照「ロン。6500オール」

菫「む……残念、負けか。もう少し照を狙い撃てたらいいんだがな」

誠子「私は宮永先輩には勝てる気がしませんよ……」

尭深「オーラスまで行ければ何とか……」

淡「皆だらしないなぁ。もっとこう、パパ―ッと手を作ってササーッと和了らなきゃ!」

菫「それが出来たら苦労しないんだがな」

京太郎「皆さん、お疲れ様です。お菓子とお茶、用意出来てますよ」

照「お菓子っ」ピューッ!

淡「お菓子~っ!」ピューッ!

菫「あいつら……いつもすまないな、須賀」

京太郎「いえ、気にしないでください。今の俺にはこれくらいしか出来ませんから」

誠子「須賀も頑張ってるけど、ここにいる人間が人間だしなぁ」

尭深「いくら飛んでもめげないその精神力は感服もの」

京太郎「あはは、ありがとうございます。俺もすこしくらいは張り合えるようになれればいいんですけどね。あ、皆さんもお茶とお菓子どうぞ」

菫「ん、そうだな。頂こうか」

誠子「ですね」

尭深「はい」

京太郎「さて、と。今の内に牌譜整理でも――」

淡「キョータローキョータロー!これ、これ!このお菓子なに!?超美味しい!!」パタパタ

京太郎「ん?ああ、それはカヌレって奴だ。ちょっと挑戦してみたんだけど、美味しいと思うんならよかった」

淡「カヌレか~!うん、私これ気に入っちゃった!また作ってよ、キョータロー!」

京太郎「う~ん、そうだなぁ……他の皆にも評判が良ければな」

淡「やった~~っ!!」ピョンピョン

京太郎「ブフッ!?お、おい、淡!あんま飛び跳ねるな!その……下、見えるから」

淡「え?あ~、いいのいいの。どーせキョータローしかいないし!」

京太郎「…………なんかそれはそれで悲しいな」



誠子「あの2人が来てからここも賑やかになりましたねぇ……うわっ、これ美味っ!?」

菫「騒がしいとも言うがな……む、本当に美味しいな……」

尭深「でも、楽しいですよ?……日本茶にも合うようにアレンジされてるものもあります」

照「ひょうひゃんほほはひははんへほほいひい」ムグムグ

菫「照、食べるか喋るか、どっちかにしろ」

照「……………………」ヒョイ パク ヒョイ パク

誠子「……見事にコミュニケーションを放棄しましたね」

菫「ああ、そうだった。照はこういう奴だった……」

尭深「何にしても、チームの空気は良い方だと思います」

菫「そうだな。それだけが救いだよ、ほんと」

誠子「……勝ちたいですね。”このチーム”で」

菫「……ああ、全くだ」

~~~~~~~

『決、決まったぁぁぁ~~~っっ!!逆転っ!逆転優勝ですっ!清澄高校宮永の嶺上開花、四暗刻!最後の最後に優勝をもぎ取っていきました!!』

アリガトウゴザイマシタ アリガトウゴザイマシタ ア…アリガトウ、ゴザイマシタ… アリガトウゴザイマシタ!マージャンッテタノシイヨネ! 


淡「…………」フラ… フラ…

淡「あっ……」ガッ

京太郎「淡っ!?」ダダダダッ ガシッ

淡「キョー、タロー?どうして?」

京太郎「控室で皆と一緒に見てたんだけどな。最後に映った淡の表情があんまりに心配だったから様子を見に来たんだ」

淡「そう……」

京太郎「大丈夫か、淡?立てるか?」

淡「…………うっ……うぅっ……」

京太郎「……淡?」

淡「……ぅあ……うわぁぁぁぁん!」

淡「負けっ、負けちゃった……わたっ、私のせいでっ……」

京太郎「…………」

淡「白糸台の名前に、私が泥をっ――」

京太郎「淡っ!」ガバッ

淡「っ!?キョ、キョータロー?」

京太郎「淡、お前はよく頑張った。確かに負けちゃったけど、それでも、恥じるような試合はしていない!」

淡「でも……三連覇が……テルー達の夢が……」

京太郎「……なあ、淡。今一度思い出しても見ろ。先輩達は本当に三連覇に拘っていたか?」

淡「…………分かんない……分かんないよ……でも、三連覇を目指す、って……」

