言うか、あんた誰」

照「」ピシッ


照「そ、そんな!私の顔を忘れたのか!?京ちゃん!」バンッ!
京太郎「忘れたって言うか、そもそも知らねーよ!大体なんで俺の名前知ってんだ気持ち悪りい!」バンッ!

照「ひっ!?」

優希「ただいまだじょ京太郎ー…ん?誰だじぇ?この人。京太郎の知り合いかや?」

京太郎「んな訳あるか!真っ赤な他人だ!」

照「そ、そんな!」

京太郎「行くぞ優希!こんなおっかねー奴と一緒の場所に居られるか!」グイッ

優希「ああん。いけずぅ」

照「ま、待って!京ちゃん!」

京太郎「断る!って言うか、話しかけないで下さい!」

照「お、お願い!ならせめてこれだけでも!」スッ

優希「おおっ?東京バナナだじぇ。東京土産としては在り来たりだが、結構美味いよな。…私達は銀座イチゴのが好きだが」


照「お願い…せめて、これだけでも受け取って…京ちゃんが美味しそうな顔で食べてくれたら、私はもう、それでいいから…」

優希「なんかよく分からんが、良かったな~?京太郎」

京太郎「変なモノ入ってたら嫌なので、入りません!」プイッ

照「」ガーン

京太郎「では、さようなら。永遠に」ドヒューン

優希「あ、ちょっと待つじょ、京太郎~」ドヒューン

照「…」

咲「ただいまー。ちょっと迷っちゃった。…あれ?お姉ちゃん?京ちゃんは?」

照「…帰る」クルッ

咲「え?え?どうしたのお姉ちゃん…」


照「…咲」

咲「え?」

照「次会う時は、インターハイか…」

咲「え?あー…うん」

照「…次は、敵だ」

咲「…うん」

照「後日、あのタコス娘に伝えておけ」

咲「…うん」

照「お…」ジワッ

咲「…お?」

照「お…」ウルッ

照「おぼえてろ~!!!うわ~~あああん!!!!」ドヒューン

咲「あっ!待ってお姉ちゃん!さっぱり訳がわからない上に、最悪の捨て台詞だよそれ!」

照「うえ~~~~~ん!!」ダダダダダ

咲「行っちゃったし…」ポツーン



そして時は流れ、インターハイ決勝先鋒戦

控え室

優希「それじゃあ…行ってくるじぇ!」

久「行ってこい!優希!」

和「優希…頑張って!」

まこ「頼んだぞ…!」

京太郎「優希!休憩時間…タコス作って持ってってやる!」

優希「サンキュー京太郎!それなら私は百人力だじぇ!」

咲(なーんか嫌な予感が…)


会場

優希「さあ!頑張るじぇ!」

照「…来たか…タコス娘…!」ギロッ

玄「ひいっ!?」


照「己が運命を呪うがいい…貴様にはッ!死んだ事を後悔する時間すら与えんッ!!」クワッ

玄「ひいいっ!?」ビクビクッ

照「死ねぇぇええ!!!」

終わり!





藍染「…ところで、いつから照がタコス屋でコスプレしたままだと錯覚していた?」

藍染「…これが私の斬魄刀『鏡花水月』の力。『完全催眠』の効果だよ」

藍染「今回の結末は、取りあえずスレの進行に帳尻を合わせたに過ぎん」

藍染「真実の物語が知りたければ、ss速報へ移りたまえ」

藍染「…但し、私は機械が些か苦手でね。携帯からこれ以上の即興は勘弁して貰おう。また、それならば、携帯からスレも立てても良いものかどうか…」

藍染「…誰かお願いですから、うちに来てネット環境設定して下さい…」

以上!!!