京太郎「壮行会では、な。あれは半分以上建前だ。実際、ここに来てから菫さんの言ったこと、思い出してみろ」

淡「…………」

京太郎「自分たちの力で出来る限り、悔いの無いように頑張ろう。菫さんはそう言った。三連覇を絶対に達成する、なんて一言も言ってないんだ」

淡「……でも」

京太郎「なあ、淡。お前は決勝の大将戦の半荘2回、少しでも手を抜いたのか?」

淡「そんなわけないっ!そんなわけない、けど……」

京太郎「だったら、もう泣くな。淡が頑張ったから東京予選決勝を勝ち抜けた。淡が頑張ったから全国でも決勝まで来て、2位を取れた。それは覆らない事実なんだから」

淡「でも、負けたことも事実なんだよ……?」

京太郎「たった一回だけだろ?それが偶々全国の決勝だっただけ。逆に考えれば、この一回以外、淡は全部の試合に勝ってるんだ。これ、相当凄いことだぜ?」

淡「…………」

京太郎「だからさ、淡。今出てる涙で悲しい顔は終わりにしよう。いつもみたいに底抜けに明るい淡の顔を見せてくれ」

淡「……うん……でも、もうちょっとだけ……泣かせて、ください……」

京太郎「ああ、いいぞ。……よく頑張ったな、淡」ポンポン

淡「うん……アリガト……」



菫「ふむ、心配で見に来たのはいいが……」

誠子「これはちょっと出ていき辛い雰囲気ですね」

尭深「でも、淡ちゃん、落ち着けそうで良かった」

照「淡、ズルい。私も京ちゃんにギュッてされたい」

菫「今はそっとしといてやれ、照。皆、控室に戻ろう。労いの言葉は後で掛けてやればいいさ」

照「それと、楽しかった、ってことも」

菫「ん、そうだな」

~~~~~~~

菫「――で、なんだかんだ言っても、未だに私達は部室に顔を出してるんだよなぁ」

照「京ちゃんのお菓子、美味しい」モフモフ

誠子「お二人とも推薦で早々と決まりましたからね。先輩方に指導してもらえるとあって、皆喜んでいますよ」

菫「だったらいいんだが。須賀と淡はどうしたんだ?」

尭深「2人でしたら今は他の部員と打ってます。もうすぐ戻ってくると思いますけど」

誠子「言ってる間に帰って来たみたいですよ」




ガチャッ
淡「たっだいま~!あ、スミレとテルーだ!」

京太郎「お疲れ様です、照さん、菫さん。お時間あるんでしたらお茶でもどうですか?」

菫「そうだな。久しぶりにゆっくり須賀のお菓子でも楽しもうか」

照「私はいつも楽しんでる」ドヤ

菫「照、お前という奴は……お菓子食う片手間で負けた娘達が自信なくすから止めろと言っているだろうが……」

誠子「須賀のお菓子の腕前、また上がってますよ」

尭深「本場のパティシエ目指せるレベルです」

京太郎「あはは、それは言い過ぎですよ。あ、そうだ。今日は久々にカヌレ焼いてきましたよ」

淡「カヌレ!?やった~~っ!!」ピョンピョン

京太郎「はぁ……淡、前から言ってるが、ほんと気をつけろって。また見えてるぞ」

淡「え?……あっ////」カァァァッ

京太郎「ここには俺しかいないから、とか前に言ってたけど、それでも普段から気をつけとかないと――って、どうしたんだ、淡?」

淡「……キョ」

京太郎「きょ?」

淡「キョータローのバカ!ヘンタイ!スケベ!」ピューッ!

京太郎「……いきなりなんなんだ?」



菫「……春か?」

誠子「……ですかね?」

尭深「……ちょっと意外です。でも、淡ちゃんかわいい」

照「うま、うま」モフモフ



淡「はっ……はっ……」

淡(何で?何で!?何でいきなり恥ずかしく感じたんだろ?いつから?)

淡(…………あぁ、そうか。きっと全国のあの時から……)

淡(キョータローの暖かさに安心させられて、言葉に救ってもらって、それで……)

淡(どうしよう……気付いちゃったけど、こんなの初めてで。これからどう接すればいいか分かんないよぅ……)

淡(でも……これだけはたったの一度でも負けたくなんて無いことだけは確かだ!)

淡「……よし!頑張るぞっ!」

カン!